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終焉の始まり
私の過去
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胸の痛みを抱えいても、メイドの仕事をおろそかにするつもりは微塵もない。それはそれ、これはこれ。本音は黙々と掃除をしていれば、何も考えなくて良いという現実逃避だけれど。
ただこの気持ちを抱えたまま、ケイノフとダーナに顔を合わせるのは、ちょっと厳しい。ダーナから再び、どストレートの質問を受けた日には、打ち返すどころかデッドボールになること間違いない。
ということで、私は掃除や片付けをしつつ、ケイノフとダーナとかくれんぼや鬼ごっこをするハメになってしまったのだ。
唯一の救いは彼らが屋敷では表向きの人間だったということ。連日の掃除のおかげで、裏口や続き間から逃げるルートを隅々まで把握している私は、彼らに見つかることなく無事(?)一日の仕事を終えたのであった。
「………………疲れた」
一日中掃除に洗濯、そして片付けと目まぐるしく動いた挙句、無駄な追いかけっこまで追加されてしまった私は、へとへとだった。足を引きずるように自室に戻り、ぼそりと呟いた。
ただ私の目の前にある夕飯は、お皿の上に小さなパンが2つだけ。そしてティーポットには慌てて淹れた紅茶。多分、茶葉もお湯の分量も適当なのであんまり美味しくないだろう。
この屋敷に来て、ダントツの侘しい夕食だ。もちろんこれは自分が望んだことなんだけれど。
ケイノフとダーナと顔を合わせずらい私は、体調不良を理由に夕食を辞退してしまったのだ。ちなみに今日の夕食はダーナのお手製チキンの香草焼き。キッチンから漂って来た香りは、じゅるりと涎が溢れてくるほど美味しそうだった。
ごちそうを目の前にして、撤退を余儀なくされた私は、自分で言うのもなんだけど、恐ろしいほど大バカ者だ。
そんな自分に呆れつつ、一口パンをかじってすぐにお皿に戻す。まるで砂を噛んでいるようだ。恐ろしく美味しくない。口の中がもそもそして、お茶で流し込んだら、お茶まで無味無臭の液体だった。味覚までおかしくなってしまったのだろうか。
いや、そうじゃない。ただ単に、一人で食べているからだ。
アスラリア国でメイドをしていたときは、食堂があって入れ替わり立ち替わり誰かが居た。そしてこのお屋敷に来てもユズリかリオンがいつも一緒にご飯を食べてくれていた。
思い返せば、たった一人でご飯を食べるなんて今までなかったような気がする。……いや、あった。ほんのひと時だけれど。その時食べたご飯があまりに不味かったので、私は独りでご飯を食べるのが大嫌いになってしまったのだ。
それは今から遡ること8年前。私がアスラリアの王城に来てすぐのこと。子供に与えるには豪華過ぎる広い部屋で、たった一人冷めた食事を食べていた。私がティリア王女の身代わりとして、教育が始まるまでの間、ほんの少しのだけ。
───一つの記憶が蘇るとずるずると連鎖的に思い出してしまう。良い思い出も悪い思い出も。
私には母と弟がいた。ただ、私の生まれた家には物心ついた時から父親はいなかった。
父親が他の女性と駆け落ちしたとか、母親が不義の子供を孕んでしまったとかそういうことではない。ただ単に父親は体が弱く、長く生きられる体ではなかったというだけのこと。
でも私と弟は望まれてきた子供だけあって、貧しくても暖かい家庭で育てられた。人の温もりと愛された経験があるから、私は今、こうして笑ったり怒ったり泣いたりできる。
けれど8歳になったばかりのある日、粗末な家に似合わない盛装をした騎士と官職が訪ねてきた。そしてこう言ったのだ。
『お迎えに上がりました』
幼い私は、この人達は訪ねる家を間違えてしまったのだと思った。首を傾げる私に、名も知らぬ騎士が私の肩を抱いた。
『さあ、行きましょう』
決して乱暴な言葉使いではなかったけれど、その言葉は小さくてささやかな生活を壊すのに十分なものだった。
言葉の意味を理解した瞬間、私は嫌だと手足をバタつかせ、縋るように母に手を伸ばした。けれど、返ってきたのはいつもそこにあった暖かく柔らかな掌ではなく、私を跳ねのける冷たい言葉だった。
『さよならスラリス。精一杯お仕えするのよ』
