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苦悩する疾風の担い手
炎と風の反逆者 46
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「確か、時空に亀裂を作れるとか。それで、こことは異なる次元に一時的に移動することができるとかなんとか……そういうやつですよね」
『お、誘くんは博識だね。大正解』
伝宝さんは依然として、ふざけた口調だ。命もそれに苛立ち、ついに声を荒げた。
「何を言いたいかはっきりしろ! 私はついさっき人を……」
荒げた声は一瞬で、最後には苛立ちすら消失していた。
俺も命の気持ちは痛いほどわかる。
『分かりました、分かりました。潔くネタばらししますって。それよりも、本当にこの人に見覚えないんですか?』
伝宝さんの声はふざけ半分、呆れ半分といったところだった。
俺も命も改めて目の前の男性を見るが、このような知り合いは生憎いない。
命は志を同じくする仲間なので知っているかもしれないが、首を傾げている。いや、組織のリーダーとしてその反応はどうなのだろうか……
思考の挙句、顔見知りですらないという結論に至ったとき、頭の中でわざとのような深いため息が聞こえた。
『名前とまでは言いませんよ。私だって覚えてなかったんですから。ですけど、せめて殺した相手の顔ぐらいは、覚えてあげたほうがいいと思うんですけどね』
気が動転していたせいか、伝宝さんの言葉をよく理解できない。
隣の命に説明を乞おうと思ったが、顔を見合わせてしまった。どうやら、彼女も理解できていないようだ。
見えてもいないのに、この沈黙で俺たちの感情を読み取ったのか、再び伝宝さんはため息をついた。
『だから、あなたたちが炎で燃やし尽くしたと思い込んでいるのが、そこの人なわけ。分かる? これでも分からないって言うの』
俺たち2人は顔を見合わせたまま動かない。
言葉の意味は理解できた。英語でもなく、難しい単語も出ていないので理解できないなんてことはない。
伝宝さんが言いたいことは、命が放った炎はだれも飲み込まずに空へと消え去ったということだろう。
「つまり、私は誰も殺してないということか?」
命は恐る恐る口にした。
『簡単に言えば、そう言うことですね』
その言葉を聞くと、命は操り人形の糸が切れたように、膝をその場に落とした。
本当は支えてあげるのが良かったのだろうが、俺もその事実で一杯一杯だったので、大目に見てほしい。
無事でよかったと安堵し、再び助かった彼の姿を見ようとしたが、もうすでに姿はなかった。伝宝さんが聞くに聞きかねて、彼をこの場から立ち去るように言ったのだろう。
『まあ、自分たちで人殺しはだめだなんて言ってるのに、言った本人がしちゃうなんて、そりゃあ落ち込むのも分かるよ。分かるけどさ、炎を操れるかどうか分からないのに、あんな啖呵切っちゃうなんて、流石にどうかと思うよ。しかも、土壇場まで操れなかったなんて知られれば、お説教ものだね』
伝宝さんはクスクスと笑っている。
確かに、それは俺も思っていたことだ。俺自身、あんな強烈な物、扱えないと思っていたことだし。
『お、誘くんは博識だね。大正解』
伝宝さんは依然として、ふざけた口調だ。命もそれに苛立ち、ついに声を荒げた。
「何を言いたいかはっきりしろ! 私はついさっき人を……」
荒げた声は一瞬で、最後には苛立ちすら消失していた。
俺も命の気持ちは痛いほどわかる。
『分かりました、分かりました。潔くネタばらししますって。それよりも、本当にこの人に見覚えないんですか?』
伝宝さんの声はふざけ半分、呆れ半分といったところだった。
俺も命も改めて目の前の男性を見るが、このような知り合いは生憎いない。
命は志を同じくする仲間なので知っているかもしれないが、首を傾げている。いや、組織のリーダーとしてその反応はどうなのだろうか……
思考の挙句、顔見知りですらないという結論に至ったとき、頭の中でわざとのような深いため息が聞こえた。
『名前とまでは言いませんよ。私だって覚えてなかったんですから。ですけど、せめて殺した相手の顔ぐらいは、覚えてあげたほうがいいと思うんですけどね』
気が動転していたせいか、伝宝さんの言葉をよく理解できない。
隣の命に説明を乞おうと思ったが、顔を見合わせてしまった。どうやら、彼女も理解できていないようだ。
見えてもいないのに、この沈黙で俺たちの感情を読み取ったのか、再び伝宝さんはため息をついた。
『だから、あなたたちが炎で燃やし尽くしたと思い込んでいるのが、そこの人なわけ。分かる? これでも分からないって言うの』
俺たち2人は顔を見合わせたまま動かない。
言葉の意味は理解できた。英語でもなく、難しい単語も出ていないので理解できないなんてことはない。
伝宝さんが言いたいことは、命が放った炎はだれも飲み込まずに空へと消え去ったということだろう。
「つまり、私は誰も殺してないということか?」
命は恐る恐る口にした。
『簡単に言えば、そう言うことですね』
その言葉を聞くと、命は操り人形の糸が切れたように、膝をその場に落とした。
本当は支えてあげるのが良かったのだろうが、俺もその事実で一杯一杯だったので、大目に見てほしい。
無事でよかったと安堵し、再び助かった彼の姿を見ようとしたが、もうすでに姿はなかった。伝宝さんが聞くに聞きかねて、彼をこの場から立ち去るように言ったのだろう。
『まあ、自分たちで人殺しはだめだなんて言ってるのに、言った本人がしちゃうなんて、そりゃあ落ち込むのも分かるよ。分かるけどさ、炎を操れるかどうか分からないのに、あんな啖呵切っちゃうなんて、流石にどうかと思うよ。しかも、土壇場まで操れなかったなんて知られれば、お説教ものだね』
伝宝さんはクスクスと笑っている。
確かに、それは俺も思っていたことだ。俺自身、あんな強烈な物、扱えないと思っていたことだし。
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