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152:ハインツの前世~⑯~
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それは一瞬だった。
金髪の男の肩の辺りから片腕が変貌した。腕は鮮やかな緑色の鱗で覆われていた。そしてその先の指先は、鋭い爪が付いており、その形は禍々しいものであった。腕を薙ぎ払ったと思ったら、一瞬でカタはついてしまったのだ。
「うっ・・・な、なんだよぉ」
「ば、化け物・・・」
イベルナに暴行を加えた輩達は、体中に鋭い爪に抉られた傷跡が無数にあり、それは決して浅くなかった。深い爪痕は、彼らを動けなくしたのだ。そして金髪の男は言い放った。
「本当ならもっと時間をかけていたぶってやりたいところだが、お前らが火を点けたことで、ここはそうもたないからね。だから・・・」
男は美しくも冷たい微笑みを浮かべ
「自分達が点けた火で生きながら焼かれるのは、どんな気持ちだろうな。」
「「「「「!!!」」」」」
そのセリフを聞いた途端、この人ではない男が、自分達をわざと息の根を止めずに、この方法を選んだのだとわかった。
「い、いや・・・だ」
「し、死にたく・・・ない・・・」
「お、俺達は・・・雇われた・・・だけだ・・・」
「た、助けてくれ・・ぇええ!」
泣き言をいうも、抉られた傷のせいで、歩くことはままならない。金髪の男は意識は残るようにわざと体にだけ、重傷を負わせていたのだ。そして、それらにはもう目もくれず、金髪の男は、イベルナに向き合い、お姫様抱っこをした。
「ひぃいい!」
だが、イベルナは一瞬とはいえ、目の前で行われた惨たらしい制裁とも言える所業を受け入れられないことと、今しがた男たちによって汚された自分に触れられたくなかったこともあって、助けてくれたことはわかっていたものの、悲鳴をあげずにはいられなかった。
金髪の男は驚いたが、宥めるように優しく言った。
「ごめんね。いきなり現れた男に抱っこされて嫌だよね。だけど、今はここを脱出しないといけないから、少しだけ我慢してね。」
イベルナは言われた意味はわかっていたが、マーサが死んだことも然り陵辱されたことがイベルナの心に大きく傷となっていたことで、イベルナは死にたい気持ちになっていたのだ。
「置いていって!私もう生きてられないの!お願い・・・死なせて・・・」
イベルナは泣きじゃくっていた。金髪の男は、悲しそうな目を向けて、
「うん、辛いよね。でも俺は君を置いていくことはできないよ。死なせたくないんだ。ごめんね。このまま脱出する。」
そうして、その金髪の男は燃える屋敷を後にして、イベルナを連れて脱出した。
あれから、今は人里離れた小さな家にイベルナは住んでいた。あんなことがあったせいで今は人に対して、特に男性には会いたくないであろうとラーファイルは考えたからである。というのも、イベルナは脱出後から、男性を見ただけでパニックを起こすようになっていたのである。
イベルナの様子は以前とはかけ離れたものになっていた。急に泣き喚いたり、静かになってボーっとしたり、そうかと思えば、ただ一点を見つめて涙を流したりと、精神が不安定になっていたのだ。
金髪の男は『ラーファイル』と名乗った。そして自分が『竜の祖』であること。そしてイベルナが自分の番(つがい)であると説明した。イベルナはそんな中ではあったが、確かにラーファイルについては、初めて会った時から、他の人とは違う何かを感じてはいた。それに窮地を救ってくれ、自分に献身的に尽してくれるラーファイルにだけはなんとか受け答えはできるまでになっていたのだ。そしてある時、イベルナはポツリと言った。
「ね、ラーファイル。」
「ん?どうしたの?」
「お願いがあるの。聞いてくれる?」
ラーファイルは驚いた。イベルナがお願いをしてきたことが初めてだったからである。
「あぁ、番の頼みなら何でも。」
「本当ね、嬉しいわ。」
「で、望みは何なの?」
