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10章 火星人との邂逅
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「それでは、このオートマーズを回収した後、帰還しましょう」
私たちがここへ来た目的である壊れたオートマーズと植物が入った箱も回収できました。しかし、私たちには、もう一つここへ来た目的があります。
「ちょっと待ってください! 火星人は探さないんですか?」
むしろ、そのためにここまで来たと言っても過言ではありません。
「一応、飛び散ったオートマーズの部品を拾ったりするので、それまでは待ちます。しかし、それまでに向こうから何らかの接触がなければ、そのまま帰還しようと考えています」
「そんな……」
「火星人にだって私たちと接触するタイミングがあるはずです。無闇に探して相手からの印象を悪くしてしまえば、今後の火星人との交流にも悪影響が出てしまいますから」
「……分かりました」
渋々ながらではありますが、私は首を縦に振りました。
飛び散ったオートマーズの部品を集めるのは、それほど時間はかかりませんでした。左腕も左足もすぐ側にありました。今は大葉部長とマリさんが帰りの予定を話し合っています。経験値が少ない1年生の私と彦君は、暇をつぶしも兼ねて見落としがないか壊れたオートマーズを調べていました。
「しっかし、ずいぶん派手に壊したよな」
「好きで壊したわけじゃないからね?」
「分かってるよ。でも、一応、火星は地球より重力が小さいんだ。ただ落ちただけじゃ、普通、こんなに壊れないって」
「まあ、2回も落ちちゃったからね……」
そのせいでオートマーズはこんなにボロボロになってしまいましたが、おかげで世紀の大発見をしたのです。
「その時に、か……。そう言えば、その火星人ってのは、どの辺にいたんだ?」
「それは……」
彦君に言われて、オートマーズが倒れている位置からどちらを向いていたのかを考えていると、急にそれは聞こえてきました。
(たすけて)
それは、私がこの崖の底へと落ちたときに聞こえてきた声と一緒のものです。
「い、今!」
慌ててみんなの方を見ると、全員、目を丸くして驚いていました。私だけ特別に聞こえているわけではないようです。これで、私の気のせいやオートマーズの故障という可能性が消えました。
「い、今、声が……。日本語?」
「私にも聞こえた……。どこだ? どこから聞こえたんだ?」
「いいえ、今のは聞こえたんじゃありません。これは……何かのデータ……? それをオートマーズが受信して、言語化したみたいです。でも、いったい誰が……」
みんなが辺りを警戒している中、私は何かの影を感じ取りました。
「誰?」
私の声で全員に緊張が走ります。
恐る恐るではありますが、ゆっくりと影を感じた方向、壊れたオートマーズが向いていた方向へと視線を向けていくと、徐々にその姿をライトが照らしていきました。
私たちがここへ来た目的である壊れたオートマーズと植物が入った箱も回収できました。しかし、私たちには、もう一つここへ来た目的があります。
「ちょっと待ってください! 火星人は探さないんですか?」
むしろ、そのためにここまで来たと言っても過言ではありません。
「一応、飛び散ったオートマーズの部品を拾ったりするので、それまでは待ちます。しかし、それまでに向こうから何らかの接触がなければ、そのまま帰還しようと考えています」
「そんな……」
「火星人にだって私たちと接触するタイミングがあるはずです。無闇に探して相手からの印象を悪くしてしまえば、今後の火星人との交流にも悪影響が出てしまいますから」
「……分かりました」
渋々ながらではありますが、私は首を縦に振りました。
飛び散ったオートマーズの部品を集めるのは、それほど時間はかかりませんでした。左腕も左足もすぐ側にありました。今は大葉部長とマリさんが帰りの予定を話し合っています。経験値が少ない1年生の私と彦君は、暇をつぶしも兼ねて見落としがないか壊れたオートマーズを調べていました。
「しっかし、ずいぶん派手に壊したよな」
「好きで壊したわけじゃないからね?」
「分かってるよ。でも、一応、火星は地球より重力が小さいんだ。ただ落ちただけじゃ、普通、こんなに壊れないって」
「まあ、2回も落ちちゃったからね……」
そのせいでオートマーズはこんなにボロボロになってしまいましたが、おかげで世紀の大発見をしたのです。
「その時に、か……。そう言えば、その火星人ってのは、どの辺にいたんだ?」
「それは……」
彦君に言われて、オートマーズが倒れている位置からどちらを向いていたのかを考えていると、急にそれは聞こえてきました。
(たすけて)
それは、私がこの崖の底へと落ちたときに聞こえてきた声と一緒のものです。
「い、今!」
慌ててみんなの方を見ると、全員、目を丸くして驚いていました。私だけ特別に聞こえているわけではないようです。これで、私の気のせいやオートマーズの故障という可能性が消えました。
「い、今、声が……。日本語?」
「私にも聞こえた……。どこだ? どこから聞こえたんだ?」
「いいえ、今のは聞こえたんじゃありません。これは……何かのデータ……? それをオートマーズが受信して、言語化したみたいです。でも、いったい誰が……」
みんなが辺りを警戒している中、私は何かの影を感じ取りました。
「誰?」
私の声で全員に緊張が走ります。
恐る恐るではありますが、ゆっくりと影を感じた方向、壊れたオートマーズが向いていた方向へと視線を向けていくと、徐々にその姿をライトが照らしていきました。
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