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ep7.【彼方の独白】
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【彼方の独白】
今から約五十年前。
俺は大学を卒業した。
当時、大学を出ればエリート。
人生勝組と呼ばれる程だった。
卒業前、それは自分に必ずいい方向に向かうとそう思ってきた。
しかし、それはあまりにも過酷で、無知で、残酷な思いだった。
世に出て、大卒なんてものは単なる経歴。
実際、世で見られることは“仕事ができる事”だ。
そして、“いかに上司に苦労をさせないか”だ。
そうして、実際にこの目で見て、耳で聞いて、肌で感じ、絶望をした。
こんな姿、親や友達に見せることはできないと。
高い学費を払って、勉強一筋で大学に行き、その先の未来がこれだ。
エリート確定だの、人生勝組だの、考えが甘すぎた。
世の中の綺麗な所しか見えていなかったのだ。
乾いた笑みが溢れる。
そして、職場に、世の中に、未来に、過去に、現在に・・・そして自分自身に絶望した。
屋上のフェンスを越えようとした。
しかし、そこから一歩を踏み出す勇気もないほどに落ちぶれた自分が、更に嫌になり、金も、居場所も、すべてを捨ててこの見ず知らずの自然で溢れているこの土地を足で踏みしめた。
それが約二十五年前だ。
この土地の人たちは優しかった・・・否、優しすぎた。
その優しさは俺の心を癒やし、変えるには十分すぎた。
そして、俺を変えてくれたこの土地の人たちに恩返しをしたい。
そこで俺はこの作業着を着た。
この土地は小さいので、一人で家一つ一つを回れる。
だから主に電気工事を受け持つ仕事を始めた。
ここにはコンビニがなく、店は小さな店だけ。
そこにはこの地域で採れた野菜やちょっとしたジュースなどしか売っていない。
それに、安いので、そこまでの給料は要らなかった。
だから、金額は他の人から見れば破格だろう。
それだけ安いのだ。
そして、その値段はこの地域の人にも、自分にとっても良い方向に向かった。
この地域の人たちは安い値段で電気を使え、俺は給料に、縛られることが無くなった。
勿論、大変な事もあるが、あの頃よりも良い生活は出来ているだろう。
勿論、その“良い生活”と言うものは、お金が多くて、高い土地に住んで・・・なんて物じゃなく、お金に縛られず、良い土地に住む事である。
今から約五十年前。
俺は大学を卒業した。
当時、大学を出ればエリート。
人生勝組と呼ばれる程だった。
卒業前、それは自分に必ずいい方向に向かうとそう思ってきた。
しかし、それはあまりにも過酷で、無知で、残酷な思いだった。
世に出て、大卒なんてものは単なる経歴。
実際、世で見られることは“仕事ができる事”だ。
そして、“いかに上司に苦労をさせないか”だ。
そうして、実際にこの目で見て、耳で聞いて、肌で感じ、絶望をした。
こんな姿、親や友達に見せることはできないと。
高い学費を払って、勉強一筋で大学に行き、その先の未来がこれだ。
エリート確定だの、人生勝組だの、考えが甘すぎた。
世の中の綺麗な所しか見えていなかったのだ。
乾いた笑みが溢れる。
そして、職場に、世の中に、未来に、過去に、現在に・・・そして自分自身に絶望した。
屋上のフェンスを越えようとした。
しかし、そこから一歩を踏み出す勇気もないほどに落ちぶれた自分が、更に嫌になり、金も、居場所も、すべてを捨ててこの見ず知らずの自然で溢れているこの土地を足で踏みしめた。
それが約二十五年前だ。
この土地の人たちは優しかった・・・否、優しすぎた。
その優しさは俺の心を癒やし、変えるには十分すぎた。
そして、俺を変えてくれたこの土地の人たちに恩返しをしたい。
そこで俺はこの作業着を着た。
この土地は小さいので、一人で家一つ一つを回れる。
だから主に電気工事を受け持つ仕事を始めた。
ここにはコンビニがなく、店は小さな店だけ。
そこにはこの地域で採れた野菜やちょっとしたジュースなどしか売っていない。
それに、安いので、そこまでの給料は要らなかった。
だから、金額は他の人から見れば破格だろう。
それだけ安いのだ。
そして、その値段はこの地域の人にも、自分にとっても良い方向に向かった。
この地域の人たちは安い値段で電気を使え、俺は給料に、縛られることが無くなった。
勿論、大変な事もあるが、あの頃よりも良い生活は出来ているだろう。
勿論、その“良い生活”と言うものは、お金が多くて、高い土地に住んで・・・なんて物じゃなく、お金に縛られず、良い土地に住む事である。
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