サバイバルの恋

ジャム

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本編

目覚めたら

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???「お・・き・・おい・・・しっかりしろ!」

「う・・・ん・・・ここ、は?」

誰かに起こされて目を覚ました
僕が目を覚ました場所は知らない広いホールだった
周りにはほかにも人がたくさん寝ている
ざっと見ても50人はいるみたいだ

熊「おお?目ぇ覚ましたか」

僕は声のする方をみたそこには2メートルはあるであろう熊獣人がいた

熊「大丈夫か?」

「え、あ、はい・・・大丈夫です・・・」

熊「そうか。おい、お前もほかのやつら起こすの手伝えよ・・・」

獅子「え、ああ・・・」

何かを考え込んでいる獅子獣人に文句を言う熊獣人

熊「また考えてるのか?それは後でいいだろう・・・」

獅子「でも、こういう時こそ考えないと」

熊「はぁ・・・起きれるか?」

「あ、はい・・・」

熊獣人は僕に手を差し伸べた
僕はその手を取って立ち上がった

熊「すまねぇが、ほかのやつらを起こすのを手伝ってくれねぇか?」

「わ、わかりました・・・」

僕と熊獣人はほかの人たちを起こして回った

「あ、あの・・・起きてください・・・」

犬「ん・・・?だれ?」

「あ、あの・・・お休みのところすみません・・・」

犬「ん?ああ、気にしなくていいよ?それより・・・ここは?」

「わからないです・・・すみません・・・ほかの方を起こすのを手伝ってもらえませんか?」

犬「ああ、いいよ」

そういいながら全員を起こして行った
みんなかなり混乱しているみたいだ
騒ぐ人、泣く人、怒る人・・・すごい状態・・・
それをいさめる人もいない
僕はホールの隅でうずくまっていた

(なにがどうなってるんだろう・・・)

いくら考えてもわからない・・・
それに

(この左手のやつ・・・なんだろう・・・)

特に違和感はないから、行動に支障はなさそうだけど・・・
その時ホールの真ん中に立体映像が流れだした

???「やぁやぁ!みなさん!おはようございます!お元気そうでなによりで!」

「!?」

いきなりのことでみんなが驚いている

???「君たちは選ばれた!このゲームに!」

熊「ゲームだ?」

???「ええ!これは己の命を懸けたゲーム・・・サバイバルなんだよ!」

「「「「「!?」」」」」」

ゲーム???
サバイバル???

???「君たちにはこの『サバイバル島』で生き抜いてもらいます!」

獅子「サバイバル島?」

???「ええ!私が作った島です!」

豹「なにがサバイバルよ!!私たちを返しなさいよ!!」

???「帰りたいのですか?どこへ?」

豹「家よ!!」

???「家?あなたはその『家』を覚えていますか?」

豹「当たり前・・・あれ?」

そういえば、僕の家や家族のことがわからない
思い出せない・・・?

???「思い出せないですよね?」

獅子「なにか・・・しましたね?」

???「察しがいいですね!私があなたたちの記憶を消しました!」

「「「!?」」」

獅子「なぜそのようなことを?」

???「記憶があるとサバイバルに影響が出るかもしれないですからね!」

熊「影響だぁ?」

???「まぁその説明はいいでしょう!君たちには端末を渡してあります。それをまずご覧ください」

端末?

