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5 聖地、独立国家
アルスター 51
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さっきまで日の光が射し込んでいたのに、もう日の光は姿を消していた。でも、暗さは一切感じられない。町は目が眩むような光で満たされていた。
「すごいな……」
エルフの国でみた幻想的な風景とはまた違うのだが、この景色も僕には十分幻想的だった。
「私の国だって夜でも明るいわよ」
「確かにそうだけど……」
明かりの質が違う。エルフの国ではほんのりとした優しい明るさだが、この町の明かりは太陽の代わりのような安心感のある強い光だ。だから、どちらが優れているというわけではない。どちらも素晴らしいのだが、そう言う話ではないのだろう。
「それより、どこに行こうか」
いろいろな建物があって目移りしてしまうが、どれが何のお店なのかも分からない。
「とりあえず、近場を見ましょう。荷馬車で遠くに行ってもいいけど、心配されたくはないし」
「そうだね」
メリルの意見に同意して、近場を見て回ることにした。
「それにしても大きな渓谷だよね……」
上から覗けば、恐怖で足が竦みそうだ。
「何というか、大自然に抱かれて生きているって感じだね」
「自然なら私の国の方が……木々だってたくさんあるし、ここよりも空気は綺麗だったはず。それに、エルフは大木をくり抜いて家にするから自然に抱かれている感覚なら私の国の方が絶対にいいはずよ」
「う、うん……そうだね」
ものすごい過剰に自分の国を推してくる。
元とはいえ、メリルはエルフの王。やっぱり、他の国より自分の国の方が優れていなければ気が済まないのだろうか。
「エルフの国だってすごいんだからね! 時間もなかったから今みたいに観光なんてことできなかったけど、まだ見れてないいいところもいっぱいあるんだから!」
「大丈夫。分かっているから」
「本当に?」
「本当だって」
こんな僕に意地なんて張らなくていいのにと思うのだが、意地を張らずにはいられないのだろう。
「そうだ! このいざこざが終わったら、私の国に来なさいよ。いろいろ、案内してあげるから。おいしいものだって、たくさん教えてあげる」
「それは……」
妖精女王からのお誘い。断るなんて、当然、失礼なのだが、僕みたいな王でもなければ貴族でもなく家名もない人間が妖精女王のお誘いを受けたりしていいんだろうか。
「……嫌?」
「違う違う。楽しみにしているよ」
まだ先のことだし、僕の感情以外のことは後回しにしてしまおう。
「すごいな……」
エルフの国でみた幻想的な風景とはまた違うのだが、この景色も僕には十分幻想的だった。
「私の国だって夜でも明るいわよ」
「確かにそうだけど……」
明かりの質が違う。エルフの国ではほんのりとした優しい明るさだが、この町の明かりは太陽の代わりのような安心感のある強い光だ。だから、どちらが優れているというわけではない。どちらも素晴らしいのだが、そう言う話ではないのだろう。
「それより、どこに行こうか」
いろいろな建物があって目移りしてしまうが、どれが何のお店なのかも分からない。
「とりあえず、近場を見ましょう。荷馬車で遠くに行ってもいいけど、心配されたくはないし」
「そうだね」
メリルの意見に同意して、近場を見て回ることにした。
「それにしても大きな渓谷だよね……」
上から覗けば、恐怖で足が竦みそうだ。
「何というか、大自然に抱かれて生きているって感じだね」
「自然なら私の国の方が……木々だってたくさんあるし、ここよりも空気は綺麗だったはず。それに、エルフは大木をくり抜いて家にするから自然に抱かれている感覚なら私の国の方が絶対にいいはずよ」
「う、うん……そうだね」
ものすごい過剰に自分の国を推してくる。
元とはいえ、メリルはエルフの王。やっぱり、他の国より自分の国の方が優れていなければ気が済まないのだろうか。
「エルフの国だってすごいんだからね! 時間もなかったから今みたいに観光なんてことできなかったけど、まだ見れてないいいところもいっぱいあるんだから!」
「大丈夫。分かっているから」
「本当に?」
「本当だって」
こんな僕に意地なんて張らなくていいのにと思うのだが、意地を張らずにはいられないのだろう。
「そうだ! このいざこざが終わったら、私の国に来なさいよ。いろいろ、案内してあげるから。おいしいものだって、たくさん教えてあげる」
「それは……」
妖精女王からのお誘い。断るなんて、当然、失礼なのだが、僕みたいな王でもなければ貴族でもなく家名もない人間が妖精女王のお誘いを受けたりしていいんだろうか。
「……嫌?」
「違う違う。楽しみにしているよ」
まだ先のことだし、僕の感情以外のことは後回しにしてしまおう。
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