まさか魔王が異世界で

小森 輝

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5 魔王、戦う

まさか魔王が異世界で 22

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 とりあえず、倒す方向で考えていこう。
 確かに、この魔物の群は統率がとれているが、それはこの群を束ねている主的な魔物がいるから。それを倒してしまえば、この群は散り散りになる。幸い、そいつは隠れることなく目の前にいる。可能性は少なくないはず、なのだが……。
「くっそ……ダメだ……」
 群の主を倒すどころかその手下を倒すことすらできない。何度スキルを使い何度剣を振っても倒すどころかダメージを与えられている感覚すらない。これでは雑魚に阻まれて、群の主と戦うことすらできない。
 ミラがどうにかしてくれないだろうかと様子を見ると、不安そうな顔で障壁の魔法を使っていた。やはり、攻撃魔法が使えないミラにはどうすることも出来ないようだ。俺が何とかしなければ……。
「アペ君……どうにもならなくなったら私を囮にして逃げて」
「何を馬鹿なことを言っている。憑依影装がある俺は、たとえ一人だろうとこの状況を切り抜けられる。囮なら優れている俺の方が適任だ」
「そ、そう、だよね……ごめん……」
 しまった。意図して言ったわけではないのだが、ミラに「今のこの状況では、お前が足手まといなんだ」と伝わってしまったようだ。これでは志気が下がってしまいかねない。
 そんな時だった。
「おい! 壁が切れてるぞ!」
 俺が懸念していたように、ミラは障壁を作ることをやめてしまっていた。諦めてた、訳ではなさそうだ。純粋に時間切れ。俺が試行錯誤して結果がでないうちに5分が過ぎていたのだろう。
「くそが!」
 俺とミラを阻むように立ちふさがるイノシシ型の魔物を自分から近づくことによって憑依影装が吹き飛ばしていく。
「少しぐらいは時間を稼ぐ。その間に隙を見つけて逃げろ」
 俺は人間一人を見捨てて逃げるような魔王ではない。
「隙って言っても……」
 後ろも魔物に囲まれているのは重々承知している。それでも、これぐらいしか抜け道がない。
 そんな危機的状況を察知して、奥にいる群の主が大きな声で吠えた。
 一斉攻撃で畳みかけてくるかと気を引き締めたが、どうやら違うようだ。
 さきほどまで絶え間なく攻撃を仕掛けてきた魔物がその手を止め、後ろに引いている。当然、このまま俺たちを逃がしてくれるわけではない。群に隠れていた主が俺たちが疲弊したのを確認して、群の中から出てきた。おそらく、とどめは主がということなのだろう。
 ピンチなのは変わりないが、これは逆にチャンスなのかもしれない。
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