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14話 復讐の始まり。執着と欲に溺れた男②

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 彼女の表情は破壊力が強すぎる。
 少しだけ首を傾げ、虚な瞳で俺を見てくる。
 もう、可愛いしかないよ。

 「あ、いや、その、仲良く。はい、なりたいのです!」

 ダメだ、照れと恥ずかしさで訳わかんなくなってきた。
 でも、そんな俺を彼女は口元に手をより微笑んでいる。
 うん、可愛い。

 「ふふ……良いですよ?お友達になりましょう?これからは、達也くんって呼ぶね?」

 ぬぁぁぁぁああ!!
 も、萌える!!
 何なんだこの気持ちは!!くっそ、復讐なんてクソ喰らえだ!
 ちくしょう、絶対にアイツら殺してやる。
 逆恨み?知ったことか、全てアイツらのせいだ。俺の復讐がどんどん、明るくなりやがる。
 くそ、くそ、くそ。
 ダメだ、この子はダメな人間だ。
 人を明るくさせる力を持っている。
 っく……この子もスキルを持ってるに違いない。
 きっと、スキル『太陽』を持ってるに違いない!
 だけど、これでようやく一歩前進だ。そうだ、前進したんだ!!
 大丈夫だ、俺なら絶対にやれる。
 こんなことで負けるもんか!!

 「あ、ありがとうございます!!なんか、恥ずかしいけど……僕もみゆきちゃん?って呼ぶね」

 「うん!!もちろん、いいよ!じゃあ、SNSを交換しよっか?」

 そう言うと、みゆきはすぐに携帯を取り出した。
 もちろん、この機会を逃すまいと俺も携帯を出し連絡先とは別でSNSを交換した。
 不思議な感じがする。
 太陽のように明るく眩く、でも決して届く事のない遥か彼方にいる彼女と、簡単に繋がることができるなんて。
 SNSって素晴らしいな。

 「よし!2人とも挨拶も終わったみたいだし、今日はお開きにしましょうか!みゆきちゃんも、これからリハーサルがあるみたいだし」

 瑠衣の一言で、その場は解散になった。
 みゆきは、その事を忘れていたのか元気がなかった。
 分かる……美味しいものを食べた後はやる気が出なくなる気持ちは。
 それじゃあ、ここからは作戦の開始だな。

 「あの、瑠衣さん」

 「ん?どしたの?」

 「少しこの街を見て回りたいんですが……良いですか?」

 「……別に良いけど」

 瑠衣は、チラッと荷物を見た。
 え?これ私が運ぶの?と思っているに違いない。
 だが、それは決して俺のじゃない。
 その、12個ある袋のうち俺のはたったひとつだ。
 しかも、その袋も1番小さい!!
 瑠衣さんには恩があるが、ここは、折れるわけにはいかない。
 なにせアイツがいるんだ、このチャンスを逃すわけのはいかない。

 「ダメでしょうか……?」

 「んん、良いわよ!そのかわりこの荷物を車に積んで、家に着いたら運んでね?あ、それとこれ給料の先払いだと思って使って」

 彼女が財布を開くと、中にはボーナスが入っているの?と思う程の金が入ってる。
 公務員だった俺にはあり得ない太さだ。
 と、言うか。なんでこの人こんなに持ってるの?
 そして、僕に渡してるその札束は一体いくらあるの?
 小指の太さぐらいの札束なんだけど。

 「いや、1枚だけで良いんですけど」

 もちろん、うそだ。
 貰えるのなら全部貰いたい。
 だが、もしこれを貰ってしまうと俺はダメな人間になる気がする。

 「あら、そう?なら、一応これだけ渡しておくね。何かあったら、心配だし。あと、帰りのタクシー代も渡しておくよ。あ、ちゃんと、領収書は持ってくるんだよ?良いわね?」

 俺の手に5人のおじさんが並んでいる。
 なんだろう、この世界の怖さが分かった気がする。
 おじさんに対する価値観がかなり違う。

 「ありがとうございます!なるべく、早く帰るようにしますね!」

 俺はなんとか瑠衣と離れられた。
 さっそく、あいつを探すことにするか。っとはいっても、もう既にここから出ているだろうな。
 ま、行き先はどこか知ってるけどな。
 とりあえずは、買い物でもするか。
 必要なものは、100均にでも行けば売っているだろうし。
 善は急げだ。

 こうして俺は、復讐の為の道具を揃えた。

 「これだけあれば、足りるだろうな。あぁ……アイツが苦しむ姿が楽しみだ」

 俺は、雨も降っていないのに、トイレの個室で一枚の雨カッパを取り出し着替えた。
 そして、着替え終わると雨カッパのため、整った顔だけがでている。
 何ともシュールだ。本当の自分の顔ではないため、客観的に見ることができるが。
 整った顔でも、雨カッパを着ればなんか残念だ感じになるな。恐るべし雨カッパ。
 もちろんこれでスキルを使えば、顔だけが浮いてる化け物だ。
 だからこそ、この大きめの雨カッパだ。
 これだけ大きければ、多少息苦しいが顔まで覆うことができる。
 そして、この雨カッパにスキルを唱えれば……

 『透明カラーレス』

 おぉ、すごい。
 雨カッパの色がどんどん落ちて透明になっていく。
 それに俺の考えは正しかったな。
 このスキルは、表のみ透明になるみたいだ。
 鏡を見ても、もちろん俺は映ってはない。それなのに、俺からは雨カッパの肌触りや折れてシワになっている部分まで鮮明に見えている。
 生き物は透明にできない。
 謎の声はそう言っていたが、透明なもので包んでしまえば、間接的に透明にすることができる。
 まぁ、できるだろうとは思っていたが……これに気がつくことができたのは、かなり大きい。
 さぁ、スキルの使える時間は2時間だ、とりあえずこのまま外に出てあいつの元へ向かうか。
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