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2章 聞きなれない部活
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生煮えのドロドロとした気分で教室に帰ってきた私ですが、クラスメイトは熱々のグラタンのようでした。
「……何?」
私が帰ってきた途端、まるで魔王を倒した勇者の凱旋のように盛り上がり、中には指笛を披露している人もいました。特に男子のもてはやし方は気持ち悪いほどです。それだけ、高校生という生き物は色恋沙汰には飢えているということなのでしょう。ただ、残念なことに、色恋沙汰ではなく、ただの部活勧誘たったのですが。私同様、みんな勘違いしていたのでしょう。むしろ、これが正常な思考なのです。男子が女子を呼び出すということはそう言うことなのです。それなのに、あの男子生徒は……。
「ヒーローヒーロー! 早くこっちに来なよ!」
ヒューヒューと言葉の風が嵐のように吹き荒れる中を進んで、自分の席まで戻ってきました。
少し待っていてくれたのか、久遠や他の人たちのお弁当の減りは少ないです。
ただ、変化はそれだけではありません。
私の友達の顔がにやついています。彼女らも例外ではないと言うことです。
「ついにヒーローもヒロインになるときが来たのか……」
久遠がよく分からないことをしみじみといった様子で言っています。
「……どういうこと?」
「そのまんまの意味だよ。恋するヒロイン。いいねぇ」
そう言われて、ようやく意味が分かりました。
久遠は、告白されただけでなく、私とあの男子生徒が付き合いだしたのだと思っているようです。
「ち、違うからね! 付き合ったりとか、そう言うことじゃないから!」
「ってことは、もしかしてふったの!?」
その久遠の勘違いが他の友達にまで瞬時に感染してしまいました。
「あの人って、2組の彦君だよね? 何でふっちゃったの?」
「彦君って、中間試験で上位だった人でしょ? 性格もイケメンだって聞くし、結構人気ある人だよ?」
ほぼ初対面ですし、噂なんて初めて知りました。そして、名前も初めて知りました。彼の名前は彦と言うようです。しかも、中間試験で上位だったということは、かなり頭がいいようです。性格もよくて頭もいい。ですが、身長が……。
そう悩んだ私ですが、すぐに誤解を解くほうへと思考を切り替えました。
「そうじゃなくて、呼ばれたのは、ただの部活勧誘の話だったの!」
私がそう言うと、誤解は解けたようなのですが、それと同時に魔法が解けたように久遠たちの顔から生気が抜けていきました。
「二人とも身長同じぐらいでお似合いだと思ったのに……。ただの部活勧誘だなんてなぁ……」
みんながっかりしていますが、決して私のせいではないはずです。
「それで、ヒーローは行くの?」
「うぅん……。こんな遅れて新入部員っていうのもね……」
もうすぐ夏休みです。その前に期末試験もあるのですが……。ただ、もう新入生とは呼べないほど高校生活に慣れてきています。それは部活動でも同じです。もう今のメンバーで仲間意識が強く結ばれているでしょう。そこに遅れて私が入り込むなんて、想像するだけで心が折れそうです。
「……何?」
私が帰ってきた途端、まるで魔王を倒した勇者の凱旋のように盛り上がり、中には指笛を披露している人もいました。特に男子のもてはやし方は気持ち悪いほどです。それだけ、高校生という生き物は色恋沙汰には飢えているということなのでしょう。ただ、残念なことに、色恋沙汰ではなく、ただの部活勧誘たったのですが。私同様、みんな勘違いしていたのでしょう。むしろ、これが正常な思考なのです。男子が女子を呼び出すということはそう言うことなのです。それなのに、あの男子生徒は……。
「ヒーローヒーロー! 早くこっちに来なよ!」
ヒューヒューと言葉の風が嵐のように吹き荒れる中を進んで、自分の席まで戻ってきました。
少し待っていてくれたのか、久遠や他の人たちのお弁当の減りは少ないです。
ただ、変化はそれだけではありません。
私の友達の顔がにやついています。彼女らも例外ではないと言うことです。
「ついにヒーローもヒロインになるときが来たのか……」
久遠がよく分からないことをしみじみといった様子で言っています。
「……どういうこと?」
「そのまんまの意味だよ。恋するヒロイン。いいねぇ」
そう言われて、ようやく意味が分かりました。
久遠は、告白されただけでなく、私とあの男子生徒が付き合いだしたのだと思っているようです。
「ち、違うからね! 付き合ったりとか、そう言うことじゃないから!」
「ってことは、もしかしてふったの!?」
その久遠の勘違いが他の友達にまで瞬時に感染してしまいました。
「あの人って、2組の彦君だよね? 何でふっちゃったの?」
「彦君って、中間試験で上位だった人でしょ? 性格もイケメンだって聞くし、結構人気ある人だよ?」
ほぼ初対面ですし、噂なんて初めて知りました。そして、名前も初めて知りました。彼の名前は彦と言うようです。しかも、中間試験で上位だったということは、かなり頭がいいようです。性格もよくて頭もいい。ですが、身長が……。
そう悩んだ私ですが、すぐに誤解を解くほうへと思考を切り替えました。
「そうじゃなくて、呼ばれたのは、ただの部活勧誘の話だったの!」
私がそう言うと、誤解は解けたようなのですが、それと同時に魔法が解けたように久遠たちの顔から生気が抜けていきました。
「二人とも身長同じぐらいでお似合いだと思ったのに……。ただの部活勧誘だなんてなぁ……」
みんながっかりしていますが、決して私のせいではないはずです。
「それで、ヒーローは行くの?」
「うぅん……。こんな遅れて新入部員っていうのもね……」
もうすぐ夏休みです。その前に期末試験もあるのですが……。ただ、もう新入生とは呼べないほど高校生活に慣れてきています。それは部活動でも同じです。もう今のメンバーで仲間意識が強く結ばれているでしょう。そこに遅れて私が入り込むなんて、想像するだけで心が折れそうです。
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