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第二章 輝ける乙女
暗殺5
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「リナレス」
サリカは、掠れた声で乳兄弟を呼んだ。なぜ、彼がここに? ――そんな疑問が頭を掠める。
リナレスは、宰相の側近となったはず。
公務でなければ、こちらには赴かないはず。
それが、なぜ。
「聞こえなかったか?」
リナレスの声は、相変わらず冷たく厳しい。サリカは、ジェリオを庇い、彼の心臓を、首筋を、リナレスが射抜かぬように身体をずらした。が。
「周りを見てみろ」
リナレスの言葉に、周囲に眼を向ければ、そこには彼のほかにも数人――否、十人を軽く超える騎士の姿があった。まさか、あの僅かな時間の間に、衛兵の誰かが紫芳宮へ応援を求めたのか。
違う。
そんな余裕はない上に、もしも、連絡をしたとしても、これほど早く駆けつけられるわけがない。と、いうことは。
「ルクレツィア姫の周辺に、不穏な動きがあることは、解っていた。おとなしく、縛につけ」
威圧的なリナレスの態度に、サリカは唇を震わせる。おそらく宰相は、彼女を囮として利用したのだ。ミアルシァの刺客をおびき寄せる餌として、彼女を離宮に住まわせた。ジェリオはまんまと罠に嵌められた。そういうことである。でなければ、皇帝の警備があれほど薄いはずがない。
「そういうことか」
背中越しに感じていた体温、それが急に離れた。
「全部、仕組まれたことかよ」
リナレスに劣らぬ、冷ややかな声が聞こえる。それは、リナレスに向けられたものでも、取り囲む騎士に向けられたものでもない。他ならぬ、サリカに向けられたものだった。
「ジェリオ」
振り返る前に、ジェリオは下馬していた。彼は地面に唾を吐き捨て、サリカに眼を向けた。心の奥底を抉るような、鋭い視線。呪詛の篭ったそれをまともに受けて、彼女は息を呑んだ。
「さぞかし、面白い見世物だったろうよ」
違う、と、そう叫びたかった。けれども、声が出てこない。
ジェリオは、サリカもぐるだと思っているのだ。彼女自らジェリオを罠に嵌めたのだと、思い込んでいるのだ。
「違う、違う、ジェリオ」
サリカの言葉は、ジェリオには届いていない。
彼は、『皇帝』の言葉には、耳を傾けようとはしていなかった。
彼の背は、サリカを拒絶している。彼女の視線も声も、言葉も、存在すらも。全てを否定している。彼は両手を上げて、リナレスの前に進み出た。リナレスは、無機質な目でジェリオを馬上から見下ろす。リナレス自身は爵位は持たぬものの、彼は伯爵家の次男。馬上と徒歩、これが彼とジェリオの差であった。それを彼らは互いに感じているのか。視線を交錯させて睨み合う。
「捕らえよ」
リナレスの命で、騎士たちが一斉に動き出す。彼らはジェリオを捕縛し、連行した。その間、ジェリオは一切の抵抗をせず、ただ、なされるままに動いていた。
「ジェリオ」
彼を追おうとしたサリカを、騎士の一人が制止する。いけません、と厳しく窘められ、サリカは動きを止めた。歩兵に小突かれながら引き立てられるジェリオは、決して項垂れることはなく。堂々と歩んでいる。サリカは、どうすることも出来ず、ただ、見つめるだけの自分を呪った。
これが、皇帝か。
たったひとりも救えぬ自分が、皇帝といえるのだろうか。
「陛下、お怪我はございませんか」
リナレスがこちらに馬を進めてくる。サリカは、「ない」とだけ答えた。リナレスは安堵したように頷き、周囲の騎士たちに皇帝の警護を改めて申し渡す。
「陛下は、こちらへ」
紫芳宮へ。
リナレスの命に、騎士たちはサリカを取り囲む。彼女が妙な真似をせぬよう、両脇にそれぞれ一名ずつの騎士が侍り、彼女は半ば強引にその場から連れ出される。
振り返ることも許されぬ。
名を呼ぶことも、認められぬ。
サリカは、ジェリオから引き離されるように紫芳宮へと送られた。まるで彼女自身が謀反人であるかのように、厳重な警戒の元で。
◆
「ありゃ、これはまた。どういうつもりだい」
離宮の地下、オルトルート専用に作られた新たなる工房に、頓狂な『魔女』の声が響き渡る。赤毛の女――今は、その見事な赤毛を黒に染めてしまっている彼の師は、エーディトが引き摺ってきた女性を見るなり顔を顰めた。
