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4章 赤い大地
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外の景色は、やっぱり変わっていません。一面に赤い砂漠が広がっているばかりです。
「緋色さん、ここがどこだか分かりますか?」
そう聞かれたので、思っていることを素直に答えます。
「未来の、地球、ですか?」
「残念ながら、違います。まだ人類はタイムマシンを作る技術を持ち合わせていませんから」
笑顔で即答されてしまいました。
「あちらの空をみてください」
「空……ですか?」
指で示された方を見ると、青空が広がっていました。雲一つない快晴です。
「今日は天気が良くてラッキーでしたね。砂嵐で見えないことも多いですから」
何か幸運なものが見えているらしいのですが、私には何も見えません。
そんな私を気遣ってか、大葉部長が優しく教えてくれました。
「あそこにある太陽ですよ」
「太陽……」
太陽なんていつでも見れると言いたいのですが、上機嫌な大葉部長の姿を見ると、そんな言葉は引っ込んでしまいます。
「あの太陽、何か違和感は感じませんか?」
「違和感、ですか? そう言えば、なんか……元気がないような……?」
「元気がない、ですか。それは言い得て妙ですね」
それは誉められているのかバカにされているのかよく分かりませんが、相変わらず嬉しそうなので、もうバカにされていてもいい気がします。
「あぁ……。こんなに天気がいいと日食を期待してしまいますね。来る前にファボスの位置を確認しておくんでした」
大葉部長の美貌の前では、残念そうな顔も美しく、絵になるようだと見とれていたのですが、すぐにその表情は変わりました。
「ヒントだけのつもりが、つい言い過ぎちゃいましたね。フォボスと言えば、ここがどこか分かりますよね?」
分かって当然というような顔をされても困ります。ですが、嬉しそうな大葉部長を見ていると口を挟むこともできません。
「そう! ここは火星なんです!」
思わずポカンと口を開けてしまいましたが、すぐにその口は疑問を吐き出しました。
「それって、本物の火星じゃなくて、仮想空間の……」
そこで城山先生の言葉を思い出しました。
「ゲームみたいなものですよね? 先生、経験あるかって聞いていましたし……」
しかし、大葉部長は首を横に振ります。
「いいえ。ここは、仮想空間なんかではありません。現実の、今まさに、地球の外側の軌道で公転している惑星、火星の上に立っているんですよ」
「火星に……現実に……?」
大葉部長は嘘をついて私をからかっているわけではないようです。
「い、いや、でも、部長、テレポートは無理だって言ってたじゃないですか!」
大葉部長自身がテレポートは否定していましたし、部室で寝ている間にロケットに乗せられて火星に来たというのは、流石に見学に来た生徒に対してすることではありません。
しかし、どうやらテレポートでも知らぬ間にロケットで打ち上げでもない方法がどうやらあるようです。
「そのための、この体です!」
大葉部長は胸を張ってそう言います。しかし、私にはさっぱり分かりません。大葉部長の体に秘密があるのでしょうか。大葉部長の体……胸を張っているせいか、大きく見えます。これに彦君は落とされたのでしょうか。片や私は……。いえ、まだ成長期です。これから大きくなるはずです。きっと……。
そんな期待を込めて見つめていたせいでしょうか、胸を張っていた大葉部長は恥ずかしそうに身じろぎしました。
「体と言っても、私の体じゃないですよ?」
「…………?」
「緋色さんはもう歩いたりしているから体の違和感には気づいていますよね?」
「違和感……あっ! はい! あります!」
確かに、地球よりも体が軽くて動きやすい感じはします。プラスな変化ですが、違和感と言っても間違いはないでしょう。
「その違和感は火星だからではありません。この体が本物の肉体ではなく、金属やプラスチックなどでできたロボットの体だからです」
「ロ、ロボット……」
今のこの体がロボットだったなんて、想像もしていませんでした。
「緋色さん、ここがどこだか分かりますか?」
そう聞かれたので、思っていることを素直に答えます。
「未来の、地球、ですか?」
「残念ながら、違います。まだ人類はタイムマシンを作る技術を持ち合わせていませんから」
笑顔で即答されてしまいました。
「あちらの空をみてください」
「空……ですか?」
指で示された方を見ると、青空が広がっていました。雲一つない快晴です。
「今日は天気が良くてラッキーでしたね。砂嵐で見えないことも多いですから」
何か幸運なものが見えているらしいのですが、私には何も見えません。
そんな私を気遣ってか、大葉部長が優しく教えてくれました。
「あそこにある太陽ですよ」
「太陽……」
太陽なんていつでも見れると言いたいのですが、上機嫌な大葉部長の姿を見ると、そんな言葉は引っ込んでしまいます。
「あの太陽、何か違和感は感じませんか?」
「違和感、ですか? そう言えば、なんか……元気がないような……?」
「元気がない、ですか。それは言い得て妙ですね」
それは誉められているのかバカにされているのかよく分かりませんが、相変わらず嬉しそうなので、もうバカにされていてもいい気がします。
「あぁ……。こんなに天気がいいと日食を期待してしまいますね。来る前にファボスの位置を確認しておくんでした」
大葉部長の美貌の前では、残念そうな顔も美しく、絵になるようだと見とれていたのですが、すぐにその表情は変わりました。
「ヒントだけのつもりが、つい言い過ぎちゃいましたね。フォボスと言えば、ここがどこか分かりますよね?」
分かって当然というような顔をされても困ります。ですが、嬉しそうな大葉部長を見ていると口を挟むこともできません。
「そう! ここは火星なんです!」
思わずポカンと口を開けてしまいましたが、すぐにその口は疑問を吐き出しました。
「それって、本物の火星じゃなくて、仮想空間の……」
そこで城山先生の言葉を思い出しました。
「ゲームみたいなものですよね? 先生、経験あるかって聞いていましたし……」
しかし、大葉部長は首を横に振ります。
「いいえ。ここは、仮想空間なんかではありません。現実の、今まさに、地球の外側の軌道で公転している惑星、火星の上に立っているんですよ」
「火星に……現実に……?」
大葉部長は嘘をついて私をからかっているわけではないようです。
「い、いや、でも、部長、テレポートは無理だって言ってたじゃないですか!」
大葉部長自身がテレポートは否定していましたし、部室で寝ている間にロケットに乗せられて火星に来たというのは、流石に見学に来た生徒に対してすることではありません。
しかし、どうやらテレポートでも知らぬ間にロケットで打ち上げでもない方法がどうやらあるようです。
「そのための、この体です!」
大葉部長は胸を張ってそう言います。しかし、私にはさっぱり分かりません。大葉部長の体に秘密があるのでしょうか。大葉部長の体……胸を張っているせいか、大きく見えます。これに彦君は落とされたのでしょうか。片や私は……。いえ、まだ成長期です。これから大きくなるはずです。きっと……。
そんな期待を込めて見つめていたせいでしょうか、胸を張っていた大葉部長は恥ずかしそうに身じろぎしました。
「体と言っても、私の体じゃないですよ?」
「…………?」
「緋色さんはもう歩いたりしているから体の違和感には気づいていますよね?」
「違和感……あっ! はい! あります!」
確かに、地球よりも体が軽くて動きやすい感じはします。プラスな変化ですが、違和感と言っても間違いはないでしょう。
「その違和感は火星だからではありません。この体が本物の肉体ではなく、金属やプラスチックなどでできたロボットの体だからです」
「ロ、ロボット……」
今のこの体がロボットだったなんて、想像もしていませんでした。
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