「人を殺して欲しいの。貴方なら、容易いでしょ?」
イベルナは妖艶に微笑んでいた。
金髪の男の肩の辺りから片腕が変貌した。腕は鮮やかな緑色の鱗で覆われていた。そしてその先の指先は、鋭い爪が付いており、その形は禍々しいものであった。腕を薙ぎ払ったと思ったら、一瞬でカタはついてしまったのだ。
「うっ・・・な、なんだよぉ」
「ば、化け物・・・」
イベルナに暴行を加えた輩達は、体中に鋭い爪に抉られた傷跡が無数にあり、それは決して浅くなかった。深い爪痕は、彼らを動けなくしたのだ。そして金髪の男は言い放った。
「本当ならもっと時間をかけていたぶってやりたいところだが、お前らが火を点けたことで、ここはそうもたないからね。だから・・・」
男は美しくも冷たい微笑みを浮かべ
「自分達が点けた火で生きながら焼かれるのは、どんな気持ちだろうな。」
「「「「「!!!」」」」」
そのセリフを聞いた途端、この人ではない男が、自分達をわざと息の根を止めずに、この方法を選んだのだとわかった。
「い、いや・・・だ」
「し、死にたく・・・ない・・・」
「お、俺達は・・・雇われた・・・だけだ・・・」
「た、助けてくれ・・ぇええ!」
泣き言をいうも、抉られた傷のせいで、歩くことはままならない。金髪の男は意識は残るようにわざと体にだけ、重傷を負わせていたのだ。そして、それらにはもう目もくれず、金髪の男は、イベルナに向き合い、お姫様抱っこをした。
「ひぃいい!」
だが、イベルナは一瞬とはいえ、目の前で行われた惨たらしい制裁とも言える所業を受け入れられないことと、今しがた男たちによって汚された自分に触れられたくなかったこともあって、助けてくれたことはわかっていたものの、悲鳴をあげずにはいられなかった。
金髪の男は驚いたが、宥めるように優しく言った。
「ごめんね。いきなり現れた男に抱っこされて嫌だよね。だけど、今はここを脱出しないといけないから、少しだけ我慢してね。」
イベルナは言われた意味はわかっていたが、マーサが死んだことも然り陵辱されたことがイベルナの心に大きく傷となっていたことで、イベルナは死にたい気持ちになっていたのだ。
「置いていって!私もう生きてられないの!お願い・・・死なせて・・・」
イベルナは泣きじゃくっていた。金髪の男は、悲しそうな目を向けて、
「うん、辛いよね。でも俺は君を置いていくことはできないよ。死なせたくないんだ。ごめんね。このまま脱出する。」
そうして、その金髪の男は燃える屋敷を後にして、イベルナを連れて脱出した。
あれから、今は人里離れた小さな家にイベルナは住んでいた。あんなことがあったせいで今は人に対して、特に男性には会いたくないであろうとラーファイルは考えたからである。というのも、イベルナは脱出後から、男性を見ただけでパニックを起こすようになっていたのである。
イベルナの様子は以前とはかけ離れたものになっていた。急に泣き喚いたり、静かになってボーっとしたり、そうかと思えば、ただ一点を見つめて涙を流したりと、精神が不安定になっていたのだ。
金髪の男は『ラーファイル』と名乗った。そして自分が『竜の祖』であること。そしてイベルナが自分の番(つがい)であると説明した。イベルナはそんな中ではあったが、確かにラーファイルについては、初めて会った時から、他の人とは違う何かを感じてはいた。それに窮地を救ってくれ、自分に献身的に尽してくれるラーファイルにだけはなんとか受け答えはできるまでになっていたのだ。そしてある時、イベルナはポツリと言った。
「ね、ラーファイル。」
「ん?どうしたの?」
「お願いがあるの。聞いてくれる?」
ラーファイルは驚いた。イベルナがお願いをしてきたことが初めてだったからである。
「あぁ、番の頼みなら何でも。」
「本当ね、嬉しいわ。」
「で、望みは何なの?」
「人を殺して欲しいの。貴方なら、容易いでしょ?」
イベルナは妖艶に微笑んでいた。
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