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スラッガー 22
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「あのな、自分で稼いでもない子供が奢るなんて大人ぶるものじゃないぞ。小遣いってのは、親御さんが君の為に稼いだお金なんだから」
高校生ではない大人びた声、と言うか、おっさんの気怠い声。学校で生徒ではない人間なんて決まっている。
「岡崎先生……。盗み聞きなんて趣味が悪いですよ。それに、お金って言っても、親に貰う物ばかりじゃないでしょ。バイトで稼いでいるかもしれないじゃないですか」
「うちの学校はバイト禁止だ」
この高校が名ばかりではあっても進学校だと言うことを忘れていた。
「バイトなんてやったら生徒指導だからな。そんな面倒なことはしないでくれよ」
もう一度、頭を軽く叩かれた。何で二回も叩く必要があるんだと憤りを覚えたが、それを考えると、一回目も必要なかったので、怒りも覚めてしまった。
「それで、先生はバイトをする気もない生徒に釘を刺しに来たんですか? 俺たちはそんなに暇じゃないんですけど。それに今はテスト期間なんだから、先生だって忙しいんじゃないんですか?」
「その通り。忙しい。先生、超忙しい。それなのに、授業に集中できていない生徒がいるとか言われてさ。それも、今日うちのクラスで授業した先生全員から。だから担任の俺が注意しに来たわけ」
要約するに、俺に説教をしに来たと言う訳だ。となれば、時間を取られるのも嫌なのですぐに謝ってしまおう。
「すいませんでした。以後、気を付けます」
「まったく心が籠ってないな……。そんなんじゃ、反省してないなんて思われるぞ」
すでにオカから注意された手前、反省する真似が機械的になっていたようだ。
「まあいい。教師として、ちゃんと注意はしたからな。次からはちゃんと気を付けるように」
「分かりました」
授業のことを言っているのか、それとも反省する態度のことを言っているのかは分からないが、理解した態度だけは見せておこう。
「はぁ……先生がもっとバシッと言ってくれればいいのに……」
「まあまあ。そんなに俺を責めるなよ。重は日頃の授業態度悪いわけじゃないんだし。というか、日頃が悪くないから今日が目立ったみたいなところもあるんじゃないのか? それに、優等生の岡本が勉強を見てくれているんだろ? 成績も心配なさそうじゃないか」
「それは、そうですけど……」
放任主義も、ここまでいくと害悪だな。オカの表情を見れば、一目瞭然だ。教師が生徒に仕事を押し付けるなんて、教師失格だと言われても仕方がないだろう。
「そう言う訳だから、お互い頑張ってくれよ。赤点で追試なんてことになったら面倒だからさ」
そう言い残して、岡崎先生は去ってしまった。後に残ったものは、俺に向けたものと同じような冷たい目をしたオカの姿だけだ。
「オカ……仮にも先生で、しかも年上なんだから、少しは敬意ってもんをだな……」
「そうだな……。教える立場の人間が、あんな適当じゃなければな」
重いため息を吐いているが、そこまで岡崎先生は絶望的なのだろうか。
高校生ではない大人びた声、と言うか、おっさんの気怠い声。学校で生徒ではない人間なんて決まっている。
「岡崎先生……。盗み聞きなんて趣味が悪いですよ。それに、お金って言っても、親に貰う物ばかりじゃないでしょ。バイトで稼いでいるかもしれないじゃないですか」
「うちの学校はバイト禁止だ」
この高校が名ばかりではあっても進学校だと言うことを忘れていた。
「バイトなんてやったら生徒指導だからな。そんな面倒なことはしないでくれよ」
もう一度、頭を軽く叩かれた。何で二回も叩く必要があるんだと憤りを覚えたが、それを考えると、一回目も必要なかったので、怒りも覚めてしまった。
「それで、先生はバイトをする気もない生徒に釘を刺しに来たんですか? 俺たちはそんなに暇じゃないんですけど。それに今はテスト期間なんだから、先生だって忙しいんじゃないんですか?」
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要約するに、俺に説教をしに来たと言う訳だ。となれば、時間を取られるのも嫌なのですぐに謝ってしまおう。
「すいませんでした。以後、気を付けます」
「まったく心が籠ってないな……。そんなんじゃ、反省してないなんて思われるぞ」
すでにオカから注意された手前、反省する真似が機械的になっていたようだ。
「まあいい。教師として、ちゃんと注意はしたからな。次からはちゃんと気を付けるように」
「分かりました」
授業のことを言っているのか、それとも反省する態度のことを言っているのかは分からないが、理解した態度だけは見せておこう。
「はぁ……先生がもっとバシッと言ってくれればいいのに……」
「まあまあ。そんなに俺を責めるなよ。重は日頃の授業態度悪いわけじゃないんだし。というか、日頃が悪くないから今日が目立ったみたいなところもあるんじゃないのか? それに、優等生の岡本が勉強を見てくれているんだろ? 成績も心配なさそうじゃないか」
「それは、そうですけど……」
放任主義も、ここまでいくと害悪だな。オカの表情を見れば、一目瞭然だ。教師が生徒に仕事を押し付けるなんて、教師失格だと言われても仕方がないだろう。
「そう言う訳だから、お互い頑張ってくれよ。赤点で追試なんてことになったら面倒だからさ」
そう言い残して、岡崎先生は去ってしまった。後に残ったものは、俺に向けたものと同じような冷たい目をしたオカの姿だけだ。
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