炎と風の反逆者

小森 輝

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疾走する紅蓮の導き

炎と風の反逆者 21

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「何してるんだ?」
「この鎖を外さないと逃げられないだろ」
 鎖を外そうとしているのだろうが、素手で引き千切ろうとしている。
「炎で焼切ればいいじゃないか。お前ほどの火力があれば簡単だろ?」
「そうしたいのは山々なんだが、私の力は火力の制御が出来なくてな。サクセサーを使ったらこの部屋ごと消し炭にしてしまう。それでもいいというのならサクセサーを使って焼切ってもいいぞ」
 そんな恐ろしいことをされては、鎖は焼けきれても、俺の存在も焼き殺されてしまう。そんなのは堪ったもんじゃない。
「分かった。分かったから、そこを退いてくれ」
 俺の言葉で、灰塚は素直に距離を取った。
 それを確認して、俺は意識を体に張り付いている鎖に集中させる。
 鎖を切ることに関しては問題ないのだが、体に密着しているせいで制御を誤れば自らの肉体まで切り刻むことになってしまう。
しかし、俺ならやれる。
 研ぎ澄まされた集中の中、三本の刃で手、胴、足に張り付いている鎖を切り裂く。
 他愛ない。この程度なら失敗することはまずないだろう。
「なんだ。切れるのなら最初からやればいいじゃないか」
「こういうのは集中が大事なんだよ」
 鎖は問題なく切れた。体にも外傷はない。
「それじゃあ、さっそくで悪いんだが、逃げるぞ」
 そう言われたので立ち上がり、走り出そうとしたのだが、扉の前に灰塚が立ちはだかり阻止された。
「君は一応、客人だからな。自力で走るなんてことはさせないさ」
 つまり、車か何かの乗り物で移動するのだろうか。
 そう思っていると、突然、灰塚は肉薄してきて、さらに俺の体を持ち上げてきた。
「ちょ、ちょっと何してるんですか?」
「何って、お姫様抱っこだが?」
「だがってなんでお姫様抱っこなんですか?」
「もちろん、私が抱えて運ぶためだ」
 いや、待て待て。こんな格好、たとえ反乱組織のリーダーだとしても恥ずかしすぎる。
「大丈夫ですよ。自分で走ります」
「つべこべ言わずに、さっさと私に捕まれ。じゃないと振り落とされるぞ」
「え?」
 それだけ言って彼女は走りだした。
 扉は両手がふさがっているせいで、豪快に蹴り破っていた。
 外は木々が生い茂る森。自分が日本のどの辺りなのか、どの程度クレイドルから離れているのかも分からない。
 そんな中、灰塚は縦横無尽に駆け巡る。
「伝宝、まだ繋げないのか?」
 俺を抱きかかえていながらも、このスピードは俺が走るよりも早い。その上、息も乱れず、声まで発している。
 能力といい、なんて規格外な人間なのだろう。いや、もはや人間じゃなくて、人造人間とか言われたほうがまだ納得がいく。
「お前、何者なんだよ……」
「こんなものは、日々の鍛練でどうにでもなるぞ」
 思わず漏れ出てしまったが、灰塚はきちんと対応してくれた。
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