まさか魔王が異世界で

小森 輝

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7 勇者の帰還

まさか魔王が異世界で 45

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 外に出てみると、想像以上のお祭り騒ぎだった。
「なんだこれは……」
 人々は仕事も忘れて騒いでいる。
 ただ、こんな時でも、いや、こんな時こそ勤勉に働く者もいて、様々なおいしそうな匂いが混ざり合っていた。
「なに貰おうか?」
「お前はな……」
 もはや買うのではなく貰う気でいる。人間の善意につけ込むなど、魔族よりも魔族らしいことをしている。
 ただ、この状況はものを買うというような状況ではない。
「お! ちっちゃい勇者じゃねえか!」
「ちっちゃい勇者さん! これ食わねぇか?」
「こっちのもおいしいぞ! ほら、お代はいらねぇから」
「あら、ちっちゃい勇者さん。元気になったのね」
「あ! ちっちゃい勇者だ! 本当に僕と身長変わらないんだ!」
 少し歩いただけで、すごい人気が分かる。人は集まるし、露店で働いている人間からは俺に両手いっぱいの食べものを渡された。もう甘いものもしょっぱいものも一緒くたにして渡されている。これでは味がしっちゃかめっちゃかになっていそうだ。
「やっぱり、人気だね……」
 そう言うミラは、両手に持った何かの肉の串焼きを早速消費していた。
「この俺が人間に承認されたというのはいいことだが、だが、誰も彼もちっちゃい勇者だ? ふざけるな。俺は勇者ではなく魔王だ。それになんだ、全員取って付けた様にちっちゃいちっちゃいいいやがって……」
 勇者だと呼ばれるのは百歩譲って許可しよう。だが、ちっちゃいはないだろ。この町を救ったのだぞ? それをちっちゃいなどと、恩というものを知らないのか。
「まあ、勇者の姿だったのに、戦闘が終わるとちっちゃくなるんだもん。みんなちっちゃい勇者って言うのも当然」
「当然にするな。それに、もっと疑問に思うところがあるだろ。何で小さくなったのかとか」
「それは、私が説明しておいたから」
 一瞬にして悪い予感がよぎった。
「なんて説明したんだ」
「魔王との戦闘で呪いを受けてちいさくなったって」
「なんだそれは。そんな説明では、まるで俺が逃げ帰ったみたいではないか」
 まるでではなく、本当に逃げ帰ったのだが、伝聞とは嘘も交えて流すもの。この場合、魔王に致命傷を与え、後少しと言うところまで追い込んだのだが、魔王の最後の抵抗で子供の体にされ、一時撤退した。このぐらいの改変は必要だろう。それなのに……。
「でも、あの時、アペ君気絶してたでしょ?」
「それはそうだが。何の関係があるんだ」
「どうせ、魔力使いすぎたんでしょ。あんな極大魔法とかいう広範囲魔法を使って、貯まった魔力を全部使い切るとか……やっぱりおこちゃまでちゅね」
 もし今魔法が使えていたのなら、塵も残さず焼き払っていた。
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