10 / 13
第1章 はじまりの1歩
9
しおりを挟む
魔・・・王・・・・・・
漆黒の長い髪に、冷たく輝く赤い瞳の男。
鏡の中の男の顔は怖いくらいに美しく目が離せなくなってしまう。
でもそこに浮かぶ表情は優しさのかけらもないほどに冷たくて、体が凍りついたように動けなくなってしまった。
悲鳴をあげたくても声が出ない。本当の恐怖だった。
あのときに戦った魔王とはぜんぜん違う姿だったけど、感じる魔力が同じだったんだとやっとわかった。
魔王は魔力の張りぼての作り物・・・・・・アルさんが作った魔王
マルルカはやっと意味がわかった。
「言ったであろう? 真実の姿を映す鏡だと・・・・・・」
これが本当のアルさん?
鏡越しで見る男の口から、頭の中に直接声が響く。
その声を聞きたくない、知りたくないと、どんなに願っても、それを叶える余地すら与えない冷たい響きだった。
動くことも、声を出すことすらもできない。
「マルルカ お前の体は魔力で成長する。それは人ではなく魔人・魔物の類の魔力だ。
お前が何者かは私も知らぬ。
お前を怖がらせるつもりはない。姿を変えることができることを教えるだけだ
魔力で構成された体は、その姿を変えることができる。私のようにな・・・・・・
戦った魔人の中にも髪の毛が剣に変わった者もいたであろう?
魔物が形態を変えるのを目にしたこともあろう?」
アルが静かに言う。
そう言って、マルルカを自分の方へと振り向かせた。
目の前には、人を畏怖させる魔力も消え、心を凍らせてしまうほど冷たい美しさのアルさんだった人がいた。
マルルカは、魅了されたかのように目の前にいるアルから目が離せない。
「マルルカ、お前には姿を変えることを覚えてもらう。
銀色の髪と瞳は、人の世界では目立ちすぎる。私の姿のようにな
目立っていいことはあまりないからな」
恐怖と驚きで大きく乱れていたマルルカの心は、アルの声を聞いているうちに、静かに落ち着いてきた。
何か魔法をかけられた? 心の隅でそう思う。
アルの声が一句一句体に染みてくる。
アルは、マルルカを右側の鏡の前に立たせた。
そこにはいつもの茶色の髪と茶色の瞳の優しい笑顔のアルさんが映っていた。
あたしは、やっと体の力が抜けたのに気が付いた。
「マルルカの髪は、今は肩に届くくらいだけど、長さも魔法で自在に変えることができる」
アルさんがマルルカの肩に手を置くと、マルルカの体の中の魔力がざわめき、髪は一瞬で床に届く長さになていった。サラサラと流れるような銀色の髪は、水の流れのようにキラキラと輝き、真っ白なオーガンジーを重ねた軽やかなドレスを身にまとったマルルカがそこにいた。
「長い髪のほうが似合うね。
髪は切ってはダメだよ。全部君の魔力だからね・・・・・・」
「きれい・・・・・・でも、あたし こんなドレスなんか持ってないよ? 」
「あぁ、お城にあったドレスを一時君の者にしといたんだよ。姿を変えられるようになれば、自分のドレスであれば衣装替えも練習すれば一瞬でできるようになる。便利でしょ?」
得意げに言ってるアルさん。
「そして、髪の色、瞳の色も変えることができる。このようにね」
また、体の中の魔力がざわめいている。
アルさんと同じ茶色の髪に茶色の瞳のかわいい少女が水色のエプロンドレスを身に着けて立っていた。
「これで外に買い物にいけるでしょ?」と、ニッコリと笑いかけてくる。
「魔力が体を作っているっていうことは。姿かたちも自由自在に変えられるっていうことだよ」
今度は、マルルカが恥ずかしくなってしまうくらい大きな胸がこぼれそうなドレスを着た、アルと同じ漆黒の髪と赤い瞳をした妖艶な女性が立っていた。
「アルさんはこういう女の人が好きなの?」
「もちろん大好きだよ。ちょっといたずらが過ぎたかな?」
アルさんはケラケラと笑った。
「1つだけ忠告しておくよ。どんなに魔法で姿形を変えても、立ち居ふるまいやしぐさは魔法では変えることはできないし、知識だって増えるわけじゃない。
ぜんぶ身につけていくしかないんだよ。
いくら君の外見が魅力的な女性になっても、中身は変わっていないでしょ?
だから外見を自由自在に変えることができても、その姿に合った振る舞いができるようにならないとダメってことだよ。
そして一番残念なことは、君が本来の姿にふさわしい立ち居振る舞い、教養が身についていないってことなんだけどね」
アルさんは、本当におかしそうに笑った。
「まずは僕と同じ茶色の髪と瞳の少女の姿でいられることだ。できるようになるまで少し時間はかかるけど、がんばろうね。
そこまでできると誰も死んだマルルカって思わないでしょ? 普通に暮らすことができるだろうし。 その後は、マルルカの好きにしたらいいよ」
アルさんの言ったことはすごくわかったけど、なんか、アルさんにからかわれて遊ばれてる気がしてしょうがない。
「アルさんは、こうやって他の人の姿を簡単に変えることができるの?」
「そんな無駄なことはしないよー。君の中に僕の魔力が混じってるから簡単にできるのさ!」
(あたしの中にアルさんの魔力が混じってる?? そんなことってできるの?
あー 魔力の開放のときの温かい感じがそうだったのか・・・・・・)
「あなたは、誰なの?」
マルルカはやっとのことで、その言葉を口にすると、堰を切ったように言葉があふれてくる。
「なんで魔王なんか作ったの? なんであたしを助けたの? なんであたしはここにいるの? いったいあたしは何なの? 人じゃないの? 魔物? 魔人? アルさんも魔物????」
わからないことだらけだ。
「あせるな。いくらでも教えてやるって言っただろ?
夜も遅いから、もう寝るぞ」
アルさんは黒いアルに戻っていた。
「魔力は魔法を使うのではない。魔力は干渉する力だ。それすらも知らない者がなぜ賢者と呼ばれる?
人の与える称号はその程度と知ることだな。
お前には、学ばねばならないこと、経験しなければならぬことが山ほどある。まだ子どもなのだから、その時間はいくらでもある」
アルがそういうと、マルルカはそれっきり深い眠りに落ちていた。
漆黒の長い髪に、冷たく輝く赤い瞳の男。
鏡の中の男の顔は怖いくらいに美しく目が離せなくなってしまう。
でもそこに浮かぶ表情は優しさのかけらもないほどに冷たくて、体が凍りついたように動けなくなってしまった。
悲鳴をあげたくても声が出ない。本当の恐怖だった。
あのときに戦った魔王とはぜんぜん違う姿だったけど、感じる魔力が同じだったんだとやっとわかった。
魔王は魔力の張りぼての作り物・・・・・・アルさんが作った魔王
マルルカはやっと意味がわかった。
「言ったであろう? 真実の姿を映す鏡だと・・・・・・」
これが本当のアルさん?
鏡越しで見る男の口から、頭の中に直接声が響く。
その声を聞きたくない、知りたくないと、どんなに願っても、それを叶える余地すら与えない冷たい響きだった。
動くことも、声を出すことすらもできない。
「マルルカ お前の体は魔力で成長する。それは人ではなく魔人・魔物の類の魔力だ。
お前が何者かは私も知らぬ。
お前を怖がらせるつもりはない。姿を変えることができることを教えるだけだ
魔力で構成された体は、その姿を変えることができる。私のようにな・・・・・・
戦った魔人の中にも髪の毛が剣に変わった者もいたであろう?
