崩壊した世界を共に

ジャム

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手紙と小麦

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数日後・・・

ゼッタ「お~い!」

「あ!ゼッタさん!」

入口でゼッタさんが声を上げていた

ゼッタ「そろそろ収穫だろう?」

「はい!」

僕はゼッタさんたちを大農場に案内した

ゼッタ「お~・・・すげぇな・・・」

大農場はもう隅から隅まで作物で埋まっていた

ゼッタ「コインとか足りるかな・・・」

そういい確認をするゼッタさん

クルス「おう。来てたのか」

ゼッタ「クルスさん!」

汗をかいているクルスさんがそこにはいた
きっと、トレーニングをしていたのだろう

ゼッタ「すっげぇ汗・・・」

クルス「ん?ああ。ちょっとトレーニングをな」

ゼッタ「ほう」

「あ!クルスさん!あの時のツケ!」

クルス「あ~。そうだな。コインとメダル半分ずつでいいか?」

ゼッタ「ああ!かまわないぜ!」

そういいあの時の『借り』のメダルとコインを渡した

ゼッタ「毎度!」

クルス「で、取引だろう?」

ゼッタ「ああ!えっと・・・」

と、ゼッタさんは収穫物を数えている

ゼッタ「量がすげぇな・・・」

クルス「大農場だからな。量も多いだろう」

ゼッタ「・・・これは・・・5000コインか、5000メダルだな。あるいは半分ずつだ」

「え!?そんなに!?」

ゼッタ「ああ。高品質に量もすげぇし、妥当な値段だぞ?」

クルス「そうか。・・・半分ずつもらえるか?」

ゼッタ「ああ!はぁ・・・よかった」

クルス「ん?」

ゼッタ「コインもメダルもそんなに持ってないんだよ」

そういいコインとメダルを2500枚ずつもらった

クルス「商人がそれでいいのか?」

ゼッタ「きょ、今日、偶然なかっただけだ!」

クルス「ふぅ~~ん?」

ゼッタ「なんだよ・・・」

クルス「まぁいい。それより聞きたいことがある」

ゼッタ「聞きたいこと?なんだ?」

クルス「この世界に米はないのか?」

ゼッタ「コメ?なんだそれ?」

クルス「え・・・?」

「え・・・?」

ゼッタ「ん?」

お米を・・・知らない?

「お米ですよ?白米です」

ゼッタ「ハク・・・マイ・・・?」

クルス「・・・じゃあ、パンは?」

ゼッタ「パンは知ってるぞ!」

クルス「知ってるってことはあるんだな?」

ゼッタ「ああ!もちろん!買うのか?」

クルス「そうだな・・・」

ゼッタ「わかった!えっと・・・」

「小麦の種はありますか?」

ゼッタ「小麦の種?ちょっと待てよ・・・」

そういい荷物を漁っていた

ゼッタ「まずはパンな!」

そういいパンを見せてきた

クルス「普通の・・・パン・・・だよな?」

ゼッタ「昔のパンがどうかは知らないが俺はこのパンしか見たことないぞ?」

そこには普通のパン・・・フランスパン?があった

クルス「やわらかいな・・・」

ゼッタ「固いのがいいなら数日置いとけばいいだけだ!」

この世界ではこれが普通なのだろう・・・

ゼッタ「小麦の種は・・・あった!」

そういい種の入った袋を見せてきた

クルス「いくらだ?」

ゼッタ「パンは何日分欲しいんだ?」

クルス「そうだな・・・ひとまず三日分くらいかな」

ゼッタ「なら、パンは700コインかメダルだ!種は200コインかメダルだな!」

クルスさんはコインとメダルを半分ずつ払った

ゼッタ「毎度!」

そしてゼッタさんは工場を出て行った
その時

ゼッタ「あ!いけないいけない!忘れるところだった!」

そういい僕に

ゼッタ「配達だ!」

「え?手紙・・・?」

僕は手紙を受け取った

ゼッタ「おう!狸の女性から頼まれたんだ!」

「あ!もしかしてキャリーさんかも!」

ゼッタ「名前は聞いてないが、お前たちに救われた者だっていえばわかるって」

クルス「間違いないな」

「うん!」

ゼッタ「じゃあ、しっかり渡したからな?」

「はい!ありがとうございます!」

ゼッタ「おう!」

そういうと行ってしまった

「手紙は二通・・・一通はクルスさん宛てだよ!」

僕はクルスさんに渡した

クルス「ありがとう」

そういうとクルスさんは工場に入っていった
僕はその場で手紙を開けて読んだ

ハルトくんへ
元気にしてるかな?
私とクルトは元気です
あれから、しばらくして、私はお仕事を始めました
ネピーさんの紹介で酒場で働いています
大変だけど楽しいお仕事だよ
そっちはどう過ごしてるのかな?
ネピーさんの話では大きな農園を経営しているとか
すごいね!
私じゃ考えられないな・・・と思うよ
この町の食糧で一番人気のトマトとジャガイモはハルトくんのところで作られた物らしいね!
私も初めて見たときは驚いたよ
あんなトマトとジャガイモは見たことがなかったからね
とてもおいしかったよ!
また、食べられる時を楽しみにしてます!
体には気を付けて、クルスさんと仲良く過ごしてください!
もしこちらに来ることがあったら、ぜひ声をかけてね?
待ってるからね!
キャリーとクルトより

そしてその下に小さな手の跡があった

「フフフ。かわいい・・・」

この手の跡はきっとクルトくんのだろうな

「・・・よし!」

僕は小麦の種をもって畑に向かった

「どこに植えようかな・・・」

もう大農場に植えることはできないし・・・

案内ロボット「どうされましたか?」

「あ!ちょうどよかった!これを植えたいんだけど場所がなくて・・・」

案内ロボット「これは・・・小麦ですか?」

「うん。どこかいい場所あるかな?」

案内ロボット「そうですね・・・あそこならちょうど空いてますよ!」

そういい僕は案内ロボットについていった
そこは大農場のすぐ隣のところにあるスペースだった
でも・・・

「これ・・・邪魔だよ?」

そのスペースには車が出入りをするための機械があって植えることはできない

案内ロボット「ええ!ですので、まずはこれを解体してからになります!」

「大変そう・・・それに汚染は大丈夫?」

案内ロボット「もちろん、ハルト様のお手を煩わせたりしません!こちらですべてやりますよ!汚染のことも心配ありません!ここは工場の中ですから!」

そういい周りのロボットたちが機械を解体し始めた

「ありがとう!あと、ここに柵も作らないと・・・」

車の出入り口だから外からも内側からも出入りし放題の状態だ

案内ロボット「わかりました!では、柵もお作りしておきます!完成しましたらお呼びいたしますね!」

「よろしくね!」

他力本願・・・になってしまうが、こればかりは仕方ない・・・
それに大農場をロボットたちに任せている時点で他力本願だし・・・
僕は案内ロボットに種を渡した

案内ロボット「では、ハルト様はごゆっくりしていてください!」

「うん!よろしくね!」

僕は工場に入った

クルス「おう。お帰り。外が騒がしいが・・・何をしてるんだ?」

僕は状況を説明した

クルス「なるほど・・・じゃあ、また屋根を作らないとな!」

「今度は僕も手伝う!」

クルス「危ないからダメだ」

「手伝う!」

クルス「・・・わかった。でも、危ないことはさせるつもりはないからな?」

「やった!」

三時間後くらいたった頃・・・

案内ロボット「ハルト様!土地の準備が整いました!今、種を植えています!」

僕は様子を見に行った
そこには柵もできていて・・・畑のスペースも広くなっていた

「さっきより・・・広くない?」

案内ロボット「ええ!コンクリートを壊し土地を広げました!これで小麦をたくさん生産できますよ!」

柵は周りの柵と同じに作られていて、広げられた土地に種を撒いていた

クルス「お~これはまた・・・すごいな~」

クルスさんは驚いているのか関心しているのかわからない声を出していた

案内ロボット「小麦をお作りになるということはパンをお作りになるのですか?」

「うん!そのつもり!それと売買用も!」

案内ロボット「大変言いにくいのですが・・・ここにはパンを作るための設備がございません・・・」

クルス「まぁ・・・そうだよな。でも、あれって焼くだけだろう?」

案内ロボット「そう簡単ではありませんよ?材料を捏ねて、一次発酵、ベンチタイム、成形、二次発酵、焼成、焼き上がりとちゃんと工程があります。それを一般家庭のキッチンでできるとお思いですか?」

クルス「え・・・っと・・・ごめん・・・途中わけがわからなかった・・・」

「パンを作る工程は一般家庭のキッチンでは無理ってこと?」

案内ロボット「はい。不可能ではありませんが・・・」

クルス「そうか・・・じゃあ、その機械を作るのは?」

案内ロボット「申し訳ありません・・・そういう機械の設計はわかりかねます・・・」

「わからないんだ・・・」

案内ロボット「はい・・・設計図をインストールしてくださればお作りすることが可能かもしれませんが・・・」

クルス「かも?」

案内ロボット「部品が足りなければお作りできないので、不確定な『かも』と申し上げました」

クルス「そうか・・・部品か・・・」

案内ロボット「まだわかりませんが、まずは設計図が必要です」

「・・・ゼッタさんが売ってたりするかな?」

クルス「どうだろうな・・・設計図を欲しがる奴はそうそういないだろうから売ってないかもな・・・」

「でも、探してはくれそうだけど・・・」

クルス「それがモットーって言ってたからな・・・今度来た時に聞いてみるか」

「うん!」

案内ロボット「では、私は他の業務がございますので、これで失礼します!」

クルス「じゃあ、早速屋根を作るか・・・手伝ってくれるんだろう?」

「うん!」

僕とクルスさんは屋根作りを始めた
クルスさんは手早く作っていく僕は材料の運搬や工具の手渡しとかをしていた
そして日が暮れる頃に屋根は完成した・・・
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