~エシックスギア~

海音²

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序章 旅立ち……そして入学

3話

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   あれ?ここは······マール村の外れ······?

「グキャァァァァ!!」
「お前ぐらい今の俺でも!!」

   えっ!?  俺は突然聞き覚えのある声に振り向いた。  そこには······俺?
   何故か俺じゃない俺が、ファントムに斬りかかってるのが見えた。この場所······この光景······まさか!?

   俺は、あの時の事を思い出し、これが夢だと気づいた。や······やめろ······!!  これ以上先を見せないでくれ!!

   俺がそう願っても、夢から覚めることは無く、夢の俺は、ファントムの首を斬り落としてた。

「ははっ···調律師にならなくても、言葉も話せない最下級なら俺だって!!」

   違う!  早くその場から離れるんだ!!
   じゃないと······

「こらレイ!!  なんでこんなところにいるの!」

「あっ!  ステラ姉さん見てくれよ!!  俺だって最下級位なら倒せるんだぜ!!」

「全く······って!  レイしゃがんで!」

   夢の俺は、ステラ姉さんに言われるままにしゃがみこんでた。
   頭があった場所に、ステラ姉さんは銃を構え発砲した。
   弾道の先には、首を斬り落としてたはずのファントムが、襲いかかってきてた。  ステラ姉さんの弾丸を受けたファントムは、塵になって崩れ去った。

   そう···最下級でも首を斬り落としただげしゃ倒すことが出来ない。  でもその時の俺は、まだ知らなかった。

「な······なんで?  俺確かに首を斬り落としてたはずなのに···」

「最下級でも調律師じゃないと、倒しきることは出来ないのよ」

「で······でも!  街では調律師以外の人も、戦ってるって!」

「確かに人手が足りない街は調律師以外も戦ってる。  けど!!   あくまで倒すんじゃなくて、その場しのぎって事なの。  だから!  こんな無茶はもうしないで!」

「わかったよ、ステラ姉さん······」

   あの時の俺は、ステラ姉さんの言葉を、素直には聞いてなかった。
   いずれ俺も調律師になるんだから。今から戦っても良いじゃんか。と、むしろ修行としてはもってこいじゃないかと、そんな事すら思ってた。だが、そんな甘い考えも、この後ステラ姉さんの言う通り素直に従ってたらと、後悔と言う荒波に飲み込まれるのだった......

「さてと、それじゃ無事ファントムも倒したし戻ろうか?  レイ」

「わかったよステラ姉さん······アレ?  空が······!?  ステラ姉さんアレ!  空が!!」

「えっ!?  アレは······」

「なんでまた空間の歪みゴーストゲートが出てくるんだよ!  今まで、そんなこと無かっただろ!?」

「アレは、再生空間リボーンゲート。過去にも何度かあったって······でも実物を見たのは、私も初めて······」

   リボーンゲート––本来は、1回ゴーストゲートが現れた討伐すると、何故か暫くは出現しないのだが、過去に討伐した直後、新たにゲートが現れて、進撃して来た事があったみたいだ。
   ただ······いつも通りのファントムなら、そこまで問題になることは、無いだろうが······リボーンゲートから出てくるファントムは、記録によると、何倍も強いファントムが出てくるらしい。
   分かりやすく人類は、そのファントムを上級ファントムと呼ぶ事にしてた。
   そう······このゲートから出てくるファントムは、当時の······いや!!  今の俺が見てきた中でも最凶のファントムだ!
   そして、この後の戦いを俺は知ってる···俺が馬鹿なせいで···

「レイ!  早くマルコ達を呼んできて!!  呼んだらレイは、村のみんなの避難を!」

「わかった!!  すぐ呼んでくるから死ぬなよ!」

   そう言って夢の俺は走って行った···

「ステラ姉さんに手を出すなー!!」

   はっ!  夢の俺がファントムに、斬りかかりに行ってた。ファントムが居た場所の先には、必死に立ち上がろうとしてる傷だらけのステラ姉さんが居た。

「無能ナ雑魚ハ引ッ込ンデロ!!」

   そう言ってファントムは、首を狙った夢の俺の腕を掴み、ステラ姉さんの方に投げ飛ばした。俺は、ステラ姉さんに受け止められる形となりながら、投げ飛ばされ木に直撃した。
   間にステラ姉さんが居たから傷は少なかった。

「ステラ姉さん大丈夫!?  生きてるよな!?」

「勝手に殺さないでよ······それよりなんで戻ってきたのレイ?」

「村の人達を、避難させてたら凄い爆発音が聞こえて、それで心配になって······」

「まったく······あれほど無茶をしないでとレイに言ったのに······ありがとう少し回復できたから、ここに居て」

   満身創痍な姉さんは、そう言ってファントムと対峙する為に、立ち上がり前に出た

「別レノ挨拶ハ済マセタカ小娘ヨ?」

「そんな事······する必要は無いわ!」

 そう言ってステラ姉さんは、銃を構えた銃口に小さな魔法陣が展開された2丁の銃から弾を連発した--冷気を纏った弾、燃える弾、そして他の弾よりも弾速のはやい弾。
 その三種類の弾を、叫びながらランダムに撃ち続けた!!

「うおぉぉぉぉ!!」

「チッ!小賢シイ真似ヲ!」

 ファントムは、ステラ姉さんの弾を避けながら急接近してきた。 そして······グシャ!

「終ワリダ小娘」

「ゴフッ······か···かかった···わね」

   そう言って2丁の銃をファントムに向けたステラ姉さんは、かすれてく声で呟いた。

複属性爆発エレメントバースト

「グッ!グアァァァァ!!」

   ステラ姉さんが放った弾は、大きな渦の中を、爆発させながら進み、目の前のファントムが消し飛ばされていた。

   俺は、大怪我をしてるステラ姉さんに急いで近づいた。 俺が近づいた時には、お腹は溢れ出る血で真っ赤になってた。
   そんな、死にかけのステラ姉さんは、夢の俺を抱きしめてきた。

「よ···よかっ······た···」

「ステラ姉さん!! ごめん······ごめん!! 死なないでくれ!! 1人にしないでくれ!!」

「あん······しんして······また······あえ···る····か······ら·······」

   そう言ってステラ姉さんの手や体から力が抜け、俺の腕に姉さんの重みが伝わってきた。

「えっ! ねえ······さん? ······ステラ姉さん!! 起きてよ!! 置いてかないでくれ······」

   ステラ姉さんの亡骸を抱きしめてながら、夢の俺は泣きながら叫んでた。

「ステラ姉さん!! 姉さん!! ······うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
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