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第四話 影法師
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さて、この子をどうするか……。
隊長オークとの戦闘をじゃれ合いと言い、一切介入することなく、青白く光る穴にただ手を伸ばしている少女。
その手から光が流れ、穴から湧き出る光が先程までより僅かに弱まっているように感じる。
正直何をしているかわからない……ついでに言えば、どう接したらいいのかもわからないのだが、ただの少女ではないことは間違いないだろう。
こちらに語りかけてきたことから、敵意を持っているわけではないと願いたいが……。
「見ているだけならそれを片付けてもらえるかしら。臭いし、靴が汚れるわ」
「え……あ、はい」
こちらを見もせずに、床に散らばったオークの肉塊や血を片付けるように指示する少女。
さっきの戦闘でかなりの魔力を消費した。
この正体の分からない少女に反発し、下手に戦闘となるぐらいなら、ここは従っておこう。
俺は少女に注意を向けながら、倒したオーク達の死体を片付ける作業に入った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
血や肉塊を纏めてから凍らせて、端に寄せたりして片付け終わった頃、穴から湧き出る光は随分と弱くなっていた。
「なぁ。やっぱりあんた魔族か?」
「……それがなに」
普通、魔族には角や尻尾、翼などの人間離れした特徴がある。
下位の魔族こそ、正に獣のような姿をしているが、魔族は上位の存在になるほど、何故か人間の容姿に近づいていくらしい。
だが、身体の一部には必ず何かしらの特徴が現れる筈なのだ。
俺は片付けている間、少女を注視していたが、暗い中うっすらと見える容姿に、そのような特徴は見られなかった。
強いて言えば、暗闇でもはっきりと映る真紅の瞳ぐらいだ。
確証は無く、直感だけで訪ねたのだが、意外にあっさりと、自分が魔族であることを少女は肯定した。
「驚かないのね」
「いや、それなりに驚いてる」
少女は再び穴に向き直る。
「なぁ。もしかしてその穴を塞ごうとしてる?」
「見て分からないかしら」
「いや、なんとなく分かるんだけど……そもそもこの穴は何なんだ? 底は眩しくて見えないし……なんか、燃えてる?」
穴の中は目を背けたくなる程眩しく、光の先にはユラユラと揺れる青白い炎のようなものがみえる。
穴から漏れた光が、本来真っ暗なはずの空間を僅かに照らしている。
この炎が光の正体なのだろうか。
「はぁ……これは歪み」
「歪み?」
なかなか立ち去らない俺に、やや呆れ混じりに少女は説明を始めた。
「本来、世界には存在しないはずのもの。干渉されて、ヒビ割れて、世界の外に出る『扉』へと繋がった穴。それが歪み」
「世界の外って……天国とか地獄のこと?」
「違うわ。私達とは全く次元の違う生物が住む世界。神様の居る場所と言えば分かるかしら」
「神様って……」
さらっととんでもないことを言ってないかこの子。
「信じられないって顔ね」
「そりゃあ、いきなり神様に通じる穴がありますって言われてもね」
にわかに信じられない話だが……少女の真面目な声からは嘘を感じられない。
「じゃあ、この穴……歪みを通っていくと神様の居る所にいけるってわけ?」
「馬鹿ね。普通の生物が迂闊に飛び込めば身体を焼かれて、魂のみが永遠と彷徨う事になるわよ」
「なら、あんたはその馬鹿が迂闊に飛び込まないように、この歪みを閉じようとしてるのか」
「違うわ」
少女は即座に否定した。
違うのかよ。
「災禍の魔獣」
「え?」
いきなり『災禍の魔獣』の名前が出てきて、俺は思わず聞き返した。
「前触れも無く現れて世界を破壊する化け物。あれはね、歪みを通って移動しているの」
「は⁈ 歪みを? でも歪みは神様んとこに繋がってるんだろ」
「ええ。繋がってるわよ。でも、それは最終的な話。その『扉』はとても深く、遠い場所にあるわ」
少女の声が、嫌なものを思い出したかのように少し暗くなった。
「歪みはね、世界各地にあるの。神が世界に干渉した数だけ存在するわ。そして、それら全てに道が繋がっている」
「なる程。つまり災禍の魔獣がいきなり消えるのも、この歪みの中に入って移動しているからなんだな」
自分で言ってもいまいちピンとこない。
神様までの道は一本道ではないのだろうか。
ていうか道なんてあんの?
