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128話 不死鳥の使い手
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ユナが連れ去られた、という報告を聞き、俺は旧産業学科棟へと走った。
貴族会というものに対しては現行の生徒会に出来るだけ探索をさせたかったのだが、どうやらそうもいかないらしい。
いや、実際のところ下流貴族の俺にとっては調べてみたくて仕方なかったのだが……。
「ここが貴族会の集合場所か」
ほかの校舎と比べると劣化はしているものの崩れそうな心配はなく、確かに拠点としては良い場所なのかもしれない。
だが、それは一般の拠点としてであって、貴族は好き好んでこういうところに集まろうとはしないはずなのだ。
「薄暗い、まるで孤児院みたいじゃないか」
その校舎は他の建物との影響で日当たりが悪く影が多い。
豪華絢爛を求める貴族の会とは思えないが……。
「待てよ、孤児院か……」
孤児院の孤児たちはよく貴族たちに引き取られることも多い。
それは「受け継ぐ」ということに重きを置かれるこの社会においては大切なことだった。
なにも、単に子供がいなかった貴族の家庭だけではない。
より良い能力を受け継がせるため、生まれながらにして貴族である実子より孤児であった子供の方が聞き分けがいいから、という理由で下流貴族に引き取られることも少なくない。
実子と養子、どちらが才能があったかはさておいて、どちらかの才能が認められればどちらかが不要になる。
まさかとは思うが不要になった貴族の子らが傷を舐めあう場なのだとすれば……。
「そんなはずはないか。我ながら恐ろしいことを考えてしまった……」
廊下を歩いていると光が漏れ出ている部屋を発見した。
それにしても声は聞こえず、なんとなく不気味な印象を持つ。
あんなことを考えてしまった後だからなおさらだ。
ゆっくりと光が漏れ出ている部屋の扉を開けていく。
__________そこにいたのは、狂ったようにこちらを見つめている人達だった。
その視線は何か好意にも敵意にも見えない、感情のない目とでも言うべきだろうか。
直感は俺に逃げろと言っている。
「おかしい、何が起こっているんだ!?」
俺がそう言った瞬間、視線をこちらに向けていた人々が襲ってこようとする。
「敵か味方かは分からないが、この状況はマズい」
俺はそうとっさに判断をして、後ずさりをするが背中に嫌な感触がする。
俺が振り向くと衝撃の事実が発覚した。
いつの間に俺はこの部屋に閉じ込められたんだ?
誰かが後ろで扉を閉めたのだろうか?
でも、誰も見えなかったよな?
こうなっては仕方がない。
俺は叫んだ。
「来い!不死鳥!」
そう言って俺は光の粒を投げた。
貴族会というものに対しては現行の生徒会に出来るだけ探索をさせたかったのだが、どうやらそうもいかないらしい。
いや、実際のところ下流貴族の俺にとっては調べてみたくて仕方なかったのだが……。
「ここが貴族会の集合場所か」
ほかの校舎と比べると劣化はしているものの崩れそうな心配はなく、確かに拠点としては良い場所なのかもしれない。
だが、それは一般の拠点としてであって、貴族は好き好んでこういうところに集まろうとはしないはずなのだ。
「薄暗い、まるで孤児院みたいじゃないか」
その校舎は他の建物との影響で日当たりが悪く影が多い。
豪華絢爛を求める貴族の会とは思えないが……。
「待てよ、孤児院か……」
孤児院の孤児たちはよく貴族たちに引き取られることも多い。
それは「受け継ぐ」ということに重きを置かれるこの社会においては大切なことだった。
なにも、単に子供がいなかった貴族の家庭だけではない。
より良い能力を受け継がせるため、生まれながらにして貴族である実子より孤児であった子供の方が聞き分けがいいから、という理由で下流貴族に引き取られることも少なくない。
実子と養子、どちらが才能があったかはさておいて、どちらかの才能が認められればどちらかが不要になる。
まさかとは思うが不要になった貴族の子らが傷を舐めあう場なのだとすれば……。
「そんなはずはないか。我ながら恐ろしいことを考えてしまった……」
廊下を歩いていると光が漏れ出ている部屋を発見した。
それにしても声は聞こえず、なんとなく不気味な印象を持つ。
あんなことを考えてしまった後だからなおさらだ。
ゆっくりと光が漏れ出ている部屋の扉を開けていく。
__________そこにいたのは、狂ったようにこちらを見つめている人達だった。
その視線は何か好意にも敵意にも見えない、感情のない目とでも言うべきだろうか。
直感は俺に逃げろと言っている。
「おかしい、何が起こっているんだ!?」
俺がそう言った瞬間、視線をこちらに向けていた人々が襲ってこようとする。
「敵か味方かは分からないが、この状況はマズい」
俺はそうとっさに判断をして、後ずさりをするが背中に嫌な感触がする。
俺が振り向くと衝撃の事実が発覚した。
いつの間に俺はこの部屋に閉じ込められたんだ?
誰かが後ろで扉を閉めたのだろうか?
でも、誰も見えなかったよな?
こうなっては仕方がない。
俺は叫んだ。
「来い!不死鳥!」
そう言って俺は光の粒を投げた。
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