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5章 火星探査部への入部
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父からの反対というアクシデントはありましたが、無事、保護者からの許可も貰えた私は、週末、学校へと通う最後の日、金曜日に火星探査部の部室へと来ました。
「こんにちは!」
「こんにちは、緋色さん。聞きましたよ。入部してくれるんですね」
放課後になって急いで来たつもりでしたが、部室には、すでに大葉部長と彦君がいました。
「あぁ、羽金か。ちゃんと入部届は持ってきたか?」
「ちゃんと持ってきてるもん。ほら」
いつのまにか呼び捨てにされていますが、別に気にはしません。そんなことよりも、入部届を忘れたのではないのかと思われている方が不本意です。なので、私はちゃんと持ってきた入部届を机に叩きつけます。
「それにしても、結構、急だよね。お父さんに反対されて困ったよ」
「そうなんですか? 大丈夫なんですか?」
不覚にも大葉部長を不安にさせてしまいました。
「大丈夫ですよ。元々、兄がそっち系だし。すぐに許可も貰えたんで」
「それなら、いいんんですけど……。大事なことなので、ちゃんと話し合って決めてくださいね」
「でも、先生に今日提出だって言われたんですよね。どうせなら、土日挟んで月曜日にしたらよかったのに……」
むしろ、土日を挟んでいたら、父の反対意見が強くなっていたかもしれません。
「火星探査は授業がない土日がメインだからな。それに間に合わせたかったんじゃないか?」
「急ぎの用事でもあったのかな……。私がいないと達成できないミッションがあるとか?」
「どんなミッションだよ。俺でもそんなミッション思いつかないぞ。適正があるからって、あんまり調子に乗るなよ」
「別に、調子に乗ってなんかないし。ちょっと冗談言っただけだもん」
彦君はレディの扱いがなっていないし、冗談もなかなか通じません。大葉部長を狙っているのなら、もっと乙女心というものを学んでほしいものです。
とは言え、なぜこんなにも入部を急がせたのかは疑問が残ります。
「もしかして、結果を出すのを急かされているとか? まさか、実は廃部の危機とか?」
「そんな、まさかぁ……」
そう呆れた彦君でしたが、私の言葉に心当たりがあったのか、急に焦り出しました。
「そんなことないですよね、部長!」
慌てて聞く彦君ですが、大葉部長に動揺などはありません。
「大丈夫ですよ。アンテナも最近になって新調してますし、予算を使っているので、すぐに廃部と言うことはありませんよ。それに、城山先生は隠し事をすると顔に出ますから、何かあればすぐに分かりますよ」
「そうなんですね。それじゃあ、安心だ」
安堵している彦君ですが、それは大葉部長が嘘を付いていないのが前提の話です。確かに、城山先生は顔に出るタイプでしょうが、私の見立てでは大葉部長は隠し事があっても顔には出さないタイプだと予想しています。恋は盲目と言いますが、彦君は大葉部長が嘘を言っているなんて少しも疑っていないのでしょう。
「こんにちは!」
「こんにちは、緋色さん。聞きましたよ。入部してくれるんですね」
放課後になって急いで来たつもりでしたが、部室には、すでに大葉部長と彦君がいました。
「あぁ、羽金か。ちゃんと入部届は持ってきたか?」
「ちゃんと持ってきてるもん。ほら」
いつのまにか呼び捨てにされていますが、別に気にはしません。そんなことよりも、入部届を忘れたのではないのかと思われている方が不本意です。なので、私はちゃんと持ってきた入部届を机に叩きつけます。
「それにしても、結構、急だよね。お父さんに反対されて困ったよ」
「そうなんですか? 大丈夫なんですか?」
不覚にも大葉部長を不安にさせてしまいました。
「大丈夫ですよ。元々、兄がそっち系だし。すぐに許可も貰えたんで」
「それなら、いいんんですけど……。大事なことなので、ちゃんと話し合って決めてくださいね」
「でも、先生に今日提出だって言われたんですよね。どうせなら、土日挟んで月曜日にしたらよかったのに……」
むしろ、土日を挟んでいたら、父の反対意見が強くなっていたかもしれません。
「火星探査は授業がない土日がメインだからな。それに間に合わせたかったんじゃないか?」
「急ぎの用事でもあったのかな……。私がいないと達成できないミッションがあるとか?」
「どんなミッションだよ。俺でもそんなミッション思いつかないぞ。適正があるからって、あんまり調子に乗るなよ」
「別に、調子に乗ってなんかないし。ちょっと冗談言っただけだもん」
彦君はレディの扱いがなっていないし、冗談もなかなか通じません。大葉部長を狙っているのなら、もっと乙女心というものを学んでほしいものです。
とは言え、なぜこんなにも入部を急がせたのかは疑問が残ります。
「もしかして、結果を出すのを急かされているとか? まさか、実は廃部の危機とか?」
「そんな、まさかぁ……」
そう呆れた彦君でしたが、私の言葉に心当たりがあったのか、急に焦り出しました。
「そんなことないですよね、部長!」
慌てて聞く彦君ですが、大葉部長に動揺などはありません。
「大丈夫ですよ。アンテナも最近になって新調してますし、予算を使っているので、すぐに廃部と言うことはありませんよ。それに、城山先生は隠し事をすると顔に出ますから、何かあればすぐに分かりますよ」
「そうなんですね。それじゃあ、安心だ」
安堵している彦君ですが、それは大葉部長が嘘を付いていないのが前提の話です。確かに、城山先生は顔に出るタイプでしょうが、私の見立てでは大葉部長は隠し事があっても顔には出さないタイプだと予想しています。恋は盲目と言いますが、彦君は大葉部長が嘘を言っているなんて少しも疑っていないのでしょう。
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