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1 これまでの勇者
まさか魔王が異世界で 1
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「ミラ! 魔力が上昇している。強力な攻撃が来るぞ! 結界準備はできているか?」
「ダメです。まだ、時間が足りません」
「くっそ……。仕方ない。俺が防御スキルを使う。後ろに隠れてろ」
「ごめんなさい、フレット。もっと早くに詠唱を始めていれば……」
「謝るのは後だ。来るぞ!」
私、魔法使いのミラと勇者のフレットの二人は、今、魔王ベレトに挑んでいた。
「我が憤怒を受けるがいい。ラース・オブ・フレイム」
魔王ベレトの魔法により、ドロドロとした炎が床一面を溶かしながら迫ってくる。凄まじい威力、そして、逃げる場所なんてない範囲。それでも、気高き勇者を臆することなく立ちはだかる。
「我が身を守れ、ホーリー・ガード!」
フレットが左手を向けると、装備している指輪が光り、そこから光の壁が現れた。迫り来る炎は強大だが、それをフレットは受け止め、後ろにいる私も守り抜いた。
「我が憤怒を耐えるか。だが、もう一度、同じように防げるかな?」
「無理だな。二度はない」
フレットの苦悶の表情と共に、先ほど、炎を防いだ指輪が砕け散った。
「その余裕の表情、隠す必要はない。もう一度、防ぐ手段があるのだろ? ならば、さらに火力をあげてやろう」
先ほどの攻撃も強大だったのに、さらに魔力が上がっている。
「ラース・オブ・ラーヴァ」
再び、炎が迫ってくる。しかも、先ほどよりも強力で、指輪が壊れてしまい同じような防御はできない。でも、あれは奥の手。この攻撃を防ぐのは、本来、私の役目だ。
「ミラ! 今度はやれるな?」
「大丈夫です」
準備はすでに出来ている。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」
魔導書の力を借り、魔力を遮断する結界を張る。たとえ魔王の攻撃だとしても、完全に魔力を遮ってくれる。
強烈な炎は、私たちを囲む結界を避けるようにして通過していく。
けれど、この力の差では、一時凌ぎにしかならない。
「……もう、あれをやるしかない」
「あれって……でも、それだと、フレットが」
「分かっている。でも、このまま魔王に負けて死ぬというのなら、あれに賭けるしか道はない」
私には、魔力遮断の結界の他に、もう一つ、切り札となる魔法を持っている。でも、それを使えば、フレットを犠牲にしてしまう。
「何だ? こそこそと相談ごとなどしおって。この我にまだ刃向かうというのか? ならば、早く使うがいい。死んでしまう前にな」
そう高笑いしながら、指先から黒い玉を弾き出している。
魔王にとっては弱い攻撃なのだろうが、私たちにとっては、気を抜けば致命の一撃となりうる攻撃だ。
「あれだけの攻撃をしたのに、まだ魔力が尽きないのか……。来い、破魔の盾」
すかさず、フレットが盾を出し、私を庇うように攻撃を防いでいく。
「早くするんだ。もう時間がない」
「でも……」
「もう分かるだろ! 俺たちじゃ、勝てない!」
私が決断しなければ、このまま、フレットが嬲り殺しになるだけ……。
「はぁ……。防ぐだけか。つまらん。もう終わりにしよう」
放つだけだった黒い玉を一点に収束させていく。先ほどの炎ほどではないだろうが、強力な攻撃に代わりはない。でも、私の魔法の準備も心の準備もまだ出来ていない。
「まだだ! キャッスル・ウォール!」
黒い大玉を正面から受け止める。盾は砕け、鎧にもダメージが入っている。それでも、私はまだ無傷のまま。私がやってくれると信じているから。
「しぶとく足掻くなど、醜いな。だが、これで終わりだ」
魔王の指先から黒い玉が無防備なフレットに向かって飛んでくる。
「やるんだ! ミラ!」
フレットの叫びに、私も覚悟を固めた。
「我は求め訴えたり……。サクリファイス・サモン」
私の魔法でフレットの影がフレット自信を飲み込んみ、魔王の攻撃を弾いた。でも、これは防御魔法ではない。
「なんだこれは。サクリファイス……生贄召喚か。勇者を贄とするなど、笑止。勇者以外など、魔王たる我の敵では……」
魔王の言葉が突然止まった。それほどに、召喚された者の魔力は恐怖でしかなかった。
そこには、絶望が立っていた。
「ダメです。まだ、時間が足りません」
「くっそ……。仕方ない。俺が防御スキルを使う。後ろに隠れてろ」
「ごめんなさい、フレット。もっと早くに詠唱を始めていれば……」
「謝るのは後だ。来るぞ!」
私、魔法使いのミラと勇者のフレットの二人は、今、魔王ベレトに挑んでいた。
「我が憤怒を受けるがいい。ラース・オブ・フレイム」
魔王ベレトの魔法により、ドロドロとした炎が床一面を溶かしながら迫ってくる。凄まじい威力、そして、逃げる場所なんてない範囲。それでも、気高き勇者を臆することなく立ちはだかる。
「我が身を守れ、ホーリー・ガード!」
フレットが左手を向けると、装備している指輪が光り、そこから光の壁が現れた。迫り来る炎は強大だが、それをフレットは受け止め、後ろにいる私も守り抜いた。
「我が憤怒を耐えるか。だが、もう一度、同じように防げるかな?」
「無理だな。二度はない」
フレットの苦悶の表情と共に、先ほど、炎を防いだ指輪が砕け散った。
「その余裕の表情、隠す必要はない。もう一度、防ぐ手段があるのだろ? ならば、さらに火力をあげてやろう」
先ほどの攻撃も強大だったのに、さらに魔力が上がっている。
「ラース・オブ・ラーヴァ」
再び、炎が迫ってくる。しかも、先ほどよりも強力で、指輪が壊れてしまい同じような防御はできない。でも、あれは奥の手。この攻撃を防ぐのは、本来、私の役目だ。
「ミラ! 今度はやれるな?」
「大丈夫です」
準備はすでに出来ている。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」
魔導書の力を借り、魔力を遮断する結界を張る。たとえ魔王の攻撃だとしても、完全に魔力を遮ってくれる。
強烈な炎は、私たちを囲む結界を避けるようにして通過していく。
けれど、この力の差では、一時凌ぎにしかならない。
「……もう、あれをやるしかない」
「あれって……でも、それだと、フレットが」
「分かっている。でも、このまま魔王に負けて死ぬというのなら、あれに賭けるしか道はない」
私には、魔力遮断の結界の他に、もう一つ、切り札となる魔法を持っている。でも、それを使えば、フレットを犠牲にしてしまう。
「何だ? こそこそと相談ごとなどしおって。この我にまだ刃向かうというのか? ならば、早く使うがいい。死んでしまう前にな」
そう高笑いしながら、指先から黒い玉を弾き出している。
魔王にとっては弱い攻撃なのだろうが、私たちにとっては、気を抜けば致命の一撃となりうる攻撃だ。
「あれだけの攻撃をしたのに、まだ魔力が尽きないのか……。来い、破魔の盾」
すかさず、フレットが盾を出し、私を庇うように攻撃を防いでいく。
「早くするんだ。もう時間がない」
「でも……」
「もう分かるだろ! 俺たちじゃ、勝てない!」
私が決断しなければ、このまま、フレットが嬲り殺しになるだけ……。
「はぁ……。防ぐだけか。つまらん。もう終わりにしよう」
放つだけだった黒い玉を一点に収束させていく。先ほどの炎ほどではないだろうが、強力な攻撃に代わりはない。でも、私の魔法の準備も心の準備もまだ出来ていない。
「まだだ! キャッスル・ウォール!」
黒い大玉を正面から受け止める。盾は砕け、鎧にもダメージが入っている。それでも、私はまだ無傷のまま。私がやってくれると信じているから。
「しぶとく足掻くなど、醜いな。だが、これで終わりだ」
魔王の指先から黒い玉が無防備なフレットに向かって飛んでくる。
「やるんだ! ミラ!」
フレットの叫びに、私も覚悟を固めた。
「我は求め訴えたり……。サクリファイス・サモン」
私の魔法でフレットの影がフレット自信を飲み込んみ、魔王の攻撃を弾いた。でも、これは防御魔法ではない。
「なんだこれは。サクリファイス……生贄召喚か。勇者を贄とするなど、笑止。勇者以外など、魔王たる我の敵では……」
魔王の言葉が突然止まった。それほどに、召喚された者の魔力は恐怖でしかなかった。
そこには、絶望が立っていた。
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