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寄り道の章
イケメンに殺されそうです
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やらかしてしまってからも、ナギは態度を変えることはなかった。
ご飯も美味しいし、本だって貸し出してくれる。
でも、明らかに私の行動を監視している。多分、私が逃亡すると思っているのだろう。庭に出ても縁側にいても、常にナギの視線を感じてしまう。
当の本人であるシュウトは、このことには気付いていないのかもしれない。私とは相変わらず、一定の距離を保っているし、顔を合わせている時でも、よそよそしさは感じられない。
───よそよそしいのは……私だけである。
ただもし仮に二人とも私を疑っていて、今は様子見の段階なら、私が無害な人間ってすぐにわかってもらえるはずだ。だって私は、この屋敷で食べて寝て、起きている時間のほとんどを読書に費やしている。
だから嫌疑がはれるのは時間の問題………なんて思っていたけど───それは、私の甘い考えであった。
「瑠璃殿、遠乗りにでも行きませんか?」
いつものように縁側で、読書にいそしんでいると、背後からナギに声をかけられた。驚いて息を呑む私に、ナギはこう言葉を続けた。
「怪我の経過も良好ですし、屋敷から離れて外の風にあたりませんか?」
優しい口調だが、ナギの眼は笑っていない。有無を言わせないぞと語っている。あぁ、やっぱり、ナギはまだ私を疑っていたのだ。
もういっそ今ここで、宇宙と交信してるふりして『神のお告げキター』なんてことを口にすれば、この人、ちょっと残念な子なのかなぁと思ってもらえる……だろうか。
でもって、先日のやらかしも、ちょっと残念な子の戯言だと思ってもらえるならなら、ありがたい。
───私の何か大事なものは失いそうだけど、命を失う位ならまだマシだ。
ちらりとナギを盗み見る、がすぐに目を逸らした。
シュウトが獣なら、ナギは鷹だ。鋭い牙と爪を持ち、折り重なるように生えた羽からは絶対に逃げ切れるわけがない。
駄目だ、ここは大人しくナギについていくのが妥当だ。
「わかりました」
私は、ナギと眼を合わせず、頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「それでは瑠璃殿、参りましょうか」
ナギはそう言って、自分の衣を被衣代わりに被せてくれると、私の手を引き馬小屋まで移動する。
私の手を取るナギは壊れ物を扱うように優しい。けれど、私の肩を掴む指先は、食い込んでいる。とてもちぐはぐだけれど、これが今のナギの心情なのだろう。
ただ気持ちは充分に伝わったから、もう少し力を緩めていただけるとありがたい。食い込み過ぎて少々痛かったりもする。
そんなこんなで、ほとんど拉致という形で馬小屋までたどり着くと、シュウトは外出したのか、カザハの姿はなかった。朝は見かけたので、少し前に外出したことになる。きっと、ナギはこの時を待っていたのだろう。
馬小屋はそれほど広くはないが、もう一頭飼われている。カザハより、やや小ぶりの、毛並みの美しい馬が繋がれていた。これはナギの愛馬なのだろうか、眼がくりくりでとても可愛らしい。
「乗馬の経験はありますか?」
鞍を取り付けながら問うてきたナギに素直に首を横に振る。ナギは別段、驚く風でもなく頷いただけだった。
それから体を持ち上げられ、ナギに抱きかかえられるように馬に乗る。一気に視界が高くなり、思わず身をすくませてしまう。
何とか悲鳴は堪えることはできたが、ナギにはバレバレだったようで……。
「……あの、瑠璃殿、この馬は気性の優しい馬ですので安心してください。できればもう少し、腕を緩めていただけると助かります」
「!?」
