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5章 火星探査部への入部
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大葉部長たちのメンテナンスも終わり、時間が来たということなので、私は基地にあるベッドで横になります。起きたときには気づかなかったのですが、ちょうど頭の位置にプラグのようなものがありました。これで機械の体であるオートマーズの充電をしているらしいです。オートマーズの背中にもソーラーパネルはついているのですが、それはあくまで緊急用。私たちが地球にいて、オートマーズを動かしていない時に充電しておく必要があるので、必ずこれで充電してから地球に帰らなければならないそうです。
まだまだ覚えなければならないことがたくさんありそうな予感がする中、私は地球へと帰ってきました。
「おかえり。やっぱり、羽金が最初に目覚めたか」
「あぁ、先生……」
城山先生がいると言うことは、無事に地球へと帰ってきたのでしょう。部屋も火星の基地ではなく火星探査部の部室へと変わっていました。
「疲れただろ。もう少し休んでいてもいいぞ」
「えっと……大丈夫ですよ?」
先生の前でなんともないのに寝ているのは居心地が悪すぎて心が休まりません。
「そうか。気分はどうだ? 気持ち悪くはないのか?」
「平気ですけど……」
「モニターでも確認できたが……本当に平気なんだな。初のオートマーズダイブなのに……。何かしらの耐性を持っているのか……」
城山先生は難しい顔をしましたが、すぐに考えるのを諦めたようです。
「まあ、いいや。それより、平気なら入部について説明しておこう。そっちの机で話そうか」
「いいですけど、他のみんなは?」
「まだ寝てるよ」
そう言われて他のベッドを見ると、大葉部長も彦君もフルフェイスヘルメットのようなものを被って横になっていました。確かに同じタイミングで火星から戻ったはずなのですが、起きたのは私だけです。そう言えば、火星でも私の方が早く起きていましたし、個人差があるのでしょうか。
あんまり心配するのも変な話でしょうし、私は先にベッドから立ち上がり、城山先生に言われたとおり机の方へと移動します。
机の上には大葉部長が入れてくれたお茶がありますが、もう冷めてしまっています。少し残念です。
「それで、入部についてなんだが」
「あっ、はい」
「適正がなければ追い返そうと思ったんだがな。成績も悪いし」
「うぅ……。それは……」
成績の話をされると私は何も言えません。数字は嘘をついてはくれませんので。
「まあ、だが、あの二人よりも適正があるってなると話は別だ。ほら、入部届だ。ここに保護者の名前も必要だから、今日のうちに判子をもらって明日提出する事。いいな」
「分かりました!」
これは教科書やいつもの宿題のように忘れてしまわないように気をつけないといけません。
「話はそれだけだ。今日はもう帰ってもいいぞ」
「帰ってもって、まだ……」
二人ともまだ起きていませんし、それまで待つぐらいならどうってことありません。そう思っていたのですが、それを許してはくれない事情がありました。
「残念ながら、もう下校時刻だ」
「あれ、もう……」
感覚的にはまだ1時間も経っていないと思っていたのですが、時計を見たらもう下校時刻になっていました。火星にいる時間が楽しすぎて短く感じてしまったのでしょうか。
「大葉と彦は仕方ないが、帰れるんだったら下校時間は守ることだな」
「そう、ですね。分かりました。明日には、必ず入部届もっていきますんで!」
「忘れるんじゃないぞ」
最後の最後まで城山先生に念を押されてしまいました。どうやら私はそこまで信用がないようです。
まだまだ覚えなければならないことがたくさんありそうな予感がする中、私は地球へと帰ってきました。
「おかえり。やっぱり、羽金が最初に目覚めたか」
「あぁ、先生……」
城山先生がいると言うことは、無事に地球へと帰ってきたのでしょう。部屋も火星の基地ではなく火星探査部の部室へと変わっていました。
「疲れただろ。もう少し休んでいてもいいぞ」
「えっと……大丈夫ですよ?」
先生の前でなんともないのに寝ているのは居心地が悪すぎて心が休まりません。
「そうか。気分はどうだ? 気持ち悪くはないのか?」
「平気ですけど……」
「モニターでも確認できたが……本当に平気なんだな。初のオートマーズダイブなのに……。何かしらの耐性を持っているのか……」
城山先生は難しい顔をしましたが、すぐに考えるのを諦めたようです。
「まあ、いいや。それより、平気なら入部について説明しておこう。そっちの机で話そうか」
「いいですけど、他のみんなは?」
「まだ寝てるよ」
そう言われて他のベッドを見ると、大葉部長も彦君もフルフェイスヘルメットのようなものを被って横になっていました。確かに同じタイミングで火星から戻ったはずなのですが、起きたのは私だけです。そう言えば、火星でも私の方が早く起きていましたし、個人差があるのでしょうか。
あんまり心配するのも変な話でしょうし、私は先にベッドから立ち上がり、城山先生に言われたとおり机の方へと移動します。
机の上には大葉部長が入れてくれたお茶がありますが、もう冷めてしまっています。少し残念です。
「それで、入部についてなんだが」
「あっ、はい」
「適正がなければ追い返そうと思ったんだがな。成績も悪いし」
「うぅ……。それは……」
成績の話をされると私は何も言えません。数字は嘘をついてはくれませんので。
「まあ、だが、あの二人よりも適正があるってなると話は別だ。ほら、入部届だ。ここに保護者の名前も必要だから、今日のうちに判子をもらって明日提出する事。いいな」
「分かりました!」
これは教科書やいつもの宿題のように忘れてしまわないように気をつけないといけません。
「話はそれだけだ。今日はもう帰ってもいいぞ」
「帰ってもって、まだ……」
二人ともまだ起きていませんし、それまで待つぐらいならどうってことありません。そう思っていたのですが、それを許してはくれない事情がありました。
「残念ながら、もう下校時刻だ」
「あれ、もう……」
感覚的にはまだ1時間も経っていないと思っていたのですが、時計を見たらもう下校時刻になっていました。火星にいる時間が楽しすぎて短く感じてしまったのでしょうか。
「大葉と彦は仕方ないが、帰れるんだったら下校時間は守ることだな」
「そう、ですね。分かりました。明日には、必ず入部届もっていきますんで!」
「忘れるんじゃないぞ」
最後の最後まで城山先生に念を押されてしまいました。どうやら私はそこまで信用がないようです。
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