???「左手に巻いてあるのが端末です。」

これが・・・
でも、どうやって使うんだろう・・・

???「使い方は簡単です」

そういうと使い方を丁寧に教えてくれた
端末の画面にはなにかの番号と『調教師』と書かれていた

???「番号は皆さん自身の番号です。IDですね!その隣に書かれているのはあなたの特殊技能です」

獅子「特殊技能?」

???「ええ!皆さんの『才能』とでもいえる能力です!」

才能・・・技能・・・
もう訳がわからない・・・

???「あ、ちなみに、その端末の映像は他人には見えないのでご安心を!」

虎獣人「ふざけるな!!こんなもの!」

???「あ!それはやめておいたほうが・・・」

映像の人物が止めたけど、虎獣人は端末を手首から外した
その瞬間

虎獣人「うっ!ぐがっ!」

虎獣人は苦しみ始めた
そしてそのまま倒れた

獅子「!?」

獅子獣人は虎獣人に駆け寄り首に指を当てた

獅子「・・・死んでる・・・」

いたるところから悲鳴が聞こえる
僕も怖くなり泣き出してしまった

???「あの・・・聞いて・・・」

悲鳴で映像の人物の声をだれも聞かない
いや、聞こえていない

???「あの!!!!聞いてください!!」

大音量の声に周りが静かになる

???「話が進まないから聞いてください・・・」

そういうと咳払いをして説明の続きをした

???「端末を外すと死亡するんですよ・・・全部説明する前に変なことするから・・・」

そういいため息をつく映像の人物

???「まぁいいですけど・・・もう死んじゃいましたし・・・」

犬「そんな・・・軽くないですか?」

???「遅かれ早かれ人は死ぬ。その人はここまでってことです」

もう誰も何も言葉がでないみたいだ
みんなが沈黙する

???「じゃ!気を取り直して説明しますね!次はこの島のことを教えますね!」

そういうと外と思わしき映像が周りの壁に映し出された
そこには古代に滅んだはずの恐竜が映し出されていた

「これ・・・」

???「それは古代の生き物・・・『恐竜』です。この島に生息しています。」

豹「!?こんな生物が生息している島で生き残れってこと!?」

???「はい!頑張って生き残ってくださいね?」

熊「ふざけるな!!」

???「ふざけてないですよ?本気ですよ?」

熊「・・・狂ってるな・・・」

???「お褒めの言葉をありがとうございます!」

熊「褒めてねぇよ!!」

???「さて島はこんな感じなので頑張ってくださいね!それじゃあ、次は特殊技能に関して・・・」

と、技能の種類とか能力に関しての説明をしてくれた

???「そして最後に『調教師』ですね。今回、初めて現れた技能で私も驚いています!」

獅子「今回?何度もこのようなことを?」

???「ん?もちろん!これはゲームだからね!何度もやっていますよ?」

この人にとって人の命はゲームなんだ・・・

???「話を戻しますが、そこの唯一の『人間』が珍しい技能『調教師』を保有しています。」

みんながこちらを見てくる
僕は端っこでうずくまっている

???「この技能は動物に関する知識が豊富な能力ですね!手なずけ方も知ってますし」

熊「手なずけ方?」

???「はい!外にいる生き物を手なずけることができる人物ってことですね!」

獅子「ほかの人にはできないのですか?」

???「そうですね。ほかの人には不可能でしょう・・・」

僕・・・そんな技能なんだ・・・

???「試しに・・・」

と、僕の目の前に恐竜が上から飛び降りてきた

「「「!?」」」

みんな驚き恐竜から離れていく
僕も驚いたがこれ以上後ろに下がることはできない

恐竜「グルルルル」

???「この恐竜の名前はわかりますか?」

「・・・ヴェ、ヴェロキラプトル・・・肉食で集団行動で狩りを行う賢い恐竜です・・・」

???「正解!さすが『調教師』!」

そしてラプトルは消えた
僕は安心して泣いてしまった

???「ハハハ!泣かせてしまったね!」

「うぅ・・・」

???「まぁ今のは映像だから大丈夫!でも、外のラプトルは本物だからね?」

今のが映像・・・映像でもかなり怖かった・・・

???「さて、説明も終わったから、そろそろ外へ行ってもらおうかな?」

「「「!?」」」

その時ホールの壁の一部が開き、光輝いている

???「それはゲートです。そこをくぐるともう外です。一回出たらもうここへは帰って来れません。」

獅子「ここに留まることは?」

???「してもいいですが、食料などはないのでいずれ死にますよ?」

獅子「・・・」

???「どういう風に死ぬか決めるのはあなたたち次第ですね。ここにいる間なら私が質問に答えますよ。外に出たら私とは話せなくなります。」

獅子「ではいいですか?」

???「どうぞ?」

獅子「あなたの名前は?」

???「神です!」

熊「神だぁ?」

神「ええ!この島を作り、生物を生み出した神です!」

神?
なにを・・・?

