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53・イケメンのお医者さん
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♪僕らのキセキで 闇を照らして……
曲が終わる。スキアが断末魔の悲鳴を残して、混ざり合う輝きの中に霧散する。
結果も見ずにジルコンの元へ駆け寄った。後ろからスマラクトが慌てた様子でついてきている。木にもたれてゆっくり息をついているジルコンの腕を、ぐいと持ち上げてスマラクトに見せつけた。
「ス、スマラクト、これ、これ、これっ」
「……おい、お前、何を勝手に」
「はい、ちょっと見せてくださいね。……ああ、なるほど」
スマラクトは片手でメガネを直すと、熟練のお医者さんみたいな手つきで診療を始めた。いや、彼の戦場経験を考えれば、実際熟練のお医者さんと言っても過言ではないのか。クサレナメクジを自称してたときとは別人みたいだ。安心感が半端ない。
「ふむふむ。スキアの侵食を受けてはいますが、骨までは達していないようですね。腕が動かないのは一時的な麻痺でしょう」
「ほんとに!?」
「浄化治療を施しておきます。腐食は見られないので二、三日経てば回復すると思いますが、念のため戻ったら私以外の……もっと腕の良い医師に診てもらうべきでしょう」
「いらん。お前以上の医師などこの国にいるか」
ジルコンが鬱陶しそうに右手を振る。スマラクトはむず痒いような心配なような複雑な顔をしていたが、それ以上何かを言うことも、自虐を重ねることもしない。
「よ……よかったあああ……」
ほーっと大きな息を吐く。気が抜けてその場にへなへなとしゃがみ込んでしまった。見分を終えたらしい騎士サマたちが、今頃になってこちらへやって来る。
「よう、ドジったな、ディアマンテ殿下」
「……不覚を取った。あんな雑魚相手に」
「まあ、そう落ち込むな。原因は……自分でも理解してるだろうが」
「う」
ルビーノの視線が、高所から俺に突き刺さる。何を言われても言い返せねえ。少し後ろからサフィールも、腕を組んでわざとらしいため息をついた。
「まったく。自らの失態で王族に傷を負わせるなど、通常なら厳罰ものだぞ」
「そうだな。常識で考えれば処刑もやむなし、ってとこだ」
「しょっ」
一気に血の気が引いた。いや、実際あり得る、だって王子様に何してくれてんねんってところだろ。口を開けたまま蒼白になる俺に、ジルコンがまた呆れたように首を振る。
「ルビーノ、サフィール、あまりチュー太郎をからかうのはやめろ。これでこいつに罰が下されるなら、お前らなんかとっくに一族郎党取り潰しだ」
「む……」
「はは、違いないな」
軽く笑い飛ばしたあと、ルビーノは不意に真顔になった。
「だが、今日のお前がよろしくなかったことに変わりはないぜ。血気にはやって仲間を危険に晒したこと、しっかり反省するように」
「う……はい」
「よし。それでは、戦果の確認だ」
「あ、そうだ、リザルト!」
すっかり忘れてたけど、今日の俺はちょっと頑張ったはず。それでも前半はミマ無双だったから、さすがに追いつけてるとは思わないけど……。
結果は……グッド12、パーフェクト35! もちろんミマには全然届かなかったけど、この前に比べると格段の進歩だ!
「悪くはないな。次はもっと気を張るように」
「お……おうっ!」
ジルコンのお褒めの言葉は、たぶんシステム的には結果に応じたランダムセリフだ。でも俺のVサインに返ってきた微笑は、おそらく、きっと、あいつの本心からのものだと思えた。
曲が終わる。スキアが断末魔の悲鳴を残して、混ざり合う輝きの中に霧散する。
結果も見ずにジルコンの元へ駆け寄った。後ろからスマラクトが慌てた様子でついてきている。木にもたれてゆっくり息をついているジルコンの腕を、ぐいと持ち上げてスマラクトに見せつけた。
「ス、スマラクト、これ、これ、これっ」
「……おい、お前、何を勝手に」
「はい、ちょっと見せてくださいね。……ああ、なるほど」
スマラクトは片手でメガネを直すと、熟練のお医者さんみたいな手つきで診療を始めた。いや、彼の戦場経験を考えれば、実際熟練のお医者さんと言っても過言ではないのか。クサレナメクジを自称してたときとは別人みたいだ。安心感が半端ない。
「ふむふむ。スキアの侵食を受けてはいますが、骨までは達していないようですね。腕が動かないのは一時的な麻痺でしょう」
「ほんとに!?」
「浄化治療を施しておきます。腐食は見られないので二、三日経てば回復すると思いますが、念のため戻ったら私以外の……もっと腕の良い医師に診てもらうべきでしょう」
「いらん。お前以上の医師などこの国にいるか」
ジルコンが鬱陶しそうに右手を振る。スマラクトはむず痒いような心配なような複雑な顔をしていたが、それ以上何かを言うことも、自虐を重ねることもしない。
「よ……よかったあああ……」
ほーっと大きな息を吐く。気が抜けてその場にへなへなとしゃがみ込んでしまった。見分を終えたらしい騎士サマたちが、今頃になってこちらへやって来る。
「よう、ドジったな、ディアマンテ殿下」
「……不覚を取った。あんな雑魚相手に」
「まあ、そう落ち込むな。原因は……自分でも理解してるだろうが」
「う」
ルビーノの視線が、高所から俺に突き刺さる。何を言われても言い返せねえ。少し後ろからサフィールも、腕を組んでわざとらしいため息をついた。
「まったく。自らの失態で王族に傷を負わせるなど、通常なら厳罰ものだぞ」
「そうだな。常識で考えれば処刑もやむなし、ってとこだ」
「しょっ」
一気に血の気が引いた。いや、実際あり得る、だって王子様に何してくれてんねんってところだろ。口を開けたまま蒼白になる俺に、ジルコンがまた呆れたように首を振る。
「ルビーノ、サフィール、あまりチュー太郎をからかうのはやめろ。これでこいつに罰が下されるなら、お前らなんかとっくに一族郎党取り潰しだ」
「む……」
「はは、違いないな」
軽く笑い飛ばしたあと、ルビーノは不意に真顔になった。
「だが、今日のお前がよろしくなかったことに変わりはないぜ。血気にはやって仲間を危険に晒したこと、しっかり反省するように」
「う……はい」
「よし。それでは、戦果の確認だ」
「あ、そうだ、リザルト!」
すっかり忘れてたけど、今日の俺はちょっと頑張ったはず。それでも前半はミマ無双だったから、さすがに追いつけてるとは思わないけど……。
結果は……グッド12、パーフェクト35! もちろんミマには全然届かなかったけど、この前に比べると格段の進歩だ!
「悪くはないな。次はもっと気を張るように」
「お……おうっ!」
ジルコンのお褒めの言葉は、たぶんシステム的には結果に応じたランダムセリフだ。でも俺のVサインに返ってきた微笑は、おそらく、きっと、あいつの本心からのものだと思えた。
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