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アルトのアメリカ大冒険 - Route 69 - 9
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みなさま、秋も深まる中、いかがお過ごしでしょうか。
わたくしことイスパニア第三王女のフラメンシア・ド・ヴァロワ、ただいまは紅葉も見事なアメリカ合州国北部から痴女皇国金田保護領の南部にかけて、北米視察団一行の一員として東に向かっております。
さて、金田中央部にあるウィニペグとかいう町。
嘘つかない族の一派であるという小舟族なる先住民の集落でしたが、近年は砂金目当ての探検隊も入って来ておるそうで、小舟族を保護するためにも小規模ではありますが、聖母教会が開かれております。
でまぁ、ウィニペグから東の町については、今のところ聖母教会を置いている場所、こんな状態だそうです。
(五大湖は描くのが面倒臭いから省略したと…)
(それはいいとして、ラック・オルガってのが例の内緒の場所よね…)
痴女皇国世界・北米大陸五大湖周辺略図
--------------------------------------------------------------
ラック・オルガ▲
マタガミ△
更に東にモントリオール●・ケベック●→→→→→→
オタワ●
●ウィニペグ ↑ 北米統括本部金田保護領
-----------------------------------------------------
ミルウォーキー◯ ↓アメリカ合州国 |トロント●
◯デトロイト|
◯シカゴ |--------
◯クリーブランド
※金田保護領の基幹聖母教会はこの時点ではケベックに所在
--------------------------------------------------------------
で、金田の名物名産となるであろう砂糖楓の木の繁殖状況も調査しながら、森の状態を調べつつも進むわたくしたちですが、ここで視察団に合流した方がいらっしゃいます。
北米大陸開発視察団
-----------------------------------------
じぇに(視察団案内役名目)
べらこ(運転手)
しすか(運転手)
まるは(運転手)←NEW!!
りええ(開発視察担当)
マリア(開発視察補助他)←NEW!!
あると(一応、一行の護衛役)
れんの(ジェニファーの家畜役偽女種)
こはな(ジェニファーの家畜役偽女種)
ゆうま(ジェニファーの家畜役偽女種)
ようこ(偽女種にもなれる可変型痴女種)
てれーず(ルイ16世実子・長女)
ふらめ(イザベル1世実子・公式では3女)
-----------------------------------------
1号車:みにばん号(おっさん自動車)
2号車:売る酢(乱暴ルギーニ・ベラ子私物)
3号車:ヤドカリ号(魔法鏡号の親類)←NEW!!
スケアクロウIT013号機←NEW!!
で、マリアリーゼ陛下とマルハレータ殿下が加わっての視察一行、それなりに人数も増えたということで、スケアクロウという変態輸送機だとムロミ局長に教えて頂きましたが、2枚重ねの翼を1組ずつ胴の左右に生やした大きなひこうき、マリアリーゼ陛下が持ち込まれました。
で、一行の荷物やら何やらを追加で運んで来たこの黒いひこうき。
くるまを乗せて飛ぶことで、行程も短縮できる上に、からくりの目で地面を眺めるだけで生き物のおおよその数までもを計ることができるようです。
「衛星探査で樹木分布はある程度アタリつけてんだけどさ、地表からのデータも欲しいってエマ子が言うんだよな…」
「とりあえず、主要な聖母教会設置集落にスケアクロウを下ろして車で見て回るわけでっか」
「そそ。次は五大湖の上空を飛んでデトロイトに向かうからね」
と、そのひこうきの一番前の左側に座るマルハレータ殿下と、右側で師匠役らしきをなさるマリアリーゼ陛下との会話を拝聴しておるわたくしたち。
つまり、このひこうきが来た理由は、マルハレータ殿下が目下猛特訓中であるという、このひこうきを飛ばす免状取得に向けての練習のためでもあるそうです。
●機長席 副操縦士席
FE席 航法士席
左偵察 右偵察 ←左右の兵装操作員兼務
●まるは マリア
べらこ りええ
しすか じぇに
(他は適当に添乗員席10席に着席)
「しかし、英国は確か切実に木材を欲しておったのでは…この時点での偵察結果ですら、既に木材として利用可能な針葉樹の分布、明らかに金田側に偏っていますね…ただ、金田だけを欲しても、食料生産をアメリカに頼らないとならない可能性もあるのでは…」
「レンポウ・ワールドのカナダデシタラー、食料自給デキる国なんデスケドネー」
「ジェニファーちゃん…ただ、カナダは人口4,000万人未満…アメリカも3億を割ってるけど、国土面積がほぼ同じなのに養う必要がある人口はずっと少ないからね…」
つまり、れんぽう世界の金田いえカナダという国、どうやら国自体があまりに広いので南側の僅かに見える耕作地だけでもフランスやスペインが何個も入る広さであり、自国民を養うどころか売りにすら出せるほどの作物を収穫できるようですね。
今の段階では、テレーズ…というよりはフランス王国にこの金田を任せ、アメリカ合州国や英国への木材輸出で生計を立てさせようという案が有力であると聞いておりますが。
「むつかしいもんがありますわねぇ」
と、悩み悩みしておるテレーズ。
と申しますのも、木こりや百姓のために必要な人を用意するだけでも大変ですので、南米や中米同様に林業魔族・農業魔族の投入が考えられております。
いえ、実際にテレーズのお母様たちが身を隠しておる辺りでは、試験伐採とやらが始まっているのです。
「淫化尼僧尊の満女薄から暗死山脈をぶち抜いてマンコラの側とチンボテ経由で離魔に向かう木材輸送鉄道、敷いちゃったからね…で、余ったロードトレイン…連節トラックは北米に持って来て稼働させるつもりなのよ…」
室見局長によれば、とりあえず尼僧尊川が流れる広大な森と、それに続く北側の森林から切り出した木を南米大陸の東岸と西岸に輸送して、燃える石に変換する工場に送り込むのだそうです。
更には、炭を拵える際に必ず出る不純な気…木炭ガスと申すそうですが、それを燃やして様々な事が出来るのだとも。
そして、同様の設備をデトロイトなる湖岸に建設し、アメリカ合州国の産業拠点とする計画を進めておるとも。
とりあえず、わたくしどもは室見局長とベラ子陛下の指揮の元で、だだっ広い北米大陸の視察を進めておる最中ではありますから、南米同様の光景が見られるまでには今少し、開発が進む必要がある模様。
しかし、この過程で判明したことがあります。
<i903282|38087>
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/329/
まず、北米大陸は広いということです。
https://x.com/725578cc/status/1853814211719373015
そしてもっと重要な点として、将来は独立国として構想されている金田。
アメリカ合州国の北側のこの金田地域に、私たちのみならず英国も…そしてアメリカ合州国もが欲する森林が広がっているのです。
(アメリカにももちろん、森林は存在します。しかし…燃料転換素材や、木材としての利用に適した太い幹が採集可能な針葉樹を主に求めると、どうしても西部のロッキー山脈付近や金田に目が向く樹木分布なのです…)
そう、先ほどもフランシスカ局長や室見局長が言っておられた件ですが、燃える石に変えやすい木々はもちろん、紙を作ったり建物を建てるために使いやすい部類の木、アメリカ北部から金田の地でより多くが採れるのですね。
「南洋行政局管内でも木材輸出に必要な建設工事の準備は始まってまっせ…流刑地大陸に送り込む必要がありますねんけど、こっちは船を必要としますからな…」
マルハレータ殿下いわく、痴女島を含めて南洋行政局の管内には島のほとんどが密林となっているところも多く、太さ長さに強くこだわるのでなければ木材というものの調達には事欠かない場所なのだそうです。
そして、流刑地大陸北部に製鉄所とやらを拓き、鉄を拵えるのが目下進めておる話でもあると。
(大型船、特に貨物船の建造にはやはり必要やろとなりましてな…)
ともかくも、マルハレータ殿下にとってもこの北米で行われている作業、決して他人事ではないようですね。
そんな訳で、デトロイトなる土地の予定地を上空から眺めることとなりました。
と言っても、現地では整地が始まったばかりであり、ここに金田の北からの道が導かれて来ることになるそうです。
「でさ…テレーズちゃん、もしも良かったら、ラック・オルガの辺りにちょっと行ってもいいかな…」
でええええ。
この、マリアリーゼ陛下からのお尋ねごとに嫌そうな顔をする、テレーズ。
ええ、奴の本音は読めました。
こやつ、母親とあまり顔を合わせたくはないのです。
しかも、大規模な木こり仕事を支える林業魔族の使役に必要とは申せど、好色漬けの毎日を送っておるのは間違いないのですから。
色ボケしておる訳ではないのですけど、ちんぽとおめこを毎日使役して、配下の女や偽女種たちにまぐわいざんまいさせておる場所の仕切り役となっておる、アントワネット元・王妃殿下。
私はまぁ、愚母のイザベルがアレですから別に今更っちゅうところですけど、テレーズにしてみれば色々と思うところがあるのも事実でしょう。
そう、テレーズめ、どっちかというと父親寄りの考えだったようなので…。
「まぁまぁ、とりあえず行くだけは行ってみましょうよ。スケアクロウなら遥か上空から眺めるだけということも出来るんですし…」
そう、この黒いひこうき、とんでもない高さに舞い上がれるのですよね…。
そして、そんな高さから地上には簡単に気づかれることなく、下の出来事を余すところなく観察することも、可能。
で、デトロイトの上空をくるくると回っていたスケアクロウ、マルハレータ殿下とマリアリーゼ陛下によって、舳先を北へと向けたようです。
「LNAVはラック・オルガ聖母教会の聖母像ビーコンの座標目指して飛ぶようにしてね。VNAVはFL360っと…」
赤に黄色にと色づく樹々も目立つ金田の森。
そして、私の目を惹いたのは、湖の多さです。
(この湖の多さで、小舟族の主食である魚の漁が成り立つのですよ…それに、場所によっては遡行してくる鮭なども獲れますし…)
(カナダ同様にさ、金田名物スモークサーモンにもできるよな)
で、くだんの鮭とかいう生き物、雄と雌で海からはるばると川を遡っては卵を産む性質があるそうです。
そして、オルガ湖までは遡るか微妙であるとも。
(あ、ちょうど産卵期か…卵を産んだ後の個体、ちょっともらおうか)
え。
(あー、なるほど…鮭って産卵の後でオスもメスも力尽きて死ぬんですよね…)
(そそ、だから、産卵直後の個体に精気を流し込んで一旦活きのいい状態にしてからさ、なんまいだするわけよ…)
つまり、ベラ子陛下とマリアリーゼ陛下によりますと、放っておけば産卵後はその場で死んでしまう鮭を、苦しませずにジョウブツさせて頂くということですね。
(んで、美味しい状態になってもらうということだよ、フラメンシアちゃん…)
ええ、どうも、このスケアクロウの後ろにその…子を残す役目を終えて死にかけた鮭、何匹も回収して積み込まれたようです…手も触れずに、遥か高みからそんなことがおできになるマリアリーゼ陛下はともかく、その鮭とやら、かなり美味な代物のようですね…。
(ふふふふふ、塩引き工程も済ませたよ…つまりは、ラック・オルガやケベック聖母教会へのお土産にしようっていうことさ…)
えええええ。
つまり、それは…テレーズが出来れば避けたがっている、ラック・オルガ教会に立ち寄ることを意味しているのでは…。
--
「まぁまぁ、何ともはやこのような僻地に…」
「しかもこのような立派なものを頂けましては光栄の極み…」
「白ワインが捗りますわね…」
ええ、目の前には、湖の上に、降り立った後、尻を岸辺に乗り上げ後ろを開いて坂道を出しておる、スケアクロウの姿が。
そして、どこからお持ちになったのか、組み立て式の瀟酒な作りのこんろの上で、件の鮭の切り身とやらを焼いては振る舞うマリアリーゼ陛下のお姿が。
「身と皮の境目が美味しいからね…皮も残さずにね…」
ええ、このフラメンシアも、そしてテレーズまでもが、さかなを焼いて振る舞う側になっておるのです。
まずは、ラック・オルガ教会の皆への慰労ということで、酒やら何やらを届けたついでに、くだんの鮭、そして肉や野菜を焼いて皆に振る舞おうということで、教会の修道助祭や修練士など、普段は食堂の台所に立つ者までもが協力して時ならぬ野外の立ち食いの宴を繰り広げておるのです。
「このよめは…あたくしになにをさせるのですか!」
「やかましい!漁師の家の出の娘が魚を扱えねぇわけねぇだろ!ベラ子と一緒に黙って捌いてカットしとけ!」
ええと、アルト閣下、ベラ子陛下と二人して、包丁を奮っておられます。
それも、お二人とも、とんでもない速さで。
見る見るうちに人数分の肉や魚、そして野菜までもが切られて焼きやすい大きさにされ、銀色に鈍く輝く金属の盆に載せられ積まれていくのです。
「ワタと頭と中落ちは捨てんなよ…きりたんぽか、じゃっぱ汁にするための材料だからな…」
なるほど、捨てずに食べる方法があるのですね。
しかし、マリアリーゼ陛下、前から食べさせることに関してはものすごく強いこだわりがあるようにお聞きしておりましたが、本当に料理への執着と知識、すごいものがおありですね…。
「そりゃそうだよ、男衆に食べさすもんがまずかったら、生き甲斐の一つを奪うようなもんじゃないの…」
「でっせ…これはフラメンシア殿下、そちらのお国のパエリアとか参考にして頂ければ…」
ええ、マリアリーゼ陛下と並んで焼き物を担当しているマルハレータ殿下の申される通り、我がイスパニアにも大人数に振る舞う部類の料理、確かにございます。
で…テレーズめ、サボっておるのかと思って、私は奴を密かに探します。
と言っても、持ち場を離れずに意識だけを向けるのです。
(しっ…ちょっとね、親子の大事な話をさせたくてね…)
と、マリアリーゼ陛下にたしなめられた私ですが。
しかし、漏れ伝わる心話で、とんでもない事を聞いてしまったのです、わたくしフラメンシア…。
(まぁ、このまま行けばあなた方4人兄弟姉妹、イスパニアの後見の下で育つか、フランスを離れてわたくしの実家に身を寄せるかになっておったやも知れません…しかし、今は聖母教会のやっかいになっておるのでしょ?であれば、ボルジア猊下の娘御…ルイーサ副教皇は次期教皇となるお子を産むべく、ふさわしき相手を見繕うのに苦慮しておるとも、この僻地にまで聞こえております。テレーズ…あなたとソフィーはまだしも、ジョセフとシャルルがおるではありませぬか…)
わたくしことイスパニア第三王女のフラメンシア・ド・ヴァロワ、ただいまは紅葉も見事なアメリカ合州国北部から痴女皇国金田保護領の南部にかけて、北米視察団一行の一員として東に向かっております。
さて、金田中央部にあるウィニペグとかいう町。
嘘つかない族の一派であるという小舟族なる先住民の集落でしたが、近年は砂金目当ての探検隊も入って来ておるそうで、小舟族を保護するためにも小規模ではありますが、聖母教会が開かれております。
でまぁ、ウィニペグから東の町については、今のところ聖母教会を置いている場所、こんな状態だそうです。
(五大湖は描くのが面倒臭いから省略したと…)
(それはいいとして、ラック・オルガってのが例の内緒の場所よね…)
痴女皇国世界・北米大陸五大湖周辺略図
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ラック・オルガ▲
マタガミ△
更に東にモントリオール●・ケベック●→→→→→→
オタワ●
●ウィニペグ ↑ 北米統括本部金田保護領
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ミルウォーキー◯ ↓アメリカ合州国 |トロント●
◯デトロイト|
◯シカゴ |--------
◯クリーブランド
※金田保護領の基幹聖母教会はこの時点ではケベックに所在
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で、金田の名物名産となるであろう砂糖楓の木の繁殖状況も調査しながら、森の状態を調べつつも進むわたくしたちですが、ここで視察団に合流した方がいらっしゃいます。
北米大陸開発視察団
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じぇに(視察団案内役名目)
べらこ(運転手)
しすか(運転手)
まるは(運転手)←NEW!!
りええ(開発視察担当)
マリア(開発視察補助他)←NEW!!
あると(一応、一行の護衛役)
れんの(ジェニファーの家畜役偽女種)
こはな(ジェニファーの家畜役偽女種)
ゆうま(ジェニファーの家畜役偽女種)
ようこ(偽女種にもなれる可変型痴女種)
てれーず(ルイ16世実子・長女)
ふらめ(イザベル1世実子・公式では3女)
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1号車:みにばん号(おっさん自動車)
2号車:売る酢(乱暴ルギーニ・ベラ子私物)
3号車:ヤドカリ号(魔法鏡号の親類)←NEW!!