サイ獣人「・・・俺は行くぜ!」

「「「!?」」」

サイ獣人「ここに居てもしかたねぇ・・・なら行くしかねぇだろう!」

そういうとサイ獣人はゲートをくぐった

「・・・」

それに続いて次々と獣人たちがゲートをくぐって行った
残ったのは僕を含めて6人・・・

神「君たちは行かないのですか?」

「「「・・・」」」

神「いつまでもいて構いませんが、面白くないですね~」

熊「・・・面白いだぁ?」

神「ゲームは楽しむためにあるんですよ!」

こんなの・・・ゲームでもなんでもない・・・
ただの殺戮だ・・・

熊「獅子丸・・・どうする?」

獅子丸「・・・とりあえず自己紹介でもしますか・・・」

と、みんなで自己紹介とIDの交換をした

熊井「ひとまずIDも交換したし、これでお互いの位置はわかるんだろう?」

神「はい。協力するかはあなたたち次第ですが・・・」

獅子丸「・・・」

獅子丸さんは何かを考えている

獅子丸「あの、技能に関してなんですが・・・」

神「はいはい?」

獅子丸「彼・・・一ノ瀬くんの能力で飼いならした動物を他人に譲ることは可能なんですか?」

神「可能ですね。本人がそれを承諾すればですが」

獅子丸「では、俺のような能力の知識を他人に共有することは可能ですか?」

神「可能です。ただ、実際に作れるのは本人のみになります」

獅子丸「と、いうことは、知識は共有できるが、技術は共有できないと・・・?」

神「そういうことになります。」

豹方「じゃあ、私みたいな知識だけの技能の人って不利じゃん!」

神「そうですか?どんなに知識を共有してもわからない人はわからないんですよ?」

獅子丸「なるほど・・・では、生き残るためには弱点を補っていける相手と組んで行動するのがよさそうですね・・・」

神「まぁそこは自由ですが・・・」

獅子丸「でしたら、ここにいる6人で協力して生き残るのがいいと思うんですが・・・」

熊井「俺もその意見には賛成だ・・・外の状態がわからない以上、お互いに協力し合うのがいいだろう・・・」

犬井「そうですね・・・特に熊井さんの能力は頼りになりそうですし・・・」

豹方「そうね・・・私たちの能力は戦闘向きではないし・・・ね?」

猫里「うん・・・」

「・・・」

熊井「お前はどうする?」

「え・・・」

熊井「俺たちと一緒に行動するか?」

「・・・どうしよう・・・」

獅子丸「とりあえず一緒に行動しよう。嫌になったら離れればいいわけだし」

「・・・わかりました」

それを聞いて熊井さんが手を差し出してきた
僕は一瞬躊躇するがその手を取った

神「じゃ、がんばってね!あ、そうだ!」

熊井「まだなにかあるのかよ」

神「多分、この中で一番強いのは一ノ瀬くんだと思いますよw」

獅子丸「確かに・・・肉食動物を手なずけたら、すごい戦力になる・・・」

「でも、飼育が大変ですよ・・・」

熊井「その知識もあんのか?」

「はい・・・」

獅子丸「なら、それを補えれば・・・」

「まぁ・・・そうですね」

神「その分、デメリットもあるけどね・・・」

獅子丸「デメリット?」

神「それはそのうちわかりますよ!」

獅子丸「・・・」

熊井「とにかく、行こうぜ!ここでうだうだしてても仕方ない!」

獅子丸「ああ。外で安全な場所を探して、生活していかないと・・・」

そういうと僕たちはゲートの前に立った

熊井「覚悟はいいか?」

みんなが頷く

「・・・」

熊井「大丈夫だ!守ってやるから!」

そういい僕の頭を撫でてきた

「・・・はい」

そして僕たちはゲートをくぐった・・・
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