「どうもこうもありませんよ、師匠。あれです、あれ。殺し屋ですよこのご婦人」
エーディトの説明に、ティルデこと二代目オルトルートは、眼を丸くした。
彼女ら師弟が刺客に狙われて、久しい。狙われた理由が、アグネイヤ四世の縁者であるから、というのも解せないが。師弟を狙うのは、カルノリアの隠密騎士団であり、まさかこのような、いかにもミアルシァ人といった容姿の女性が差し向けられるなどありえぬだろう――というのが、ティルデの意見ではあるが。エーディトは指を振り、得意気に胸をそらした。
「いやいや解りませんよ、師匠。必ずしもこのご婦人が、我らを狙っているというわけではなく。皇帝陛下に差し向けられた刺客であったとしたら、どうでしょう。これは、立派にお手柄ですよ。そうです、そうは思いませんか、師匠」
「だとしてもねえ」
苦虫を噛み潰したような顔で、ティルデは弟子と女性を見比べる。
「ここに連れ込むこたぁないだろう。ここは、工房だよ」
細工をするところだと、彼女は言う。
それは、その通りだ。神聖な工房に、穢れた暗殺者をいれるのは宜しくない。非常に宜しくないことなのだ。それは解っているが、彼女を衛兵に突き出したとしても、どうせ色仕掛けで誘惑され、あっさり逃がしてしまうだろう。ここであれば、誰も彼女に誘惑されるものなどいない。ティルデは女性であるし、自分も――エーディトも、ちょっとやそっとの誘惑には負けない自信がある。
「とりあえず、リナレス様に連絡をして、引き取っていただきましょう。それまで、ここに括っとく感じで宜しいですよね、師匠?」
「ああ、ちょっとの間なら、いいけどね」
猿轡を嵌めて、柱に縛り付けておく分には構わない。下手に小細工を弄して脱出されぬよう、エーディトは
「念のためです」
いきなり女性の服を脱がせ始めた。年頃の少年の行為にしては、妙に淡々とした動きだと、我ながら思う。女装の趣味があるだけに、自分は真実女性なのではないか――エーディトはそんなことを考えて、笑いながら、全裸となった女性を後ろ手に縛り上げ、柱に繋いだ。足首も鎖で縛り、猿轡と目隠しも忘れない。
「これなら、逃げられる心配もないでしょう」
えっへん、とでも言いたげに、彼は師を仰ぐ。ティルデは女性の無残な姿に、深く息をついた。
「せめて、胸と尻くらいは隠してやんなよ」
暗殺者とはいえ、一応女性だ。しかも、妙齢の美女ときている。このような姿は屈辱であろうし、引取りに来たリナレスも、眼のやり場に困るだろう。
「リナレスの若様は、陛下に夢中ですから。他の女性には、眉一つ動かしませんよ」
「そうはいっても、ねえ」
流石のティルデも、弟子の奇行には頭痛を覚えたのだろう。額を押さえて、ぶつぶつと口の中で何事かを呟いている。彼女の元に弟子入りして二年、師も奇人なら、弟子も負けず劣らず変人であると、ティルデも痛感したらしい。
「ああ、でも、この人ミアルシァの人でもなんだか変ですね」
むき出しになった腕、その下に隠されていた肌に奇妙な紋様が彫られている。刺青か――それとも、烙印なのか。ミアルシァの、王冠を抱く鷲の紋章とも違う。かつてアヤルカス帝国が密偵の証として彼らの身体に刻んだ、蝶の割符にも似た――
「花、ですかね?」
花弁をかたどったような、紅い烙印。
「ロカヴェナーゼの紅い花か」
覗きこんだティルデが、ポツリと呟く。エーディトは、首を傾げた。
「なんです? それ?」
「知らないのかい。ミアルシァ王家に忠誠を誓った、殺し屋の証だよ。殺し屋、って言っちゃいけないね。『国家資格を持つ暗殺者』ってところかい? へえ、こりゃ、大物だよ。あんた、大した拾い物したね」
ぐりぐりと師に頭を撫でられ、エーディトは悪い気がしない。やはりこの女性の狙いは、アグネイヤ四世だったのだ。ミアルシァが『神聖皇帝』を忌み嫌っていることは解っているつもりであったが、このような女性まで送り込んでくるとは。
「物騒な世の中ですねえ」
「って、物騒な真似しておいてよく言うね」
呆れ顔の師に軽く舌を出して、エーディトは再び女性に視線を戻す。全身からあやしの気配を漂わせていた女性。彼女を見て、一目で刺客だと看破したのには、理由があった。彼も、同様の人物に接したことがあるのだ。妖艶なる魅力を持ち、男を虜にしながら静かに獲物に向かって毒針を伸ばす――
