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101:イリス~後編~
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「ダ、ダン・・・利用しておいて、こんなこと言うのもズルいのはわかってる。だけど・・・私まだ死にたくないのよ!」
ディアナは最後の方は語尾を荒げて命乞いをしていた。
「うっ!」
番ではないとはいえ、ダンフィールはディアナを見殺しにすることはできるはずもなかった。
「へぇ~俺なら平気だけど?」
カイエルはそう言うと、前に出た。
「あ~君は確かにやりそうだねぇ。だけど君以外はソレを良しとするかな?」
「カイエル、ここは引きましょう。腹は立つけど、致し方ないわ。」
セレスティアは、『竜の祖』もいることから余裕で勝てたとしても、訳アリだったディアナを犠牲にしてまで、勝ちにいくことは良しとしなかった。セレスティアは感じていた。この男は簡単にディアナを見殺しにすることに躊躇しない男だと。
「・・・しょうがないね、姪っ子に免じて、見逃すしかないようだね。」
セレスティアはこのユージィンのセリフを聞いて、叔父もこういう時は容赦なく、切り捨てられる人だったことを思い出した。
「今回は顔合わせってことで。では、僕たちは退散するよ。」
そういうと、イリスは口笛を吹いた。するとイリスとディアナの前に大きな翼のグリフォンが降り立った。グリフォンは顔と尻尾は鷲であるが、胴体は獅子である大型の幻獣で希少な生き物である。
「待ちなさい!その前に『炎舞の腕輪』を返して!」
「あぁ・・・確かそうだね、見逃してくれたお礼くらいはしないとね。もう必要もないし。ディアナ、渡して。」
「はい。」
そう言うと、ディアナは腕輪を胸の谷間から取りだし、セレスティアに投げた。セレスティアはそれを受け取った。
「ダン・・・」
ディアナは罪悪感からダンフィールにどんな顔をしたらいいのか、何を言ったらいいのかわからなかった。
「ディアナ・・・」
「また会えると思うよ。じゃーね。」
イリスはそう言い残すと、ディアナを伴いグリフォンに乗って飛び立っていった。
「グリフォンを使役してるとはね・・・」
ユージィンは、飛び去って行ったイリス達を見て、確かに言う通り会いたくはないが、また会うことになるのだろうなと思った。
「ユージィン・・・」
イシュタルは心配そうに、ユージィンに寄り添っていた。それに気づいたユージィンはイシュタルの腰を自分に引き寄せ安心させるように抱き寄せた。
「叔父様、ごめんなさい。」
セレスティアは自分の判断が間違っていたのかも知れないと思い、ユージィンに謝罪した。
「いや、いいよ。あぁは言ったけど、セレスだけではなく、イシュタルもきっとダンフィールも獣人の娘を見殺しにはできないのはわかっているからね。ま、やったとしても、きっと僕も後味は悪かったからさ。」
ユージィンはセレスティアを安心させるように、優しく言ったが、セレスティアはちょっと疑問が残っていた。(ホントかしら?)
そしてダンフィールは、
「ディアナ~~~」
イリスとディアナが飛び去った方向を見て、半泣きになっていた。
「もう!番でもない女にいつまで未練たらたらなのよ!!」
イシュタルは叱咤したが、ダンフィールは、
「番とか関係ねぇ!ディアナは俺が惚れた女だったんだ!」
うわぁあああ、と泣いていた。
「姉貴、ほっとけよ。」
「でも・・・」
カイエルがダンフィールはを見て呆れたように
「姉貴、こいつは惚れっぽいんだから、どうせ次の女にすぐ行くって。」
「・・・・そういえば、そうだったわね。」
言われてみて、イシュタルも思い出し納得した。
「なんだ、お前ら!俺が女なら誰でもいいみたいに言いやがって!!」
「「事実でしょ・だろ」」
「うっ!」
ダンフィールは言い返せなかった。
「ま・・・でも・」
「やったことは、許せないけど、あの子根は本当はいい子なんだと思うわ。」
イシュタルも、イリスとディアナが飛び立った方向を見ていた。そして・・・少し離れていたところで、一連の流れを見ていたライモンドは(気のせいか、俺すっごい空気みたいな存在になってない?)と、少し寂しい気持ちになっていた。
「イリス様・・・・」
「なんだい?」
「さっきは、私を本当に殺そうとしたんですか?」
「バカだな。そんなことする訳ないだろう。でもああでも言わないと、あの場から君を連れだす事はできなかったからね。」
「・・・わかりました。信じます。」
ディアナは、ギュッとイリスの腰に回していた手に力を込めた。
「さて、ドラゴンスレイヤーは手に入らなかったけど、もう一人の『竜の祖』にコンタクトしなくちゃいけないかもなぁ。」
その言葉にディアナはギョッとした。
「も、もしかしてまたハニートラップしなきゃやいけないんですか?」
ディアナは普通の人になら躊躇はしないが『竜の祖』相手は心臓に悪いからできることならしたくなかった。
「あー、土の竜の祖とはタイプが全然違うからねぇ、その手は仕えないと思う。」
それを聞いて、ディアナは少しホッとしていた。
ディアナは、不安だった。ドラゴンスレイヤーを取ってきてほしいとは言われていたが、そもそもの『本来の目的』はイリスから何も聞かされていないからだ。深入りしない方がいいかもしれなと、敢えて聞いてもいなかったのだが・・・そして、結局取引は、ドラゴンスレイヤーを取ってこれなかったことから、成立していない。イリスがまだ自分を伴っていることから、きっとまだ利用価値はあるとイリスに思われていることはわかっていた。(馬鹿ね、きっと利用されてるだけなのに。だけど・・・まだイリス様の傍にはいられるもの。)ディアナはグリフォンの背中に乗りながらそんなことを考えていた。
