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第一話・ダンジョンはお休みです
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とある勇者率いるパーティーはダンジョンを目指し、山の中腹を歩いていた。
「何で山の上にダンジョンがあるんですか。それはダンジョンじゃなくてモンスターが出る山じゃないですか」
ダンジョンを目指すパーティーは他にもいるため、整備された歩きやすい道だったが、白魔導士のメイソンは職業柄体力がなかった。
すでに疲れ果ててわけのわからないことを言いはじめる。
「っていうかダンジョンって何?」
海賊のジーナが言った。
海賊。
そう、彼女は海賊だがわけあってこのパーティーに加わっている。
魔王を倒す夢を叶える機会は誰にでも平等に与えられるのだ。
「ダンジョンっていうのはだなぁ、あれだ、モンスターがたくさん出るところだ……なおかつ迷いやすい……」
今年35歳になった微妙な年齢の勇者・ギャヴィンが言った。
ダンジョンが何なのかいまいち説明しきれない。
「帰りたいのでパーティー解散していいですか?」
メイソンはやる気を失っていた。
「ええー? こないだ結成したばっかりだろう、もうちょいがんばれよ。メンバー探すの大変なんだから」
ギャヴィンはソロ活動が長かったので、せっかくできた仲間を手放したくなかった。
「知りませんよギルドの掲示板に『メンバー募集・当方勇者』って書いときゃ自然に集まりますよ、多分」
「勇者は余ってるんだよな、魔法とか使えなくても誰でもできるから……」
そうこうしているうちに、ダンジョンの入り口らしきものが見えてきた。
「あっ、あれじゃない? 」
ジーナが指さす。
なだらかな緑の山の途中で、岩でできた洞窟が強烈な存在感を放っていた。
「おお! あれか! ダンジョン入り口って書いてあるぞ、親切だな」
ダンジョンの隣には訪れるパーティーのため、丁寧にも看板が立てられていた。
「罠だと思いませんか?」
メイソンは帰りたがっている。
「さすが人気のダンジョンは違うなぁ」
「親切ぅ~」
ギャヴィンとジーナは無視してダンジョンへと進む。
「…………」
メイソンはしぶしぶ後に続く。
勇者たちは暗い洞窟の中へと入っていく。
「よーしモンスターをたくさん倒して金と経験値を稼ぐぞ!……あ」
意気揚々と入っていったギャヴィンが突然立ち止まった。
「どうしたの?」
「”都合により本日は休業します”って書いてある……」
ダンジョンに入って間もなくの場所に、道をふさぐように立札があった。
どうやら今日は休みらしい。
「よくわかんないけど今日は休みってこと?」
ジーナが聞く。
「そうだな」
「都合って何?」
「何だろうな」
「宝物全部盗まれたから落ち込んじゃって休みとかかな?」
ダンジョン未経験なりに考えてみる。
「何ですかそれは海賊あるあるですか」
帰りたいからもう黙っていようと思っていたメイソンがツッコミを入れる。
「落ち込んでるのか……かわいそうに。また今度にしよう」
同情するやつもいる。
事情はわからないがとにかく休みらしいので、勇者たちは洞窟を出ることにした。
「ねー。せっかく来たんだからこのへんで休憩していこうよ」
山を下りようとしたところで、ジーナが言った。
「余計な事言わないでください! 早く帰りたいんだから!」
「それもそうだな」
メイソンの発言は無視されがちだった。
「やった! ピクニックだ!」
「おいおいおい遊びに来たのかよこの海賊……」
海賊がはしゃぐ様子を見てあきれる白魔導士。
こいつは働く気もなければ遊ぶ気もないのだ。
「違うよ。ダンジョンに入れなかった時点でこれは遊びでも冒険でもなく、ただの無駄足だよ」
「…………」
いつになく厳しいことを言う。
「でも山を登ってハイキングしたことにすれば無駄足じゃなくなるでしょ? さらにここでお弁当を食べれば、ピクニックになるんだよ!」
彼女はなぜか自信あふれる顔をしている。
「なるほど……ところで、ピクニックは遊びか?」
ギャヴィンが問う。
「遊びさ!!」
ジーナが自信たっぷりに答えた。
「やっぱり遊びに来たんじゃないですか!! アホのくせに難しく考えないでよややこしい!!」
「何で山の上にダンジョンがあるんですか。それはダンジョンじゃなくてモンスターが出る山じゃないですか」
ダンジョンを目指すパーティーは他にもいるため、整備された歩きやすい道だったが、白魔導士のメイソンは職業柄体力がなかった。
すでに疲れ果ててわけのわからないことを言いはじめる。
「っていうかダンジョンって何?」
海賊のジーナが言った。
海賊。
そう、彼女は海賊だがわけあってこのパーティーに加わっている。
魔王を倒す夢を叶える機会は誰にでも平等に与えられるのだ。
「ダンジョンっていうのはだなぁ、あれだ、モンスターがたくさん出るところだ……なおかつ迷いやすい……」
今年35歳になった微妙な年齢の勇者・ギャヴィンが言った。
ダンジョンが何なのかいまいち説明しきれない。
「帰りたいのでパーティー解散していいですか?」
メイソンはやる気を失っていた。
「ええー? こないだ結成したばっかりだろう、もうちょいがんばれよ。メンバー探すの大変なんだから」
ギャヴィンはソロ活動が長かったので、せっかくできた仲間を手放したくなかった。
「知りませんよギルドの掲示板に『メンバー募集・当方勇者』って書いときゃ自然に集まりますよ、多分」
「勇者は余ってるんだよな、魔法とか使えなくても誰でもできるから……」
そうこうしているうちに、ダンジョンの入り口らしきものが見えてきた。
「あっ、あれじゃない? 」
ジーナが指さす。
なだらかな緑の山の途中で、岩でできた洞窟が強烈な存在感を放っていた。
「おお! あれか! ダンジョン入り口って書いてあるぞ、親切だな」
ダンジョンの隣には訪れるパーティーのため、丁寧にも看板が立てられていた。
「罠だと思いませんか?」
メイソンは帰りたがっている。
「さすが人気のダンジョンは違うなぁ」
「親切ぅ~」
ギャヴィンとジーナは無視してダンジョンへと進む。
「…………」
メイソンはしぶしぶ後に続く。
勇者たちは暗い洞窟の中へと入っていく。
「よーしモンスターをたくさん倒して金と経験値を稼ぐぞ!……あ」
意気揚々と入っていったギャヴィンが突然立ち止まった。
「どうしたの?」
「”都合により本日は休業します”って書いてある……」
ダンジョンに入って間もなくの場所に、道をふさぐように立札があった。
どうやら今日は休みらしい。
「よくわかんないけど今日は休みってこと?」
ジーナが聞く。
「そうだな」
「都合って何?」
「何だろうな」
「宝物全部盗まれたから落ち込んじゃって休みとかかな?」
ダンジョン未経験なりに考えてみる。
「何ですかそれは海賊あるあるですか」
帰りたいからもう黙っていようと思っていたメイソンがツッコミを入れる。
「落ち込んでるのか……かわいそうに。また今度にしよう」
同情するやつもいる。
事情はわからないがとにかく休みらしいので、勇者たちは洞窟を出ることにした。
「ねー。せっかく来たんだからこのへんで休憩していこうよ」
山を下りようとしたところで、ジーナが言った。
「余計な事言わないでください! 早く帰りたいんだから!」
「それもそうだな」
メイソンの発言は無視されがちだった。
「やった! ピクニックだ!」
「おいおいおい遊びに来たのかよこの海賊……」
海賊がはしゃぐ様子を見てあきれる白魔導士。
こいつは働く気もなければ遊ぶ気もないのだ。
「違うよ。ダンジョンに入れなかった時点でこれは遊びでも冒険でもなく、ただの無駄足だよ」
「…………」
いつになく厳しいことを言う。
「でも山を登ってハイキングしたことにすれば無駄足じゃなくなるでしょ? さらにここでお弁当を食べれば、ピクニックになるんだよ!」
彼女はなぜか自信あふれる顔をしている。
「なるほど……ところで、ピクニックは遊びか?」
ギャヴィンが問う。
「遊びさ!!」
ジーナが自信たっぷりに答えた。
「やっぱり遊びに来たんじゃないですか!! アホのくせに難しく考えないでよややこしい!!」
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