「ドゥランディアの、獣」
彼の中には、半分その血が流れているのだ。
サリカは、掠れた声で乳兄弟を呼んだ。なぜ、彼がここに? ――そんな疑問が頭を掠める。
リナレスは、宰相の側近となったはず。
公務でなければ、こちらには赴かないはず。
それが、なぜ。
「聞こえなかったか?」
リナレスの声は、相変わらず冷たく厳しい。サリカは、ジェリオを庇い、彼の心臓を、首筋を、リナレスが射抜かぬように身体をずらした。が。
「周りを見てみろ」
リナレスの言葉に、周囲に眼を向ければ、そこには彼のほかにも数人――否、十人を軽く超える騎士の姿があった。まさか、あの僅かな時間の間に、衛兵の誰かが紫芳宮へ応援を求めたのか。
違う。
そんな余裕はない上に、もしも、連絡をしたとしても、これほど早く駆けつけられるわけがない。と、いうことは。
「ルクレツィア姫の周辺に、不穏な動きがあることは、解っていた。おとなしく、縛につけ」
威圧的なリナレスの態度に、サリカは唇を震わせる。おそらく宰相は、彼女を囮として利用したのだ。ミアルシァの刺客をおびき寄せる餌として、彼女を離宮に住まわせた。ジェリオはまんまと罠に嵌められた。そういうことである。でなければ、皇帝の警備があれほど薄いはずがない。
「そういうことか」
背中越しに感じていた体温、それが急に離れた。
「全部、仕組まれたことかよ」
リナレスに劣らぬ、冷ややかな声が聞こえる。それは、リナレスに向けられたものでも、取り囲む騎士に向けられたものでもない。他ならぬ、サリカに向けられたものだった。
「ジェリオ」
振り返る前に、ジェリオは下馬していた。彼は地面に唾を吐き捨て、サリカに眼を向けた。心の奥底を抉るような、鋭い視線。呪詛の篭ったそれをまともに受けて、彼女は息を呑んだ。
「さぞかし、面白い見世物だったろうよ」
違う、と、そう叫びたかった。けれども、声が出てこない。
ジェリオは、サリカもぐるだと思っているのだ。彼女自らジェリオを罠に嵌めたのだと、思い込んでいるのだ。
「違う、違う、ジェリオ」
サリカの言葉は、ジェリオには届いていない。
彼は、『皇帝』の言葉には、耳を傾けようとはしていなかった。
彼の背は、サリカを拒絶している。彼女の視線も声も、言葉も、存在すらも。全てを否定している。彼は両手を上げて、リナレスの前に進み出た。リナレスは、無機質な目でジェリオを馬上から見下ろす。リナレス自身は爵位は持たぬものの、彼は伯爵家の次男。馬上と徒歩、これが彼とジェリオの差であった。それを彼らは互いに感じているのか。視線を交錯させて睨み合う。
「捕らえよ」
リナレスの命で、騎士たちが一斉に動き出す。彼らはジェリオを捕縛し、連行した。その間、ジェリオは一切の抵抗をせず、ただ、なされるままに動いていた。
「ジェリオ」
彼を追おうとしたサリカを、騎士の一人が制止する。いけません、と厳しく窘められ、サリカは動きを止めた。歩兵に小突かれながら引き立てられるジェリオは、決して項垂れることはなく。堂々と歩んでいる。サリカは、どうすることも出来ず、ただ、見つめるだけの自分を呪った。
これが、皇帝か。
たったひとりも救えぬ自分が、皇帝といえるのだろうか。
「陛下、お怪我はございませんか」
リナレスがこちらに馬を進めてくる。サリカは、「ない」とだけ答えた。リナレスは安堵したように頷き、周囲の騎士たちに皇帝の警護を改めて申し渡す。
「陛下は、こちらへ」
紫芳宮へ。
リナレスの命に、騎士たちはサリカを取り囲む。彼女が妙な真似をせぬよう、両脇にそれぞれ一名ずつの騎士が侍り、彼女は半ば強引にその場から連れ出される。
振り返ることも許されぬ。
名を呼ぶことも、認められぬ。
サリカは、ジェリオから引き離されるように紫芳宮へと送られた。まるで彼女自身が謀反人であるかのように、厳重な警戒の元で。
◆
「ありゃ、これはまた。どういうつもりだい」
離宮の地下、オルトルート専用に作られた新たなる工房に、頓狂な『魔女』の声が響き渡る。赤毛の女――今は、その見事な赤毛を黒に染めてしまっている彼の師は、エーディトが引き摺ってきた女性を見るなり顔を顰めた。
「どうもこうもありませんよ、師匠。あれです、あれ。殺し屋ですよこのご婦人」
エーディトの説明に、ティルデこと二代目オルトルートは、眼を丸くした。
彼女ら師弟が刺客に狙われて、久しい。狙われた理由が、アグネイヤ四世の縁者であるから、というのも解せないが。師弟を狙うのは、カルノリアの隠密騎士団であり、まさかこのような、いかにもミアルシァ人といった容姿の女性が差し向けられるなどありえぬだろう――というのが、ティルデの意見ではあるが。エーディトは指を振り、得意気に胸をそらした。
「いやいや解りませんよ、師匠。必ずしもこのご婦人が、我らを狙っているというわけではなく。皇帝陛下に差し向けられた刺客であったとしたら、どうでしょう。これは、立派にお手柄ですよ。そうです、そうは思いませんか、師匠」
「だとしてもねえ」
苦虫を噛み潰したような顔で、ティルデは弟子と女性を見比べる。
「ここに連れ込むこたぁないだろう。ここは、工房だよ」
細工をするところだと、彼女は言う。
それは、その通りだ。神聖な工房に、穢れた暗殺者をいれるのは宜しくない。非常に宜しくないことなのだ。それは解っているが、彼女を衛兵に突き出したとしても、どうせ色仕掛けで誘惑され、あっさり逃がしてしまうだろう。ここであれば、誰も彼女に誘惑されるものなどいない。ティルデは女性であるし、自分も――エーディトも、ちょっとやそっとの誘惑には負けない自信がある。
「とりあえず、リナレス様に連絡をして、引き取っていただきましょう。それまで、ここに括っとく感じで宜しいですよね、師匠?」
「ああ、ちょっとの間なら、いいけどね」
猿轡を嵌めて、柱に縛り付けておく分には構わない。下手に小細工を弄して脱出されぬよう、エーディトは
「念のためです」
いきなり女性の服を脱がせ始めた。年頃の少年の行為にしては、妙に淡々とした動きだと、我ながら思う。女装の趣味があるだけに、自分は真実女性なのではないか――エーディトはそんなことを考えて、笑いながら、全裸となった女性を後ろ手に縛り上げ、柱に繋いだ。足首も鎖で縛り、猿轡と目隠しも忘れない。
「これなら、逃げられる心配もないでしょう」
えっへん、とでも言いたげに、彼は師を仰ぐ。ティルデは女性の無残な姿に、深く息をついた。
「せめて、胸と尻くらいは隠してやんなよ」
暗殺者とはいえ、一応女性だ。しかも、妙齢の美女ときている。このような姿は屈辱であろうし、引取りに来たリナレスも、眼のやり場に困るだろう。
「リナレスの若様は、陛下に夢中ですから。他の女性には、眉一つ動かしませんよ」
「そうはいっても、ねえ」
流石のティルデも、弟子の奇行には頭痛を覚えたのだろう。額を押さえて、ぶつぶつと口の中で何事かを呟いている。彼女の元に弟子入りして二年、師も奇人なら、弟子も負けず劣らず変人であると、ティルデも痛感したらしい。
「ああ、でも、この人ミアルシァの人でもなんだか変ですね」
むき出しになった腕、その下に隠されていた肌に奇妙な紋様が彫られている。刺青か――それとも、烙印なのか。ミアルシァの、王冠を抱く鷲の紋章とも違う。かつてアヤルカス帝国が密偵の証として彼らの身体に刻んだ、蝶の割符にも似た――
「花、ですかね?」
花弁をかたどったような、紅い烙印。
「ロカヴェナーゼの紅い花か」
覗きこんだティルデが、ポツリと呟く。エーディトは、首を傾げた。
「なんです? それ?」
「知らないのかい。ミアルシァ王家に忠誠を誓った、殺し屋の証だよ。殺し屋、って言っちゃいけないね。『国家資格を持つ暗殺者』ってところかい? へえ、こりゃ、大物だよ。あんた、大した拾い物したね」
ぐりぐりと師に頭を撫でられ、エーディトは悪い気がしない。やはりこの女性の狙いは、アグネイヤ四世だったのだ。ミアルシァが『神聖皇帝』を忌み嫌っていることは解っているつもりであったが、このような女性まで送り込んでくるとは。
「物騒な世の中ですねえ」
「って、物騒な真似しておいてよく言うね」
呆れ顔の師に軽く舌を出して、エーディトは再び女性に視線を戻す。全身からあやしの気配を漂わせていた女性。彼女を見て、一目で刺客だと看破したのには、理由があった。彼も、同様の人物に接したことがあるのだ。妖艶なる魅力を持ち、男を虜にしながら静かに獲物に向かって毒針を伸ばす――
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