クレイエールン・ストーリー

ナツメ・カオ

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006♯ 紙の人々と赤色のアイリス

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マスターマインド大陸からずっと東の海を進むとある島がある。レッドアイリス島、大昔は名もなき島だった。そこはかつて、人類が見たこと、噂でしか聴いたことがない珍しい民族がくらしていた。その民族の名は、「 ブマーガ・チェロヴェーク 」、紙の人間。

その民族は、紙でできた人。人形のように感情がない。ブマーガ・チェロヴェークはこの島しかいない、幻の民族だ。そして、その民族の存在を示し、感情のない民族を笑顔に変えた。人物がいた。モラド・ランス、その男性の名は世界中に広まった。


大昔のこと、エクスシア国の植栽家・冒険家モラドは、この大陸の東に珍しい民族のいる島があると、噂を聴いた。そして、モラドは仲間を引き連れて、その名もなき島を目指し、船を出航した。

仲間は全員で、三人。

モラド、女性のヴァーザ、ラーマの三人だ。


モラドたちは出航して、その島につくまでに、一ヵ月かかったみたいだ。その間にも竜のような竜巻、厳しい嵐、怪物のような波を抜け、やっとたどり着いた。


たどり着いた時にはもう、船は中に水が溜まっていた。


「 よし、ついたな!いざ!冒険へ! 」


モラドは二人の女子冒険家を連れ、島を探索した。


すると、ちいさな集落をみつけたそこにいたのは、紙の人間だった。

三人は目を飛び出そうなぐらいに驚いていた。

「 っ! なんだ!この村は? 」

と、モラドたちは、その村に向かった。

すると、途中で一人のブマーガ・チェロヴェークが話しかけてきた。

「 おい!お前ら!ここで何してる!? 誰だ? 見ない顔だな 」


「 驚いた! 言葉がわかるのか? 」


「 何だって? おれたちはブロア語を話す 」


「 なんと!われらと同じ言葉を! ぜひ、村に連れてってくれないか? 」


「 なんだって?村?おれたちに村なんてないぞ?みなが住むあの集落だけだ 」


そういうと、モラドたちを集落に連れていった。


ここに暮らす、ブマーガ・チェロヴェークたちには名前すらない。なので、お互いをお前、あなた、君などと呼ぶ。

ここをおさめているという人のところへ向かった。

確かに、ここの家だけ、少し豪華な作りをしている。

「 よくきたな、座れ 」


実はブマーガ・チェロヴェークは攻撃的な民族ではない。酷い掟もない。人々たちには心がなかった。紙の人のため、他の民族と違って感情というものがない。喜怒哀楽がないだけで、他には、例えば美味しいものが食べたい。そういう感情はあるみたいだ。

「 おれたちは、冒険家です。この島の調査にきました 」


「 そうか、冒険家か。この島で何をする? 財宝などないぞ? 」


「 そんな物はいりません! ただ、この島、人々の調査、そして、私は植栽家で植物のプロです。ここには植物が見当たらない。なので、植物を植栽してみてはいかがですか? 」


「 しょくぶつ? なんだそれは? 」


なんと、この島の人々は誰一人植物を知らなかった。


「 ヴァーザ、あの瓶をくれ 」

モラドは、ヴァーザに瓶を持ってくるよにいった。ヴァーザは持ってくると、モラドに渡した。

「 こちらわかりますか? これはアイリスの種です。この花を君たちに咲かせて見せたい 」


「 アイリス? 花? 」


そういうので、モラドは現物を渡した。それは、青紫のアイリスだ。

「 これがアイリスだ、アイリスは青紫しか咲かない。だが研究で、赤色のアイリスができることが判明した。だが、うちの機関では、咲かせることはできない。だから、この島を貸してくれ! 」


ブマーガ・チェロヴェークたちは、快く島を使うことを理解してくれた。


それから、三人はエクスシア国と名もなき島を行き来するようになった。


「 ついに!できた!拡散する種、レッドアイリスを! 」


どうやら完成したみたいだ。


そして、この島に拡散する種を蒔いた。


この島のブマーガ・チェロヴェークたちとモラドたちは楽しくお酒を飲んだり食べたり、一緒に踊ったりした。

この島ではりんごだけ昔からある。

りんご酒をみんなは飲んでいた。


このアイリスの計画に四年かかったという。


しばらくして、アイリスがつぼみ始めたころ、ブマーガ・チェロヴェークたちは変なことを思い始める。種を拡散したらその大地や場所がへんな色になったり、島の土が柔らかくなったり、ビチャビチャだったり、芽を葺き始めたりと、変化が現れるとともに、あいつらはこの島を壊しにきたのか?と勘ぐるようになった。


そして、虫たちが集まってきた。それをみたブマーガ・チェロヴェークたちは、怒った。

こんな出来事はこの島では起こらない。なので、本当は島を崩壊するために来た人間だ。そう勘違いをしたのである。

そして、ついにモラド、ヴァーザ、ラーマの三人を捕まえた。

「 どうしたと言うんだ! これはしょうがないことだろう? 花を咲かせるにはある程度の水やりや土を柔らかくして、変化させないといけないのだ!それに、もうすぐ開花するぞ! 」


