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5 魔王、戦う
まさか魔王が異世界で 10
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「ふん。イノシシ型の魔物か。見た感じ、魔力もあるかどうかも分からないほど少ない。これなら万が一なんて可能性もないだろう」
「まあ、あれぐらいなら何かあっても私の魔法でどうにかできるかな……」
了承も得たことだし、早速、先頭に入った。
俺が持つ最大の魔法、極大魔法が使えないのは分かった。だが、俺の中には、まだ魔王の魔力が残っているかもしれない。
「よし。まずは手始めに初級の魔法を使ってやろう。下等な魔物の分際で、この魔王の魔法をその身に受けること、光栄に思うがいい!」
突き出した右手に力を込めて魔法を使用する。
「エクリクス」
炎の爆発を生む魔法。人間であれば線香花火程度の威力だが、この俺、魔王ともなると、打ち上げ花火ほどの威力になる。そのはずなのだが、一向に爆発が起こらない。向き合っているイノシシ型の魔物も首を傾げているようにも見える。魔王であるこの俺をバカにしおって……ただでは済まさない。
だが、怒りに任せて極大魔法を使おうとしてはいけない。再び力が抜けて倒れれば、それこそ笑い物だ。
再び、右手を突き出し、今度は極大魔法を使うときのように魔力を集めていく。魔力が集まれば魔法が使えるのだが、一向に集まっていく気配がない。それどころか、体の力がどんどん抜けていく。
これ以上は意識を保てない。一か八か、魔力を振り絞って魔法を行使する。
「エ……エク……リ……」
魔法の名前を最後まで言うこともできず、俺は膝をついた。
「ちょ、ちょっと、アペ君!? 倒れるなんて聞いてないんだけど!」
慌てて一緒に来た人間が駆け寄ってくるが、それよりも先にイノシシ型の魔物が突進してきた。
「危ない!」
人間の鬼気迫る声。しかし、俺は全く動揺していない。
突進してきて攻撃しようとしたイノシシ型の魔物は、俺に触れることなく吹き飛んだ。
「憑依影装だ。説明しただろ。魔力が低いものからの接触を拒絶する。貴様も例外ではない。触れようとするなよ」
「で、でも……」
人間に心配されるなんて情けない。
「それより、次の攻撃が来るぞ。俺が時間を稼いでいる間に、貴様はこの戦闘から離脱しろ」
すでにイノシシ型の魔物は、助走をつけ突進して来ている。
「逃げるのなら、私に任せて」
そういって、俺の前に立ちはだかった。俺は憑依影装で攻撃を受けないというのに……。だが、今は小娘を押し退けるだけの体力すら残っていない。
ダメだ。俺を庇おうとして小娘が攻撃を受けてしまう。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」
小娘が力強く唱えると、目の前に淡い青色の半透明な壁が魔力によって作られた。
「今のうちに! まだ防御魔法は残っているから、この森から戻るぐらいはできるはず」
憑依影装があり、俺は少しも危険に陥っていないのに、魔王の俺が小娘に助けられているという事実に代わりはない。実に腹立たしい。この地を焦土に変えたいぐらい。ただ、何度も同じ過ちを犯すつもりはないし、せっかくの人間の好意に背くのも悪い。ここは素直に、小娘と一緒に後退しよう。
俺と小娘は二人で後退し、イノシシ型の魔物からの攻撃を一切受けることなく森からでることができた。
「まあ、あれぐらいなら何かあっても私の魔法でどうにかできるかな……」
了承も得たことだし、早速、先頭に入った。
俺が持つ最大の魔法、極大魔法が使えないのは分かった。だが、俺の中には、まだ魔王の魔力が残っているかもしれない。
「よし。まずは手始めに初級の魔法を使ってやろう。下等な魔物の分際で、この魔王の魔法をその身に受けること、光栄に思うがいい!」
突き出した右手に力を込めて魔法を使用する。
「エクリクス」
炎の爆発を生む魔法。人間であれば線香花火程度の威力だが、この俺、魔王ともなると、打ち上げ花火ほどの威力になる。そのはずなのだが、一向に爆発が起こらない。向き合っているイノシシ型の魔物も首を傾げているようにも見える。魔王であるこの俺をバカにしおって……ただでは済まさない。
だが、怒りに任せて極大魔法を使おうとしてはいけない。再び力が抜けて倒れれば、それこそ笑い物だ。
再び、右手を突き出し、今度は極大魔法を使うときのように魔力を集めていく。魔力が集まれば魔法が使えるのだが、一向に集まっていく気配がない。それどころか、体の力がどんどん抜けていく。
これ以上は意識を保てない。一か八か、魔力を振り絞って魔法を行使する。
「エ……エク……リ……」
魔法の名前を最後まで言うこともできず、俺は膝をついた。
「ちょ、ちょっと、アペ君!? 倒れるなんて聞いてないんだけど!」
慌てて一緒に来た人間が駆け寄ってくるが、それよりも先にイノシシ型の魔物が突進してきた。
「危ない!」
人間の鬼気迫る声。しかし、俺は全く動揺していない。
突進してきて攻撃しようとしたイノシシ型の魔物は、俺に触れることなく吹き飛んだ。
「憑依影装だ。説明しただろ。魔力が低いものからの接触を拒絶する。貴様も例外ではない。触れようとするなよ」
「で、でも……」
人間に心配されるなんて情けない。
「それより、次の攻撃が来るぞ。俺が時間を稼いでいる間に、貴様はこの戦闘から離脱しろ」
すでにイノシシ型の魔物は、助走をつけ突進して来ている。
「逃げるのなら、私に任せて」
そういって、俺の前に立ちはだかった。俺は憑依影装で攻撃を受けないというのに……。だが、今は小娘を押し退けるだけの体力すら残っていない。
ダメだ。俺を庇おうとして小娘が攻撃を受けてしまう。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」
小娘が力強く唱えると、目の前に淡い青色の半透明な壁が魔力によって作られた。
「今のうちに! まだ防御魔法は残っているから、この森から戻るぐらいはできるはず」
憑依影装があり、俺は少しも危険に陥っていないのに、魔王の俺が小娘に助けられているという事実に代わりはない。実に腹立たしい。この地を焦土に変えたいぐらい。ただ、何度も同じ過ちを犯すつもりはないし、せっかくの人間の好意に背くのも悪い。ここは素直に、小娘と一緒に後退しよう。
俺と小娘は二人で後退し、イノシシ型の魔物からの攻撃を一切受けることなく森からでることができた。
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