その言葉で全てを理解した。この騎士と官職を呼んだのは母だったのだ。私を売る為に。
その証拠に母は官職が差し出した小さな包みを両手で受け取り、頭を下げていた。そう何度も、何度も。
でも私は大切な家族と離れたくはなかった。ずっと一緒に居たかった。
けれど、母は泣いていた。私に向かって小さく【すまないね】と呟いた。そしてその横で今にも倒れそうな程に怯える弟を見て、もう一緒に居られないことを悟った。
弟は父親譲りの病弱な体だった。貧しい家庭では、満足な治療などできるわけもなく、ただ弟が死に向かうのをじっと待つしかなかった。そして母は強かったけれど、家族の死を2回も受け止められる程強くはなかった。
この騎士と官職に連れていかれる先はわからない。けれど、私が彼らと共に行けば、弟は生きられる。そして、生きていれば再び会うことができる。生きてさえいれば……そう思った瞬間、口を開いていた。
『おかあさん、行ってくるね』
そう言って手を振って私は自分の足で家を出ていったのだ。
────結局、その後母も弟もあっけなく流行り病で命を落としてしまった。本当にあっけなく。
そして王城で年月を重ねた私といえば、これまたあっけなく王女の身代わりとしての価値がないと判断されメイドになった。
幼い頃、多少顔つきが似ていても、成人になるにしたがい別人になるのは当然の事。誰にも止めることはできなかった。
多少のことなら誤魔化せるのではと頑張ってくれていた官職もいたけれど、ティリア王女が艶やかな漆黒の髪色で、私が銀の混ざった橡色の髪に変ったのが決定打だった。
ということで、今では私とティリア王女は髪の色すら似ていない、まったくの別人になってしまった。
でも、あのまま身代わりとして息の詰まる生活を強いられるより、メイドとして裏方で働くほうがよっぽど幸せだったので、雨降って地固まる?怪我の功名?まぁ、何でもいいけど結果オーライだ。
それに裏方の雑用専門メイド達は、私と似たり寄ったりの境遇の持ち主ばかりだった。だから自分の人生を嘆くこともなく、楽しくて忙しくて充実した毎日を過ごすことができた。
そう、私はアスラリアの王城で過去を振り返らずに、前だけを向いて生きていく事を覚えたのだ。
だから私は過去を振り返らないために、記憶に蓋をしてしまったのだ。二度と戻らない大切な思い出を無くさないように。
ただこの気持ちを抱えたまま、ケイノフとダーナに顔を合わせるのは、ちょっと厳しい。ダーナから再び、どストレートの質問を受けた日には、打ち返すどころかデッドボールになること間違いない。
ということで、私は掃除や片付けをしつつ、ケイノフとダーナとかくれんぼや鬼ごっこをするハメになってしまったのだ。
唯一の救いは彼らが屋敷では表向きの人間だったということ。連日の掃除のおかげで、裏口や続き間から逃げるルートを隅々まで把握している私は、彼らに見つかることなく無事(?)一日の仕事を終えたのであった。
「………………疲れた」
一日中掃除に洗濯、そして片付けと目まぐるしく動いた挙句、無駄な追いかけっこまで追加されてしまった私は、へとへとだった。足を引きずるように自室に戻り、ぼそりと呟いた。
ただ私の目の前にある夕飯は、お皿の上に小さなパンが2つだけ。そしてティーポットには慌てて淹れた紅茶。多分、茶葉もお湯の分量も適当なのであんまり美味しくないだろう。
この屋敷に来て、ダントツの侘しい夕食だ。もちろんこれは自分が望んだことなんだけれど。
ケイノフとダーナと顔を合わせずらい私は、体調不良を理由に夕食を辞退してしまったのだ。ちなみに今日の夕食はダーナのお手製チキンの香草焼き。キッチンから漂って来た香りは、じゅるりと涎が溢れてくるほど美味しそうだった。
ごちそうを目の前にして、撤退を余儀なくされた私は、自分で言うのもなんだけど、恐ろしいほど大バカ者だ。
そんな自分に呆れつつ、一口パンをかじってすぐにお皿に戻す。まるで砂を噛んでいるようだ。恐ろしく美味しくない。口の中がもそもそして、お茶で流し込んだら、お茶まで無味無臭の液体だった。味覚までおかしくなってしまったのだろうか。
いや、そうじゃない。ただ単に、一人で食べているからだ。
アスラリア国でメイドをしていたときは、食堂があって入れ替わり立ち替わり誰かが居た。そしてこのお屋敷に来てもユズリかリオンがいつも一緒にご飯を食べてくれていた。
