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行商人
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次の日
シュンッ!
タンッ!
「また外れた・・・」
僕はクロスボウの訓練をしていた
クルス「腰が引けてる。姿勢を正せ。そんな状態じゃ当てることはできない」
「はい!」
僕はクルスさんによるスパルタ?訓練を受けていた
クルス「腕が下がってる」
「はい!」
クルス「腰が引けてる」
「はい!」
クルス「その基礎ができないと的に当てるなんて無理だぞ」
さすが軍人・・・
教えるのが厳しい・・・
クルス「休憩にしよう」
「でも・・・」
クルス「休憩も大事なことだ。休憩しよう」
「・・・はい」
僕たちは工場に入った
クルス「・・・来いよ」
そういい自分の膝を叩く
「はい!」
僕はクルスさんの膝の上に座る
座ると後ろから抱きしめてくれた
クルス「お前は頑張ってるぞ!」
「ありがとうございます!」
寄りかかり甘えた
クルス「よしよし」
頭を優しく撫でてくれる
「えへへ~」
それがすごく嬉しかった
ジェット「ゴホンッ!」
「!?」
クルス「!?」
ジェット「えっと、お取込み中、申し訳ありません」
「ジェ、ジェット!?な、なに?」
ジェット「えっと・・・お外に商人の方が来ています」
「商人?」
ジェット「はい。商売を生業にしている方です。キャラバン、行商人とも言われてますね!」
「そういうことじゃないんだけど・・・わかった」
僕とクルスさんは外に向かった
工場の敷地の入り口には5人の獣人がいて警備ロボットと話し合ってるみたいだ
商人「だから、ここにいる『ハルト』さんに会わせてほしいんだって!」
警備ロボット「認証不可・・・コレ以上ノ会話ハ許可サレテイマセン」
商人「だ・か・ら・!会わせてほしいだけなんだって!!敵意はない!!」
警備ロボット「・・・武器武装確認・・・攻撃態勢ニ移行」
商人「ま、待てって!!」
「管理者権限により武装解除!!待機モードに移行しろ!!」
警備ロボット「声帯認証確認・・・命令許諾。待機モードニ移行シマス」
警備ロボットが待機モードになった
商人「ふぅ・・・助かった・・・」
「すみません・・・」
商人「いや、こっちこそいきなり押しかけたんだ。これぐらいは覚悟の上さ!」
クルス「で、お前たちは何者で何しに来た?」
商人「俺たちはキャラバン!商売を生業にしてるんだ!まぁ、移動する店って感じかな!」
クルス「そのキャラバンが一体なんの用だ?」
商人「いやな。ここに住んでいる人がいるって聞いてな!商売しないと!って思ってな!」
クルス「誰から聞いた?名前も知ってるみたいだが」
商人「クリスタルシティのネピーさんから聞いたんだよ!街との間が離れてるから大変だろうって!」
クルス「・・・そうか」
商人「で、どうだろうか?取引っていうのは?」
クルス「取引?」
商人「おうよ!俺たちはここで作物や物資などを買う!そっちはメダルが手に入る!どうだ?」
クルス「そんなことしなくても俺が直接クリスタルシティに運ぶ。必要ない」
商人「そうかい?俺たちはあんたの持っている乗り物の燃料も調達できるぜ?」
クルス「・・・」
商人「燃料だけじゃない。弾丸も武器も食料も・・・なんでも手に入れて来てやる。どうだ?いい取引だろう?」
クルス「燃料ならクリスタルシティで手に入れる。問題ない」
商人「手に入るかね~」
クルス「なんだと?」
商人「あんたは一度燃料を買っただろう?」
クルス「なんで・・・知ってるんだ?」
商人「俺たちの商売は『物』だけじゃないんでね!」
クルス「・・・で、どういう意味なんだ?」
商人「あの街。確かに色んな物がある。でも、ない物ももちろんある。その一つに燃料が含まれているんだよ」
クルス「・・・」
商人「燃料は貴重だからな~そう簡単に手に入れることはできない。だが!俺なら手に入れられる。俺にはそれだけのコネがあるんだ!」
クルス「・・・」
商人「どうだ?もちろんそっちの作物も買い取るぜ?」
クルス「・・・」
商人「まぁ、決めるのはそっちだ。ゆっくり考えるといい」
クルス「そうさせてもらう」
商人「ああ!ところで・・・少し頼みがあるんだ」
クルス「なんだ」
商人「そこの開いてる土地でテント張っていいか?」
クルス「・・・は?」
商人「今からクリスタルシティに向かうと真っ暗になっちまう。いつもはそこらへんで野宿するんだが、安心して眠れないんだ。ここなら警備がしっかりしてるし・・・ダメか?」
クルス「・・・」
商人「もちろん宿泊料金は払う!どうだろうか?」
クルス「俺に決める権利はない」
商人「え?あんたがハルトじゃないのか?」
クルス「俺はクルスだ。ハルトはこっちだ」
「初めまして」
商人「そうなのか!?こんな子供・・・それに・・・人間・・・」
「・・・」
商人「あ、すまない・・・悪気はないんだ」
「いえ、気にしてないので」
商人「で、どうだろうか?」
「構いませんよ」
商人「ホントか!?」
「はい」
商人「助かるよ!」
そういうと商人たちは敷地に入ってきた
「待機モード解除。警戒モードに移行」
警備ロボット「声帯認証確認。警戒モードニ移行シマス」
「この人たちは限定ゲストに登録」
警備ロボット「ピッポパン・・・登録完了・・・限定ゲスト様・・・ヨウコソ」
クルス「限定ゲスト?」
「24時間限定でここの出入りが許されるゲストのことです」
クルス「そんなのもあるんだな・・・因みに俺は?」
「クルスさんはゲストですよ?」
クルス「それはどこまで権限があるんだ?」
「通行許可を指示することぐらいですね。本当は管理者に登録したいんですが、一人しか登録できないので」
クルス「いや、それで構わない。でも、書き換えもできるのか?」
「はい。管理者の死亡が確認できれば」
クルス「なるほど」
「それより、どうしますか?」
クルス「・・・悪い話ではないと思う。けど、やつらも商売だ。自分たちが有利になるように交渉してくる」
「そうですよね。僕、そういうのよくわからないんです」
クルス「俺もこの世界になってからの値段はよくわからない。だから、悩んでるんだ」
僕たちが悩んでいる間、商人たちは着々とテントを建てていた
「さすが野宿しているだけのことはありますね」
クルス「ああ」
商人「えっと・・・ハルトさん・・・でいいのかな?」
「え、あ、はい」
商人「ここら辺に水源はないかな?」
「あ、それでしたらあそこにあります」
商人「使っても?」
「いいですよ」
商人「ありがとう!助かるよ!」
商人はお水を汲むと火にかけていた
クルス「沸騰させなくてもすぐ飲めるぞ」
商人「そうなのか!?除去装置がついてるのか!」
クルス「ああ。付けたんだ」
商人「な~んだ。それも売り文句にしようと思ったのにな~」
クルス「それも取り扱ってるのか?」
商人「もちろん!もし、なくても必ず手に入れる!それが俺のモットーだ!」
クルス「商人としては優秀なんだな」
商人「ふふん!これでも15年もやってるからな!」
クルス「・・・そうか。ハルト。ちょっといいか?」
「え、はい」
僕はクルスさんに呼ばれ商人たちから離れたところに移動した
「どうしたんですか?」
クルス「除去装置も扱ってるってことはかなりのやり手だ」
「そうなんですか?」
クルス「ああ。俺が除去装置を手に入れるのにかなり苦労したからな」
「じゃあ、交渉成立でいいのでは?」
クルス「いや、実際ちゃんとした装置かもわからない。それに、信用できない」
「信用ですか?」
クルス「ああ。安心させて背中を刺される・・・なんてこともある」
「そう・・・ですね・・・」
あまり疑いたくないけど・・・
こんな世界じゃ疑うのも仕方ない・・・よね・・・
ジェット「商人の方々にお茶をお出ししますか?」
「そうだね・・・そうしてあげて」
ジェット「かしこまりました」
クルス「じゃあ、俺は畑の屋根でも作るかな。汚染雨が降って作物が汚染されたら大変だ」
そういいジェットは工場内に、クルスさんは畑に向かった
商人「ハルト・・・さん?くん?」
「え、あ、呼びやすい呼び方で構いませんよ」
商人「そうか?じゃあ、ハルトくんって呼ぶな!」
「はい」
商人「それで、どう?」
「まだ考え中です」
商人「あ、急かしてるわけじゃないからな!?」
「わかってますよ」
商人「ならよかった。あれ?お父さんは?」
「お父さん?」
商人「クルスさんだよ」
「アハハ。クルスさんはお父さんじゃないんですよ」
商人「そうなの!?」
「はい!えっと・・・保護者・・・みたいな感じです!」
好きな人・・・
恋人とは言えなかった
恥ずかしくて・・・
商人「さっきから色々失礼なことを言ってすまない・・・」
「いえ!気にしてないので!」
商人「ならいいけど・・・で、クルスさんは?」
「クルスさんなら畑に行きました。屋根を作ってくれるんです!」
商人「屋根?」
「はい!作物が汚染雨のせいで汚染されたら困りますし」
商人「そんなこと気にする人がいるんだ・・・」
「気にしないんですか?」
商人「そんなのいちいち気にしてたら生活できないし」
「じゃあ、汚染された作物を食べてるんですか?」
商人「火を通せる物は通すし、煮たりスープにするのが当たり前だろう?」
「そ、そうですよね~」
商人「・・・ハハハ」
「???」
商人がいきなり笑い始めた
商人「ごめんごめん!いや~ネピーさんから話は聞いてるよ!冷凍保存されてたんだろう?」
「え、はい・・・」
商人「まぁこのことは口が裂けても言わないよ!それはネピーさんとの取引で決めたからな!」
「ネピーさんと?どんな取引をしたんですか?」
商人「大手取引先になるかもしれない場所を教えてもらう代わりに秘密にするってね!」
「大手?」
商人「大手だろう!今は小さいが、これだけの土地があるんだ!大農場になって俺との取引も多くなるかもしれないしな!まぁ、交渉に応じてくれたらの話だが!」
「それは・・・クルスさんともっと話し合わないと・・・」
商人「ああ!そうしてくれ!中にはぼったくりの商人もいるからな・・・」
「やっぱり・・・」
商人「あ!俺は違うからな!確かに値段は変動するときもあるがそんなに変動しないからな!」
「わ、わかりました」
すごい勢いで言ってくる
商人「俺は卑怯なことをして儲けたいとは思ってない!みんなウィンウィンの関係で居ないとな!」
「・・・」
商人「・・・今回は特別大サービス!屋根作りを手伝うよ!」
「え?」
商人「ここに泊めてもらえるし、今のうちに恩を売っておけば取引に応じてくれるかもしれないしな!行くぞ!お前たち!」
そういうと商人たちは畑の方に向かって行った
「正直な人なんだな・・・」
僕はクロスボウの練習をすることにした
夕日が落ちる頃
クルス「ハルト?」
「はい?」
クルス「ちょっと来てくれ」
僕はクルスさんに呼ばれ向かった
「え!?」
そこには屋根の完成した畑があった
僕の畑だけじゃない
大農場の畑も屋根が完成していた
「もう完成してる・・・」
クルス「ああ!商人の人達が協力してくれたからな!」
商人「こういうサービスくらいはな!」
「ありがとうございました!」
商人「おう!汚染されてない作物・・・そんなのができるのか・・・もしできたらぜひ!!俺に売ってくれないか!?」
「・・・」
商人「もちろん普通の作物より良い値で買う!」
「・・・いいですよ」
商人「ホントか!?」
「はい!」
商人「交渉成立でいいんだな!?」
「はい!」
商人「ヨッシャー!!」
クルス「いいのか?」
「はい!きっとこの人なら大丈夫です!」
クルス「根拠は?」
「ありません!」
クルス「は?」
「根拠なんてありません。でも、信用できる。そう思いました!」
クルス「そうか。ハルトがそう言うなら俺も信じよう」
「ありがとうございます!」
商人「早速なにか欲しいのはあるか?」
クルス「燃料は用意できるか?バイクと発電機の」
商人「今はないが、必ず手に入れる!どれくらい欲しいんだ?」
クルス「タンク一個分ずつあると助かる」
商人「わかった!今度来るときに持ってくる!」
クルス「ああ。頼んだ」
商人「ああ!あとは?」
「この世界に生息する生き物の本とかってありますか?」
商人「え?そんなの存在しないが・・・」
「そうですか・・・」
商人「・・・クリスタルシティで探してみるよ」
「いいんですか?」
商人「ああ!必ず手に入れる!モットーだからな!」
「助かります!」
ジェット「皆様!お夕飯の準備ができましたよ!」
「みんなで食べましょう!」
商人「え、いいのか?」
「みんなで食べた方がおいしいですよ!」
商人「・・・じゃあ、お言葉に甘えて!」
みんなで夕ご飯を食べ、僕たちは眠りについた・・・
シュンッ!
タンッ!
「また外れた・・・」
僕はクロスボウの訓練をしていた
クルス「腰が引けてる。姿勢を正せ。そんな状態じゃ当てることはできない」
「はい!」
僕はクルスさんによるスパルタ?訓練を受けていた
クルス「腕が下がってる」
「はい!」
クルス「腰が引けてる」
「はい!」
クルス「その基礎ができないと的に当てるなんて無理だぞ」
さすが軍人・・・
教えるのが厳しい・・・
クルス「休憩にしよう」
「でも・・・」
クルス「休憩も大事なことだ。休憩しよう」
「・・・はい」
僕たちは工場に入った
クルス「・・・来いよ」
そういい自分の膝を叩く
「はい!」
僕はクルスさんの膝の上に座る
座ると後ろから抱きしめてくれた
クルス「お前は頑張ってるぞ!」
「ありがとうございます!」
寄りかかり甘えた
クルス「よしよし」
頭を優しく撫でてくれる
「えへへ~」
それがすごく嬉しかった
ジェット「ゴホンッ!」
「!?」
クルス「!?」
ジェット「えっと、お取込み中、申し訳ありません」
「ジェ、ジェット!?な、なに?」
ジェット「えっと・・・お外に商人の方が来ています」
「商人?」
ジェット「はい。商売を生業にしている方です。キャラバン、行商人とも言われてますね!」
「そういうことじゃないんだけど・・・わかった」
僕とクルスさんは外に向かった
工場の敷地の入り口には5人の獣人がいて警備ロボットと話し合ってるみたいだ
商人「だから、ここにいる『ハルト』さんに会わせてほしいんだって!」
警備ロボット「認証不可・・・コレ以上ノ会話ハ許可サレテイマセン」
商人「だ・か・ら・!会わせてほしいだけなんだって!!敵意はない!!」
警備ロボット「・・・武器武装確認・・・攻撃態勢ニ移行」
商人「ま、待てって!!」
「管理者権限により武装解除!!待機モードに移行しろ!!」
警備ロボット「声帯認証確認・・・命令許諾。待機モードニ移行シマス」
警備ロボットが待機モードになった
商人「ふぅ・・・助かった・・・」
「すみません・・・」
商人「いや、こっちこそいきなり押しかけたんだ。これぐらいは覚悟の上さ!」
クルス「で、お前たちは何者で何しに来た?」
商人「俺たちはキャラバン!商売を生業にしてるんだ!まぁ、移動する店って感じかな!」
クルス「そのキャラバンが一体なんの用だ?」
商人「いやな。ここに住んでいる人がいるって聞いてな!商売しないと!って思ってな!」
クルス「誰から聞いた?名前も知ってるみたいだが」
商人「クリスタルシティのネピーさんから聞いたんだよ!街との間が離れてるから大変だろうって!」
クルス「・・・そうか」
商人「で、どうだろうか?取引っていうのは?」
クルス「取引?」
商人「おうよ!俺たちはここで作物や物資などを買う!そっちはメダルが手に入る!どうだ?」
クルス「そんなことしなくても俺が直接クリスタルシティに運ぶ。必要ない」
商人「そうかい?俺たちはあんたの持っている乗り物の燃料も調達できるぜ?」
クルス「・・・」
商人「燃料だけじゃない。弾丸も武器も食料も・・・なんでも手に入れて来てやる。どうだ?いい取引だろう?」
クルス「燃料ならクリスタルシティで手に入れる。問題ない」
商人「手に入るかね~」
クルス「なんだと?」
商人「あんたは一度燃料を買っただろう?」
クルス「なんで・・・知ってるんだ?」
商人「俺たちの商売は『物』だけじゃないんでね!」
クルス「・・・で、どういう意味なんだ?」
商人「あの街。確かに色んな物がある。でも、ない物ももちろんある。その一つに燃料が含まれているんだよ」
クルス「・・・」
商人「燃料は貴重だからな~そう簡単に手に入れることはできない。だが!俺なら手に入れられる。俺にはそれだけのコネがあるんだ!」
クルス「・・・」
商人「どうだ?もちろんそっちの作物も買い取るぜ?」
クルス「・・・」
商人「まぁ、決めるのはそっちだ。ゆっくり考えるといい」
クルス「そうさせてもらう」
商人「ああ!ところで・・・少し頼みがあるんだ」
クルス「なんだ」
商人「そこの開いてる土地でテント張っていいか?」
クルス「・・・は?」
商人「今からクリスタルシティに向かうと真っ暗になっちまう。いつもはそこらへんで野宿するんだが、安心して眠れないんだ。ここなら警備がしっかりしてるし・・・ダメか?」
クルス「・・・」
商人「もちろん宿泊料金は払う!どうだろうか?」
クルス「俺に決める権利はない」
商人「え?あんたがハルトじゃないのか?」
クルス「俺はクルスだ。ハルトはこっちだ」
「初めまして」
商人「そうなのか!?こんな子供・・・それに・・・人間・・・」
「・・・」
商人「あ、すまない・・・悪気はないんだ」
「いえ、気にしてないので」
商人「で、どうだろうか?」
「構いませんよ」
商人「ホントか!?」
「はい」
商人「助かるよ!」
そういうと商人たちは敷地に入ってきた
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クルス「限定ゲスト?」
「24時間限定でここの出入りが許されるゲストのことです」
クルス「そんなのもあるんだな・・・因みに俺は?」
「クルスさんはゲストですよ?」
クルス「それはどこまで権限があるんだ?」
「通行許可を指示することぐらいですね。本当は管理者に登録したいんですが、一人しか登録できないので」
クルス「いや、それで構わない。でも、書き換えもできるのか?」
「はい。管理者の死亡が確認できれば」
クルス「なるほど」
「それより、どうしますか?」
クルス「・・・悪い話ではないと思う。けど、やつらも商売だ。自分たちが有利になるように交渉してくる」
「そうですよね。僕、そういうのよくわからないんです」
クルス「俺もこの世界になってからの値段はよくわからない。だから、悩んでるんだ」
僕たちが悩んでいる間、商人たちは着々とテントを建てていた
「さすが野宿しているだけのことはありますね」
クルス「ああ」
商人「えっと・・・ハルトさん・・・でいいのかな?」
「え、あ、はい」
商人「ここら辺に水源はないかな?」
「あ、それでしたらあそこにあります」
商人「使っても?」
「いいですよ」
商人「ありがとう!助かるよ!」
商人はお水を汲むと火にかけていた
クルス「沸騰させなくてもすぐ飲めるぞ」
商人「そうなのか!?除去装置がついてるのか!」
クルス「ああ。付けたんだ」
商人「な~んだ。それも売り文句にしようと思ったのにな~」
クルス「それも取り扱ってるのか?」
商人「もちろん!もし、なくても必ず手に入れる!それが俺のモットーだ!」
クルス「商人としては優秀なんだな」
商人「ふふん!これでも15年もやってるからな!」
クルス「・・・そうか。ハルト。ちょっといいか?」
「え、はい」
僕はクルスさんに呼ばれ商人たちから離れたところに移動した
「どうしたんですか?」
クルス「除去装置も扱ってるってことはかなりのやり手だ」
「そうなんですか?」
クルス「ああ。俺が除去装置を手に入れるのにかなり苦労したからな」
「じゃあ、交渉成立でいいのでは?」
クルス「いや、実際ちゃんとした装置かもわからない。それに、信用できない」
「信用ですか?」
クルス「ああ。安心させて背中を刺される・・・なんてこともある」
「そう・・・ですね・・・」
あまり疑いたくないけど・・・
こんな世界じゃ疑うのも仕方ない・・・よね・・・
ジェット「商人の方々にお茶をお出ししますか?」
「そうだね・・・そうしてあげて」
ジェット「かしこまりました」
クルス「じゃあ、俺は畑の屋根でも作るかな。汚染雨が降って作物が汚染されたら大変だ」
そういいジェットは工場内に、クルスさんは畑に向かった
商人「ハルト・・・さん?くん?」
「え、あ、呼びやすい呼び方で構いませんよ」
商人「そうか?じゃあ、ハルトくんって呼ぶな!」
「はい」
商人「それで、どう?」
「まだ考え中です」
商人「あ、急かしてるわけじゃないからな!?」
「わかってますよ」
商人「ならよかった。あれ?お父さんは?」
「お父さん?」
商人「クルスさんだよ」
「アハハ。クルスさんはお父さんじゃないんですよ」
商人「そうなの!?」
「はい!えっと・・・保護者・・・みたいな感じです!」
好きな人・・・
恋人とは言えなかった
恥ずかしくて・・・
商人「さっきから色々失礼なことを言ってすまない・・・」
「いえ!気にしてないので!」
商人「ならいいけど・・・で、クルスさんは?」
「クルスさんなら畑に行きました。屋根を作ってくれるんです!」
商人「屋根?」
「はい!作物が汚染雨のせいで汚染されたら困りますし」
商人「そんなこと気にする人がいるんだ・・・」
「気にしないんですか?」
商人「そんなのいちいち気にしてたら生活できないし」
「じゃあ、汚染された作物を食べてるんですか?」
商人「火を通せる物は通すし、煮たりスープにするのが当たり前だろう?」
「そ、そうですよね~」
商人「・・・ハハハ」
「???」
商人がいきなり笑い始めた
商人「ごめんごめん!いや~ネピーさんから話は聞いてるよ!冷凍保存されてたんだろう?」
「え、はい・・・」
商人「まぁこのことは口が裂けても言わないよ!それはネピーさんとの取引で決めたからな!」
「ネピーさんと?どんな取引をしたんですか?」
商人「大手取引先になるかもしれない場所を教えてもらう代わりに秘密にするってね!」
「大手?」
商人「大手だろう!今は小さいが、これだけの土地があるんだ!大農場になって俺との取引も多くなるかもしれないしな!まぁ、交渉に応じてくれたらの話だが!」
「それは・・・クルスさんともっと話し合わないと・・・」
商人「ああ!そうしてくれ!中にはぼったくりの商人もいるからな・・・」
「やっぱり・・・」
商人「あ!俺は違うからな!確かに値段は変動するときもあるがそんなに変動しないからな!」
「わ、わかりました」
すごい勢いで言ってくる
商人「俺は卑怯なことをして儲けたいとは思ってない!みんなウィンウィンの関係で居ないとな!」
「・・・」
商人「・・・今回は特別大サービス!屋根作りを手伝うよ!」
「え?」
商人「ここに泊めてもらえるし、今のうちに恩を売っておけば取引に応じてくれるかもしれないしな!行くぞ!お前たち!」
そういうと商人たちは畑の方に向かって行った
「正直な人なんだな・・・」
僕はクロスボウの練習をすることにした
夕日が落ちる頃
クルス「ハルト?」
「はい?」
クルス「ちょっと来てくれ」
僕はクルスさんに呼ばれ向かった
「え!?」
そこには屋根の完成した畑があった
僕の畑だけじゃない
大農場の畑も屋根が完成していた
「もう完成してる・・・」
クルス「ああ!商人の人達が協力してくれたからな!」
商人「こういうサービスくらいはな!」
「ありがとうございました!」
商人「おう!汚染されてない作物・・・そんなのができるのか・・・もしできたらぜひ!!俺に売ってくれないか!?」
「・・・」
商人「もちろん普通の作物より良い値で買う!」
「・・・いいですよ」
商人「ホントか!?」
「はい!」
商人「交渉成立でいいんだな!?」
「はい!」
商人「ヨッシャー!!」
クルス「いいのか?」
「はい!きっとこの人なら大丈夫です!」
クルス「根拠は?」
「ありません!」
クルス「は?」
「根拠なんてありません。でも、信用できる。そう思いました!」
クルス「そうか。ハルトがそう言うなら俺も信じよう」
「ありがとうございます!」
商人「早速なにか欲しいのはあるか?」
クルス「燃料は用意できるか?バイクと発電機の」
商人「今はないが、必ず手に入れる!どれくらい欲しいんだ?」
クルス「タンク一個分ずつあると助かる」
商人「わかった!今度来るときに持ってくる!」
クルス「ああ。頼んだ」
商人「ああ!あとは?」
「この世界に生息する生き物の本とかってありますか?」
商人「え?そんなの存在しないが・・・」
「そうですか・・・」
商人「・・・クリスタルシティで探してみるよ」
「いいんですか?」
商人「ああ!必ず手に入れる!モットーだからな!」
「助かります!」
ジェット「皆様!お夕飯の準備ができましたよ!」
「みんなで食べましょう!」
商人「え、いいのか?」
「みんなで食べた方がおいしいですよ!」
商人「・・・じゃあ、お言葉に甘えて!」
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【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
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その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
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