闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

番外編・カザノヴァ被害者友の会ジェノヴァ支部より・11.9

で、夕暮れから夜にかけてのローマ市内に、歩みを進める２頭の馬。

しかし、その馬上の人物も、馬丁らしい人物も、揃って異様な姿なのです。

ええ、お洒落にこだわるイタリア人には到底、思えません。

さながら欧州の都市で厳格なイスラム教徒の女性を見かけたかのごとく、灰色のフード付きマントを羽織ってその顔や姿を隠しているのです。

では、こうする理由は一体全体。

はい、ルイーサちゃん。

（これは未来でなくとも今でもルクレツィアおばさまが進めてる制度ですから即答できます。ローマ市内では指定された時間と場所でなくば売春ができません。そればかりか、罰姦やその周囲などの厳格な地域や、夫婦の暮らしが許された地域以外では、室内を含めてセッソおめこ自体が禁止行為なのです…）

お分かりでしょうか。

そもそも、この時点ですらイタリア教和国国内、基本的にはおめこすること自体がダメらしいのです。

ですが、これ、痴女種の生命維持に必要な精気収集を大きく支障する政策ではあるでしょう。

そこらはどうなっているのでしょうか。

（イタリア教和国になってからの制度改正としては最大級ですからね…罰姦の教えに従えば、おめこ自体が罪深い犯罪行為なのですから、禁止して当然という考えなのですよ、シニョーラ室見…）

（ただし、尼僧はその犯罪行為を一般人に代わって代行することで市民の罪を贖罪する役目とされてますな。これ故に、罰姦の尼僧は時間や場所を問わずにおめこが許される…ある意味では非常な特権階級になってまうんですわな、ルイーサ猊下…）

（さようでございますわ、フラメンシア殿下…いわばマドリードの夜間外出禁止の代わりに、おめこ禁止を言い渡しておるようなもの…）

つまり、おめこすることはもちろん、一般市民への性交の許可や指導の権利を有している特権階級すなわち、罰姦聖母教会の性職者らしいのです。

で、何もイタリア教和国に限った話ではありませんが…およそ痴女皇国がでっち上げた三大なんちゃって宗教たる罰姦聖母教会・東方聖母教会・南洋慈母宗の僧職者は全員、痴女皇国女官の身分も有しています。

と言うか、一種の人工性別である痴女種または類似種の女官もしくは偽女種でなくてはなれませんし、務まりません。

そして痴女皇国の女官であれば、原則として騎士研修…最低でも警務騎士と言われる一種の警察官職務の研修が義務付けられています。

つまり、罰姦聖母教会なら罰姦聖母教会の性職者身分を有しているだけで、自動的に警察官や保安官めいた権力も有することになるのです。

しかし、その罰姦の頂点である二代目教皇カルロス２世であるはずのカルロくんと、彼や他の候補と根比べなる教皇選挙にエントリーしたものの、その選挙に敗れたジョバンニ・メディシスくん。

ジョバンニくんに至ってはイタリア支部の独自騎士団でありイタリア教和国の治安担当兼軍事兵力である、国家騎兵騎士団カラビニエリの名誉憲兵隊長に任じられていますから、元来は権力を行使しまくれる立場のはずです。

しかし、当のジョバンニくんと、そしてカルロくんの２人ですけどね。

ちょっとだけ未来の世界だと、ローマ市中心部にある罰姦領内でのおめこについては、母親たちから思いっ切り制限されておるみたいです。

で、彼らはどうやら帝王学教育めいたことを受けている最中らしく、、おめこ禁止令を言い渡されている件も修行のための措置の一環みたいなのです。

（どうもカルロとジョバンニの影武者を用意することで、罰姦の運営や国政に影響が出ないようにしつつ、二人に女遊びというか嫁探し愛人探しをさせる方針だったようですね、未来の私…）

（むーん、確かにイタリアの男はちょっとほっとくとすぐ遊ぶとか手を抜くの要領をかますことを考えるものでしょうけど、何もさぼらせなくとも…）

（いえいえベラ子おばさま、この子たち、午前中は大学に通わされてますよ…または講師を呼ばれて特別課業を受けさせられてます…）

つまり、昼間は二人ともそれなりにしごかれてるようです。

で、今はまさに夕方から夜。

特異な毛並みの、まさに黄金の馬と白銀の馬、と言ってよいアハルテケという中央アジア産の馬が、二人の愛馬らしいのです。
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その馬の異様な美しさからしますと、乗馬している者や馬丁がいくらフード付きのマントで顔や身体を隠してもバレバレという気がしますけど。