ひどく言いにくそうな口調のナギの言葉でハッと我に返る。どうやら、予想以上の高さにビビり、気付かないうちにナギの腕をしっかりと掴んでしまっていた。
慌てて手を離した私に、ナギは苦笑を浮かべながら片手を私の肩に置いた。
「大丈夫、怖くありません。力を抜いて重心を少し後ろに。怖いなら私にもたれていただいても、かまいません。なるべく、下を向かずに前方を向いてくださいね」
それが出発の合図となり、馬はゆっくりと歩き出した。
ナギの愛馬は、ゆっくりと田んぼの畦道を歩いている。田植えの季節にはまだ早いが、田んぼには水が張り、キラキラと太陽を反射して眩しいくらいだった。
ナギのアドバイス通りにすると、乗馬はとても気持ち良いものだだった。
あっという間に、気持ちに余裕が生まれ被衣を持ち上げ辺りを見回す。
車も、ビルも、信号も…どんなに道を進んでも、当たり前に目にしていたのは何も無かった。
しみじみとここが異世界だということを実感して、胸がチクリと痛んだ。
日本に戻りたいわけではない。ただ、今の私は、どちらの世界でも宙ぶらりんな存在であることが寂しかった。
【お遣いを引き受けてくれたら、君はもう自由だよ】
風神さんはそう言っていた。じゃあ、お遣いが終わったら、私はどうなるのだろう。
間違いなく日本に戻る。絢桜爛花はこの世界に置いて帰る。いや、心配だから地深く埋めておこう。
日本に戻ってからは学校に通う。あ、出席日数足りるだろうか。留年は免れたい。夏までに戻って、夏休み全てを補修に捧げれば何とか進級できるはず。
それから、部活にも入ってみたい。あとは、友達かぁ───いきなりはハードルが高いから、卒業までには作れたらいいなぁ。
いや、まず最初に、あの社を取り壊そう。
そこまで考えて現実に戻った。その前に私、この状況でお遣いの続きができるのかな、と。
馬のカッポカッポという蹄の音以外、何も聞こえない。無言のまま私を抱えているナギが、何を思っているのかわからない。そしてこの先どうなるのかも、わからない。
一見、馬に乗って、のんびりお散歩しているこの光景、実は火曜日のサスペンス的な要素が含まれているなんて誰が想像できるであろうか。
そしてお約束通りの展開で、その後、敏腕刑事か名探偵っぽい人が事件を解決してくれてももう遅い。だってそれ、私が死ぬ前提だから。
そんな私は、沈黙に耐え切れず世間話の範疇で、ナギに問いかけてみる。
「ナギさん、この馬さんのお名前は?」
「ツユキですよ」
無視されると思ったら、ナギは律儀に答えてくれた。調子に乗った私は、質問を重ねてしまった。
「ところで、ここはどこですか?」
私にとっては何気ない質問だが、ナギにとっては、余計に怪しいと思わせる質問だったようだ。どうも私とナギは噛み合いあわないらしい。
「それを聞いてどうするのですか?」
「……別に、どうってことはないです……」
沈黙は金、という諺がある。今は、沈黙は命。そういうことで、私はその後、沈黙を守り続けた。
「到着しましたよ」
ナギが遠乗りに選んだのは、シュウトの屋敷からさほど離れていない見晴らしの良い丘だった。
あたり一面に桃の花が咲き誇り、辺りを淡い紅色に染めている。それは、今しか見ることのできない幻想的な空間だった。
「すごーぉい……」
圧巻され間抜けな一言しか呟くことができない。次いで歩きながら被衣を脱ぐと一気に視界が広がり、眩しさに目を細める。
桜は嫌いだけど、桃の花は香りも実も大好きだ。被衣を肩にかけ桃の木を縫うように歩いていたけど、ぴたっと足を止めた。───桃の木で見えなかったけど、すぐそこは崖だった。
ひぇっと息をのんだ私に、絶妙のタイミングで背後から声が聞こえた。もちろん、声の主はナギだった。
「ええ。ここは指折りの桃の名所です。……そして、ここは古い合戦の跡地でもあり、数多くの武士の霊が眠る地でもあります」
最後の言葉はあまりに物騒で、思わずナギの方を振り返った。
