11 / 13
第1章 はじまりの1歩
10
しおりを挟む
ふかふかの大きな天蓋付きのベッドで目が覚めた。
あたしが5人くらい寝ても余裕だ・・・・・・
ここは、魔王城だろうな。
頭の中がぐちゃぐちゃだったのが、いっぱい寝たせいか、すっきりいる。
もう、あんなにびっくりすることは起きないっていうくらい、昨日は信じられないことばっかりだった。
まさか、魔王城にお泊りしてぐっすり寝るとは思わなかったよ。
アルさんの仕業だ。それだけはわかる!!!
ベッドから降りて辺りを見渡してみる。
アルさんのおうちが丸ごとはいっちゃう大きさの部屋だよ。
足元には沈んでしまうほどの毛足の長い敷物だ。なんかの毛皮?
今度は魔王城のお姫様になったのか? あたしは・・・・・・
何があっても、もう簡単には驚かないよ。
昨日のことが、アルさんがいろいろ「教えてあげる」って言ってたことだったのか・・・・・・
でも、もっとわかんないことは増えちゃった。
しばらく、足元のふかふかの感覚を楽しんでいると、扉をノックする音がした。
「おはようございます。お目覚めでございましょうか?」
アルさんかな?って思ってたら、大きな扉が開いて女の人が入ってきた。
「お嬢様、しばらくお嬢様のお世話をするように主様より仰せつかっております。
お着替えをする間に、お食事のご用意をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
あたしがお嬢様? 何これ!!! そんなこと言われたの初めてだよ。
何か、言わなくっちゃいけないの?
マルルカは小さくうなずくのが精いっぱいだった。
メイドさんみたいな女の人が2人やってきて、「こちらでございます」っていうと、ベッドの横の扉を開けて、あたしが来るのを待ってる。
扉の向こう側には、大きなお風呂があった。温かいお湯がいっぱい満たされていて、ネモの花の香りがする。いつもの香りでちょっと安心する。
「1日2回、湯あみをしていただくように仰せつかっております」
あっという間にすっぽんぽんにされると大きなお風呂まで連れていかれる。
それから、体を洗ってもらって、ネモのクリームで全身をマッサージしてくれて、ふんわりした淡いピンクのドレスを着せられる。
「不躾ながらこちらで選ばせていただきましたが、お気に召しましたでしょうか?」
そんなこと聞かれてもわかるわけがない。
あたしは、さっきから何にもしてない。
自分のことのはずなのに、あたしにはついていけない・・・・・・
気が付いたら、あたしは朝ごはんが並んでるテーブルに座っていた。
ふかふかパン、フレッシュジュース、ほかほかのオムレツやサラダ・・・・・・食べきれないほどの、見たこともないような上等な朝ごはんが並んでいた。
「あの・・・・・・アルさんは?」
壁際に並んで立っているメイドさんたちに声をかけてみる。
「主様からは、しばらくここを離れると伺っております。その間、お嬢様には課題をこなすようにとのことでございました」
課題?? 髪の毛と瞳を茶色に変えることかなぁ?
って思ってると、メイドさんと一緒に並んでいた、黒い服を着た渋めのおじさんが、1歩前に出て、あたしに話しかけてきた。
「失礼いたします。私、オルトと申します。お嬢様には、話し方や立ち居振る舞い、一般教養を教えて差し上げるように主様より仰せつかっております。しばらくの間、私が教育係としてお相手させていただきます」
えぇぇぇえええええええ!!!! そんなこと聞いてないよ!
あたしにここで、魔王城で暮らせってこと??
でも、ちゃんとあいさつしなきゃ!
「オルトさん。マルルカです。よろしくお願いします」
あたしはそう言ってペコリと頭を下げた。
「お嬢様、オルトとお呼びください。『さん』は不要でございます。それから私に頭を下げる必要もございません。
もっとも、おじぎのマナーもなっておりませんし、話し方が幼すぎます。
まずは、ご朝食を召し上がってからにいたしましょう」
オルトさん、いやオルトはそう言うと、1歩下がって、またメイドさんと一緒に壁に並んだ。
1人で食べるごはんは初めてだ。
それも見られてるなんて、いくら上等な朝ごはんだって喉を通らない。
さっきのオルトさ、いやオルトなんか、すごぉく怖い目で見てる。
フォーク1本あれば食べられるのに、なんで朝からナイフ出てくるのかなー?
全部ナイフで切るの??
オムレツを切ってフォークで口に運び、オルトを見る・・・・・・うなづいてる。
パンも切ってフォークで刺して・・・・・・あっ 眉間にしわを寄せちゃった。
すごく疲れた朝ごはんだった。
「先ほどの朝のお食事では何も申し上げませんでしたが、次回からは厳しくいきます」
オルトの目がキラリと光ったのをあたしはちゃんと見た。
それからは、朝から夕方までずっとあたしの後ろにびったり張り付き、動くたび話すたびにお小言が飛んできた。
「『あたし』ではございません。『わたくし』です。語尾を伸ばしてはなりません。・・・・・・」
「お嬢様、背筋は常に伸ばして、お顔をお皿に近づけて召し上がってはいけません。お口にお料理を運ぶのです。お使いになる指は親指、人差し指、中指の3本が基本です。お使いにならない指は、優雅に添えるのです。カップは指をかける物ではございません。・・・・・」
「べたべた歩いてはなりません。つま先から優雅に・・・顔は前を見て! 背筋!・・・」
「指先の意識を忘れておいでです・・・・・・」
体中、あちこちガチガチだ。全身ツッてる・・・・・・
お風呂の時間だけが至福の時間だった。最初は体を洗ってもらうのは恥ずかしくっていやだなって思ったけど、何かするたびにこんなに気を使ってたら、そりゃぁ、何にもしない時間が欲しくなるよねぇ・・・・・・
世間でいうお貴族様が自分のことは何にもしないっていう話は、きっと嘘じゃないと思う。
って、なんであたしこんなことしてるの?
ごはんだって、満足に思う存分に食べさせてくれない!
ずっとメイドさんとオルトがいて、あたしが食べてるのを見てる。
1人でごはんを食べたっておいしくないから、一緒に食べようっていったら、すごい顔された。
夕食が済んでからが、あたしの時間。
アルさんに言われた通り、髪と瞳を茶色にする練習をしてみる。魔力がザワザワする感じは覚えてるけど、どうしたらできるんだろう? 循環させる魔力が茶色になるイメージをしてみる。流れを変えるのかなぁ? どうやって・・・・・・・?
少しマナーを覚えてきたら、座学・お勉強が始まった。
「もちろん歴史はある程度はご存じですよね?」
そんなの知ってるわけないじゃないですか・・・・・・
「ご自分より上位の方には、こちらから話しかけてはなりません。・・・・・・
親しくないうちは、お名前をお呼びしてはなりません。爵位や職位のある方には爵位名や職位名で、お呼びするのが常識です。位名と家名は異なる場合もあります。初めは、この城が接してる国ソランの上位の方々の序列、名前は覚えるように・・・・・・」
位名、家名なんて、一般庶民にあるわけないじゃない!
見たことも会ったこともない人たちの名前を憶えて、あたしはどーするの??
そんなことを言ったら「常識です」って返された。
魔王と戦ったよりへとへとになる毎日だった。
あたしが5人くらい寝ても余裕だ・・・・・・
ここは、魔王城だろうな。
頭の中がぐちゃぐちゃだったのが、いっぱい寝たせいか、すっきりいる。
もう、あんなにびっくりすることは起きないっていうくらい、昨日は信じられないことばっかりだった。
まさか、魔王城にお泊りしてぐっすり寝るとは思わなかったよ。
アルさんの仕業だ。それだけはわかる!!!
ベッドから降りて辺りを見渡してみる。
アルさんのおうちが丸ごとはいっちゃう大きさの部屋だよ。
足元には沈んでしまうほどの毛足の長い敷物だ。なんかの毛皮?
今度は魔王城のお姫様になったのか? あたしは・・・・・・
何があっても、もう簡単には驚かないよ。
昨日のことが、アルさんがいろいろ「教えてあげる」って言ってたことだったのか・・・・・・
でも、もっとわかんないことは増えちゃった。
しばらく、足元のふかふかの感覚を楽しんでいると、扉をノックする音がした。
「おはようございます。お目覚めでございましょうか?」
アルさんかな?って思ってたら、大きな扉が開いて女の人が入ってきた。
「お嬢様、しばらくお嬢様のお世話をするように主様より仰せつかっております。
お着替えをする間に、お食事のご用意をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
あたしがお嬢様? 何これ!!! そんなこと言われたの初めてだよ。
何か、言わなくっちゃいけないの?
マルルカは小さくうなずくのが精いっぱいだった。
メイドさんみたいな女の人が2人やってきて、「こちらでございます」っていうと、ベッドの横の扉を開けて、あたしが来るのを待ってる。
扉の向こう側には、大きなお風呂があった。温かいお湯がいっぱい満たされていて、ネモの花の香りがする。いつもの香りでちょっと安心する。
「1日2回、湯あみをしていただくように仰せつかっております」
あっという間にすっぽんぽんにされると大きなお風呂まで連れていかれる。
それから、体を洗ってもらって、ネモのクリームで全身をマッサージしてくれて、ふんわりした淡いピンクのドレスを着せられる。
「不躾ながらこちらで選ばせていただきましたが、お気に召しましたでしょうか?」
そんなこと聞かれてもわかるわけがない。
あたしは、さっきから何にもしてない。
自分のことのはずなのに、あたしにはついていけない・・・・・・
気が付いたら、あたしは朝ごはんが並んでるテーブルに座っていた。
ふかふかパン、フレッシュジュース、ほかほかのオムレツやサラダ・・・・・・食べきれないほどの、見たこともないような上等な朝ごはんが並んでいた。
「あの・・・・・・アルさんは?」
壁際に並んで立っているメイドさんたちに声をかけてみる。
「主様からは、しばらくここを離れると伺っております。その間、お嬢様には課題をこなすようにとのことでございました」
課題?? 髪の毛と瞳を茶色に変えることかなぁ?
