炎と風の反逆者

小森 輝

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苦悩する疾風の担い手

炎と風の反逆者 40

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 何がいけないのだろうか。
 ここまで、いろいろ制御する方法を試しているのに、全く駄目なのだ。答えを教えてほしいほどなのだが、これは自分にしか解けない問題なのだろう。もしくは、答えなんてないのかもしれない。
「本当に俺なんかにできるのかな」
 空に手を伸ばして風を何気なく操ってみる。好きなように縦横無尽にできるのに、炎は無理なのだろうか。
「のんびりとは出来なくとも、焦ることはないさ」
 命は俺を気にかけて、笑顔を向けてくれる。
 内心、焦っているのは彼女だろう。それに対して、俺はなんて不甲斐ないのだろうか。
「もう一回、挑戦してみるか」
 俺は体を起こし、炎の柱があった場所を見た。もうあの鮮烈な輝きはないが、焚火ほどの炎が地面で揺らめいている。
 感覚を掴むためにも、この小さな炎で練習してみるか。
 別に、ランクを落として自信を持とうなんて考えていない。何度やっても、失敗どころか少ししか影響を与えていないから心が折れそうだとか、そういうことではない。
『模擬戦の準備が整いました』
「ふぇあ!」
 突然、頭の中に意地悪な伝宝さんの声が聞こえてきた。そのせいで驚いてしまい、変な声が出てしまった。
『ん? どうかしましたか?』
「いや、なんでもないです」
 伝宝さんには見えないだろうが、愛想笑いを浮かべてしまった。命が不思議な目で見ている。
「それより、何の用ですか?」
『模擬戦の準備が出来たんです。人数は7名。5分後に開始されます』
 模擬戦……模擬戦!
 そう言えば、ここに来たのは、俺に適性があるかどうか試すために模擬戦をする為だった。炎を制御することばかり考えていて、完全に忘れていた。
「や、やばい。どうしよう、命」
 慌てて命を見たが、口を開けて固まっている。彼女も忘れていたのだろう。思考が停止している。
「命、しっかりしてくれ。お前だけが頼りなんだ」
「す、すまない。つい、現実逃避してしまった」
 命の肩を掴み揺すってやると、現実に戻ってきてくれた。
「どうしよう」
「…………」
 返答が返ってこない。
「中止してもらったほうが、いいんじゃないか?」
「言いだしたのは私だし、それに戦えると見せつけないと、私には何もできなくなってしまう」
 俺に力がないせいで、彼女を不安にさせてしまった。
「大丈夫。俺が使いこなせれば問題ないから」
「誘は頼もしいな」
 命が俺の手を握り、隣に立った。
「信じているぞ」
 こんなに強力な力を持ち、こんなに強い意志を持っているのに、こんなにも彼女の手は小さかった。この手を守れるのなら、守ってあげたい。
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