スケアクロウIT013号機←NEW!!
で、マリアリーゼ陛下とマルハレータ殿下が加わっての視察一行、それなりに人数も増えたということで、スケアクロウという変態輸送機だとムロミ局長に教えて頂きましたが、2枚重ねの翼を1組ずつ胴の左右に生やした大きなひこうき、マリアリーゼ陛下が持ち込まれました。
で、一行の荷物やら何やらを追加で運んで来たこの黒いひこうき。
くるまを乗せて飛ぶことで、行程も短縮できる上に、からくりの目で地面を眺めるだけで生き物のおおよその数までもを計ることができるようです。
「衛星探査で樹木分布はある程度アタリつけてんだけどさ、地表からのデータも欲しいってエマ子が言うんだよな…」
「とりあえず、主要な聖母教会設置集落にスケアクロウを下ろして車で見て回るわけでっか」
「そそ。次は五大湖の上空を飛んでデトロイトに向かうからね」
と、そのひこうきの一番前の左側に座るマルハレータ殿下と、右側で師匠役らしきをなさるマリアリーゼ陛下との会話を拝聴しておるわたくしたち。
つまり、このひこうきが来た理由は、マルハレータ殿下が目下猛特訓中であるという、このひこうきを飛ばす免状取得に向けての練習のためでもあるそうです。
●機長席 副操縦士席
FE席 航法士席
左偵察 右偵察 ←左右の兵装操作員兼務
●まるは マリア
べらこ りええ
しすか じぇに
(他は適当に添乗員席10席に着席)
「しかし、英国は確か切実に木材を欲しておったのでは…この時点での偵察結果ですら、既に木材として利用可能な針葉樹の分布、明らかに金田側に偏っていますね…ただ、金田だけを欲しても、食料生産をアメリカに頼らないとならない可能性もあるのでは…」
「レンポウ・ワールドのカナダデシタラー、食料自給デキる国なんデスケドネー」
「ジェニファーちゃん…ただ、カナダは人口4,000万人未満…アメリカも3億を割ってるけど、国土面積がほぼ同じなのに養う必要がある人口はずっと少ないからね…」
つまり、れんぽう世界の金田いえカナダという国、どうやら国自体があまりに広いので南側の僅かに見える耕作地だけでもフランスやスペインが何個も入る広さであり、自国民を養うどころか売りにすら出せるほどの作物を収穫できるようですね。
今の段階では、テレーズ…というよりはフランス王国にこの金田を任せ、アメリカ合州国や英国への木材輸出で生計を立てさせようという案が有力であると聞いておりますが。
「むつかしいもんがありますわねぇ」
と、悩み悩みしておるテレーズ。
と申しますのも、木こりや百姓のために必要な人を用意するだけでも大変ですので、南米や中米同様に林業魔族・農業魔族の投入が考えられております。
いえ、実際にテレーズのお母様たちが身を隠しておる辺りでは、試験伐採とやらが始まっているのです。
「淫化尼僧尊の満女薄から暗死山脈をぶち抜いてマンコラの側とチンボテ経由で離魔に向かう木材輸送鉄道、敷いちゃったからね…で、余ったロードトレイン…連節トラックは北米に持って来て稼働させるつもりなのよ…」
室見局長によれば、とりあえず尼僧尊川が流れる広大な森と、それに続く北側の森林から切り出した木を南米大陸の東岸と西岸に輸送して、燃える石に変換する工場に送り込むのだそうです。
更には、炭を拵える際に必ず出る不純な気…木炭ガスと申すそうですが、それを燃やして様々な事が出来るのだとも。
そして、同様の設備をデトロイトなる湖岸に建設し、アメリカ合州国の産業拠点とする計画を進めておるとも。
とりあえず、わたくしどもは室見局長とベラ子陛下の指揮の元で、だだっ広い北米大陸の視察を進めておる最中ではありますから、南米同様の光景が見られるまでには今少し、開発が進む必要がある模様。
しかし、この過程で判明したことがあります。
<i903282|38087>
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/329/
まず、北米大陸は広いということです。
https://x.com/725578cc/status/1853814211719373015
そしてもっと重要な点として、将来は独立国として構想されている金田。
アメリカ合州国の北側のこの金田地域に、私たちのみならず英国も…そしてアメリカ合州国もが欲する森林が広がっているのです。
(アメリカにももちろん、森林は存在します。しかし…燃料転換素材や、木材としての利用に適した太い幹が採集可能な針葉樹を主に求めると、どうしても西部のロッキー山脈付近や金田に目が向く樹木分布なのです…)
そう、先ほどもフランシスカ局長や室見局長が言っておられた件ですが、燃える石に変えやすい木々はもちろん、紙を作ったり建物を建てるために使いやすい部類の木、アメリカ北部から金田の地でより多くが採れるのですね。
「南洋行政局管内でも木材輸出に必要な建設工事の準備は始まってまっせ…流刑地大陸に送り込む必要がありますねんけど、こっちは船を必要としますからな…」
マルハレータ殿下いわく、痴女島を含めて南洋行政局の管内には島のほとんどが密林となっているところも多く、太さ長さに強くこだわるのでなければ木材というものの調達には事欠かない場所なのだそうです。
そして、流刑地大陸北部に製鉄所とやらを拓き、鉄を拵えるのが目下進めておる話でもあると。
(大型船、特に貨物船の建造にはやはり必要やろとなりましてな…)
ともかくも、マルハレータ殿下にとってもこの北米で行われている作業、決して他人事ではないようですね。
そんな訳で、デトロイトなる土地の予定地を上空から眺めることとなりました。
と言っても、現地では整地が始まったばかりであり、ここに金田の北からの道が導かれて来ることになるそうです。
「でさ…テレーズちゃん、もしも良かったら、ラック・オルガの辺りにちょっと行ってもいいかな…」
でええええ。
この、マリアリーゼ陛下からのお尋ねごとに嫌そうな顔をする、テレーズ。
ええ、奴の本音は読めました。
こやつ、母親とあまり顔を合わせたくはないのです。
しかも、大規模な木こり仕事を支える林業魔族の使役に必要とは申せど、好色漬けの毎日を送っておるのは間違いないのですから。
色ボケしておる訳ではないのですけど、ちんぽとおめこを毎日使役して、配下の女や偽女種たちにまぐわいざんまいさせておる場所の仕切り役となっておる、アントワネット元・王妃殿下。
私はまぁ、愚母のイザベルがアレですから別に今更っちゅうところですけど、テレーズにしてみれば色々と思うところがあるのも事実でしょう。
そう、テレーズめ、どっちかというと父親寄りの考えだったようなので…。
「まぁまぁ、とりあえず行くだけは行ってみましょうよ。スケアクロウなら遥か上空から眺めるだけということも出来るんですし…」
そう、この黒いひこうき、とんでもない高さに舞い上がれるのですよね…。
そして、そんな高さから地上には簡単に気づかれることなく、下の出来事を余すところなく観察することも、可能。
で、デトロイトの上空をくるくると回っていたスケアクロウ、マルハレータ殿下とマリアリーゼ陛下によって、舳先を北へと向けたようです。
「LNAVはラック・オルガ聖母教会の聖母像ビーコンの座標目指して飛ぶようにしてね。VNAVはFL360っと…」
赤に黄色にと色づく樹々も目立つ金田の森。
そして、私の目を惹いたのは、湖の多さです。
(この湖の多さで、小舟族の主食である魚の漁が成り立つのですよ…それに、場所によっては遡行してくる鮭なども獲れますし…)
(カナダ同様にさ、金田名物スモークサーモンにもできるよな)
で、くだんの鮭とかいう生き物、雄と雌で海からはるばると川を遡っては卵を産む性質があるそうです。
そして、オルガ湖までは遡るか微妙であるとも。
(あ、ちょうど産卵期か…卵を産んだ後の個体、ちょっともらおうか)
え。
(あー、なるほど…鮭って産卵の後でオスもメスも力尽きて死ぬんですよね…)
(そそ、だから、産卵直後の個体に精気を流し込んで一旦活きのいい状態にしてからさ、なんまいだするわけよ…)
