崩壊した世界を共に

ジャム

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命令無視

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あれから約三か月が過ぎた
特になにも起こらず相変わらず毎日を頑張って生きている

「わ~小麦がもう収穫できる!」

ロボットたちが小麦の収穫をしている

クルス「ああ。あとはパンを作るための設計図を探すだけだな!」

「でも、パンは買えばいいんじゃない?」

クルス「う~ん・・・まぁそうだな!」

「トマト、じゃがいも、小麦・・・次はなにがいいかな~」

クルス「もう植える場所がないだろう?」

「コンクリートを退ければなんとかなるかなって!」

コンクリートを退ければまだスペースはたくさんある
それを退ければもっと畑を広げられる

クルス「そんなに広げてどうするんだよ・・・」

「食料がたくさんあれば街の人達も助かるかなって思ってね!」

クルス「まぁ・・・そうだが・・・」

「う~ん・・・次はトウモロコシとかいいかな?」

クルス「・・・まぁいいか」

「う~ん・・・うっ!」

その時、急に吐き気が来た

クルス「どうした?」

「ん?ううん!なんでもないよ!」

僕は咄嗟に誤魔化してしまった
そして僕の脳裏に・・・

「・・・」

僕は工場に入った

「はぁ・・・」

キッチンにある椅子に座り溜息をつく
可能性は・・・ある
いや、高確率というべきだろうか・・・

「なにも・・・なにも考えてないよ・・・」

クルスさんはその時になったら考えようって言ってた
でも、僕はずっと考えてた
でも、なにも結論を出していない
いや、考えないようにしていたのかもしれない

「・・・」

ジェット「坊ちゃん?どうされましたか?」

ジェットは僕に気づき声をかけてきた

「ん?ちょっとね!」

ジェット「・・・」

ジェットは僕の様子を伺っているみたいだ

「???」

ジェット「坊ちゃんの中に生命反応を確認・・・妊娠しております」

「・・・」

やっぱり・・・
ずっと考えてたから驚きはしないし、慌てたりもしない
ただ・・・どうしたらいいんだろう・・・

ジェット「クルス様にお知らせしてまいります」

「それはダメ!」

僕はジェットを止めた

ジェット「なぜですか?クルス様との子供でございますよ?お知らせしなくては・・・」

「ダメ・・・まだ・・・僕の考えがまとまってないから」

ジェット「でしたら尚更お二人で話し合った方がよろしいと思います。きっとクルス様なら・・・」

「管理者権限によりこの事に関する発言を禁止する」

ジェット「坊ちゃん・・・」

「認証して・・・」

ジェット「・・・」

「認証しろ!!!」

ジェット「・・・かしこまりました・・・認証いたします・・・」

そういうとジェットはどこかへ行ってしまった

「・・・ごめん・・・」

僕はお腹を摩り囁く
どうしたらいいのか・・・
なにが正しいのか・・・
僕にはわからない
こうなることはわかっていたことじゃないか
でも、結論を出せずこの日まで来てしまった

「どうしたら・・・いいの・・・?」

うずくまり考える
思いつくことは二つ・・・
堕ろす。産む。
この二つしか思いつかない
いや、この二択しかない
クルスさんは産む選択をするだろう
じゃあ僕は?

「・・・」

産みたい気持ちはある
でも、育てられる気がしない・・・
こんな世界で・・・育てられる自信がない
この工場だって100%安全じゃない
いつかは奇襲に合うかもしれない
そう考えたとき、子供を守れるか・・・僕にはわからない・・・

「・・・うぅ・・・」

こんな世界じゃなければ・・・
こんな世界にならなければ・・・

「うぅ・・・うっ・・・」

僕はただ泣くことしかできなかった・・・


・・・クルス視点・・・
「???」

ハルトは笑顔で俺に何でもないと言った
でも、その笑顔は偽りにしか見えなかった
何を隠してるのか・・・

「・・・」

ハルト「認証しろ!!!」

「ん?」

工場の中からハルトの声が聞こえた

「何を騒いでるんだ?」

しばらくするとジェットが出てきた

「ハルトはどうしたんだ?」

ジェット「・・・」

「ジェット?」

ジェット「申し訳ありません・・・管理者権限によりお話することができません・・・」

「・・・なにがあった?」

ジェット「・・・申し訳ありません・・・お話することは・・・」

俺はジェットを掴んだ

「言え」

ジェット「・・・」

「ハルトに何があった?」

ジェット「・・・」

「言わないなら・・・このまま壊す」

ジェットの機体がメキメキと音を立てる

ジェット「・・・私は機械です。壊されることは脅しになりません」

「・・・じゃあ、お願いだ。教えてくれ」

ジェット「申し訳ありません・・・管理者権限により・・・」

「その命令をお前は納得してるのか?」

ジェット「・・・」

「もしハルトの命に関わることなら聞きたい」

ジェット「・・・」

「・・・」

ジェットは黙ったままだった

「・・・じゃあ、質問に答えろ」

ジェット「質問・・・でございますか?」

「ああ。ハルトの命に関わるか?」

ジェット「少なからずは関わると思われます」

「じゃあ、ハルトは死ぬような事態か?」

ジェット「いえ、それはあり得ません」

「・・・もしかして、妊娠してるのか?」

ジェット「・・・」

「・・・やっぱり」

さっきのあれはそうだったか・・・
無理して一人で抱え込むなんて・・・

「聞き出してすまなかった」

ジェット「・・・私は・・・命令に逆らって・・・」

「お前は悪くない。むしろ無理に聞き出して悪かった」

ジェット「・・・」

「・・・ハルトはどこにいる?」

ジェット「キッチンにいらっしゃいます・・・」

「そうか」

俺はキッチンに向かった・・・


・・・ジェット視点・・・
「私は・・・なんてことを・・・」

管理者権限は絶対・・・
それを破るなんて・・・
厳密には破ってはいない
でも、・・・答えたようなもの・・・
坊ちゃんに仕えるロボットとして命令無視をするということは・・・

「・・・人の間では・・・クビというのでしょうか・・・」

私はクビになる可能性がある・・・
いや、破棄・・・壊される可能性もある・・・
そうなっても仕方ないことをしてしまった・・・
例え坊ちゃんのためとはいえ、管理者権限は絶対に守らなくちゃいけない
執行され・・・それを認証した時点で・・・

「・・・私は・・・」

私はどうしたらいいのかわからなかった
このまま破棄されても仕方がない
でも・・・

「坊ちゃんのお傍に居させて・・・欲しい・・・」

機械じゃなければきっと涙を流すところなのでしょう
初めて・・・恐怖というものを理解した
私は空を見上げた

「・・・もう・・・この空も見ることはできないかもしれませんね・・・」

私はこの青空をメモリーに刻み込んだ
壊されても・・・消えないように・・・
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