落ちるだけじゃないこれ。
「そういうことね」
……肯定しちゃうし。
「なぁ。なんで……」
一瞬、言葉に詰まった。
神が世界に干渉だとか、なんでそんなことを知ってるんだ。
これ以上踏み込んだ話を、この少女に聞いてしまっていいのだろうか。
今更ながら、そんなことを考えてしまい黙った俺に、少女は再び口を開いた。
「もういいかしら」
「ああ。歪みを閉じようとしてる理由は大体分かった……ありがとう」
まぁ、信じるかどうかは別だが。
「……そう。なら、貴方はそろそろ逃げた方がいいわよ」
「いきなりだな。お前は知り過ぎたって戦闘する流れ?」
「違うわ。ここの歪みはほとんど閉じたから抑えられると思ったのだけれど、無理だったみたいね……」
「? 何のこと……」
そこまで言った所で、洞窟内が大きく揺れた。
空間が震え、洞窟が崩れだした。
八割程塞がっていた歪みに、次々と亀裂が走り光が漏れ出す。
ただならぬ様子から、俺は一歩後ずさった。
「閉じかけたこのタイミング……妨害が目的か、それとも“何か”に惹かれて来たのかしら」
穴から漏れ出す光が、やがて黒い瘴気に変わり始めた。
……ゾワッ
すると、尋常じゃないレベルの寒気が俺を襲った。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
身体中が震え、今すぐにこの場から逃げ出したい衝動に駆られる。
しかし、動けなかった。
少しでも気を抜けばへたり込んでしまう程のプレッシャーを持つ“何か”に、背を向けることがどうしてもできなかった。
そして“それ”がやってきた。
完全に穴が広がり、元に戻った歪みから這い出て来たのは、人の形をした影法師だった。
人の形と言っても、手足と思われる部分は長く、その全長は三メートル程の巨体で、オーク達ですら余裕で入った空間が一気に狭くなったように感じる。
ガチガチガチと、奥歯から音が鳴る。
無理だ。
生物としての直感が、本能が勝つことを諦めていた。
身体中に瘴気にを纏う影法師を見て、俺は戦うという選択肢を一瞬で破棄した。
影法師に浮かぶ赤い瞳が、ゆっくりと俺を見据える。
しかし、俺を見据えたその瞳は、直ぐ隣に居た少女に移った。
「……え」
出会って初めて、少女は驚きの声をあげた。
影法師の視線を遮るように、俺が自分の前に出て来たからだ。
「う、ウオオォォ‼︎」
自身でも驚く程の、獣の様な叫び声と共に、影法師の間に氷の壁が次々と出現した。
あ、死んだ。
視界が半分消えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ーードサッ
突然、地面に投げ出された。
気がつけば見知らぬ空を見上げていた。
まだ生きている……なんで?
ーートサッ
少し遅れて、すぐ側に何かが落ちてきた。
俺の右腕だった。
「あ……が、ガハッ! う、ぐぅ……ッ」
我に帰った瞬間、すぐに激痛が襲った。
喉の奥から熱いものが込み上げで来て、口から大量の血を吐き出した。
半分となった視界がチカチカと点滅し、全身が燃える様に熱く、そして身体の芯から冷えていくのがはっきりと感じる。
「あ、あぁ、ああああああ‼︎」
一瞬の出来事だった。
反応すら出来なかった。
作り出した氷の壁を、まるで初めから無かったかのように貫いた“それ”は、俺の身体ごと貫いていた。
ボタボタボタと、自分の腹や腕から大量に血が流れ、地面には大きな血溜まりが出来ていた。
「う、ぁ……ぐぅおお!」
俺は激痛に見舞われながらも、残りの魔力を振り絞って腹や腕、損傷が激しい部分を凍らせた。
血は止めた。
次はどうする?