瞬間、空気を切り裂き私の髪が、かすかになびく。そして、肩にかけておいた被衣が音も無く地面にはらりと落ちた。
一瞬にしてナギは、私の首元にわずか紙一枚分の隙間を空けて刃を当てた。お見事……とは言えない。
さて、これからどうしよう。
ご飯も美味しいし、本だって貸し出してくれる。
でも、明らかに私の行動を監視している。多分、私が逃亡すると思っているのだろう。庭に出ても縁側にいても、常にナギの視線を感じてしまう。
当の本人であるシュウトは、このことには気付いていないのかもしれない。私とは相変わらず、一定の距離を保っているし、顔を合わせている時でも、よそよそしさは感じられない。
───よそよそしいのは……私だけである。
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だから嫌疑がはれるのは時間の問題………なんて思っていたけど───それは、私の甘い考えであった。
「瑠璃殿、遠乗りにでも行きませんか?」
いつものように縁側で、読書にいそしんでいると、背後からナギに声をかけられた。驚いて息を呑む私に、ナギはこう言葉を続けた。
「怪我の経過も良好ですし、屋敷から離れて外の風にあたりませんか?」
優しい口調だが、ナギの眼は笑っていない。有無を言わせないぞと語っている。あぁ、やっぱり、ナギはまだ私を疑っていたのだ。
もういっそ今ここで、宇宙と交信してるふりして『神のお告げキター』なんてことを口にすれば、この人、ちょっと残念な子なのかなぁと思ってもらえる……だろうか。
でもって、先日のやらかしも、ちょっと残念な子の戯言だと思ってもらえるならなら、ありがたい。
───私の何か大事なものは失いそうだけど、命を失う位ならまだマシだ。
ちらりとナギを盗み見る、がすぐに目を逸らした。
シュウトが獣なら、ナギは鷹だ。鋭い牙と爪を持ち、折り重なるように生えた羽からは絶対に逃げ切れるわけがない。
駄目だ、ここは大人しくナギについていくのが妥当だ。
「わかりました」
私は、ナギと眼を合わせず、頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「それでは瑠璃殿、参りましょうか」
ナギはそう言って、自分の衣を被衣代わりに被せてくれると、私の手を引き馬小屋まで移動する。
私の手を取るナギは壊れ物を扱うように優しい。けれど、私の肩を掴む指先は、食い込んでいる。とてもちぐはぐだけれど、これが今のナギの心情なのだろう。
ただ気持ちは充分に伝わったから、もう少し力を緩めていただけるとありがたい。食い込み過ぎて少々痛かったりもする。
そんなこんなで、ほとんど拉致という形で馬小屋までたどり着くと、シュウトは外出したのか、カザハの姿はなかった。朝は見かけたので、少し前に外出したことになる。きっと、ナギはこの時を待っていたのだろう。
馬小屋はそれほど広くはないが、もう一頭飼われている。カザハより、やや小ぶりの、毛並みの美しい馬が繋がれていた。これはナギの愛馬なのだろうか、眼がくりくりでとても可愛らしい。
「乗馬の経験はありますか?」
鞍を取り付けながら問うてきたナギに素直に首を横に振る。ナギは別段、驚く風でもなく頷いただけだった。
それから体を持ち上げられ、ナギに抱きかかえられるように馬に乗る。一気に視界が高くなり、思わず身をすくませてしまう。
何とか悲鳴は堪えることはできたが、ナギにはバレバレだったようで……。
「……あの、瑠璃殿、この馬は気性の優しい馬ですので安心してください。できればもう少し、腕を緩めていただけると助かります」
「!?」
ひどく言いにくそうな口調のナギの言葉でハッと我に返る。どうやら、予想以上の高さにビビり、気付かないうちにナギの腕をしっかりと掴んでしまっていた。
慌てて手を離した私に、ナギは苦笑を浮かべながら片手を私の肩に置いた。
「大丈夫、怖くありません。力を抜いて重心を少し後ろに。怖いなら私にもたれていただいても、かまいません。なるべく、下を向かずに前方を向いてくださいね」
それが出発の合図となり、馬はゆっくりと歩き出した。
ナギの愛馬は、ゆっくりと田んぼの畦道を歩いている。田植えの季節にはまだ早いが、田んぼには水が張り、キラキラと太陽を反射して眩しいくらいだった。
ナギのアドバイス通りにすると、乗馬はとても気持ち良いものだだった。
あっという間に、気持ちに余裕が生まれ被衣を持ち上げ辺りを見回す。
車も、ビルも、信号も…どんなに道を進んでも、当たり前に目にしていたのは何も無かった。
しみじみとここが異世界だということを実感して、胸がチクリと痛んだ。
日本に戻りたいわけではない。ただ、今の私は、どちらの世界でも宙ぶらりんな存在であることが寂しかった。
【お遣いを引き受けてくれたら、君はもう自由だよ】
風神さんはそう言っていた。じゃあ、お遣いが終わったら、私はどうなるのだろう。
間違いなく日本に戻る。絢桜爛花はこの世界に置いて帰る。いや、心配だから地深く埋めておこう。
日本に戻ってからは学校に通う。あ、出席日数足りるだろうか。留年は免れたい。夏までに戻って、夏休み全てを補修に捧げれば何とか進級できるはず。
それから、部活にも入ってみたい。あとは、友達かぁ───いきなりはハードルが高いから、卒業までには作れたらいいなぁ。
いや、まず最初に、あの社を取り壊そう。
そこまで考えて現実に戻った。その前に私、この状況でお遣いの続きができるのかな、と。
馬のカッポカッポという蹄の音以外、何も聞こえない。無言のまま私を抱えているナギが、何を思っているのかわからない。そしてこの先どうなるのかも、わからない。
一見、馬に乗って、のんびりお散歩しているこの光景、実は火曜日のサスペンス的な要素が含まれているなんて誰が想像できるであろうか。
そしてお約束通りの展開で、その後、敏腕刑事か名探偵っぽい人が事件を解決してくれてももう遅い。だってそれ、私が死ぬ前提だから。
そんな私は、沈黙に耐え切れず世間話の範疇で、ナギに問いかけてみる。
「ナギさん、この馬さんのお名前は?」
「ツユキですよ」
無視されると思ったら、ナギは律儀に答えてくれた。調子に乗った私は、質問を重ねてしまった。
「ところで、ここはどこですか?」
私にとっては何気ない質問だが、ナギにとっては、余計に怪しいと思わせる質問だったようだ。どうも私とナギは噛み合いあわないらしい。
「それを聞いてどうするのですか?」
「……別に、どうってことはないです……」
沈黙は金、という諺がある。今は、沈黙は命。そういうことで、私はその後、沈黙を守り続けた。
「到着しましたよ」
ナギが遠乗りに選んだのは、シュウトの屋敷からさほど離れていない見晴らしの良い丘だった。
あたり一面に桃の花が咲き誇り、辺りを淡い紅色に染めている。それは、今しか見ることのできない幻想的な空間だった。
「すごーぉい……」
圧巻され間抜けな一言しか呟くことができない。次いで歩きながら被衣を脱ぐと一気に視界が広がり、眩しさに目を細める。
桜は嫌いだけど、桃の花は香りも実も大好きだ。被衣を肩にかけ桃の木を縫うように歩いていたけど、ぴたっと足を止めた。───桃の木で見えなかったけど、すぐそこは崖だった。
ひぇっと息をのんだ私に、絶妙のタイミングで背後から声が聞こえた。もちろん、声の主はナギだった。
「ええ。ここは指折りの桃の名所です。……そして、ここは古い合戦の跡地でもあり、数多くの武士の霊が眠る地でもあります」
最後の言葉はあまりに物騒で、思わずナギの方を振り返った。
瞬間、空気を切り裂き私の髪が、かすかになびく。そして、肩にかけておいた被衣が音も無く地面にはらりと落ちた。
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