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10章 火星人との邂逅
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ここのどこかに私の体と火星人がいた。
私は真っ先に探し始めました。すると、本心では一番見つかってほしかったものを見つけることができました
「あぁ……ありました!」
最初に見つけたのは私です。ただ、見つけたのは壊れたオートマーズでも火星人でもありません。そこにあったのは箱です。
「近くにあってよかった……」
それは前回のミッションで回収するべきだったものです。この中には、火星に適応するように品種改良された植物たちが入っています。金額で言えばオートマーズよりも安いらしいのですが、もしこの中にある植物のどれかが育てば、それはお金に換えられないほどの価値が生まれます。
崖へと落ちたとき、私はこれを一度落としてしまいました。抱えていた腕が千切れたので仕方ないと言えばそれまでなのですが、私はこれを落としてしまったことをずっと後悔していたのです。再び、この腕に戻ってきてくれて、生身の体だったら涙が流れていたところです。
そんな感動も束の間、誰かが何かを見つけた声が耳に入ってきました。
「こっちに、ありました……」
その声は彦君です。しかし、何かを見つけたというのに、浮かない声をしています。
私も彦君がなにか見つけたという場所へと向かうと、そこには、無惨なまでに破壊されたオートマーズの姿がありました。
「これ……私……?」
倒れているオートマーズには、左腕がありません。しかし、それだけではなかったのです。左足もありませんし、お腹も抉れています。頭部には握り拳ほどの凹みもあります。
「左腕が千切れたぐらいでオートマーズは機能を停止しない。おそらく、崖に落ちる前、竜巻で飛ばされて地面に叩きつけられた時点で致命的なダメージを受けていたんだろう」
そう説明してくれる声には悔しさがにじみ出ています。彦君はまだ私が竜巻で飛ばされたときのことを後悔しているのです。それは仕方のないことだと分かっている私ですら、このオートマーズの姿を見ると感傷的な気分になります。
「こんなになってまで……」
この場所に落ちたときはパニックで何も分からなかったのですが、まさかこんなことになっているなんて思いもしませんでした。それだけ、このオートマーズは私のために頑張ってくれたということでしょう。そう思うと、このオートマーズをこのままにはしておくのは可愛そうだと感じてきました。
「せめて、お墓を作って上げましょう!」
そんな私の心優しい提案だったのですが、誰一人として賛成してくれませんでした。
「お前、馬鹿か」
「ここに埋めても意味ないだろ」
「緋色さん、お気持ちは分かりますが、それはできません」
「な、何でですか?」
「火星は常に物資不足です。使われなくなったオートマーズは資源として再利用するようにしています。これもここに埋めていかず、引き上げて基地へと持って帰ります。その方が、このオートマーズも喜ぶのではないのでしょうか。道具は使い道がなくなったときが死ぬときだと私は考えています。できる限り、長く大切に使ってあげましょう」
「そうですね。そっちの方が私も嬉しいです」
お墓を作らないのは非道な理由ではありませんでした。それなら、私も納得して、大事に持ち帰ることができます。
私は真っ先に探し始めました。すると、本心では一番見つかってほしかったものを見つけることができました
「あぁ……ありました!」
最初に見つけたのは私です。ただ、見つけたのは壊れたオートマーズでも火星人でもありません。そこにあったのは箱です。
「近くにあってよかった……」
それは前回のミッションで回収するべきだったものです。この中には、火星に適応するように品種改良された植物たちが入っています。金額で言えばオートマーズよりも安いらしいのですが、もしこの中にある植物のどれかが育てば、それはお金に換えられないほどの価値が生まれます。
崖へと落ちたとき、私はこれを一度落としてしまいました。抱えていた腕が千切れたので仕方ないと言えばそれまでなのですが、私はこれを落としてしまったことをずっと後悔していたのです。再び、この腕に戻ってきてくれて、生身の体だったら涙が流れていたところです。
そんな感動も束の間、誰かが何かを見つけた声が耳に入ってきました。
「こっちに、ありました……」
その声は彦君です。しかし、何かを見つけたというのに、浮かない声をしています。
私も彦君がなにか見つけたという場所へと向かうと、そこには、無惨なまでに破壊されたオートマーズの姿がありました。
「これ……私……?」
倒れているオートマーズには、左腕がありません。しかし、それだけではなかったのです。左足もありませんし、お腹も抉れています。頭部には握り拳ほどの凹みもあります。
「左腕が千切れたぐらいでオートマーズは機能を停止しない。おそらく、崖に落ちる前、竜巻で飛ばされて地面に叩きつけられた時点で致命的なダメージを受けていたんだろう」
そう説明してくれる声には悔しさがにじみ出ています。彦君はまだ私が竜巻で飛ばされたときのことを後悔しているのです。それは仕方のないことだと分かっている私ですら、このオートマーズの姿を見ると感傷的な気分になります。
「こんなになってまで……」
この場所に落ちたときはパニックで何も分からなかったのですが、まさかこんなことになっているなんて思いもしませんでした。それだけ、このオートマーズは私のために頑張ってくれたということでしょう。そう思うと、このオートマーズをこのままにはしておくのは可愛そうだと感じてきました。
「せめて、お墓を作って上げましょう!」
そんな私の心優しい提案だったのですが、誰一人として賛成してくれませんでした。
「お前、馬鹿か」
「ここに埋めても意味ないだろ」
「緋色さん、お気持ちは分かりますが、それはできません」
「な、何でですか?」
「火星は常に物資不足です。使われなくなったオートマーズは資源として再利用するようにしています。これもここに埋めていかず、引き上げて基地へと持って帰ります。その方が、このオートマーズも喜ぶのではないのでしょうか。道具は使い道がなくなったときが死ぬときだと私は考えています。できる限り、長く大切に使ってあげましょう」
「そうですね。そっちの方が私も嬉しいです」
お墓を作らないのは非道な理由ではありませんでした。それなら、私も納得して、大事に持ち帰ることができます。
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