思い返せば、たった一人でご飯を食べるなんて今までなかったような気がする。……いや、あった。ほんのひと時だけれど。その時食べたご飯があまりに不味かったので、私は独りでご飯を食べるのが大嫌いになってしまったのだ。
それは今から遡ること8年前。私がアスラリアの王城に来てすぐのこと。子供に与えるには豪華過ぎる広い部屋で、たった一人冷めた食事を食べていた。私がティリア王女の身代わりとして、教育が始まるまでの間、ほんの少しのだけ。
───一つの記憶が蘇るとずるずると連鎖的に思い出してしまう。良い思い出も悪い思い出も。
私には母と弟がいた。ただ、私の生まれた家には物心ついた時から父親はいなかった。
父親が他の女性と駆け落ちしたとか、母親が不義の子供を孕んでしまったとかそういうことではない。ただ単に父親は体が弱く、長く生きられる体ではなかったというだけのこと。
でも私と弟は望まれてきた子供だけあって、貧しくても暖かい家庭で育てられた。人の温もりと愛された経験があるから、私は今、こうして笑ったり怒ったり泣いたりできる。
けれど8歳になったばかりのある日、粗末な家に似合わない盛装をした騎士と官職が訪ねてきた。そしてこう言ったのだ。
『お迎えに上がりました』
幼い私は、この人達は訪ねる家を間違えてしまったのだと思った。首を傾げる私に、名も知らぬ騎士が私の肩を抱いた。
『さあ、行きましょう』
決して乱暴な言葉使いではなかったけれど、その言葉は小さくてささやかな生活を壊すのに十分なものだった。
言葉の意味を理解した瞬間、私は嫌だと手足をバタつかせ、縋るように母に手を伸ばした。けれど、返ってきたのはいつもそこにあった暖かく柔らかな掌ではなく、私を跳ねのける冷たい言葉だった。
『さよならスラリス。精一杯お仕えするのよ』
その言葉で全てを理解した。この騎士と官職を呼んだのは母だったのだ。私を売る為に。
その証拠に母は官職が差し出した小さな包みを両手で受け取り、頭を下げていた。そう何度も、何度も。
でも私は大切な家族と離れたくはなかった。ずっと一緒に居たかった。
けれど、母は泣いていた。私に向かって小さく【すまないね】と呟いた。そしてその横で今にも倒れそうな程に怯える弟を見て、もう一緒に居られないことを悟った。
弟は父親譲りの病弱な体だった。貧しい家庭では、満足な治療などできるわけもなく、ただ弟が死に向かうのをじっと待つしかなかった。そして母は強かったけれど、家族の死を2回も受け止められる程強くはなかった。
この騎士と官職に連れていかれる先はわからない。けれど、私が彼らと共に行けば、弟は生きられる。そして、生きていれば再び会うことができる。生きてさえいれば……そう思った瞬間、口を開いていた。
『おかあさん、行ってくるね』
そう言って手を振って私は自分の足で家を出ていったのだ。
────結局、その後母も弟もあっけなく流行り病で命を落としてしまった。本当にあっけなく。
そして王城で年月を重ねた私といえば、これまたあっけなく王女の身代わりとしての価値がないと判断されメイドになった。
幼い頃、多少顔つきが似ていても、成人になるにしたがい別人になるのは当然の事。誰にも止めることはできなかった。
多少のことなら誤魔化せるのではと頑張ってくれていた官職もいたけれど、ティリア王女が艶やかな漆黒の髪色で、私が銀の混ざった橡色の髪に変ったのが決定打だった。
ということで、今では私とティリア王女は髪の色すら似ていない、まったくの別人になってしまった。
でも、あのまま身代わりとして息の詰まる生活を強いられるより、メイドとして裏方で働くほうがよっぽど幸せだったので、雨降って地固まる?怪我の功名?まぁ、何でもいいけど結果オーライだ。
それに裏方の雑用専門メイド達は、私と似たり寄ったりの境遇の持ち主ばかりだった。だから自分の人生を嘆くこともなく、楽しくて忙しくて充実した毎日を過ごすことができた。
そう、私はアスラリアの王城で過去を振り返らずに、前だけを向いて生きていく事を覚えたのだ。
だから私は過去を振り返らないために、記憶に蓋をしてしまったのだ。二度と戻らない大切な思い出を無くさないように。
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