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序章: 聖女になるのにどれだけ大変だったと思っているの?
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程なくして帝国中央軍二個師団が出撃し、帝都の中央通りを闊歩する反乱軍の主力と衝突。
勢力はほぼ互角だが、大通りに面しての小さな局面でのぶつかり合いとあって、戦局は膠着状態が続いた。
時同じくして、イシリア及び近衛師団の一個大隊は中央通りを外れた幹線道路を迂回し、官庁街の外れの辺りに展開している。
「急ぎなさい。ここからが正念場です」
――さあ、どこからでも掛かって来なさい。一人残らず生かして帰さないわ。
石畳の路地を先導し、遠くから聞こえる戦闘の喊声を頼りにイシリアは反乱軍の背後を探っていた。
敵を中央通りで足止めする間、背後から挟撃する殲滅戦を目論んでのことである。
敵とて愚かではないのだから、周辺に偵察用の兵力を分散させているに違いない。
いつ街角の中から敵が斬り込んできてもおかしくない状況だ。
「静かに!」
ふと、何かを感じ取ったイシリアが全軍の足を止める。
予想通り、正面から躍り出た一個小隊戦力がイシリア達を眼中に収めた途端、一斉に剣を抜き放つ。
「敵襲!」
お互いに叫び合いながら、勇猛果敢な者から一人二人と、敵陣営に斬り込んでいく。
「イシリア様! ここは危険です! お下がりを!」
衛兵がイシリアを囲む。
「何を・・・・・・腑抜けたことを!」
そう言ってイシリアは衛兵の一人が腰に佩いていた剣を抜き取り、遮ろうとする二人ほどを押しのけた。
「アンタ達、兵士でしょ! 何のためにここに来たと思っているの? ここで踏ん張らないと負けるわよ! 男を見せなさい!」
「い、イシリア様?」
「おい! 邪教の聖女が混じっているぞ!」
「自分だけ帝国を亡命しようとは、何と卑劣な・・・・・・ぎゃふっ!!」
声高に糾弾する敵兵をイシリアは一刀の下に斬り捨てた。
「このポンコツ! 誰が亡命なんかするのよ! ここは私の帝国よ!? 刃向かうなんていい度胸ね! 死にたい奴から掛かって来なさい!」
「な、何だコイツは! 本当に聖女か?」
普段は神殿で神事を司る聖女が、自ら剣を握って返り血を浴びる光景など、想像だにしなかっただろう。
敵にとってはこの上ない脅威となり、他方味方にとってはこの上ない鼓舞となった。
「聖女様が戦われているぞ! 俺達も続け!」
「その意気よ! 身の程知らずのゴミムシどもを、一人残らずやってしまえ!」
掛け声に負けず、イシリアは手当たり次第に敵兵を斬り倒していく。
「げぇ!! 聖女ってこんなに強かったのか?」
「魔法だ! 魔法のまやかしに決まっている! 怯むな!」
敵の戦力はイシリア一人に集中するが、彼女は引き下がらない。
挑んできた相手を、剣の一振りで次々と屠っていく。
「誰がアンタらみたいな雑魚に魔法なんか使うと思っているのよ! こっちは修羅場潜ってんのよ!」
戦闘はほんの一瞬で決着した。
どちらが勝利したかは言うまでもない。それもほとんどをイシリアの手で片付けてしまった。
「勝てた! 俺達勝ったぞ!」
「よくやったわ! さあ、この勢いであの商工ギルドのバカ野郎どもをぶっ飛ばしに行くわよ!」
「おぉっ!!」
士気が最大限に高まったところでいよいよ敵の本隊にぶつかろうとした寸前、イシリアの背後から伝令が走ってきた。
「注進! 注進! 皇帝陛下が、降伏なさいました!」
「何ですって?」
イシリアは驚愕のあまり、握っていた剣を落とした。
勢力はほぼ互角だが、大通りに面しての小さな局面でのぶつかり合いとあって、戦局は膠着状態が続いた。
時同じくして、イシリア及び近衛師団の一個大隊は中央通りを外れた幹線道路を迂回し、官庁街の外れの辺りに展開している。
「急ぎなさい。ここからが正念場です」
――さあ、どこからでも掛かって来なさい。一人残らず生かして帰さないわ。
石畳の路地を先導し、遠くから聞こえる戦闘の喊声を頼りにイシリアは反乱軍の背後を探っていた。
敵を中央通りで足止めする間、背後から挟撃する殲滅戦を目論んでのことである。
敵とて愚かではないのだから、周辺に偵察用の兵力を分散させているに違いない。
いつ街角の中から敵が斬り込んできてもおかしくない状況だ。
「静かに!」
ふと、何かを感じ取ったイシリアが全軍の足を止める。
予想通り、正面から躍り出た一個小隊戦力がイシリア達を眼中に収めた途端、一斉に剣を抜き放つ。
「敵襲!」
お互いに叫び合いながら、勇猛果敢な者から一人二人と、敵陣営に斬り込んでいく。
「イシリア様! ここは危険です! お下がりを!」
衛兵がイシリアを囲む。
「何を・・・・・・腑抜けたことを!」
そう言ってイシリアは衛兵の一人が腰に佩いていた剣を抜き取り、遮ろうとする二人ほどを押しのけた。
「アンタ達、兵士でしょ! 何のためにここに来たと思っているの? ここで踏ん張らないと負けるわよ! 男を見せなさい!」
「い、イシリア様?」
「おい! 邪教の聖女が混じっているぞ!」
「自分だけ帝国を亡命しようとは、何と卑劣な・・・・・・ぎゃふっ!!」
声高に糾弾する敵兵をイシリアは一刀の下に斬り捨てた。
「このポンコツ! 誰が亡命なんかするのよ! ここは私の帝国よ!? 刃向かうなんていい度胸ね! 死にたい奴から掛かって来なさい!」
「な、何だコイツは! 本当に聖女か?」
普段は神殿で神事を司る聖女が、自ら剣を握って返り血を浴びる光景など、想像だにしなかっただろう。
敵にとってはこの上ない脅威となり、他方味方にとってはこの上ない鼓舞となった。
「聖女様が戦われているぞ! 俺達も続け!」
「その意気よ! 身の程知らずのゴミムシどもを、一人残らずやってしまえ!」
掛け声に負けず、イシリアは手当たり次第に敵兵を斬り倒していく。
「げぇ!! 聖女ってこんなに強かったのか?」
「魔法だ! 魔法のまやかしに決まっている! 怯むな!」
敵の戦力はイシリア一人に集中するが、彼女は引き下がらない。
挑んできた相手を、剣の一振りで次々と屠っていく。
「誰がアンタらみたいな雑魚に魔法なんか使うと思っているのよ! こっちは修羅場潜ってんのよ!」
戦闘はほんの一瞬で決着した。
どちらが勝利したかは言うまでもない。それもほとんどをイシリアの手で片付けてしまった。
「勝てた! 俺達勝ったぞ!」
「よくやったわ! さあ、この勢いであの商工ギルドのバカ野郎どもをぶっ飛ばしに行くわよ!」
「おぉっ!!」
士気が最大限に高まったところでいよいよ敵の本隊にぶつかろうとした寸前、イシリアの背後から伝令が走ってきた。
「注進! 注進! 皇帝陛下が、降伏なさいました!」
「何ですって?」
イシリアは驚愕のあまり、握っていた剣を落とした。
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