分からない……頭が回らない。
身体中が熱い、寒い。
死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い。
ズルズルとあてもなく、身体を引きずりながら力の限り前進する。
残った左目から、不思議と涙が出てきた。
死ぬのか。
結局、何もできずに。
こんなところで。
死ぬのだろうか。
情けねぇ。
「あら、思ったより元気そうね」
ーー声がした。
もう起き上がることもできない。
左目だけを動かし、声の聞こえた方向を見た。
思わず見惚れてしまった。
12、3歳ぐらいだろうか、兎の耳のような大きなリボンが特徴的で、高価なドレスを身に纏い、まるで作り物のように整った顔立ち、星空に照らされて輝く銀色の髪に燃える様な紅い瞳を持つ少女がそこに居た。
洞窟では暗く、よく見えなかった少女の全貌がはっきりと映り、その人間離れした美しさに、俺は一瞬痛みすら忘れた。
少女は真っ直ぐに俺を見つめ、おもむろに口を開いた。
「ねぇ。貴方、人間を辞める気はないかしら?」
「……え?」
視界が霞む中、少女の言葉がはっきりと聞こえた。
少女はいくつかの質問を投げかけ、俺はまるで時間が止まったかのように、痛みを忘れ答えた。
その言葉の深い意味は考えなかった。
考えられるだけの時間も、余力も無かった。
最後に答えられたのはたった一言。
「……悪くないね」
俺の意識は闇に落ちた。
隊長オークとの戦闘をじゃれ合いと言い、一切介入することなく、青白く光る穴にただ手を伸ばしている少女。
その手から光が流れ、穴から湧き出る光が先程までより僅かに弱まっているように感じる。
正直何をしているかわからない……ついでに言えば、どう接したらいいのかもわからないのだが、ただの少女ではないことは間違いないだろう。
こちらに語りかけてきたことから、敵意を持っているわけではないと願いたいが……。
「見ているだけならそれを片付けてもらえるかしら。臭いし、靴が汚れるわ」
「え……あ、はい」
こちらを見もせずに、床に散らばったオークの肉塊や血を片付けるように指示する少女。
さっきの戦闘でかなりの魔力を消費した。
この正体の分からない少女に反発し、下手に戦闘となるぐらいなら、ここは従っておこう。
俺は少女に注意を向けながら、倒したオーク達の死体を片付ける作業に入った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
血や肉塊を纏めてから凍らせて、端に寄せたりして片付け終わった頃、穴から湧き出る光は随分と弱くなっていた。
「なぁ。やっぱりあんた魔族か?」
「……それがなに」
普通、魔族には角や尻尾、翼などの人間離れした特徴がある。
下位の魔族こそ、正に獣のような姿をしているが、魔族は上位の存在になるほど、何故か人間の容姿に近づいていくらしい。
だが、身体の一部には必ず何かしらの特徴が現れる筈なのだ。
俺は片付けている間、少女を注視していたが、暗い中うっすらと見える容姿に、そのような特徴は見られなかった。
強いて言えば、暗闇でもはっきりと映る真紅の瞳ぐらいだ。
確証は無く、直感だけで訪ねたのだが、意外にあっさりと、自分が魔族であることを少女は肯定した。
「驚かないのね」
「いや、それなりに驚いてる」
少女は再び穴に向き直る。
「なぁ。もしかしてその穴を塞ごうとしてる?」
「見て分からないかしら」
「いや、なんとなく分かるんだけど……そもそもこの穴は何なんだ? 底は眩しくて見えないし……なんか、燃えてる?」
穴の中は目を背けたくなる程眩しく、光の先にはユラユラと揺れる青白い炎のようなものがみえる。
穴から漏れた光が、本来真っ暗なはずの空間を僅かに照らしている。
この炎が光の正体なのだろうか。
「はぁ……これは歪み」
「歪み?」
なかなか立ち去らない俺に、やや呆れ混じりに少女は説明を始めた。
「本来、世界には存在しないはずのもの。干渉されて、ヒビ割れて、世界の外に出る『扉』へと繋がった穴。それが歪み」
「世界の外って……天国とか地獄のこと?」
「違うわ。私達とは全く次元の違う生物が住む世界。神様の居る場所と言えば分かるかしら」
「神様って……」
さらっととんでもないことを言ってないかこの子。
「信じられないって顔ね」
「そりゃあ、いきなり神様に通じる穴がありますって言われてもね」
にわかに信じられない話だが……少女の真面目な声からは嘘を感じられない。
「じゃあ、この穴……歪みを通っていくと神様の居る所にいけるってわけ?」
「馬鹿ね。普通の生物が迂闊に飛び込めば身体を焼かれて、魂のみが永遠と彷徨う事になるわよ」
「なら、あんたはその馬鹿が迂闊に飛び込まないように、この歪みを閉じようとしてるのか」
「違うわ」
少女は即座に否定した。
違うのかよ。
「災禍の魔獣」
「え?」
いきなり『災禍の魔獣』の名前が出てきて、俺は思わず聞き返した。
「前触れも無く現れて世界を破壊する化け物。あれはね、歪みを通って移動しているの」
「は⁈ 歪みを? でも歪みは神様んとこに繋がってるんだろ」
「ええ。繋がってるわよ。でも、それは最終的な話。その『扉』はとても深く、遠い場所にあるわ」
少女の声が、嫌なものを思い出したかのように少し暗くなった。
「歪みはね、世界各地にあるの。神が世界に干渉した数だけ存在するわ。そして、それら全てに道が繋がっている」
「なる程。つまり災禍の魔獣がいきなり消えるのも、この歪みの中に入って移動しているからなんだな」
自分で言ってもいまいちピンとこない。
神様までの道は一本道ではないのだろうか。
ていうか道なんてあんの?
落ちるだけじゃないこれ。
「そういうことね」
……肯定しちゃうし。
「なぁ。なんで……」
一瞬、言葉に詰まった。
神が世界に干渉だとか、なんでそんなことを知ってるんだ。
これ以上踏み込んだ話を、この少女に聞いてしまっていいのだろうか。
今更ながら、そんなことを考えてしまい黙った俺に、少女は再び口を開いた。
「もういいかしら」
「ああ。歪みを閉じようとしてる理由は大体分かった……ありがとう」
まぁ、信じるかどうかは別だが。
「……そう。なら、貴方はそろそろ逃げた方がいいわよ」
「いきなりだな。お前は知り過ぎたって戦闘する流れ?」
「違うわ。ここの歪みはほとんど閉じたから抑えられると思ったのだけれど、無理だったみたいね……」
「? 何のこと……」
そこまで言った所で、洞窟内が大きく揺れた。
空間が震え、洞窟が崩れだした。
八割程塞がっていた歪みに、次々と亀裂が走り光が漏れ出す。
ただならぬ様子から、俺は一歩後ずさった。
「閉じかけたこのタイミング……妨害が目的か、それとも“何か”に惹かれて来たのかしら」
穴から漏れ出す光が、やがて黒い瘴気に変わり始めた。
……ゾワッ
すると、尋常じゃないレベルの寒気が俺を襲った。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
身体中が震え、今すぐにこの場から逃げ出したい衝動に駆られる。
しかし、動けなかった。
少しでも気を抜けばへたり込んでしまう程のプレッシャーを持つ“何か”に、背を向けることがどうしてもできなかった。
そして“それ”がやってきた。
完全に穴が広がり、元に戻った歪みから這い出て来たのは、人の形をした影法師だった。
人の形と言っても、手足と思われる部分は長く、その全長は三メートル程の巨体で、オーク達ですら余裕で入った空間が一気に狭くなったように感じる。
ガチガチガチと、奥歯から音が鳴る。
無理だ。
生物としての直感が、本能が勝つことを諦めていた。
身体中に瘴気にを纏う影法師を見て、俺は戦うという選択肢を一瞬で破棄した。
影法師に浮かぶ赤い瞳が、ゆっくりと俺を見据える。
しかし、俺を見据えたその瞳は、直ぐ隣に居た少女に移った。
「……え」
出会って初めて、少女は驚きの声をあげた。
影法師の視線を遮るように、俺が自分の前に出て来たからだ。
「う、ウオオォォ‼︎」
自身でも驚く程の、獣の様な叫び声と共に、影法師の間に氷の壁が次々と出現した。
あ、死んだ。
視界が半分消えた。
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ーードサッ
突然、地面に投げ出された。
気がつけば見知らぬ空を見上げていた。
まだ生きている……なんで?
ーートサッ
少し遅れて、すぐ側に何かが落ちてきた。
俺の右腕だった。
「あ……が、ガハッ! う、ぐぅ……ッ」
我に帰った瞬間、すぐに激痛が襲った。
喉の奥から熱いものが込み上げで来て、口から大量の血を吐き出した。
半分となった視界がチカチカと点滅し、全身が燃える様に熱く、そして身体の芯から冷えていくのがはっきりと感じる。
「あ、あぁ、ああああああ‼︎」
一瞬の出来事だった。
反応すら出来なかった。
作り出した氷の壁を、まるで初めから無かったかのように貫いた“それ”は、俺の身体ごと貫いていた。
ボタボタボタと、自分の腹や腕から大量に血が流れ、地面には大きな血溜まりが出来ていた。
「う、ぁ……ぐぅおお!」
俺は激痛に見舞われながらも、残りの魔力を振り絞って腹や腕、損傷が激しい部分を凍らせた。
血は止めた。
次はどうする?
分からない……頭が回らない。
身体中が熱い、寒い。
死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い死にたく無い。
ズルズルとあてもなく、身体を引きずりながら力の限り前進する。
残った左目から、不思議と涙が出てきた。
死ぬのか。
結局、何もできずに。
こんなところで。
死ぬのだろうか。
情けねぇ。
「あら、思ったより元気そうね」
ーー声がした。
もう起き上がることもできない。
左目だけを動かし、声の聞こえた方向を見た。
思わず見惚れてしまった。
12、3歳ぐらいだろうか、兎の耳のような大きなリボンが特徴的で、高価なドレスを身に纏い、まるで作り物のように整った顔立ち、星空に照らされて輝く銀色の髪に燃える様な紅い瞳を持つ少女がそこに居た。
洞窟では暗く、よく見えなかった少女の全貌がはっきりと映り、その人間離れした美しさに、俺は一瞬痛みすら忘れた。
少女は真っ直ぐに俺を見つめ、おもむろに口を開いた。
「ねぇ。貴方、人間を辞める気はないかしら?」
「……え?」
視界が霞む中、少女の言葉がはっきりと聞こえた。
少女はいくつかの質問を投げかけ、俺はまるで時間が止まったかのように、痛みを忘れ答えた。
その言葉の深い意味は考えなかった。
考えられるだけの時間も、余力も無かった。
最後に答えられたのはたった一言。
「……悪くないね」
俺の意識は闇に落ちた。
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