司令官さま、絶賛失恋中の私を口説くのはやめてください!

茂栖 もす

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私と司令官様の日常

そして始まる秘書としての日々

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 と、いうわけで、超が付くほど強引な流れて、私はイケメン面接官さまの秘書として働く日々が始まってしまった。

 一応、私、この街限定という前置きが付くが、この歳で働けるありとあらゆる仕事をしてきたけれど、秘書なんていうオシャンティーな業務は初めて。

 一体何をすれば良いの!?とオロオロしてしまう。

 いや………ぶっちゃけ、秘書と言いながらも、本当は新薬の人体実験に使われるんじゃないかとか、不死身の兵士に改造されるんじゃないかとか、そこまでいかなくても血を抜かれたり施設内に生き埋めにされるんじゃないかと戦々恐々としていた。

 でも、そっちの方面は単なる都市伝説だったことが早々に判明して一安心。

 ちなみに砦を改築して巨大化したのは、単に老朽化が進んでいたので、補修工事の延長で宿舎とか厨房の設備を整えたらしい。

 っていうか、他の砦もこれくらいの規模なので、今までの環境が酷すぎたというのが正解。

 ということで、怪しげなことは何一つしていないということ。

 軍人の皆さんは今日も元気に国境警備にあたっています。

 あと、ミミの飼い主のおじさん(ロイ歩兵中尉)とペスの飼い主のおじさん(タナトフ技術部少尉)も、とても良い人だった。だって飴くれたし。

 でも、私はお礼を伝えることはしたけれど、二人のペットが現存しているのかの有無は確認できなかった。

 ああ、あと最後に、あのイケメン面接官さまは、ここの責任者であり、司令官さまと呼ばれる人。その名もアレックス・ヴィリオさま。そして24歳、独身。

 って、今、さらっと説明したけれど、ご存知ですか?司令官って、【軍】以上のある程度の大きな規模を有する単位の部隊を指揮する指揮官に充てられる役職よ?

 ん?なんでそんなに詳しいかって?それは弟のジェイクが目指していた役職だから、覚えてしまったわけなのさ。

 ただ、その若さで司令官ってヤバくね?何食べたらそんな高位の役職に就けるのだろう。

 我が家の食生活なら、来世でも無理だ。

 それにしてもイケメンで高位の役職。なのに未だに独身………胡散臭いこと、ありゃしない。

 そして、私はそんな胡散臭いと書いて、司令官さまと呼ぶお方の秘書ときたもんだ。大変、責任重大だ。

 ちょっとでも何かやらかしたら、間違いなく首を、ちょんぱされてしまうだろう。
 
 ただ幸いなことに、私には前任者がいて、その人から直接引継ぎをしてもらうことができたのだ。

 その名はウィルさん。18歳の士官学校を卒業したてほやほやの軍人さん。

 ミシンガという王都とこの街の中間に位置する村の出身で、素朴な顔立ちに都会の匂いは皆無の大変好青年。  

 ただいかにもというマッチョで、秘書とは程遠い位置にいる体つき。本当にこの人が前任者?と疑問が浮かぶ。

 そして、案の定…………引継ぎ内容はコレだった。

『ああ、簡単簡単。書類回収して配るだけ。あとは適当に時間潰せば良いから』

 以上。引継ぎ時間は5秒で済んだ。

 前任者が、あまり仕事熱心な人ではないということだけはわかった。あと、少々のやらかしでは、首をちょんぱされないこともわかった。

 けれど、詳しい業務の内容は全然、理解できなかった。

 やりたくもない仕事だけれど、根が真面目な自分は、もう少し詳しい説明を求めたけれど、次に返ってきた言葉はコレだった。

『シンシアさんは、とにかくこの部屋で、司令官殿の言うことを大人しく聞いておけば良いんです』

 …………なんか取りようによっては、問題発言なような気がするけれど。

 とはいえ、始まってしまったものは仕方がない。

 自主退職が叶わないならば、隙あらば部署移動を狙って日々業務に励むとしよう。
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