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5 魔王、戦う
まさか魔王が異世界で 18
「次は当ててやる……」
初めて使うスキルということもあって、最初は効果の確認という意味でもあった。だから、今のは失敗ではない。
これで、スキルの発動時間も把握した。今度こそタイミングを合わせて攻撃を当てる。
「さあ、死力を尽くしてかかってこい!」
再び、イノシシ型の魔物が突進してくる。
今度は憑依影装には頼らない。この剣で斬り伏せてみせる。
スキルの発動時間を逆算して、ちょうどいいタイミングで、今度こそ必殺のスキルを叫んだ。
「パワー……って、お、おい!」
確実に当てることができるタイミングだと思ったのに、イノシシ型の魔物は突進する方向を俺から別の方向へと変えた。その方向に居たのは、俺を見守っていたミラ。
「え……えぇ!? ちょ……」
俺へと視線を向けると、瞬時に俺がスキルの発動中で硬直状態にあることを理解して、慌てて詠唱を始めた。
「わ、我は求め訴えたり!」
突進は障壁に阻まれ止まり、それと同時に、俺の剣は空を切った。
「ご、ごめん。手を出さないつもりだったんだけど……」
「謝る必要はない。正しい判断だ」
ミラの判断は正しい。敵意が向かってきているのだからいち早く防御体制を取らなければならない。悪いどころか、俺を気にして防御魔法が遅れたにも関わらず、ちゃんと攻撃を防御出来たのだから上出来と言っていい。
ただ、謝った判断をしたものが別にいる。
「下等な魔物ごときが、この俺を無視して標的を変えるとはいい度胸ではないか」
まだ何に突進を阻まれたのか理解できていないイノシシ型の魔物の背後にゆっくりと近づいた。
「パワースラッシュ……」
剣を振り上げ、静かに力のこもった声でスキル名を言うと、剣は俺の怒りに呼応したのか赤いオーラを放ちだした。
その気迫に、接近しても気にもしていなかった魔物が振り返った。
まずいと思ったのか、魔物は急いで逃げようとしたのだが、もう遅い。
「俺を無視した罪の重さ、受けてみろ!」
渾身の力を込めて放ったスキル、パワースラッシュは、見事、魔物に直撃した。直撃したのだが……。
「あ、あれ……」
剣は魔物を両断……する事もなく、魔物の体に押しつけられていた。
すると、俺の気迫に気圧されたのか、魔物は悲鳴を上げながら逃げて行ってしまった。
「あっ! こら、待て! 逃げるな卑怯者!」
しかし、言葉が通じることもないイノシシ型の魔物は、戻ってくることもなく森の奥へと消えていった。
「くっそ、追いかけるぞ!」
何としてでも俺を無視して馬鹿にしたあの魔物だけはしとめておかなければ。
「ちょ、ちょっと待った! 我は求め訴えたり」
魔物を追いかけようとしたのだが、目の前にミラの魔法防壁が生成され、行く手を阻まれた。
「何をする! このままでは完全に見失ってしまうではないか!」
魔王の力さえあれば、こんな障壁、すぐに壊してしまうのに……。
「奥に行けば、もっと強い魔物が居るの。今はまだ危ない」
「危険などない! 俺には憑依影装がある」
「防御力はあっても攻撃力がないんじゃ魔物を倒すことは出来ない!」
「攻撃ならたった今さっき当てたではないか!」
「当たったけど……でも、ダメージは与えられてない。その剣に魔物の血が付いていないのがその証拠」
剣を見ると、確かにミラの言うとおり血が付いていない。剣で切れば、どんな魔物でも血を流す。それが付いていないと言うことは、この剣で切れていなかったということだ。俺の渾身のパワースラッシュは両断どころか切り傷すら与えられていなかったということだ。
「少し原因を考えた方が良さそうね」
初めて使うスキルということもあって、最初は効果の確認という意味でもあった。だから、今のは失敗ではない。
これで、スキルの発動時間も把握した。今度こそタイミングを合わせて攻撃を当てる。
「さあ、死力を尽くしてかかってこい!」
再び、イノシシ型の魔物が突進してくる。
今度は憑依影装には頼らない。この剣で斬り伏せてみせる。
スキルの発動時間を逆算して、ちょうどいいタイミングで、今度こそ必殺のスキルを叫んだ。
「パワー……って、お、おい!」
確実に当てることができるタイミングだと思ったのに、イノシシ型の魔物は突進する方向を俺から別の方向へと変えた。その方向に居たのは、俺を見守っていたミラ。
「え……えぇ!? ちょ……」
俺へと視線を向けると、瞬時に俺がスキルの発動中で硬直状態にあることを理解して、慌てて詠唱を始めた。
「わ、我は求め訴えたり!」
突進は障壁に阻まれ止まり、それと同時に、俺の剣は空を切った。
「ご、ごめん。手を出さないつもりだったんだけど……」
「謝る必要はない。正しい判断だ」
ミラの判断は正しい。敵意が向かってきているのだからいち早く防御体制を取らなければならない。悪いどころか、俺を気にして防御魔法が遅れたにも関わらず、ちゃんと攻撃を防御出来たのだから上出来と言っていい。
ただ、謝った判断をしたものが別にいる。
「下等な魔物ごときが、この俺を無視して標的を変えるとはいい度胸ではないか」
まだ何に突進を阻まれたのか理解できていないイノシシ型の魔物の背後にゆっくりと近づいた。
「パワースラッシュ……」
剣を振り上げ、静かに力のこもった声でスキル名を言うと、剣は俺の怒りに呼応したのか赤いオーラを放ちだした。
その気迫に、接近しても気にもしていなかった魔物が振り返った。
まずいと思ったのか、魔物は急いで逃げようとしたのだが、もう遅い。
「俺を無視した罪の重さ、受けてみろ!」
渾身の力を込めて放ったスキル、パワースラッシュは、見事、魔物に直撃した。直撃したのだが……。
「あ、あれ……」
剣は魔物を両断……する事もなく、魔物の体に押しつけられていた。
すると、俺の気迫に気圧されたのか、魔物は悲鳴を上げながら逃げて行ってしまった。
「あっ! こら、待て! 逃げるな卑怯者!」
しかし、言葉が通じることもないイノシシ型の魔物は、戻ってくることもなく森の奥へと消えていった。
「くっそ、追いかけるぞ!」
何としてでも俺を無視して馬鹿にしたあの魔物だけはしとめておかなければ。
「ちょ、ちょっと待った! 我は求め訴えたり」
魔物を追いかけようとしたのだが、目の前にミラの魔法防壁が生成され、行く手を阻まれた。
「何をする! このままでは完全に見失ってしまうではないか!」
魔王の力さえあれば、こんな障壁、すぐに壊してしまうのに……。
「奥に行けば、もっと強い魔物が居るの。今はまだ危ない」
「危険などない! 俺には憑依影装がある」
「防御力はあっても攻撃力がないんじゃ魔物を倒すことは出来ない!」
「攻撃ならたった今さっき当てたではないか!」
「当たったけど……でも、ダメージは与えられてない。その剣に魔物の血が付いていないのがその証拠」
剣を見ると、確かにミラの言うとおり血が付いていない。剣で切れば、どんな魔物でも血を流す。それが付いていないと言うことは、この剣で切れていなかったということだ。俺の渾身のパワースラッシュは両断どころか切り傷すら与えられていなかったということだ。
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