空から来た少年

ジャム

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本編

噛み跡の意味

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豹谷母「ん?どうしたの?」

「その・・・」

豹谷母「その跡・・・そっか」

遥人さんは僕にお茶を進めてくれた

豹谷母「なにがあったの?」

「・・・その・・・」

僕はさっきの話をした
遥人さんは静かに聞いてくれていた

豹谷母「・・・なるほど」

「もう・・・嫌・・・」

僕は涙を流した

豹谷母「白夜は・・・ごめんね。白夜が乱暴をして・・・」

「うぅ・・・」

豹谷母「・・・これ、見てくれる?」

僕は顔をあげた
遥人さんは肩を見せてきた
そこには噛み跡がくっきり残っていた

「それは・・・豹谷さんの?」

豹谷母「うん。お互いが初めて求め合った時につけられたの」

「え・・・でも・・・」

その噛み跡はついさっきつけられたかのようにくっきりしていた

豹谷母「びっくりでしょう?」

「はい・・・」

豹谷母「これは『初めて』の噛み跡だからね」

「???初めてだとなにかあるんですか?」

豹谷母「運命のつがいにつけられた初めての噛み跡は永遠に残るんだよ。ずっとね」

「そうなんですか?」

豹谷母「うん。そのあとに噛まれた跡は綺麗に消えてる。その理由はまだ解明されてないけどね」

「・・・」

豹谷母「・・・きっと白夜は君がいつか帰ることを考えて噛まなかったんじゃないかな?」

「そう・・・なんですか?」

豹谷母「たぶんね。君が帰った時に君に噛み跡が残ってたら幸せになれないかもって思ったのかもね」

「・・・」

豹谷母「詳しくはわからないよ?白夜の考えだからね。でも、きっとそうなんだよ」

もし・・・そうなら・・・
そこまで考えてくれてたんだったら・・・

「僕・・・本当になにも知らなかったんだ・・・」

白夜の気持ちをもう少し考えるべきだった
噛み跡の事を知らなかったとはいえ白夜の考えをもっと聞くべきだった・・・

「うぅ・・・」

豹谷母「・・・」

遥人さんは無言で背中を摩ってくれた・・・


・・・白夜視点・・・
父「白夜・・・」

「・・・」

俺はベッドに腰掛けて床を見ていた
悠斗を叩いてしまった・・・
投げ飛ばしてしまった・・・
噛み跡を残してしまった・・・
酷いことも言ってしまった・・・
後悔が俺の心を覆う

父「白夜。話せ」

「・・・父さん・・・俺・・・」

俺は話した

父「・・・そうか」

「俺・・・ずっと堪えてたんだ」

父「何を?」

「噛み跡をつけるの・・・」

父「なんで?」

「あいつが元の世界に帰った時、噛み跡があったら向こうで幸せになれないと思って・・・」

父「向こうの世界のことはわからないが、話を聞く限り獣人はいないみたいだからな・・・」

「ああ。あいつが元の世界で他のやつと結婚したりする時、噛み跡があったらかわいそうだって思ってたんだ」

父「それは・・・わからなくはないが・・・」

「俺・・・あいつを傷つけた・・・叩いて投げ飛ばして・・・」

父「・・・」

「なんで・・・手をあげちまったんだ・・・」

涙が流れ床に落ちる

「運命の相手なのに・・・なんで・・・なんで・・・」

父「・・・つがいでも喧嘩はする」

「・・・」

父「喧嘩がエスカレートして互いを傷つけることもある」

「・・・」

父「喧嘩をしない夫婦はいない。俺も母さんと喧嘩する時だってある」

「・・・」

父「だから、お前の気持ちもわかる。好きな人を傷つける罪悪感・・・よくわかるよ」

「・・・そういう時・・・父さんは・・・どうしてるの?」

父「・・・俺は・・・謝った」

「・・・」

父「謝って謝って・・・許してもらえるとは思ってないけど、何度も謝った」

「父さんと母さんもそんなに喧嘩するんだね」

父「・・・これは母さんの話じゃないけどな」

「え?」

父「・・・とにかく、謝って話し合え」

「・・・」

父「許してもらえると思うな。許してもらえないと思え。それを念頭にいれて話をしろ」

「・・・」

父「悠斗くんは傷ついて苦しんでいると思う。殴られたり叫ばれたりしても仕方ないと思え」

「・・・ああ」

父「アドバイスをするなら・・・これぐらいだな」

「・・・」

父さんはそういうと部屋を出て行った
しばらくすると悠斗が部屋に入ってきた・・・


・・・悠斗視点・・・
「白夜・・・」

白夜「・・・」

白夜は俯いて目を合わせないでいる

「・・・」

白夜「・・・ごめん」

「え・・・?」

白夜「俺、お前に酷いことをした・・・ホントにごめん・・・」

「僕の方こそ・・・ごめんね」

白夜「いや、お前は悪くない。俺が悪かったんだ。ちゃんと話せばいいのにな・・・」

「そんなことないよ・・・僕は獣人に関して無知すぎた・・・」

白夜「いや、たとえそうであっても・・・つがいに手を出すなんて・・・しちゃいけないことだ・・・」

そういい涙を流す白夜
僕は白夜の頬を撫でた

白夜「すまない・・・噛み跡残しちまって・・・叩いてしまって・・・投げてしまって・・・」

泣きながら強く抱きしめてきた

白夜「すまない・・・すまない・・・」

「もういいよ。僕も悪かったんだし」

白夜「いや、お前は悪くない!俺が悪いんだ!」

「そんなことない!僕も悪かった!」

白夜「お前は悪くない!」

また喧嘩?言い合い?が始まった・・・

「・・・フッw」

白夜「フフッw」

しばらく言い合いをして自然と笑いが出てきた

白夜「まったくwお前はw」

「白夜もw」

しばらく笑ってから・・・

白夜「悠斗・・・」

「白夜・・・」

僕たちはキスをした

白夜「俺は・・・お前を傷物にしてしまった・・・」

「・・・」

白夜「この責任は取る」

「じゃあ・・・」

僕は白夜をベッドに押し倒した

白夜「え?」

「続き・・・しよう?」

僕は上着を脱いだ

白夜「い、いいのか?」

「うん。途中だったし・・・嫌だ?」

白夜「・・・フフw」

白夜は上体を起こし

白夜「嫌なわけないだろう?w」

今度は僕がベッドに押し倒された

白夜「今夜は泣いてもやめないからな?w」

「望むところだw」

白夜は僕のズボンを脱がしながら噛み跡を舐めてきた

「んっ!」

少し沁みる

白夜「この噛み跡は消えないだろうな」

「う、うん。遥人さんの肩にもあった・・・」

白夜「父さんの跡だな。これは・・・俺の跡だ・・・」

そういい違う場所を噛んできた

「いっ!!」

白夜「今後もたくさんつけるからな?覚悟しろよ?w」

「うんw」

そして僕たちは何度も身体を重ねた
噛み跡も数えられないぐらいつけられた・・・
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