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2章 聞きなれない部活
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「気持ちは分かるけどね。でも、ヒーローが迷ってるってことは運動部じゃないんでしょ?」
「それは……」
運動神経がないという程ではありませんが、小学校中学校と運動してこなかった私が、いきなり高校生になって運動部に入るとは思っていないのでしょう。それは私も同意なのですが……。
「え? なに? もしかして運動部に勧誘されてるの?」
「それが……まだ分かんなくて……。何部なのかとか全然説明されてないから……」
「そっか……。そういえば、彦君って何部だったっけ?」
そう聞いた久遠でしたが、答えてくれる人はいません。
「人気だって言ってたのに、誰も知らないの?」
「そう言う久遠だって知らないじゃない」
「まあ、そうなんだけど……」
久遠はばつが悪そうにしています。そのため、何かひねり出そうとしているようです。
「なんだっけ? 何か配ってるのを見たんだよね。宇宙のなんかを……こう……なんかやってるって聞いたけど」
「宇宙……」
そう言えば、昨日もらったプリントに地球ではないどこかの惑星の写真が描かれていました。もしかしたら、あれがヒントだったのかもしれません。
そう思い立って、私はバッグの中を漁り始めます。
「確か、入れっぱなしだったはず…………あった!」
「そうそう、これこれ! って、なんで破れて半分なの?」
「昨日、引っ張り出した時に破っちゃって……」
取り出したプリントは半分に破れています。自然にくっつくなんてことはないので、仕方ありませんが。ただ、もう半分あるはずなのですが、それがなかなか見つかりません。一緒に入れておいたままだったはずなのですが、どこへ行ってしまったのでしょうか。
そうやって探している内に、久遠たちは上半分を読み終わってしまったようです。仕方ないので、下半分を探すのは諦めました。
「これと部活のことって関係あるの?」
「関係あるって……ここにClubって書いてあるじゃんか」
「流石にそれぐらいは分かるよ」
「じゃあ、他のUnited Nations Marsって言うのは?」
「そ、それは……」
久遠からわざとらしく目を逸らしました。
私の学力ではクラブを読むので精一杯です。
「United Nationsっていうのは国連のことで、Marsは火星のこと。だから、国連火星部……かな? 違ったような気がするけど……。あぁ、たぶん、さっき話してた火星探査部のことじゃないかな?」
「へぇ……」
火星探査部と言われてもピンときませんし、国連火星部と言うのも、よく分かりません。国連ということは国が絡んでくると言うことでしょうか。
「たぶん、詳しい説明は下に書いてあったと思うんだけど。なんて書いてあったの?」
「何だったっけ? 忘れちゃったなぁ」
人気の男子生徒から貰ったプリントを破った上に読みもしていないなんて、口が裂けても言えませんでした。
「そっか……。でも、まあ、後で行ってみて聞けばいいんじゃない?」
久遠はそう気軽に言いますが、私は不安でいっぱいです。
「大丈夫かな……。私、運動とかできないのに……」
「外で何かをやってるって感じじゃないから大丈夫じゃない?」
運動系の部活ではないようですが、それ以外にも不安なことはあります。
「国連とかすごい名前も出てきたし……」
「そうだけど……。でも、逆に国連なんて名前がついているぐらいだし、内申点はいいんじゃない? もしかしたら、大学に推薦で入学なんてことだってあるかもよ?」
推薦という言葉は中学生の時にも聞いたことがあります。なんでも、成績優秀者は入試試験を受けないで入学できるのだとか。それほど学力がよくない私には無関係な話だと思っていましたが、まさかそんなお誘いを受けていたなんて思いませんでした。俄然、興味が沸いてきます。勉強が好きな高校生なんているはずがありませんから。
「とりあえず、見学にでも行ってみたら? まだまだ先だけど、1年生の時点で大学入試を意識するのはいいことだと思うよ?」
「そうだよね……」
自分の成績を考えると、このままではいけないと言う漠然な不安は抱いていました。もしかしたら、ここが変わるタイミングなのかもしれません。
「それは……」
運動神経がないという程ではありませんが、小学校中学校と運動してこなかった私が、いきなり高校生になって運動部に入るとは思っていないのでしょう。それは私も同意なのですが……。
「え? なに? もしかして運動部に勧誘されてるの?」
「それが……まだ分かんなくて……。何部なのかとか全然説明されてないから……」
「そっか……。そういえば、彦君って何部だったっけ?」
そう聞いた久遠でしたが、答えてくれる人はいません。
「人気だって言ってたのに、誰も知らないの?」
「そう言う久遠だって知らないじゃない」
「まあ、そうなんだけど……」
久遠はばつが悪そうにしています。そのため、何かひねり出そうとしているようです。
「なんだっけ? 何か配ってるのを見たんだよね。宇宙のなんかを……こう……なんかやってるって聞いたけど」
「宇宙……」
そう言えば、昨日もらったプリントに地球ではないどこかの惑星の写真が描かれていました。もしかしたら、あれがヒントだったのかもしれません。
そう思い立って、私はバッグの中を漁り始めます。
「確か、入れっぱなしだったはず…………あった!」
「そうそう、これこれ! って、なんで破れて半分なの?」
「昨日、引っ張り出した時に破っちゃって……」
取り出したプリントは半分に破れています。自然にくっつくなんてことはないので、仕方ありませんが。ただ、もう半分あるはずなのですが、それがなかなか見つかりません。一緒に入れておいたままだったはずなのですが、どこへ行ってしまったのでしょうか。
そうやって探している内に、久遠たちは上半分を読み終わってしまったようです。仕方ないので、下半分を探すのは諦めました。
「これと部活のことって関係あるの?」
「関係あるって……ここにClubって書いてあるじゃんか」
「流石にそれぐらいは分かるよ」
「じゃあ、他のUnited Nations Marsって言うのは?」
「そ、それは……」
久遠からわざとらしく目を逸らしました。
私の学力ではクラブを読むので精一杯です。
「United Nationsっていうのは国連のことで、Marsは火星のこと。だから、国連火星部……かな? 違ったような気がするけど……。あぁ、たぶん、さっき話してた火星探査部のことじゃないかな?」
「へぇ……」
火星探査部と言われてもピンときませんし、国連火星部と言うのも、よく分かりません。国連ということは国が絡んでくると言うことでしょうか。
「たぶん、詳しい説明は下に書いてあったと思うんだけど。なんて書いてあったの?」
「何だったっけ? 忘れちゃったなぁ」
人気の男子生徒から貰ったプリントを破った上に読みもしていないなんて、口が裂けても言えませんでした。
「そっか……。でも、まあ、後で行ってみて聞けばいいんじゃない?」
久遠はそう気軽に言いますが、私は不安でいっぱいです。
「大丈夫かな……。私、運動とかできないのに……」
「外で何かをやってるって感じじゃないから大丈夫じゃない?」
運動系の部活ではないようですが、それ以外にも不安なことはあります。
「国連とかすごい名前も出てきたし……」
「そうだけど……。でも、逆に国連なんて名前がついているぐらいだし、内申点はいいんじゃない? もしかしたら、大学に推薦で入学なんてことだってあるかもよ?」
推薦という言葉は中学生の時にも聞いたことがあります。なんでも、成績優秀者は入試試験を受けないで入学できるのだとか。それほど学力がよくない私には無関係な話だと思っていましたが、まさかそんなお誘いを受けていたなんて思いませんでした。俄然、興味が沸いてきます。勉強が好きな高校生なんているはずがありませんから。
「とりあえず、見学にでも行ってみたら? まだまだ先だけど、1年生の時点で大学入試を意識するのはいいことだと思うよ?」
「そうだよね……」
自分の成績を考えると、このままではいけないと言う漠然な不安は抱いていました。もしかしたら、ここが変わるタイミングなのかもしれません。
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