「 うるさい! お前らは島を壊す気か! 」


すると、モラドたちに出ていくように要求した。


「 まってくれ! まだ管理が終わってないんだ! 」


「 くそ!どうします? 」


「 よかろう、ではその花、赤色のアイリスが咲くまで待とう。ただし、嘘であったらお前たちを処刑する 」


「 わかった。必ず赤色のアイリスをみせよう 」


そう言うと、モラドたちは、作業を進めつぼみの管理をした。


すでに、アイリスを植えて四年。こんな時がもしかしたら来るかもしれない。モラドたちは覚悟していた。


月日は流れ、二月二八日の今日。今までの作業と管理を考えると、植えて四年後、二月二八日の今日、夜に赤色のアイリスが咲き始める。


モラドたちは見守った。当然ブマーガ・チェロヴェークたちも見ていた。

すると、咲かなかった。いや正確には、青紫のアイリスが咲いていた。

モラドは足を地つけ、悲しんだ。いままでの実験は一体何だったのか。悔しい感情とここの住人の気持ちを考えたら死にたくなった。

すると、ブマーガ・チェロヴェークのリーダーがこう言った。


「 青紫のままだな、終わりだな、連れていけ、三人ともな 」


終わった、モラドたちの人生も努力も。

いままでここまで悔いたことはない。

すると、朝焼けが始まった。朝焼けは丁度、青紫のアイリスに光を灯した。

光を浴びた青紫のアイリスはなんと、次第に赤色のアイリスへと変化を成したのだ。


その姿をみて、モラドたちやブマーガ・チェロヴェークたち、みんなは声が出ないほどに驚いた。まさかこんなことが。

モラドは勘違いをしていた。計算はあっている。か、最後の開花の計算を間違えていたのだ。

そう、四年後の二月二八日の夜ではなく、四年後の今日、二月二九日の朝。しかも、朝の太陽の光を浴びる。という奇蹟の出来事で、赤色のアイリスが色づき始めるという。なんとも神秘的は出来事をモラドたちはこの眼に焼き付けていた。

そして、モラドたち、ブマーガ・チェロヴェークたちは、嘘やあの島の変化など忘れて、踊りまくった。酒飲んで、食べて、モラドたちとブマーガ・チェロヴェークたちは、楽しい一時であった。赤色のアイリスは、この後、三月三日までさき、元のつぼみに戻ったという。

この出来事をみて、モラドとブマーガ・チェロヴェークのリーダーはこの日をレッドアイリスフェスティバルと、四年に一度咲く花として、創った。


いつのまにか、喜怒哀楽がないと、言われたブマーガ・チェロヴェークは、あの大地をみて怒り、青紫だったときの哀しみ、赤色のアイリスを見たときの喜び、そして、モラドたちの楽しい食事など、ブマーガ・チェロヴェークは喜怒哀楽がある民族として、讃えた。

モラドは不思議に思った。まさか朝の太陽の拡散する種がアイリスの種を拡散する時、青紫から赤色のアイリスにへと、変化する。という考えたこともない奇蹟が、今、起こったのだ。

そう、思った。人々はこの出来事に感動した。


そして、ブマーガ・チェロヴェークの島を赤色のアイリスの島、レッドアイリス島と名付け、ブマーガ・チェロヴェークたちで自分の名前をつけ、村を創立した。

ブマーガ・チェロヴェークたちは、こんな楽しく、笑顔が絶えない。そんな村になってほしいと願った。


そして、この島でモラドとヴァーザは婚約した。

ラーマは、違う国の人と婚約し、レッドアイリス島に住み着いた。そして何年もあの赤色のアイリスをブマーガ・チェロヴェークたちと一緒に喜び、お祭りを楽しんだ。


何年も何年も。


時に何百年も先の話。この者たちの子孫が、今でもレッドアイリスフェスティバルを開き、他の国からも秘境レッドアイリス島として、支持もあり、喜び、楽しんでいる。


ブマーガ・チェロヴェークは笑顔の人々と後々、言われるようになった。

この計画を成し遂げた植栽家・冒険家は、この島で、喜びと笑顔を教え、この島で亡くなった。この島の出来事は、大陸中、いや全世界がしることになる奇蹟のお話だ。

このモラドとヴァーザは一緒のお墓で眠っている。


何年後先、ブマーガ・チェロヴェークの人々も亡くなり、村は滅んだが、今でもこのブマーガ・チェロヴェークとモラドたちを島の伝説として、子孫たちは語った。

喜怒哀楽のない紙の人・ブマーガ・チェロヴェークを喜怒哀楽のある紙の人・ブマーガ・チェロヴェークとして、語ったという。

ブマーガ・チェロヴェークたちは、モラドたちがやってくれたことに感謝した。


これは、紙の人々とある冒険家たち、そして、四年に一度、朝の太陽の拡散する種がアイリスに浴びる時、神々しい赤色のアイリスへと変化する奇蹟である。

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