【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

文字の大きさ
102 / 233

101:イリス~後編~

しおりを挟む
 「ダ、ダン・・・利用しておいて、こんなこと言うのもズルいのはわかってる。だけど・・・私まだ死にたくないのよ!」

 ディアナは最後の方は語尾を荒げて命乞いをしていた。

 「うっ!」

 番ではないとはいえ、ダンフィールはディアナを見殺しにすることはできるはずもなかった。

 「へぇ~俺なら平気だけど?」

 カイエルはそう言うと、前に出た。

 「あ~君は確かにやりそうだねぇ。だけど君以外はソレを良しとするかな?」

 「カイエル、ここは引きましょう。腹は立つけど、致し方ないわ。」

 セレスティアは、『竜の祖』もいることから余裕で勝てたとしても、訳アリだったディアナを犠牲にしてまで、勝ちにいくことは良しとしなかった。セレスティアは感じていた。この男は簡単にディアナを見殺しにすることに躊躇しない男だと。

 「・・・しょうがないね、姪っ子に免じて、見逃すしかないようだね。」

 セレスティアはこのユージィンのセリフを聞いて、叔父もこういう時は容赦なく、切り捨てられる人だったことを思い出した。

 「今回は顔合わせってことで。では、僕たちは退散するよ。」

 そういうと、イリスは口笛を吹いた。するとイリスとディアナの前に大きな翼のグリフォンが降り立った。グリフォンは顔と尻尾は鷲であるが、胴体は獅子である大型の幻獣で希少な生き物である。

 「待ちなさい!その前に『炎舞の腕輪』を返して!」

 「あぁ・・・確かそうだね、見逃してくれたお礼くらいはしないとね。もう必要もないし。ディアナ、渡して。」

 「はい。」

 そう言うと、ディアナは腕輪を胸の谷間から取りだし、セレスティアに投げた。セレスティアはそれを受け取った。

 「ダン・・・」

 ディアナは罪悪感からダンフィールにどんな顔をしたらいいのか、何を言ったらいいのかわからなかった。

 「ディアナ・・・」 
 
 「また会えると思うよ。じゃーね。」

イリスはそう言い残すと、ディアナを伴いグリフォンに乗って飛び立っていった。

 「グリフォンを使役してるとはね・・・」

 ユージィンは、飛び去って行ったイリス達を見て、確かに言う通り会いたくはないが、また会うことになるのだろうなと思った。


 「ユージィン・・・」

 イシュタルは心配そうに、ユージィンに寄り添っていた。それに気づいたユージィンはイシュタルの腰を自分に引き寄せ安心させるように抱き寄せた。

 「叔父様、ごめんなさい。」

 セレスティアは自分の判断が間違っていたのかも知れないと思い、ユージィンに謝罪した。

 「いや、いいよ。あぁは言ったけど、セレスだけではなく、イシュタルもきっとダンフィールも獣人の娘を見殺しにはできないのはわかっているからね。ま、やったとしても、きっと僕も後味は悪かったからさ。」 

 ユージィンはセレスティアを安心させるように、優しく言ったが、セレスティアはちょっと疑問が残っていた。(ホントかしら?)

 そしてダンフィールは、

 「ディアナ~~~」

 イリスとディアナが飛び去った方向を見て、半泣きになっていた。

 「もう!番でもない女にいつまで未練たらたらなのよ!!」

 イシュタルは叱咤したが、ダンフィールは、

 「番とか関係ねぇ!ディアナは俺が惚れた女だったんだ!」

 うわぁあああ、と泣いていた。

 「姉貴、ほっとけよ。」

 「でも・・・」

 カイエルがダンフィールはを見て呆れたように

 「姉貴、こいつは惚れっぽいんだから、どうせ次の女にすぐ行くって。」

 「・・・・そういえば、そうだったわね。」

 言われてみて、イシュタルも思い出し納得した。

 「なんだ、お前ら!俺が女なら誰でもいいみたいに言いやがって!!」

 「「事実でしょ・だろ」」

 「うっ!」

 ダンフィールは言い返せなかった。

「ま・・・でも・」

「やったことは、許せないけど、あの子根は本当はいい子なんだと思うわ。」

 イシュタルも、イリスとディアナが飛び立った方向を見ていた。そして・・・少し離れていたところで、一連の流れを見ていたライモンドは(気のせいか、俺すっごい空気みたいな存在になってない?)と、少し寂しい気持ちになっていた。
 

 






 「イリス様・・・・」

 「なんだい?」
 
 「さっきは、私を本当に殺そうとしたんですか?」

 「バカだな。そんなことする訳ないだろう。でもああでも言わないと、あの場から君を連れだす事はできなかったからね。」

 「・・・わかりました。信じます。」

 ディアナは、ギュッとイリスの腰に回していた手に力を込めた。

 「さて、ドラゴンスレイヤーは手に入らなかったけど、もう一人の『竜の祖』にコンタクトしなくちゃいけないかもなぁ。」

 その言葉にディアナはギョッとした。

 「も、もしかしてまたハニートラップしなきゃやいけないんですか?」

 ディアナは普通の人になら躊躇はしないが『竜の祖』相手は心臓に悪いからできることならしたくなかった。

 「あー、土の竜の祖とはタイプが全然違うからねぇ、その手は仕えないと思う。」 
 
 それを聞いて、ディアナは少しホッとしていた。

 

 
 ディアナは、不安だった。ドラゴンスレイヤーを取ってきてほしいとは言われていたが、そもそもの『本来の目的』はイリスから何も聞かされていないからだ。深入りしない方がいいかもしれなと、敢えて聞いてもいなかったのだが・・・そして、結局取引は、ドラゴンスレイヤーを取ってこれなかったことから、成立していない。イリスがまだ自分を伴っていることから、きっとまだ利用価値はあるとイリスに思われていることはわかっていた。(馬鹿ね、きっと利用されてるだけなのに。だけど・・・まだイリス様の傍にはいられるもの。)ディアナはグリフォンの背中に乗りながらそんなことを考えていた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...