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13話 執着と欲に溺れた男①

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 俺は、食事を終えた後、みゆきの連絡先を教えてもらった。
 以前の俺だったら、きっと飛び上がるほど喜ぶに違いないのに、今は何も感じない、
 いや、それわ嘘だな。
 感じる物はある、だがそれは違う喜びだ。
 それに、彼女を復讐に利用するんだ、多少なりとも罪悪感はあるからな。
 それに、何もかも上手くいっているが、この機会は何のための儲けられたのかが今だに分からない。
 瑠衣さんは、お互いに取って都合が良いからって言っていたが……
 まぁ、この世界を知らない、俺なんかが考えたって分からないわな。
 ここは、素直に理由を聞くか。

 「ごちそうさまでした。それで瑠衣さん、お互いにとって都合の良いことがあるって言ってましたが、それって一体」

 ん?ものすごく驚いた顔をしているな。
 これは、食事会の趣旨を忘れていたってことか。
 この人、すぐにアポ取ったから仕事ができる人なのかと思ったけど、そうでもないのかな……
 
 「達也くん。今、失礼なこと考えていたでしょ」

 「え!?いや、いや。そんなこと考えないですよ」

 めちゃくちゃ、見てくる。
 本当に、心を読まれているのかと思うぐらいの感の鋭さだ。
 まぁ、女性の感は鋭いって聞くしそんな物なのかも知れないけど。
 
 「ふ~ん。ま、いいわ。今日の目的は、彼女とのコラボの事を相談したかったのよ。もちろん、今の達也くんは知名度は皆無だから先の話だけどね」

 コラボ?
 ダメだ、何を言っているのかがよく分からない。
 何もしていないのに、なんでこんな早い段階でコラボなんだ。
 これがこの世界では、普通なのか?
 う~ん。分からん。
 でも、みゆきもいまいちよく分かってないのか、知らん顔してるのを見てると、意外に瑠衣さんがおかしいだけなのかもしれないな。
 
 「僕まだ何もしてないのに、コラボは早すぎじゃ無いです?」

 「あ、違うよ。君じゃ無いの、みゆきちゃんの予約を取る為なんだ。君はもう少し時間がかかるけど、彼女はもうすぐ大きな波が来ると思うのよ。その波に、君も乗らしてもらうのよ。その為に彼女に先行投資をするってわけ。それに、君も必ず売れると思うから、そうすればお互いが波を作り出し、人気爆発って算段よ」

 ん~~いまいちよく分からない。
 みゆきも、ご飯粒つけたまま、そうなの?って顔してるし。
 てか、可愛い。
 でも彼女に大きな波が来るって言うのは理解できるな。
 今のところ、彼女は可愛い。
 いや、そうじゃ無いな。なんだろう、こう、純粋と言うのか、本能のまま生きていると言うのか。
 無垢だからなのか、何も知らない俺でも信用したくなる
 あぁ、そうか。これが純粋無垢は売れるって言う事なのか。
 ま、それでもよく分からないから、後は瑠衣さんに任せて。
 俺の課題は、彼女と仲良くなる為にどうすればいいのかだな。

 「僕もそうですけど、みゆきさんもよく分からないって顔してますよ」

 「へ?!わ、私はちゃんとわかってますよ!アレですよ、アレ。ボーナスタイムです!」

 この子は何を言っているんだ。
 それに、最初はもっと大人しい子なのだと思っていたけど、意外に活発な子だな。
 今も、机をパンパンと叩いてアピールしてるし。
 うん、可愛い。
 そう言えば、相手を落とすテクニックってやつに口元に手を当てながら、微笑むと萌えるって書いてあったな。
 試してみるか。
 まずは、口元に手をやりそして微笑む。

 「ふっ……」

 後、最後に決め台詞だっけな。
 何かあったかな……あ、そうだ。

 「そんなに必死になって、みゆきは本当に可愛いね」

 どうよ、急なタメ口に呼び捨て!!
 これで一気に心の距離が近くなるって書いてあった。
 それに、今の僕はイケメンだ。間違いなく落ちる!!
 ……なのに、反応がイマイチだな。

 「た、達也くん?きっと、みゆきちゃんと仲良くなる為に頑張ったんだとは思うんだけど、それ男の人を落とす時のテクニックよ?」

 「……へ?」

 嘘だろ……男を落とすテクニックだと。
 やばい、恥ずかしすぎる。いや、でも、そうやって書いてあったんだよ!そんなはずないよ!!
 うっ。でも……確かに、みゆきもとんでも無い顔してる。
 はぁ……女の人に不慣れだったのが仇になったな。
 これで仲良くなろう作戦は、終わった……
 とりあえず水でも飲んで誤魔化すか。

 「あの、達也くんはわたしと仲良くなりたいの?」

 「ぶはぁ!?へ?!」

 みゆきの急な発言に水を吹き出してしまった。
 




 
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