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5 魔王、戦う
まさか魔王が異世界で 11
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「まさかって心配していたけど、魔法が使えないほど魔力が残っていないみたいね」
「ここまで弱体化していたとは……」
子供の姿なのも困りものだが、魔法を使えるだけの魔力も残っていないなんて。憑依影装がなければ、あんな下等な魔物にやられていたかもしれない。
「やっぱり、剣でも持った方がいいんじゃない?」
「剣を持つのは無理だろ……こんな姿だが、俺は魔王だぞ? 剣を持つ資格があるとは思えん」
「資格って……武器屋で買えばいいだけなのに」
「はぁ? 唯一無二の伝説の勇者の剣がそこらの店に売ってあるわけがないだろ」
勇者の剣と言うのは、地面に刺さり、勇者にしか引き抜けない唯一無二の剣。そんなものが、この世界には何本もあるというのか。
「伝説の勇者の剣じゃないけど、普通の剣ならいくらでも」
「普通の剣……そう言えば、久しく見ていなかったな……」
魔王に就任して数年後に刃を持つことを許さない廃刀令を出したのだ。それにより、人間はもちろん、魔賊からも剣を奪った。唯一奪えなかったものは勇者の剣のみ。これで、複数の人間が勇者の剣を抜こうとすると思っていたのだが、俺の思惑とは違い、剣をなくして争いがなくなった人間は平和に暮らし始めてしまった。人間は実に怠惰だ。それはこの小娘も例外ではない。
「それより貴様、なぜ防御魔法ばかりで攻撃をしない」
「私は防御魔法しか使えないから……」
「防御魔法しか? では、なぜ攻撃魔法を覚えようとしない。あの程度の防御魔法が使えるのなら、魔力には問題ないはずだ」
「攻撃は勇者の使命だから。私はそれを最大限バックアップするのが役目なの」
「はぁ? なんだそれは」
それでは勇者一人の負担が大きすぎる。
「だいたい、なんで勇者の仲間が貴様一人なんだ。もっと数を集めればいいではないか」
「ダメですよ。勇者の仲間は、このグリモアに選ばれた魔法使い一人なんだから」
「なんで一人じゃないとダメなんだ?」
「それは……そう言う決まりだから……」
だから人間は愚かなんだ。いつもプライドだの宗教だのに縛りを設ける。魔王をなめすぎだ。
「あのな、俺の世界では勇者一人に重責を背負わせることはなかった。少なくとも5人、多いときでは千人規模の戦争をしたこともある。剣などの武器を奪ってもクワやカマで立ち向かってきた。人間の強みというものは、そう言うところだろ。諦めが悪く、悪知恵を働かせ、欲望のまま勝利を欲する。そういう生き物だろ」
「それは……」
「それに、貴様は俺をこの世界に連れてくるのに勇者を生け贄に捧げたのだろ? 俺の世界でもそんなことをする人間はいなかった。魔王に勝つために魔王を呼び出すなど、魔族でも思いつかない。それを貴様はやったんだ。最後まで足掻き、そして、今、こうして生き延びている。それをまずは誇れ」
「誇れって言われても……私は勇者フレットを生け贄に悪魔を呼び出すなんて外道な魔術に手をかけておきながら、無様に逃げ帰った臆病者」
「無様だと? この俺、魔王がこの世界の魔王を倒して人間を支配してやると言っているのだ。それが失敗であるはずがなかろう」
「どの道、魔族に支配されるんだったら同じような気が……」
「この世界の魔王を倒すということには変わりないんだ。その後のことなど気にするな。勇者の仲間であるなら、魔王を倒すことだけを考えていればいいんだ」
俺の言葉に感銘を受けたのか、小娘は目を潤ませたが、すぐに肩を落とした。
「このセリフをフレットが言ってくれたらな……いくら別の世界の魔王だからって、力を奪われて魔力もなく体も子供になっている魔王に期待なんて……」
「だから今こうして、魔族を倒し、魔力を吸い上げて力の一部にできないか試そうとしていたんだろ」
「そもそも倒せなかったけど」
「倒せばいいんだろ! 町に戻って剣を買うぞ! まずはそこからだ」
「はいはい」
俺と小娘の二人は、来た道を戻り町へと向かった。
「ここまで弱体化していたとは……」
子供の姿なのも困りものだが、魔法を使えるだけの魔力も残っていないなんて。憑依影装がなければ、あんな下等な魔物にやられていたかもしれない。
「やっぱり、剣でも持った方がいいんじゃない?」
「剣を持つのは無理だろ……こんな姿だが、俺は魔王だぞ? 剣を持つ資格があるとは思えん」
「資格って……武器屋で買えばいいだけなのに」
「はぁ? 唯一無二の伝説の勇者の剣がそこらの店に売ってあるわけがないだろ」
勇者の剣と言うのは、地面に刺さり、勇者にしか引き抜けない唯一無二の剣。そんなものが、この世界には何本もあるというのか。
「伝説の勇者の剣じゃないけど、普通の剣ならいくらでも」
「普通の剣……そう言えば、久しく見ていなかったな……」
魔王に就任して数年後に刃を持つことを許さない廃刀令を出したのだ。それにより、人間はもちろん、魔賊からも剣を奪った。唯一奪えなかったものは勇者の剣のみ。これで、複数の人間が勇者の剣を抜こうとすると思っていたのだが、俺の思惑とは違い、剣をなくして争いがなくなった人間は平和に暮らし始めてしまった。人間は実に怠惰だ。それはこの小娘も例外ではない。
「それより貴様、なぜ防御魔法ばかりで攻撃をしない」
「私は防御魔法しか使えないから……」
「防御魔法しか? では、なぜ攻撃魔法を覚えようとしない。あの程度の防御魔法が使えるのなら、魔力には問題ないはずだ」
「攻撃は勇者の使命だから。私はそれを最大限バックアップするのが役目なの」
「はぁ? なんだそれは」
それでは勇者一人の負担が大きすぎる。
「だいたい、なんで勇者の仲間が貴様一人なんだ。もっと数を集めればいいではないか」
「ダメですよ。勇者の仲間は、このグリモアに選ばれた魔法使い一人なんだから」
「なんで一人じゃないとダメなんだ?」
「それは……そう言う決まりだから……」
だから人間は愚かなんだ。いつもプライドだの宗教だのに縛りを設ける。魔王をなめすぎだ。
「あのな、俺の世界では勇者一人に重責を背負わせることはなかった。少なくとも5人、多いときでは千人規模の戦争をしたこともある。剣などの武器を奪ってもクワやカマで立ち向かってきた。人間の強みというものは、そう言うところだろ。諦めが悪く、悪知恵を働かせ、欲望のまま勝利を欲する。そういう生き物だろ」
「それは……」
「それに、貴様は俺をこの世界に連れてくるのに勇者を生け贄に捧げたのだろ? 俺の世界でもそんなことをする人間はいなかった。魔王に勝つために魔王を呼び出すなど、魔族でも思いつかない。それを貴様はやったんだ。最後まで足掻き、そして、今、こうして生き延びている。それをまずは誇れ」
「誇れって言われても……私は勇者フレットを生け贄に悪魔を呼び出すなんて外道な魔術に手をかけておきながら、無様に逃げ帰った臆病者」
「無様だと? この俺、魔王がこの世界の魔王を倒して人間を支配してやると言っているのだ。それが失敗であるはずがなかろう」
「どの道、魔族に支配されるんだったら同じような気が……」
「この世界の魔王を倒すということには変わりないんだ。その後のことなど気にするな。勇者の仲間であるなら、魔王を倒すことだけを考えていればいいんだ」
俺の言葉に感銘を受けたのか、小娘は目を潤ませたが、すぐに肩を落とした。
「このセリフをフレットが言ってくれたらな……いくら別の世界の魔王だからって、力を奪われて魔力もなく体も子供になっている魔王に期待なんて……」
「だから今こうして、魔族を倒し、魔力を吸い上げて力の一部にできないか試そうとしていたんだろ」
「そもそも倒せなかったけど」
「倒せばいいんだろ! 町に戻って剣を買うぞ! まずはそこからだ」
「はいはい」
俺と小娘の二人は、来た道を戻り町へと向かった。
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