まさか魔王が異世界で

小森 輝

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5 魔王、戦う

まさか魔王が異世界で 19

 まず最初に思い当たったのは、俺自身ではなく剣に問題があったのではないかということ。
「まさか、俺が子供だから刃のない玩具でも掴ませたのか!」
「ちゃんと切れるわよ! ちょっと貸してみて」
「いいだろう。雑に扱うんじゃないぞ」
 憑依影装があるので直接渡すことはできない。なので、俺は剣を地面に突き刺し、少し離れると、ミラが剣を持った。
「ちゃんと刃はついていると思うんだけどな……」
 指で刃の鋭さを確かめ、そして、獣道の横に生えている背の高い雑草に向けて剣を一閃。すると、雑草は同じ高さに切りそろえられた。
「すごくいいってわけじゃないけど、ちゃんと刃はついているけどな……」
 ミラに剣を返してもらったのだが、あのイノシシ型の魔物に切りかかり、手応えはあったのに全くダメージを与えられなかったあの感覚を経験しているので、正直、未だに信じられない。
「刃があるなら、あの魔物も切れたはずなんだ。こんな風に……」
 そう言いながら、横にある細い木を切って見せようとしたのだが、剣はその木を切ることはできず、しっかりと受け止められてしまっていた。
「なんだこの硬い木は! どうなっている!」
 何度も何度も切りかかるのだが、細い木はまるで大木のようにびくともしない。
「そんなに硬いはずは……」
 そう言いながら、ミラが木を掴むと、まるで飴細工のようにいい音を鳴らしながら折れてしまった。
「なっ……貴様! さては怪力の持ち主か!」
「そんな訳ないでしょ! 女の子に失礼ね」
 確かに、この憑依影装から接触を阻まれるのを考えても、ミラが怪力の持ち主とは考えにくい。それなら、やはり、原因は俺にあるようだ。
「あぁ……やっぱりレベルの問題かな……」
「どう言うことだ?」
「能力が低いって事。ほら、これ見て」
 そう言って、折った木を見せると、そこには切り傷が残っていた。
「たぶん、これがさっきアペ君がつけた傷だと思う」
「何だと……」
 その傷跡はまさに大木に切りかかろうとしてつけた傷のようだった。
 つまり、何が言いたいのかというと、ミラにとってはこの木は細くて片手で折れるようなものなのだが、俺にとっては全力を出しても切り倒せない大木のようなものになっている。
「もしかしたら、まだアペ君にこの場所はレベル差がある場所なのかも」
「おのれ……こんな場所ですら今の俺には不相応な場所とは……レベルを上げるにはどうしたらいい!」
「戦闘か……あとは体を成長させることかな……戦闘訓練も受けていない子供の体じゃいろんなステータスが低いままだし……」
「トレーニングを積めと言うことか……まどろっこしい! 実践の戦闘でレベルを上げる! 憑依影装があれば負けることはない」
 俺は、この最弱の体から魔王を倒す事ができる最強の体を目指して戦闘をしていくことを決めた。
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