魔物が形態を変えるのを目にしたこともあろう?」
アルが静かに言う。
そう言って、マルルカを自分の方へと振り向かせた。
目の前には、人を畏怖させる魔力も消え、心を凍らせてしまうほど冷たい美しさのアルさんだった人がいた。
マルルカは、魅了されたかのように目の前にいるアルから目が離せない。
「マルルカ、お前には姿を変えることを覚えてもらう。
銀色の髪と瞳は、人の世界では目立ちすぎる。私の姿のようにな
目立っていいことはあまりないからな」
恐怖と驚きで大きく乱れていたマルルカの心は、アルの声を聞いているうちに、静かに落ち着いてきた。
何か魔法をかけられた? 心の隅でそう思う。
アルの声が一句一句体に染みてくる。
アルは、マルルカを右側の鏡の前に立たせた。
そこにはいつもの茶色の髪と茶色の瞳の優しい笑顔のアルさんが映っていた。
あたしは、やっと体の力が抜けたのに気が付いた。
「マルルカの髪は、今は肩に届くくらいだけど、長さも魔法で自在に変えることができる」
アルさんがマルルカの肩に手を置くと、マルルカの体の中の魔力がざわめき、髪は一瞬で床に届く長さになていった。サラサラと流れるような銀色の髪は、水の流れのようにキラキラと輝き、真っ白なオーガンジーを重ねた軽やかなドレスを身にまとったマルルカがそこにいた。
「長い髪のほうが似合うね。
髪は切ってはダメだよ。全部君の魔力だからね・・・・・・」
「きれい・・・・・・でも、あたし こんなドレスなんか持ってないよ? 」
「あぁ、お城にあったドレスを一時君の者にしといたんだよ。姿を変えられるようになれば、自分のドレスであれば衣装替えも練習すれば一瞬でできるようになる。便利でしょ?」
得意げに言ってるアルさん。
「そして、髪の色、瞳の色も変えることができる。このようにね」
また、体の中の魔力がざわめいている。
アルさんと同じ茶色の髪に茶色の瞳のかわいい少女が水色のエプロンドレスを身に着けて立っていた。
「これで外に買い物にいけるでしょ?」と、ニッコリと笑いかけてくる。
「魔力が体を作っているっていうことは。姿かたちも自由自在に変えられるっていうことだよ」
今度は、マルルカが恥ずかしくなってしまうくらい大きな胸がこぼれそうなドレスを着た、アルと同じ漆黒の髪と赤い瞳をした妖艶な女性が立っていた。
「アルさんはこういう女の人が好きなの?」
「もちろん大好きだよ。ちょっといたずらが過ぎたかな?」
アルさんはケラケラと笑った。
「1つだけ忠告しておくよ。どんなに魔法で姿形を変えても、立ち居ふるまいやしぐさは魔法では変えることはできないし、知識だって増えるわけじゃない。
ぜんぶ身につけていくしかないんだよ。
いくら君の外見が魅力的な女性になっても、中身は変わっていないでしょ?
だから外見を自由自在に変えることができても、その姿に合った振る舞いができるようにならないとダメってことだよ。
そして一番残念なことは、君が本来の姿にふさわしい立ち居振る舞い、教養が身についていないってことなんだけどね」
アルさんは、本当におかしそうに笑った。
「まずは僕と同じ茶色の髪と瞳の少女の姿でいられることだ。できるようになるまで少し時間はかかるけど、がんばろうね。
そこまでできると誰も死んだマルルカって思わないでしょ? 普通に暮らすことができるだろうし。 その後は、マルルカの好きにしたらいいよ」
アルさんの言ったことはすごくわかったけど、なんか、アルさんにからかわれて遊ばれてる気がしてしょうがない。
「アルさんは、こうやって他の人の姿を簡単に変えることができるの?」
「そんな無駄なことはしないよー。君の中に僕の魔力が混じってるから簡単にできるのさ!」
(あたしの中にアルさんの魔力が混じってる?? そんなことってできるの?
あー 魔力の開放のときの温かい感じがそうだったのか・・・・・・)
「あなたは、誰なの?」
マルルカはやっとのことで、その言葉を口にすると、堰を切ったように言葉があふれてくる。
「なんで魔王なんか作ったの? なんであたしを助けたの? なんであたしはここにいるの? いったいあたしは何なの? 人じゃないの? 魔物? 魔人? アルさんも魔物????」
わからないことだらけだ。
「あせるな。いくらでも教えてやるって言っただろ?
夜も遅いから、もう寝るぞ」
アルさんは黒いアルに戻っていた。
「魔力は魔法を使うのではない。魔力は干渉する力だ。それすらも知らない者がなぜ賢者と呼ばれる?
人の与える称号はその程度と知ることだな。
お前には、学ばねばならないこと、経験しなければならぬことが山ほどある。まだ子どもなのだから、その時間はいくらでもある」
アルがそういうと、マルルカはそれっきり深い眠りに落ちていた。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる