ユガミニティ

munu

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002 押せ

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「おい、何故だ」

もう一人の俺が、責めるようにこちらを見ている。

「今、お前はその漫画を面白いと思ったはずだ。違うか」

違わない。確かにこの漫画は面白い。展開と画力とキャラ、何をとってもパーフェクトだ。強いていうことすらない。

「じゃあ、何故イイネを押さなかったんだ?」

イイネボタン。このイイネボタンを押すと、この作品のイイネカウンターが1増える。イイネカウンターが週間一位の新人だけが、来週も作品を掲載できる。それが、この漫画サイトだった。

そして俺はそれを押さなかった。何故か。

俺はこの評価を強いるタイプを最も嫌うからだ。多数決が世界を制しているかのようなスタンス。何がイイネボタンだ、糞食らえ。

「でもよ、じゃあお前が望む評価システムなんてのは存在するのかよ。対案のない批判は無意味だぜ?」

対案ならある。というか、言いたいだけかもしれないが。

この作者はクソみたいなシステムを搭載している漫画サイトに頼っている時点でメジャーデビューすべきではない。つまりは自分で会社を作ってそこで自分の漫画を描きたいだけ描けばいい。それだけのことだ。

既存の会社のルールに則って、というか自分で立ち上げる勇気も資金もなくただおんぶに抱っこでぶら下がっている無能。それがのさばりすぎなんだ。

「孤高だな。傲慢と呼んでもいい」

もう一人の俺はゆっくりと俺の頭に手をかざした。
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