肉食獣人は肉食だった

ジャム

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部活中の訪問

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シュン!タン!

熊沢「おお!さすが、八神!」

「えへへ!」

部長「うん!相変わらず、うまいな!俺たちも負けてられないな!」

僕はアーチェリー部に所属している
そして僕に合っているのか、よく的の真ん中に当たる

熊沢「いや~、俺は的にすら当たらないよ・・・」

「う~ん・・・感覚的なものだよ?なんとなく・・・かな・・・」

熊沢「もう一回見せてくれ!」

「わかった!」

そういうと僕は弓を構えた
そして

シュン!タン!

矢は真ん中を射貫いた

パチパチパチ

後ろから拍手が聞こえて振り向いたら
獅子瓦先輩がいた

獅子瓦「お前、すごいな!」

「え、あ、ありがとうございます?」

部長「!?獅子瓦!?なんでここに!?」

獅子瓦「いや、ちょっと見学に」

部長「見学?お前空手部だろう?」

獅子瓦「はい・・・俺はこの子を見学しにきたんです」

そういうと先輩は僕を指さした

「ぼ、僕ですか!?」

獅子瓦「ああ」

なんで?朝もそうだけど、なんで僕に関わってくるんだろう

ドクンッ!

ああ・・・まただ・・・
先輩を見てると鼓動が・・・
不整脈の原因は先輩?
先輩がいるから起こるのか?
緊張してるのかな?
まぁ、兵器みたいな人が近くに居たら怖くて鼓動も早くなるよね
でも、それとも違う気がする・・・

部長「はぁ・・・居てもいいが、部活の邪魔だけはよしてくれよ・・・」

獅子瓦「あざっす」

なんか部活の雰囲気が暗い
まぁ、噂では残虐非道の獅子瓦先輩が入り口の近くで壁に寄っかかり腕を組んでこちらを見てるんだから怖いよね・・・
よく部長は大丈夫だったな・・・

(気にしない、気にしない)

先輩を意識すると集中できない・・・
僕は練習に集中することにした

ググググググ

僕は弓を引く
放そうとした瞬間

「!?」

屋上で先輩に壁ドンされたときの先輩の顔が頭に蘇る

シュン!タン!

矢は的を外した

熊沢「大丈夫か?珍しいな」

「大丈夫・・・」

ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!

先輩の顔が脳裏にこびりついて離れない
熊沢が小声で

熊沢「まぁ、確かに緊張するよな。学校1の不良が見てるんだもんな・・・」

「う、うん」

僕は今見られているっていうのもあるだろうけど、あの時屋上でも先輩の顔を思い出して鼓動が早くなる・・・
あの時、顔が僕の顔に近かった・・・息がかかるんじゃないかって距離
僕は見上げていたが、その顔はとてもかっこよかった・・・
茶色い瞳、薄茶色の肌、濃い茶色の短い鬣(たてがみ)、整った顔立ち・・・
あれがイケメンってやつなんだろうな・・・
僕には絶対になれない・・・
なりたいわけではないけどさ・・・
でも、あんな彼氏がいたら・・・

(僕はなにを考えてるんだ!!)

彼氏になんて・・・
なんでそんなことを考えたんだ?
オメガだから?
確かに、オメガはそういう思考が多い
でも、僕は今まで好きになった人なんていない
オスにもメスにも・・・

熊沢「おい、聞いてるのか?」

「え、ごめん・・・考え事をしてた・・・」

熊沢「大丈夫か?」

「大丈夫。それよりなんの話?」

熊沢「獅子瓦先輩が呼んでるぞ?」

「え・・・」

僕は先輩をみた
先輩は手で僕を呼んだ

(なんだろう・・・)

「はい・・・なんでしょうか・・・」

獅子瓦「少し部活抜け出せないか?」

「え・・・」

いきなりで驚いた・・・
なんでそんなことを?

「えっと・・・部長に聞いてみないと・・・」

獅子瓦「部長。こいつ連れて行っても構わないっすか?」

部長「は?え?本人がいいなら・・・」

獅子瓦「だそうだ。いいだろ?」

「え、は、はい・・・」

そういうと先輩は僕の手を握り練習場をでた
そして向かったのは

大神「え?遥斗?どうしたんだ?獅子瓦・・・先輩に連れられて・・・」

「ごめん・・・僕にもよくわからない・・・」

大神「無理やり・・・連れてこられたのか?」

大神は僕の手に握られている弓を見ていた

「無理やりではないけど、部活中にいきなり・・・」

獅子瓦「お前には関係ないだろう」

そういい大神を睨みつける

大神「関係ないですけど、無理やり連れてくるのはよくないことぐらいわかりますよね?」

獅子瓦「ちゃんと許可は取った」

大神「獅子瓦先輩に言われたら誰も断れないですよ。それになんで遥斗にしつこく付き纏うんですか?」

獅子瓦「ああ?」

先輩は大神に近づいて今にも掴みかかりそう

「大神。僕は大丈夫だから!練習に行って?ね?」

大神「ホントか?大丈夫か?」

「大丈夫!心配しないで!」

まだ心配そうな大神だったがしぶしぶ練習に戻った

「・・・なんでここに連れてきたんですか?」

獅子瓦「まぁもう少しまて」

「はい・・・」

僕は空手とかよくわからないから見ててもな・・・

大神「はっ!」

ドン!ドサッ!

空手部顧問「一本!」

「大神、すごいな・・・」

練習試合が始まってすぐ、大神が一本取った
よくはわからないが強いのかな?
小さいときから空手やってたからね

獅子瓦「俺の方が強いけどな」

「え、そ、そうですね・・・」

それは比べてはいけないレベルだと思うけどな・・・
なんか少し機嫌が・・・悪い?
練習試合が終わった瞬間、先輩が顧問の先生のところに向かって行った

獅子瓦「お相手お願いします」

顧問「え、いきなりどうした?まぁいいけど」

そういうと試合のため準備を始めた
空手着を着た先輩はかっこいい・・・

(いやいやいや!なにを考えてるんだ!大神だってかっこいいだろ!)

でも、大神とは全然違う・・・
大神もイケメンだけど、それを超えるイケメンって感じ・・・
上には上がいるってことだよね・・・

大神「いまのうちに帰った方がよくないか?」

「でも、家も知られてるし、へんなことして家に来られても困る・・・」

大神「確かに・・・ここは大人しくしておくのがいいか・・・それにしても、顧問に挑もうなんて・・・」

「そんなに強いの?」

大神「ああ、全国大会優勝者だよ。何回も」

「そんなすごい人なんだ・・・」

そんな人に挑むってことはかなりの実力がないと・・・
でも、先輩は確かに強い

大神「顧問が試合するの生で見るのは初めてだ。少し楽しみ!」

「見たことないの?」

大神「ああ。テレビとかでならあるんだけど、俺にはまだまだだよ」

そんなに強いんだ・・・
どっちが強いんだろう・・・
そして試合が始まった

ピッ!

合図の笛が鳴ったと同時にお互いがすごいスピードで接近して殴りお互いがそれを避ける

ダン!ザッ!スタッ!ブン!

お互いなかなか殴りや蹴りが当たらない
あの助けられた時に見た光景を思い出す・・・

大神「すげぇ・・・顧問がここまで苦戦するの初めてみた!」

周りの部員たちも興奮しているみたいだ
空手に詳しくない僕でもこのすごさが伝わってくる
お互いの攻撃が相手にすべて避けられその隙をつく。でも、それすら避けられる
あの時の喧嘩とは大違い・・・次元が違う・・・
その時

ドン!

先輩の殴りが顧問に当たった
顧問はそれを両腕で防いだが威力が強いみたいで顧問の身体が後ろに少し飛んだ
少し痛そうにしている顧問

顧問「う・・・相変わらず強いな・・・」

獅子瓦「顧問が弱くなったんですよ」

顧問は笑顔になっている
嬉しそうだ

顧問「いうようになったな・・・」

そしてまた試合が続く
いつまでも決着がつかない二人

ピーーーー!

試合終了の笛がなる
勝者は先輩みたいだ

「なんで先輩が勝ったの?引き分けじゃないの?」

大神「ああ、先輩が一発当てただろう?それが判定材料になったんだよ」

「へ~そうなんだ」

大神「でも、顧問が負けるなんて・・・獅子瓦先輩ってやっぱり強いんだな・・・」

「強いのは知ってたけど、ここまでとは・・・」

そして試合を終えた先輩がこっちに向かってくる

獅子瓦「どうだった?」

「すごかったです」

先輩の顔は無表情だが、尻尾が左右に揺れている
嬉しい?のかな?大神も嬉しいときは尻尾が左右に揺れるし

獅子瓦「よし!いいところ見せられたし、練習場まで送るよ!」

「いえ・・・もう終わってると思いますよ」

先輩は時計をみた
どこの部活も終わっている時間だ

獅子瓦「あ、ホントだ・・・じゃあ、荷物取りにいこうぜ」

そういうと有無を言わさず僕の手を引っ張り練習場に向かった
練習場では熊沢が一人残っていた

「あれ、どうしたの?」

熊沢「どうしたの?じゃねぇよ・・・荷物どうしようかってなって俺がずっと見張ってたんだよ・・・」

「そうだったんだ・・・ごめんね・・・」

熊沢「獅子瓦先輩に連れていかれて帰ってこないし・・・何してたんだよ・・・」

「空手部に行ってた」

熊沢「空手部?なんで?」

「う~ん、よくわからないけど、先輩と顧問の先生が試合するの見てた」

熊沢「は!?顧問の試合!?マジかよ!?」

「う、うん・・・」

熊沢は悔しそうにしている

熊沢「俺も見たかった!!」

「そんなに?」

熊沢「それはそうだろう!!空手部顧問は全国大会優勝者だぞ!!みたいだろう!!どっちが勝ったんだ!?」

「え、先輩だけど」

熊沢「え!?顧問じゃないの!?」

「うん・・・引き分けに見えたんだけど、一発先輩が顧問に殴りを決めたのが理由みたい」

熊沢「は!?あの顧問相手に一発!?獅子瓦先輩ってそんなに強いのか!?」

「みたいだよ」

熊沢「俺も見たかった!!!」

すごく悔しがる熊沢・・・
僕はよくわからないけどね

獅子瓦「まだか?」

(え、まだいたんだ・・・)

「待ってたんですか?」

獅子瓦「ああ」

「待ってなくてもいいですよ」

獅子瓦「これから食事に行くんだよ」

「そうなんですか。お疲れ様でした」

獅子瓦「いや、お前も一緒に行くんだよ・・・」

「え!?なんでですか!?」

獅子瓦「だって家に帰っても一人だろう?」

「そうですが・・・」

獅子瓦「ならいいだろう?」

「・・・はい」

なんで了承したんだろう・・・
嬉しいと思ってしまった
不思議・・・
僕は弓を畳んで専用の鞄に入れて部室に置き、帰り支度をした
そして熊沢、先輩と三人で校門まできた

熊沢「じゃあ、俺はこっちだから!また明日!お疲れ様!先輩もお疲れさまでした・・・」

そういうと熊沢は反対方向に歩いていった

獅子瓦「さて、なに食べたい?おごるよ?」

「え、いいですよ!自分で払います!」

獅子瓦「誘ってのは俺だから気にするな。で、なに食べたい?」

「特になにをっていうのはないんですが」

獅子瓦「そうか・・・じゃあ、俺の行きつけの店でいいな?」

そういうと手を掴み歩きだした
掴まれる度に鼓動が・・・
胸が締め付けられるような感覚になる・・・
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