ディアナは最後の方は語尾を荒げて命乞いをしていた。
「うっ!」
番ではないとはいえ、ダンフィールはディアナを見殺しにすることはできるはずもなかった。
「へぇ~俺なら平気だけど?」
カイエルはそう言うと、前に出た。
「あ~君は確かにやりそうだねぇ。だけど君以外はソレを良しとするかな?」
「カイエル、ここは引きましょう。腹は立つけど、致し方ないわ。」
セレスティアは、『竜の祖』もいることから余裕で勝てたとしても、訳アリだったディアナを犠牲にしてまで、勝ちにいくことは良しとしなかった。セレスティアは感じていた。この男は簡単にディアナを見殺しにすることに躊躇しない男だと。
「・・・しょうがないね、姪っ子に免じて、見逃すしかないようだね。」
セレスティアはこのユージィンのセリフを聞いて、叔父もこういう時は容赦なく、切り捨てられる人だったことを思い出した。
「今回は顔合わせってことで。では、僕たちは退散するよ。」
そういうと、イリスは口笛を吹いた。するとイリスとディアナの前に大きな翼のグリフォンが降り立った。グリフォンは顔と尻尾は鷲であるが、胴体は獅子である大型の幻獣で希少な生き物である。
「待ちなさい!その前に『炎舞の腕輪』を返して!」
「あぁ・・・確かそうだね、見逃してくれたお礼くらいはしないとね。もう必要もないし。ディアナ、渡して。」
「はい。」
そう言うと、ディアナは腕輪を胸の谷間から取りだし、セレスティアに投げた。セレスティアはそれを受け取った。
「ダン・・・」
ディアナは罪悪感からダンフィールにどんな顔をしたらいいのか、何を言ったらいいのかわからなかった。
「ディアナ・・・」
「また会えると思うよ。じゃーね。」
イリスはそう言い残すと、ディアナを伴いグリフォンに乗って飛び立っていった。
「グリフォンを使役してるとはね・・・」
ユージィンは、飛び去って行ったイリス達を見て、確かに言う通り会いたくはないが、また会うことになるのだろうなと思った。
「ユージィン・・・」
イシュタルは心配そうに、ユージィンに寄り添っていた。それに気づいたユージィンはイシュタルの腰を自分に引き寄せ安心させるように抱き寄せた。
「叔父様、ごめんなさい。」
セレスティアは自分の判断が間違っていたのかも知れないと思い、ユージィンに謝罪した。
「いや、いいよ。あぁは言ったけど、セレスだけではなく、イシュタルもきっとダンフィールも獣人の娘を見殺しにはできないのはわかっているからね。ま、やったとしても、きっと僕も後味は悪かったからさ。」
ユージィンはセレスティアを安心させるように、優しく言ったが、セレスティアはちょっと疑問が残っていた。(ホントかしら?)
そしてダンフィールは、
「ディアナ~~~」
イリスとディアナが飛び去った方向を見て、半泣きになっていた。
「もう!番でもない女にいつまで未練たらたらなのよ!!」
イシュタルは叱咤したが、ダンフィールは、
「番とか関係ねぇ!ディアナは俺が惚れた女だったんだ!」
うわぁあああ、と泣いていた。
「姉貴、ほっとけよ。」
「でも・・・」
カイエルがダンフィールはを見て呆れたように
「姉貴、こいつは惚れっぽいんだから、どうせ次の女にすぐ行くって。」
「・・・・そういえば、そうだったわね。」
言われてみて、イシュタルも思い出し納得した。
「なんだ、お前ら!俺が女なら誰でもいいみたいに言いやがって!!」
「「事実でしょ・だろ」」
「うっ!」
ダンフィールは言い返せなかった。
「ま・・・でも・」
「やったことは、許せないけど、あの子根は本当はいい子なんだと思うわ。」
イシュタルも、イリスとディアナが飛び立った方向を見ていた。そして・・・少し離れていたところで、一連の流れを見ていたライモンドは(気のせいか、俺すっごい空気みたいな存在になってない?)と、少し寂しい気持ちになっていた。
「イリス様・・・・」
「なんだい?」
「さっきは、私を本当に殺そうとしたんですか?」
「バカだな。そんなことする訳ないだろう。でもああでも言わないと、あの場から君を連れだす事はできなかったからね。」
「・・・わかりました。信じます。」
ディアナは、ギュッとイリスの腰に回していた手に力を込めた。
「さて、ドラゴンスレイヤーは手に入らなかったけど、もう一人の『竜の祖』にコンタクトしなくちゃいけないかもなぁ。」
その言葉にディアナはギョッとした。
「も、もしかしてまたハニートラップしなきゃやいけないんですか?」
ディアナは普通の人になら躊躇はしないが『竜の祖』相手は心臓に悪いからできることならしたくなかった。
「あー、土の竜の祖とはタイプが全然違うからねぇ、その手は仕えないと思う。」
それを聞いて、ディアナは少しホッとしていた。
ディアナは、不安だった。ドラゴンスレイヤーを取ってきてほしいとは言われていたが、そもそもの『本来の目的』はイリスから何も聞かされていないからだ。深入りしない方がいいかもしれなと、敢えて聞いてもいなかったのだが・・・そして、結局取引は、ドラゴンスレイヤーを取ってこれなかったことから、成立していない。イリスがまだ自分を伴っていることから、きっとまだ利用価値はあるとイリスに思われていることはわかっていた。(馬鹿ね、きっと利用されてるだけなのに。だけど・・・まだイリス様の傍にはいられるもの。)ディアナはグリフォンの背中に乗りながらそんなことを考えていた。
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