って思ってると、メイドさんと一緒に並んでいた、黒い服を着た渋めのおじさんが、1歩前に出て、あたしに話しかけてきた。
「失礼いたします。私、オルトと申します。お嬢様には、話し方や立ち居振る舞い、一般教養を教えて差し上げるように主様より仰せつかっております。しばらくの間、私が教育係としてお相手させていただきます」
えぇぇぇえええええええ!!!! そんなこと聞いてないよ!
あたしにここで、魔王城で暮らせってこと??
でも、ちゃんとあいさつしなきゃ!
「オルトさん。マルルカです。よろしくお願いします」
あたしはそう言ってペコリと頭を下げた。
「お嬢様、オルトとお呼びください。『さん』は不要でございます。それから私に頭を下げる必要もございません。
もっとも、おじぎのマナーもなっておりませんし、話し方が幼すぎます。
まずは、ご朝食を召し上がってからにいたしましょう」
オルトさん、いやオルトはそう言うと、1歩下がって、またメイドさんと一緒に壁に並んだ。
1人で食べるごはんは初めてだ。
それも見られてるなんて、いくら上等な朝ごはんだって喉を通らない。
さっきのオルトさ、いやオルトなんか、すごぉく怖い目で見てる。
フォーク1本あれば食べられるのに、なんで朝からナイフ出てくるのかなー?
全部ナイフで切るの??
オムレツを切ってフォークで口に運び、オルトを見る・・・・・・うなづいてる。
パンも切ってフォークで刺して・・・・・・あっ 眉間にしわを寄せちゃった。
すごく疲れた朝ごはんだった。
「先ほどの朝のお食事では何も申し上げませんでしたが、次回からは厳しくいきます」
オルトの目がキラリと光ったのをあたしはちゃんと見た。
それからは、朝から夕方までずっとあたしの後ろにびったり張り付き、動くたび話すたびにお小言が飛んできた。
「『あたし』ではございません。『わたくし』です。語尾を伸ばしてはなりません。・・・・・・」
「お嬢様、背筋は常に伸ばして、お顔をお皿に近づけて召し上がってはいけません。お口にお料理を運ぶのです。お使いになる指は親指、人差し指、中指の3本が基本です。お使いにならない指は、優雅に添えるのです。カップは指をかける物ではございません。・・・・・」
「べたべた歩いてはなりません。つま先から優雅に・・・顔は前を見て! 背筋!・・・」
「指先の意識を忘れておいでです・・・・・・」
体中、あちこちガチガチだ。全身ツッてる・・・・・・
お風呂の時間だけが至福の時間だった。最初は体を洗ってもらうのは恥ずかしくっていやだなって思ったけど、何かするたびにこんなに気を使ってたら、そりゃぁ、何にもしない時間が欲しくなるよねぇ・・・・・・
世間でいうお貴族様が自分のことは何にもしないっていう話は、きっと嘘じゃないと思う。
って、なんであたしこんなことしてるの?
ごはんだって、満足に思う存分に食べさせてくれない!
ずっとメイドさんとオルトがいて、あたしが食べてるのを見てる。
1人でごはんを食べたっておいしくないから、一緒に食べようっていったら、すごい顔された。
夕食が済んでからが、あたしの時間。
アルさんに言われた通り、髪と瞳を茶色にする練習をしてみる。魔力がザワザワする感じは覚えてるけど、どうしたらできるんだろう? 循環させる魔力が茶色になるイメージをしてみる。流れを変えるのかなぁ? どうやって・・・・・・・?
少しマナーを覚えてきたら、座学・お勉強が始まった。
「もちろん歴史はある程度はご存じですよね?」
そんなの知ってるわけないじゃないですか・・・・・・
「ご自分より上位の方には、こちらから話しかけてはなりません。・・・・・・
親しくないうちは、お名前をお呼びしてはなりません。爵位や職位のある方には爵位名や職位名で、お呼びするのが常識です。位名と家名は異なる場合もあります。初めは、この城が接してる国ソランの上位の方々の序列、名前は覚えるように・・・・・・」
位名、家名なんて、一般庶民にあるわけないじゃない!
見たことも会ったこともない人たちの名前を憶えて、あたしはどーするの??
そんなことを言ったら「常識です」って返された。
魔王と戦ったよりへとへとになる毎日だった。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる