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イケメン君と元カノ
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✡✡✡✡✡
無事にオレの母と対面を済ませた彼女は、気負うことも無くオレをそっちのけで、母と2人で台所を使って焼き菓子を作ったりオレの子供の頃の話を聞かされて笑って楽しい時間を過ごしてから、家へ帰って行った。(もちろん、夜道は危ないからオレが家まで送ったんやで)
母の光江はというと、翌日帰る時に駅の改札で荷物を置いて立ち止まると、オレに向かってこう言った。
「せいちゃん。ユイちゃんのことやけど、女子高生やからとか気負うんはやめたほうがええで。あの子はしっかりしてる。ちゃんと一人前の女性として向き合うんやで! わかったか? ほな、またね♪」
オレに返事をする間も与えずに、母はさっさと荷物を持って改札を通ってホームへ向かった。一度だけ振り返ってニィっと笑って手を振って大きな声で「頑張りやーーー!!」って叫ばれたオレは、かなり恥ずかしかった。
✡✡
それから、翌週の週末に無事に相棒の去勢手術を終えて何事も無くオレも彼女も順調な交際を続けていた。
ところが…。
その日、いつもの様に仕事を終えてオレが急いで伯母の店へ向かっていると、後ろから聞き覚えのある女性の声でオレの名前を呼ばれたので、振り返ったら3年前に別れた元カノがオレを見て手を振っていた。
「やっぱりせいちゃんやん! 久しぶり♪ 元気やった?」
「なんや? 阿佐美やないか! どないしたんや? こんなとこで? 少し、痩せたんちゃうか?」
「せいちゃんこそ、なんでこんなとこにおるん? あ、そんなことより、少し時間ある? ほんまに少しでええねん。ちょっと話を聞いてくれるだけでええから…」
「変な勧誘とかやったらすぐに帰るからな! ほんまにちょっとだけやで!」
その時、なんか阿佐美が思い悩んでるようにも見えたから、オレは駅前にあるファミレスへ入って阿佐美の話を聞くことにしたんやけど…選んだ場所が悪かった。
店員に案内された席の真横の席に、あのイケメン君が同じ学生服を着た男子2人と座っていて、オレと阿佐美を見てすぐに気がついて立ち上がってオレの横に座っていた。
✡✡
「ちょっと! おじさん。その人誰や? まさか浮気相手とかとちゃうやろな?」
「オイオイ!! 誤解やって! 彼女とは3年ぶりにそこでバッタリ会って、なんか話があるいうからここに入っただけや! ガキが変な詮索すんな!」
イケメン君に一方的に責められているオレを眺めて阿佐美は、何も言わずにクスクスと楽しそうに笑っているだけやった。
「せいちゃん? 高校生に知り合いがおるん?」
「たまたまや! ちょっと知ってるだけや! それで? 話ってなんやねん?」
何故かオレの横にはイケメン君が座ったままで、オレは阿佐美の話を聞くことになってしまった。
「実は私な、もうすぐ結婚するんやけど…。なんか、わからんようになって来てしもたんよ」
「結婚するんか? そら、良かったやん。それやのに何がわからんねん? マリッジブルーってやつか?」
「おじさん。女心がわかってませんね。結婚ともなると、本人同士だけではなく、両親や兄弟姉妹に親戚まで関わってくるもんやから、色々とデリケートな女の人は結婚前に考えさせられることが、それなりにあるんですよ?」
「あら、このイケメン君♪ 女心を良く理解してるやん。せいちゃんに話すより、為になりそうやわ」
男としての力量を元カノにこんなところで、高校生のガキに劣ると言われた気がしてオレはかなり傷ついていた。
「どうせオレには、女心はわからんねん」
「おじさん。開き直るんも女の人には逆効果で悪い印象しか与えませんよ。わからないんやったら、わかろうと努力せんと!!」
「そうやねん。私の旦那になる人も、ちっとも私の悩んでることを理解しようってしてくれへんねん。釣った魚には、餌はやらんのやね?って昨日の夜に大喧嘩したんやで!」
「その結婚。少し考え直したほうがええんと違いますか?」
結局、阿佐美はオレじゃなくてイケメン君に1時間くらい話を聞いてもらって、少し気持ちがスッキリしたとニッコリ笑って帰って行った。
「今日のことはこれでチャラですからね。あれって、おじさんの元カノでしょ? ユイには今回は黙っておいてあげます。ユイの為にですからね」
ヒラヒラとオレにファミレスの伝票を手渡すと、イケメン君はケラケラと笑いながら店を出て行ってしまった。残されたオレは仕方なく、2枚の伝票の合計額を支払って店を出た。なんか知らんけど痛い出費やった。
無事にオレの母と対面を済ませた彼女は、気負うことも無くオレをそっちのけで、母と2人で台所を使って焼き菓子を作ったりオレの子供の頃の話を聞かされて笑って楽しい時間を過ごしてから、家へ帰って行った。(もちろん、夜道は危ないからオレが家まで送ったんやで)
母の光江はというと、翌日帰る時に駅の改札で荷物を置いて立ち止まると、オレに向かってこう言った。
「せいちゃん。ユイちゃんのことやけど、女子高生やからとか気負うんはやめたほうがええで。あの子はしっかりしてる。ちゃんと一人前の女性として向き合うんやで! わかったか? ほな、またね♪」
オレに返事をする間も与えずに、母はさっさと荷物を持って改札を通ってホームへ向かった。一度だけ振り返ってニィっと笑って手を振って大きな声で「頑張りやーーー!!」って叫ばれたオレは、かなり恥ずかしかった。
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それから、翌週の週末に無事に相棒の去勢手術を終えて何事も無くオレも彼女も順調な交際を続けていた。
ところが…。
その日、いつもの様に仕事を終えてオレが急いで伯母の店へ向かっていると、後ろから聞き覚えのある女性の声でオレの名前を呼ばれたので、振り返ったら3年前に別れた元カノがオレを見て手を振っていた。
「やっぱりせいちゃんやん! 久しぶり♪ 元気やった?」
「なんや? 阿佐美やないか! どないしたんや? こんなとこで? 少し、痩せたんちゃうか?」
「せいちゃんこそ、なんでこんなとこにおるん? あ、そんなことより、少し時間ある? ほんまに少しでええねん。ちょっと話を聞いてくれるだけでええから…」
「変な勧誘とかやったらすぐに帰るからな! ほんまにちょっとだけやで!」
その時、なんか阿佐美が思い悩んでるようにも見えたから、オレは駅前にあるファミレスへ入って阿佐美の話を聞くことにしたんやけど…選んだ場所が悪かった。
店員に案内された席の真横の席に、あのイケメン君が同じ学生服を着た男子2人と座っていて、オレと阿佐美を見てすぐに気がついて立ち上がってオレの横に座っていた。
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「ちょっと! おじさん。その人誰や? まさか浮気相手とかとちゃうやろな?」
「オイオイ!! 誤解やって! 彼女とは3年ぶりにそこでバッタリ会って、なんか話があるいうからここに入っただけや! ガキが変な詮索すんな!」
イケメン君に一方的に責められているオレを眺めて阿佐美は、何も言わずにクスクスと楽しそうに笑っているだけやった。
「せいちゃん? 高校生に知り合いがおるん?」
「たまたまや! ちょっと知ってるだけや! それで? 話ってなんやねん?」
何故かオレの横にはイケメン君が座ったままで、オレは阿佐美の話を聞くことになってしまった。
「実は私な、もうすぐ結婚するんやけど…。なんか、わからんようになって来てしもたんよ」
「結婚するんか? そら、良かったやん。それやのに何がわからんねん? マリッジブルーってやつか?」
「おじさん。女心がわかってませんね。結婚ともなると、本人同士だけではなく、両親や兄弟姉妹に親戚まで関わってくるもんやから、色々とデリケートな女の人は結婚前に考えさせられることが、それなりにあるんですよ?」
「あら、このイケメン君♪ 女心を良く理解してるやん。せいちゃんに話すより、為になりそうやわ」
男としての力量を元カノにこんなところで、高校生のガキに劣ると言われた気がしてオレはかなり傷ついていた。
「どうせオレには、女心はわからんねん」
「おじさん。開き直るんも女の人には逆効果で悪い印象しか与えませんよ。わからないんやったら、わかろうと努力せんと!!」
「そうやねん。私の旦那になる人も、ちっとも私の悩んでることを理解しようってしてくれへんねん。釣った魚には、餌はやらんのやね?って昨日の夜に大喧嘩したんやで!」
「その結婚。少し考え直したほうがええんと違いますか?」
結局、阿佐美はオレじゃなくてイケメン君に1時間くらい話を聞いてもらって、少し気持ちがスッキリしたとニッコリ笑って帰って行った。
「今日のことはこれでチャラですからね。あれって、おじさんの元カノでしょ? ユイには今回は黙っておいてあげます。ユイの為にですからね」
ヒラヒラとオレにファミレスの伝票を手渡すと、イケメン君はケラケラと笑いながら店を出て行ってしまった。残されたオレは仕方なく、2枚の伝票の合計額を支払って店を出た。なんか知らんけど痛い出費やった。
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