つまり、ベラ子陛下とマリアリーゼ陛下によりますと、放っておけば産卵後はその場で死んでしまう鮭を、苦しませずにジョウブツさせて頂くということですね。
(んで、美味しい状態になってもらうということだよ、フラメンシアちゃん…)
ええ、どうも、このスケアクロウの後ろにその…子を残す役目を終えて死にかけた鮭、何匹も回収して積み込まれたようです…手も触れずに、遥か高みからそんなことがおできになるマリアリーゼ陛下はともかく、その鮭とやら、かなり美味な代物のようですね…。
(ふふふふふ、塩引き工程も済ませたよ…つまりは、ラック・オルガやケベック聖母教会へのお土産にしようっていうことさ…)
えええええ。
つまり、それは…テレーズが出来れば避けたがっている、ラック・オルガ教会に立ち寄ることを意味しているのでは…。
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「まぁまぁ、何ともはやこのような僻地に…」
「しかもこのような立派なものを頂けましては光栄の極み…」
「白ワインが捗りますわね…」
ええ、目の前には、湖の上に、降り立った後、尻を岸辺に乗り上げ後ろを開いて坂道を出しておる、スケアクロウの姿が。
そして、どこからお持ちになったのか、組み立て式の瀟酒な作りのこんろの上で、件の鮭の切り身とやらを焼いては振る舞うマリアリーゼ陛下のお姿が。
「身と皮の境目が美味しいからね…皮も残さずにね…」
ええ、このフラメンシアも、そしてテレーズまでもが、さかなを焼いて振る舞う側になっておるのです。
まずは、ラック・オルガ教会の皆への慰労ということで、酒やら何やらを届けたついでに、くだんの鮭、そして肉や野菜を焼いて皆に振る舞おうということで、教会の修道助祭や修練士など、普段は食堂の台所に立つ者までもが協力して時ならぬ野外の立ち食いの宴を繰り広げておるのです。
「このよめは…あたくしになにをさせるのですか!」
「やかましい!漁師の家の出の娘が魚を扱えねぇわけねぇだろ!ベラ子と一緒に黙って捌いてカットしとけ!」
ええと、アルト閣下、ベラ子陛下と二人して、包丁を奮っておられます。
それも、お二人とも、とんでもない速さで。
見る見るうちに人数分の肉や魚、そして野菜までもが切られて焼きやすい大きさにされ、銀色に鈍く輝く金属の盆に載せられ積まれていくのです。
「ワタと頭と中落ちは捨てんなよ…きりたんぽか、じゃっぱ汁にするための材料だからな…」
なるほど、捨てずに食べる方法があるのですね。
しかし、マリアリーゼ陛下、前から食べさせることに関してはものすごく強いこだわりがあるようにお聞きしておりましたが、本当に料理への執着と知識、すごいものがおありですね…。
「そりゃそうだよ、男衆に食べさすもんがまずかったら、生き甲斐の一つを奪うようなもんじゃないの…」
「でっせ…これはフラメンシア殿下、そちらのお国のパエリアとか参考にして頂ければ…」
ええ、マリアリーゼ陛下と並んで焼き物を担当しているマルハレータ殿下の申される通り、我がイスパニアにも大人数に振る舞う部類の料理、確かにございます。
で…テレーズめ、サボっておるのかと思って、私は奴を密かに探します。
と言っても、持ち場を離れずに意識だけを向けるのです。
(しっ…ちょっとね、親子の大事な話をさせたくてね…)
と、マリアリーゼ陛下にたしなめられた私ですが。
しかし、漏れ伝わる心話で、とんでもない事を聞いてしまったのです、わたくしフラメンシア…。
(まぁ、このまま行けばあなた方4人兄弟姉妹、イスパニアの後見の下で育つか、フランスを離れてわたくしの実家に身を寄せるかになっておったやも知れません…しかし、今は聖母教会のやっかいになっておるのでしょ?であれば、ボルジア猊下の娘御…ルイーサ副教皇は次期教皇となるお子を産むべく、ふさわしき相手を見繕うのに苦慮しておるとも、この僻地にまで聞こえております。テレーズ…あなたとソフィーはまだしも、ジョセフとシャルルがおるではありませぬか…)
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