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3章 唐突な旅立ち
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「あのな、人口の増加が原因で地球の寿命も人類滅亡への時間も縮まってきているんだよ。あと100年もしないうちに全人類が地球上で暮らすことが不可能になるって話だ。これぐらいは小学校とか中学校の社会で習ったはずだぞ」
「習った……かな?」
高校の勉強が大変すぎて小学校や中学校までの勉強の記憶が抜け落ちてしまったのかもしれません。
「でも、それなら人口増加を止めればいいんじゃ?」
「それが出来たら何十年も苦労してねえよ」
「そうだよね……」
どうやら、私の足りない知識で気づいたことは間違いだらけのようです。これからは気づいても言葉にするのは気をつけることにしましょう。覚えていれば、の話ですが。
「口を挟んで悪いんですけど、問題は人口の増加だけではありませんよ。二酸化炭素の増加による地球温暖化も地球の寿命を縮めています。どの国も二酸化炭素の削減には取り組んではいるけれど、今の社会では0には出来ない。そういった数々の問題で、近い将来、全人類が地球に住むことが出来なくなる。だから、地球とは別に住む場所が必要なんです」
「なるほど、分かりました! そこで火星なんですね!」
「正解です」
大葉部長がにこやかに笑ってくれました。これには女性である私もドキリとせずにはいられません。
そんな私に嫉妬したのか、彦君が無駄に言葉を付け加えてきました。
「まあ、地球以外の居住スペースとして、巨大な宇宙ステーションを作るっていうプランもあるみたいだけどな」
「鷲斗君が言うように、そういうプランはありますけど、残念ながら費用面でまだ実行には移されていません……」
彦君の言葉に大葉部長は明らかな愛想笑いを浮かべています。こんな美人な部長を困らせるなんて、彦君の恋路はまだまだ長そうです。
「あの……。地球から火星に移住しようっていうのは分かったんですけど、それが火星探査部とどういう関係があるんですか?」
「火星探査部はその名の通り、火星を探査する部活です。今のままでは火星に移り住むことは出来ませんからね。そのための火星探査部です。ちなみに国からの認可もありますよ」
国連という言葉を聞いていましたが、やっぱり国が絡んでいるようです。
しかし、そんな機密事項みたいなことをただの見学者である私が聞いてもいいのでしょうか。あとから口封じで殺されるなんて物騒なことはないと信じたいです。
「すごい部活っていうのは分かったんですけど、火星を探査するっていうのはロボットかなんかですか? 私、あんまり機械には詳しくなくて……」
おそらく、部室にある機械たちから火星探査機を操作したりするのでしょう。
そう思っていたのですが、少し違うようです。
「大丈夫ですよ。機械の知識はほとんどいりません。だって、実際に火星に行って調査するんですから」
「火星に行くって……。まさか、ロケットとかでですか?」
「それはですね……」
これから重要な説明が始まるという時に、空気の読めない扉が大きな音と共に開きました。
「習った……かな?」
高校の勉強が大変すぎて小学校や中学校までの勉強の記憶が抜け落ちてしまったのかもしれません。
「でも、それなら人口増加を止めればいいんじゃ?」
「それが出来たら何十年も苦労してねえよ」
「そうだよね……」
どうやら、私の足りない知識で気づいたことは間違いだらけのようです。これからは気づいても言葉にするのは気をつけることにしましょう。覚えていれば、の話ですが。
「口を挟んで悪いんですけど、問題は人口の増加だけではありませんよ。二酸化炭素の増加による地球温暖化も地球の寿命を縮めています。どの国も二酸化炭素の削減には取り組んではいるけれど、今の社会では0には出来ない。そういった数々の問題で、近い将来、全人類が地球に住むことが出来なくなる。だから、地球とは別に住む場所が必要なんです」
「なるほど、分かりました! そこで火星なんですね!」
「正解です」
大葉部長がにこやかに笑ってくれました。これには女性である私もドキリとせずにはいられません。
そんな私に嫉妬したのか、彦君が無駄に言葉を付け加えてきました。
「まあ、地球以外の居住スペースとして、巨大な宇宙ステーションを作るっていうプランもあるみたいだけどな」
「鷲斗君が言うように、そういうプランはありますけど、残念ながら費用面でまだ実行には移されていません……」
彦君の言葉に大葉部長は明らかな愛想笑いを浮かべています。こんな美人な部長を困らせるなんて、彦君の恋路はまだまだ長そうです。
「あの……。地球から火星に移住しようっていうのは分かったんですけど、それが火星探査部とどういう関係があるんですか?」
「火星探査部はその名の通り、火星を探査する部活です。今のままでは火星に移り住むことは出来ませんからね。そのための火星探査部です。ちなみに国からの認可もありますよ」
国連という言葉を聞いていましたが、やっぱり国が絡んでいるようです。
しかし、そんな機密事項みたいなことをただの見学者である私が聞いてもいいのでしょうか。あとから口封じで殺されるなんて物騒なことはないと信じたいです。
「すごい部活っていうのは分かったんですけど、火星を探査するっていうのはロボットかなんかですか? 私、あんまり機械には詳しくなくて……」
おそらく、部室にある機械たちから火星探査機を操作したりするのでしょう。
そう思っていたのですが、少し違うようです。
「大丈夫ですよ。機械の知識はほとんどいりません。だって、実際に火星に行って調査するんですから」
「火星に行くって……。まさか、ロケットとかでですか?」
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これから重要な説明が始まるという時に、空気の読めない扉が大きな音と共に開きました。
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