40 / 70
苦悩する疾風の担い手
炎と風の反逆者 40
しおりを挟む
何がいけないのだろうか。
ここまで、いろいろ制御する方法を試しているのに、全く駄目なのだ。答えを教えてほしいほどなのだが、これは自分にしか解けない問題なのだろう。もしくは、答えなんてないのかもしれない。
「本当に俺なんかにできるのかな」
空に手を伸ばして風を何気なく操ってみる。好きなように縦横無尽にできるのに、炎は無理なのだろうか。
「のんびりとは出来なくとも、焦ることはないさ」
命は俺を気にかけて、笑顔を向けてくれる。
内心、焦っているのは彼女だろう。それに対して、俺はなんて不甲斐ないのだろうか。
「もう一回、挑戦してみるか」
俺は体を起こし、炎の柱があった場所を見た。もうあの鮮烈な輝きはないが、焚火ほどの炎が地面で揺らめいている。
感覚を掴むためにも、この小さな炎で練習してみるか。
別に、ランクを落として自信を持とうなんて考えていない。何度やっても、失敗どころか少ししか影響を与えていないから心が折れそうだとか、そういうことではない。
『模擬戦の準備が整いました』
「ふぇあ!」
突然、頭の中に意地悪な伝宝さんの声が聞こえてきた。そのせいで驚いてしまい、変な声が出てしまった。
『ん? どうかしましたか?』
「いや、なんでもないです」
伝宝さんには見えないだろうが、愛想笑いを浮かべてしまった。命が不思議な目で見ている。
「それより、何の用ですか?」
『模擬戦の準備が出来たんです。人数は7名。5分後に開始されます』
模擬戦……模擬戦!
そう言えば、ここに来たのは、俺に適性があるかどうか試すために模擬戦をする為だった。炎を制御することばかり考えていて、完全に忘れていた。
「や、やばい。どうしよう、命」
慌てて命を見たが、口を開けて固まっている。彼女も忘れていたのだろう。思考が停止している。
「命、しっかりしてくれ。お前だけが頼りなんだ」
「す、すまない。つい、現実逃避してしまった」
命の肩を掴み揺すってやると、現実に戻ってきてくれた。
「どうしよう」
「…………」
返答が返ってこない。
「中止してもらったほうが、いいんじゃないか?」
「言いだしたのは私だし、それに戦えると見せつけないと、私には何もできなくなってしまう」
俺に力がないせいで、彼女を不安にさせてしまった。
「大丈夫。俺が使いこなせれば問題ないから」
「誘は頼もしいな」
命が俺の手を握り、隣に立った。
「信じているぞ」
こんなに強力な力を持ち、こんなに強い意志を持っているのに、こんなにも彼女の手は小さかった。この手を守れるのなら、守ってあげたい。
ここまで、いろいろ制御する方法を試しているのに、全く駄目なのだ。答えを教えてほしいほどなのだが、これは自分にしか解けない問題なのだろう。もしくは、答えなんてないのかもしれない。
「本当に俺なんかにできるのかな」
空に手を伸ばして風を何気なく操ってみる。好きなように縦横無尽にできるのに、炎は無理なのだろうか。
「のんびりとは出来なくとも、焦ることはないさ」
命は俺を気にかけて、笑顔を向けてくれる。
内心、焦っているのは彼女だろう。それに対して、俺はなんて不甲斐ないのだろうか。
「もう一回、挑戦してみるか」
俺は体を起こし、炎の柱があった場所を見た。もうあの鮮烈な輝きはないが、焚火ほどの炎が地面で揺らめいている。
感覚を掴むためにも、この小さな炎で練習してみるか。
別に、ランクを落として自信を持とうなんて考えていない。何度やっても、失敗どころか少ししか影響を与えていないから心が折れそうだとか、そういうことではない。
『模擬戦の準備が整いました』
「ふぇあ!」
突然、頭の中に意地悪な伝宝さんの声が聞こえてきた。そのせいで驚いてしまい、変な声が出てしまった。
『ん? どうかしましたか?』
「いや、なんでもないです」
伝宝さんには見えないだろうが、愛想笑いを浮かべてしまった。命が不思議な目で見ている。
「それより、何の用ですか?」
『模擬戦の準備が出来たんです。人数は7名。5分後に開始されます』
模擬戦……模擬戦!
そう言えば、ここに来たのは、俺に適性があるかどうか試すために模擬戦をする為だった。炎を制御することばかり考えていて、完全に忘れていた。
「や、やばい。どうしよう、命」
慌てて命を見たが、口を開けて固まっている。彼女も忘れていたのだろう。思考が停止している。
「命、しっかりしてくれ。お前だけが頼りなんだ」
「す、すまない。つい、現実逃避してしまった」
命の肩を掴み揺すってやると、現実に戻ってきてくれた。
「どうしよう」
「…………」
返答が返ってこない。
「中止してもらったほうが、いいんじゃないか?」
「言いだしたのは私だし、それに戦えると見せつけないと、私には何もできなくなってしまう」
俺に力がないせいで、彼女を不安にさせてしまった。
「大丈夫。俺が使いこなせれば問題ないから」
「誘は頼もしいな」
命が俺の手を握り、隣に立った。
「信じているぞ」
こんなに強力な力を持ち、こんなに強い意志を持っているのに、こんなにも彼女の手は小さかった。この手を守れるのなら、守ってあげたい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる