まさか魔王が異世界で

小森 輝

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7 勇者の帰還

まさか魔王が異世界で 43

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「なるほど……。じゃあ、私からも魔力を吸えるってことだよね?」
「そうだな。感情の起伏が全くないような人間ではない限り、感情を魔力として吸収できる」
「じゃあ、私から魔力を吸い取ればいいじゃない。私も魔力を使うけど、少しぐらいなら……」
 魔王の俺に貢ぎ物とはいい心がけだが、やはり、考えが足りない。
「あのな、それができるんだったらとっくにやって、俺はこんなに苦労はしていないんだよ」
 今ここで急にミラの魔力を吸い取れるのなら、すでにやっている。それどころか、ミラだけではなく、町の人間すべてから魔力を徴収していただろう。
「それはそうだけど……。じゃあ、魔力はどうやって吸収するの? 何か特別な方法でもあるの?」
「いいや。別に特別な方法はない。ただ、どんな感情でも贄にできるわけではないというだけだ」
「そうなの?」
「魔族によって贄にできる感情は違う。怒りを食う魔族もいれば、悲しみを食う悪魔もいる」
 魔族にもいろいろ種族があるということだ。
「確かに、魔族と言って一括りにしても、その中もいろいろいるもんね。でも、食べるって言っても、どうやって食べるの? その人を見て、呼吸をするみたいに吸い込むとか?」
「それだと、肺活量が多い魔族ほど強くなる仕組みになるだろ」
 魔族の強さが肺活量で決まるなんて、流石に現実はそんな格差社会でできていない。
「魔族が人間から魔力を受け取るには、感情を発散させることが大事なんだ。怒りであれば、話を聞いて落ち着かせたり、悲しみであれば慰めると言った感じだ。いい例をあげるなら、サキュバスやインキュバスだな。奴らは人間の性欲を糧とする。なので、自信の体で性欲を発散させたりする。まあ、度が過ぎて人間の子供が産まれず少子化問題になってしまったがな」
 人間にはサキュバスやインキュバスによる性欲発散を週1に押さえて、どうにか出生率は回復したが。
「そう言えば、あの発想は面白かったな。愛を糧とする魔族が行った一日レンタル恋人。デートの予行演習になると人間側でも評判がよかった」
 魔族側も創意工夫をして人間に感情を与えることを考えていた。それに、人間の方も魔族の催しを楽しみにしていたので、隷属は容易かったといえる。
 と、前の世界を思い描いてミラを放置しすぎてしまった。
「あの! 質問です」
「いいぞ。どんどん質問して見ろ。恐怖を糧とする魔族のお化け屋敷でも、何でも答えてやるぞ」
「お化け屋敷?」
 そうか、この世界にはお化け屋敷すらないのか。もっと娯楽を発展させれば魔族も潤うのだが、そこまで思考が働かないか。
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