で、なぜか馬丁、その馬の鞍の後ろに乗ってくるのです。

それも、金の馬と銀の馬の馬丁、それぞれが。

そんな行為は許されるもんなのか。

（いえ…馬上のジョバンニが誘ったのですよ…それに、この馬丁たちはただの馬丁じゃないですね…）

（国家憲兵隊の結構えらい人みたいですね、ルイーサちゃん…つまり教皇であるカルロくんと、名誉軍人のジョバンニくんの護衛騎士を兼ねているようです）

（で、護衛騎士たちは罰姦宮殿の中でのジョバンニの変態か・ま・れ・ず・行為を知って咎めに来ただけではなく、時間になったから二人の日課として女を買わせる行為のために連れ出したようです…一応、馬の散歩という名目があるようですけど…）

で、肝心のジョバンニくんとカルロくん、そして馬丁を装った護衛の女騎士二人の心話会話を盗み聞きしますと。

（ふふふふふ、相変わらずジョバンニ様は禁止行為を破ることに余念がないようでいらっしゃいますね…）

（だからこそ懲罰を許可したんじゃないか…それに君も、外套の中ではちんぽびんびんじゃないか…ぼくとカルロの行為を盗み見て興奮してたんだろ？）

な、なんとその護衛騎士。

外套の中はどすけべ水着のようです。

そして、万卒の司教待遇者らしく、ジョバンニくんに指摘された勃起ちんぽを、前に乗っているジョバンニくんのお尻にこすりつけ始めたのですっ。

（ええと、この時代のイタリアの規則ですとこの辺りで性行為は禁止なのではないですか、ルイーサちゃん…）

（ベラ子おばさま…この騎士、黄薔薇騎士団の準団員資格者ですわよ…そして罰姦の司教資格者ですから、一般の教和国民と違ってローマ市内のあらかたでおめこに制限はありません…いえ、治安維持の口実で市民を拘束して強姦することすら…）

（ああ、そうですね…一般市民が禁則を犯せば、まずは強姦するのが刑罰であり取り調べだってことになってますね、教和国国家憲兵…）

なんですかそれ、と言いかけましたが…実はスペイン支部が既にそれなんですよね…いえ、それどころか夜間外出禁止令なるものが出ておる地域では、免除される条件に該当しない人がうろついていようものなら数分で警務騎士に職務質問どころか強姦されてしまうのです…逆に言えば、そういう場所をうろつけるのは女官か偽女種にされた人だけ、とも言えますが…。

（ですから罰姦宮殿の中でか・ま・れ・ず・を始めた不埒な偽女種を取り締まり取り調べる建前で、あの護衛騎士たちはカルロとジョバンニの尻を犯そうとしているのですよ…馬の上での尋問を持ちかけたのはジョバンニですけど、騎士たちは天下の往来で堂々、ああして変態強姦を行える権限を持っているのです…そして逆に、ジョバンニやカルロの本来の地位と権力なら…特に名誉憲兵隊長のジョバンニなら、あの護衛騎士たちの行為が逆に不敬だろうとして、馬上だろうが路上だろうが、堂々と強姦できる権力を行使できると思いますよ…）

（なるほど…つまり、ジョバンニくんは護衛の女騎士の性欲を満たすために敢えて尻を貸してやったと…）

（そればかりではないようでっせベラ子陛下…あの４人とも、これから女や男を買うために然るべき場所へ移動しとるにも関わらず、馬の上でお楽しみですやん…）

それなら馬に二人乗りしての変態行為はもちろん、馬丁役の護衛騎士がジョバンニくんの尻穴を犯しているのも理解はできます。

もっとも、それやってる場所はローマ市内。

それも、夕暮れ時とはいえど人通りも少なくない幹線道路で馬を歩ませながら、その馬上で堂々と偽女種を犯しているのです、この護衛騎士たち。

（ふふふふふ、カルロ…きみには屈辱だろうけど、この変態女たちをあとでこらしめるためにも一つ、お尻を貸してあげるんだよ…）

（おお、ジョバンニ様は話のわかるお方…）

（ふふふ、辛抱たまらずに買春街道へ急ぐ連中にはちょうど良い見せ物というものさ…）

え。

（ほほほほほ、こやつらは全て今から女や男を求めてVia prostituzione…売春街道や、ローマ街道警務本部を目指す者ばかり…まずは警務本部でその日の許可状を貰いませんと、あの辺りをうかつにはうろつけませんからね…）