オートマーズ

小森 輝

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2章 聞きなれない部活

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 久遠はもちろん、一緒にご飯を食べていた友達やクラスにいる男子生徒たちからも囃されながら、私は教室から出ました。
「あれ……君は……」
 そこにいたのは、昨日の下校中に自転車で転けていたあの男子生徒でした。
「よかった。学食だったらどうしようかと思っていたんだよ」
 どうやら、この男子生徒は私がいるかどうかも分からないまま教室に訪ねて来たようです。もし私がいなければ、無駄足になっていたということです。自転車で転けたことといい、この男子生徒はおっちょこちょいなのかもしれません。
「それで、私になにか用?」
「話があるんだ。そんなに時間はとらせないから」
 その返事を聞いて、私の後ろから色めき立つ声がわき上がりました。ちらりと後ろを盗み見ると、数人のクラスメイトが覗き見までしているではありませんか。彼氏ができたら自慢するとはいっても、こんな衆目の面前で愛の告白を受けるのは恥ずかしいです。
「その前に、場所を変えない?」
「俺は別にここでもいいんだけど……まあ、場所なんてどこでもいいし。都合のいい場所まで案内してくれるか?」
「う、うん」
 クラスの友達でフラッシュモブなんかを仕込んでいたのなら空気が読めていない発言になっていたのですが、どうやらそう言うわけでもないようです。移動している時も焦った様子はありません。
 むしろ、焦っているのは私の方です。
 もしかしたら告白かもしれないと自意識過剰に考えていますが、そうなると少し面倒です。告白をするのが大変だということは分かっているのですが、それを振るというのも気を使うので大変です。確かに、彼は顔はいいですけれど、おっちょこちょいですし、それに、身長が……。
 彼の身長は私より少し高い程度です。おそらく170cmもないでしょう。165……いえ、163でしょうか。たぶん、身長順で並んだら文句なしでクラスの先頭でしょう。正直に言って、私のタイプではありません。
「えっと……この辺でいいんじゃないか?」
「えっ……あぁ……」
 呼び止められて、やっと足を止めました。
 気づけば、人気のない体育館前の廊下まで来ていました。声をかけられていなかったら、危うく体育館に入っていくところです。
「そんなに長い話でもないし、人に聞かれて困るようなことでもないからそんなに気を使わなくても……」
「そういうわけには……」
 そっちはいいかもしれませんが、こっちにだって気を使ってほしいものです。
 しかし、それももう今更な感じがします。
「焦れったいし、ここでいいだろ? この前、会ったときに話し忘れたことなんだけどさ」
 ついに、話し始めてしまいました。
 私も心の準備をしなければなりません。
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